次のエンジニアリング マイルストーンについて
今年の 1 月に Beta 版をリリースし、Beta から RC (= Release Candidate、製品候補版) へ進む上での全体的な開発プロセスについて更新情報をお知らせしました。今日、RC のダウンロードが始まり、既にたくさんのインストールと大きな興奮を目にしています。Beta 版を実行してテストし、RC 版のリリースを可能にすることに貢献してくださった何百万人ものみなさんに対し、チームを代表して感謝申し上げます。ブログでも説明したさまざまなメカニズムを通じて寄せられたフィードバックは、Windows 7 のエンジニアリングの非常に有益なものです。私たちは Windows 7 への反応に謙虚であり続けます。ありがとうございます!
この投稿は、RC から RTM (= Release To Manufacturing、正式版) と呼ばれるものまでの道のりについてです。RTM は時間のある一点ではなく、「プロセス」です。というのも、RTM より、PC メーカーが新しい PC 用に Windows 7 のイメージ構築のプロセスを開始できるようにし、既存マシン用のダウンロードの準備を整え、一般消費者の手元へ Windows 7 が届くよう供給プロセスを用意するからです。つまり、RTM は Windows 7 のエンジニアリングの最終ステージですが、エンジニアリングは RTM 以降も、みなさんが Windows 7 や Windows 7 PC を店頭で購入できるようになる GA (= General Availability、一般に入手可能になること) と呼ばれるときまで続きます。
RTM への道のりは RC をダウンロードすることから始まります。RC は「完了した」ものであり、私たちが行うのはパートナーと共にエコシステムの幅広さに対してこれを検証することです。つまり、私たちの観点では、いくつものテストを何度も実行してきて、広い感覚でリリースの品質について理解するために作業しています。この作業はもうおなじみです。なぜなら、同じことを、Pre-Beta から Beta へ移行するときも、Beta から RC へ移行するときにもやってきたからです。RC との第一の違いは、この時点では製品の機能や特徴を変更することはないということです—それは将来のリリースに取っておくことです。設計や機能について山ほどのフィードバックを受け取りました。そのフィードバックをどう消化して対応したかについては、このブログのたくさんの投稿で述べたとおりです。お願いされたことのすべてをやってはいませんし、折り合いをつけるのが大変なことをお願いされたこともありました。このブログでの対話によって、多種多様な意見に耳を傾けつつバランスをとるという私たちのお約束と、Windows の進化について私たちがどう考えたかについて、示すことができていれば幸いです。
RC ではどのようなフィードバックを期待しているのでしょうか? まず、遠隔測定によって製品の動作をモニターすることに全力を注いでいます。もちろん、Beta の品質からいかなる側面においてもリグレッション (以前は動作していたものが動作しなくなること) が発生しないように注意しています。Beta からずっと継続していることのひとつに、遠隔測定の強化があります—多くのシステムに監視ポイントを追加しました。特に、どんなデバイスがインストールされているか、必要とされるドライバー、全体的なシステムのパフォーマンスに興味があります。スタートメニューの UI の応答性、Internet Explorer (最近投稿されました)、起動、シャットダウン、レジューム、およびサブシステム全体にわたって監視する遠隔測定ポイントがあります。もちろん、最終製品では、この遠隔測定はオプションでユーザーの許可を得て有効になるもので、常に非公開です。
現時点から RTM の間にコードに変更を加えなければならないような、私たちが目を光らせている特定の種類のレポートがあります。それは次のようなものです。
- インストール – セットアップ プロセスに対して重要な遠隔測定を行っており、かなりのログも取っています。もちろん、もしまったくセットアップができなかったら、それはそれで興味深いことで Windows Vista からのアップグレードでも同じでしょう。「参加した」ベータ プログラムでは、これらの問題に対して Microsoft へ報告したり、公式のサポート グループが監視しているコミュニティへ接続したりして、助けを得るしくみがあります。
- セキュリティの問題 – 明らかに、あらゆる脆弱性の問題は修正の可能性があります。市場に出荷済みの製品と同じ基準で問題に対応します。
- クラッシュ、ハング – 広範な人々に影響を与えるような問題の「クラッシュ」レポートを監視しています。問題は、Windows のコード、ドライバー、またはサード パーティー製のソフトウェアかもしれません。この情報は「リアルタイムに」 Microsoft へ流され、私たちはとても注意深く見ています。
- デバイスのインストールと互換性 – Windows Update からドライバーをダウンロードしたり、メーカーのセットアップ プログラムに沿ってドライバーをインストールしたりする際に収集するデータ点です。Beta では何百万もの固有の PnP ID が集まりました。また、ドライバーの場所指定に失敗したデバイスの ID も受け取っています。私たちは定期的にこの Web サービスを更新し、デバイスに関する情報へのポインター (ドライバーの有無、取り扱い説明、など) を示しています。
- ソフトウェアのインストール – デバイスと同様に、ソフトウェアのインストール プロセスを監視し、正常に完了しなかったプログラムを記録しています。繰り返しになりますが、このしくみにより物事を前進させ、RTM マイルストーンで互換性作業を取り入れるのに役立ちます。
