名前空間の不整合のシナリオ
製品: Exchange Server 2013
ここでは、不整合の名前空間の概念と、名前空間に不整合があるドメイン内に Microsoft Exchange 2013 を展開するためのシナリオに関する情報を示します。
DNS ドメイン名と NetBIOS ドメイン名
最初に、背景について説明します。 インターネット上に存在するすべてのコンピューターはドメイン ネーム システム (DNS) 名を持っています。 これはマシン名またはホスト名とも呼ばれます。 また、ネットワーク機能を持つ、Windows オペレーティング システムを実行しているすべてのコンピューターは NetBIOS 名も持っています。
Active Directory ドメイン内で Windows を実行しているコンピューターは、次のように DNS ドメイン名と NetBIOS ドメイン名の両方を持っています。
DNS ドメイン名: DNS ドメイン名は、ドット (.) で区切られた 1 つ以上のサブドメインで構成され、最上位のドメイン名で終了します。 たとえば、DNS ドメイン名 corp.contoso.com では、サブドメインが corp と contoso であり、トップ レベルのドメイン名が com です。
NetBIOS ドメイン名: 通常、NetBIOS ドメイン名は DNS ドメイン名のサブドメインです。 たとえば、DNS ドメイン名が contoso.com である場合、NetBIOS ドメイン名は contoso です。 DNS ドメイン名が corp.contoso.com である場合、NetBIOS ドメイン名は corp です。
注:
Windows Server 2008 を実行しているコンピューターの DNS および NetBIOS の情報については、「Windows Server 2008 を実行しているコンピューターの DNS および NetBIOS 名の関連情報を表示する」を参照してください。
また、Active Directory ドメイン内のコンピューターはプライマリ DNS サフィックスも持っており、追加の DNS サフィックスを持つことができます。 既定では、プライマリ DNS サフィックスは DNS ドメイン名と同じです。 プライマリ DNS サフィックスを変更する方法の詳細については、このトピックに記載されている手順を参照してください。
Active Directory ドメインの DNS ドメイン名と NetBIOS ドメイン名は、そのドメイン内の最初のドメイン コントローラーを構成するときに定義します。 ドメイン コントローラーの構成に関する詳細については、「ドメイン コントローラーの役割」と「Active Directory ドメイン サービスの概要」を参照してください。
名前空間の不整合
大部分のドメインのトポロジでは、ドメイン内のコンピューターのプライマリ DNS サフィックスは DNS ドメイン名と同じです。
場合によっては、これらの名前空間をそれぞれ変えなければならないことがあります。 これを名前空間の不整合と呼びます。 たとえば、合併や買収によって、名前空間の不整合があるトポロジが生成されることがあります。 また、企業内での DNS 管理が、Active Directory を管理する管理者とネットワークを管理する管理者の間で分割されている場合にも、名前空間の不整合があるトポロジが必要になることがあります。
名前空間の不整合のシナリオとは、コンピューターのプライマリ DNS サフィックスが、そのコンピューターが存在する DNS ドメイン名に一致していない状態を指します。 一致していないプライマリ DNS サフィックスを持つコンピューターが不整合と言われます。 ドメイン コントローラーの NetBIOS ドメイン名が DNS ドメイン名に一致していない場合も、名前空間の不整合のシナリオが発生します。
Exchange 2013 と名前空間の不整合
Exchange 2013 では、名前空間の不整合があるドメインでの Exchange の展開に対し、次の 3 つのシナリオをサポートしています。
プライマリ DNS サフィックスと DNS ドメイン名が異なる: ドメイン コントローラーのプライマリ DNS サフィックスは、DNS ドメイン名と同じではありません。 このドメインのメンバーであるコンピューターは、不整合である場合も、不整合でない場合もどちらもあり得ます。
メンバー コンピューターが不整合である: Active Directory ドメイン内のメンバー コンピューターは、ドメイン コントローラーが不整合ではない場合でも、不整合です。
ドメイン コントローラーの NetBIOS 名は、その DNS ドメイン名のサブドメインとは異なります。ドメイン コントローラーの NetBIOS ドメイン名は、そのドメイン コントローラーの DNS ドメイン名のサブドメインと同じではありません。
次に、これらのシナリオについて詳しく説明します。
注:
