Visual Studio 2010 で注目してほしいポイント、その2(IDEはWPFアプリケーションの事例とWPFの現状)

Windows Presentation Foundation 、略してWPFは、Windows Vistaリリースに合わせて登場した、UI構築のためのクラスライブラリなのはご存じの方も多いかもしれません。

WPFは、DirectX9以降に対応したGPUをグリグリ活用しているという特徴があり、Windows Vistaリリース当時は、DirectX9未サポートのビデオカード搭載のPCも多数存在したことから、WPFのメリットを享受できる環境が限られていたり、コントロール(部品)が十分でなかったりという状況でした。

それから、3年以上経過し、.NET Frameworkも 3.5 , 4とバージョンアップするたびに、WPFも強化され、また、PCのGPU環境も大幅に改善され、WPFを活用できる時代に突入したと言えると思います。

実際、Seesmic for Windows や Expression Blend など、WPFベースのアプリケーションも登場してきています。しかし、良くも悪くもなのですが、UIの先進性を誇示するために、WinformやMFCベースのアプリケーションとは一線を画すUIであり、それが、取っつきにくく感じる方もいるのではないかと思います。実は、アプリケーションのバージョンアップ時に、WinformやMFCからWPFに変更するのは、かなりリスクを伴います。一言で表現してしまえば、「みためがかわって、つかいくくなった」と言われてしまう可能性があるわけです。

今回の Visual Studio 2010は、あえて、Visual Studio IDEのWPF利用に挑んでいます。Expression Blend の様に Pure WPFではないですが、WPFを段階的に導入していくという事例としてはおもしろいと思ってます。

~以下、半分余談~

数年前は、

WPFは重くて使い物にならん

というフィードバックはよくいただきました。確かに、当時のGPUでは重たく感じる場面もあったかと思います。しかしながら、アプリケーションを高速に動作させる手法としては、よりGPUを利用していくのが現在のトレンドです。たとえば、Internet Explorer 9。IE9のレンダリングにはGPUを活用し、高速にHTMLをレンダリングています。特にHTML5でマルチメディアのサポートが強化により、HTMLであってもGPUが必要という場面は今後増えてくるでしょう。実際、他社のブラウザもGPU活用をしはじめています。

一般的なWindowsアプケーションもGPUを活用することが求められるのも、そう遠くはないはずです。もっとも簡単にGPUを活用する方法としてWPFに注目することが重要です。