- サービス – 今後も Windows 7 のサービスについて継続してテストしていくので、Windows Update から更新プログラムが配布されることになるでしょう。更新プログラムには、新しいドライバーや、今後は Windows 7 に対するパッチも含まれる予定です。テスト更新は、テスト版であると表示されます。新しいコードでの重要な問題に対しても同様に修正するでしょう。このすべては、サービス パイプラインを確認し、RC の品質を保持するための活動です。
- 新しいハードウェア – おそらく最も重要なカテゴリは、ビルド 7100 を使用するにあたり、すべての新しいハードウェアが動作することを確認することです。PC メーカーとハードウェア メーカーのパートナーは新しい PC を開発中で、それらは市場にとっても OS にとっても新しい組み合わせです。私たちは Windows 7 がそのような PC やハードウェアに対してすぐれたサポートを提供できるよう、一緒に取り組んでいます。
すべてのフィードバックは評価されます。そして、問題の原因が Windows 自身にあっても、ハードウェアでも、ソフトウェアでも、はたまた OEM パートナーのコードであっても、完全に統合されたすばらしい PC を届けるために必要なことを行うため、私たちはエコシステム全体にわたってパートナーの皆様と密接に作業していきます。この時点では、この目標は他の何よりも重要です。広範なパートナーと、誰もがすばらしい PC エクスペリエンスを提供する準備ができるようにするための開発時間を一緒に過ごすという意味で、この作業の深さはチームにとって初めてのものでした。
全体的に、多くの人は Beta の品質は過去の RC レベルに匹敵すると言っていますが (RC を最終製品としてリリースするよう提案した人もいました!)、Windows 7 をさらによいものとするために作業を続けています。それを実行するためのツールが適所に備わっていると思います。
RC そのものは 2 週間ほど前にコンパイルされましたが、リリースするすべての ISO やイメージを検証するのに少し時間がかかりました。その間にも、私たちは毎日製品をビルドし続けました。日々のビルドは、先に述べたような多くのユーザーに影響を与える問題に対処したコードの変更を組み込んだものです。このとき、コードの変更とリグレッションの可能性を天秤にかけ、コードの変更の方がより価値があると判断したときのみ変更を反映します。このプロセスの間ずっと、コードに対するすべての変更は、開発チーム、テスト チーム、およびその他多くのチームにわたる大勢の人によってチェックされています。多くのエンジニアがほんの少しのコードを変更しています。私たちはよく、メジャー製品を出荷することは「すべてをゆっくりやること」だと言っています。現在、すべての変更について、私たちは慎重に審議しています。
RTM マイルストーンは日付ではなく、プロセスです。プロセスが完結するにあたり、コードの変更を完了し、公式に Windows 7 を「サービス」します。これは、その後の変更は、修正プログラム (KB サポート技術文書) または最初のサービスパックにまとめられることを意味します。Windows Update を通じて修正を配布できるようになったことにより、明らかに ”RTM する” 方法が大きく変わりました。ですので、Windows XP や Windows Vista で行ったように、製品が完成した直後に更新プログラムが出るのは不思議なことではありません。
現在から RTM マイルストーンの間に、先に述べたようなフィードバックに対応した変更をコードに加える予定です。私たちは減速しつつあり、変更を加えるとしても「おしとやかに」あわてずに行っていきます。達成しなければならない「締め切り」はなく、製品の (すべての側面の) 品質および順調に終了することが Windows 7 におけるもっとも重要な基準です。それに加え、舞台裏では他にもたくさんの作業が待っています。世界中の 100 近い言語用に Windows 7 をビルドし、Windows Web サイト、SDK、Resource Kit といったサポート資料の準備がすべて整ってタイミング良く提供できるようにしなければなりません。
いったん RTM の段階に入ると、パートナーは自社製品用に最終イメージを作成し始め、PC を製造します。ハードウェア メーカーやソフトウェア メーカーは、新製品に対する Windows 7 のサポートの準備を整えます。私たちはまた、小売りのパッケージを製造して世界中に出荷します。企業ユーザーとも連携を続け、RTM プロセスに基づいてボリューム ライセンス製品も提供できるようになります。
この時点では、可能な限り高品質な Windows 7 をお届けすることが、私たちにとって最も重要な基準です—それはあらゆる側面における品質ということです。RTM のプロセスは、慎重に、システムの全体的なエンジニアリングの整合性を保つように計画されています。多くの方から、一刻も早く製品をリリースしてほしい、とご要望をいただいていますが、私たちの焦点は高品質のものをリリースすることにあります。
最終的にはPC OEMのパートナーの皆様が、いつ自社製品 (PC) を市場に投入するか決定します。Windows 7 に対するフィードバックや遠隔測定が私たちの期待と一致したら、これから約 3 か月以内に、RTM プロセスの最終段階に入ります。それが順調に進めば、今年の年末に Windows 7 がインストールされた PC が市場に出回るようにする、という共通の目標を実現したいと考えています。
--Steven と Jon