このトピックで説明されている名前空間の不整合のシナリオは、Exchange 2013 の実行がサポートされています。 ただし、存在している名前空間の不整合が、このトピックで説明したシナリオのいずれにも当てはまらない場合は、Microsoft のサービスと協力して Exchange 2013 を展開する必要があります。 詳細については、「Microsoft Services」を参照してください。
シナリオ: プライマリ DNS サフィックスと DNS ドメイン名が異なる
このシナリオでは、ドメイン コントローラーのプライマリ DNS サフィックスが DNS ドメイン名と同じではありません。 このシナリオでは、ドメイン コントローラーが不整合です。 このドメインのメンバーであるコンピューター (Exchange サーバーおよび Microsoft Outlook クライアント コンピューターを含む) は、ドメイン コントローラーのプライマリ DNS サフィックスに一致するか、または DNS ドメイン名に一致するプライマリ DNS サフィックスを持つことができます。
シナリオ: メンバー コンピューターが不整合
このシナリオでは、ドメイン コントローラーのプライマリ DNS サフィックスが DNS ドメイン名と同じであるにもかかわらず、Exchange 2013 がインストールされているメンバー コンピューターのプライマリ DNS サフィックスが DNS ドメイン名と同じではありません。 このシナリオでは、不整合ではないドメイン コントローラーと、不整合であるメンバー コンピューターが存在します。 Outlook を実行しているメンバー コンピューターは、不整合である Exchange サーバーのプライマリ DNS サフィックスに一致するか、または DNS ドメイン名に一致するプライマリ DNS サフィックスを持つことができます。
シナリオ: ドメイン コントローラーの NetBIOS 名がその DNS ドメイン名のサブドメインと異なる
このシナリオでは、ドメイン コントローラーの NetBIOS ドメイン名が、そのドメイン コントローラーの DNS ドメイン名と同じではありません。
NetBIOS ドメイン名が DNS ドメイン名と一致していない
Exchange 2013 サーバーが、不整合であるドメイン コントローラーにアクセスできるようにします。
Exchange 2013 サーバーが、不整合であるドメイン コントローラーにアクセスできるようにするには、ドメイン オブジェクト コンテナーで msDS-AllowedDNSSuffixes Active Directory 属性を変更する必要があります。 そして、この属性に、両方の DNS サフィックスを追加する必要があります。 この属性を変更する手順の詳細については、「 コンピュータのプライマリ DNS サフィックスが、コンピュータの配置先ドメインの FQDN と一致しない」を参照してください。
さらに、組織内に展開されているすべての DNS 名前空間が DNS サフィックス検索一覧に確実に含まれるようにするには、不整合であるドメイン内のコンピューターごとに検索一覧を構成する必要があります。 名前空間の一覧には、ドメイン コントローラーのプライマリ DNS サフィックスと DNS ドメイン名だけでなく、監視サーバーまたはサード パーティ アプリケーション サーバーなどの Exchange が相互運用する可能性のあるサーバーの追加の名前空間もすべて含まれている必要があります。 そのためには、このドメインのグループ ポリシーを設定します。 グループ ポリシーの詳細については、「グループ ポリシーの概要」を参照してください。
DNS サフィックス検索一覧のグループ ポリシーを構成する手順の詳細については、「名前空間の不整合の DNS サフィックス検索一覧を構成する」を参照してください。
Windows Server 2008 を実行しているコンピューターの DNS および NetBIOS 名の関連情報を表示する
[スタート] ボタンをクリックし、[コンピューター] を右クリックします。次に、[プロパティ] をクリックします。
[システム] の [フル コンピューター名] の横にある [コンピューター名、ドメインおよびワークグループの設定] の下に、DNS ホスト名とプライマリ DNS サフィックスが表示されます。 DNS ドメイン名は、 [ドメイン] の横に表示されます。
[設定の変更] をクリックします。
[システムのプロパティ] の [コンピューター名] タブで、 [変更] をクリックします。
[コンピューター名/ドメイン名の変更] で、 [詳細] をクリックします。 [このコンピューターのプライマリ DNS サフィックス] の下にプライマリ DNS サフィックスが表示されます。 NetBIOS コンピューター名は、 [NetBIOS コンピューター名] の下に表示されます。
プライマリ DNS サフィックスを変更するには、[このコンピューターのプライマリ DNS サフィックス] の下に新しいプライマリ DNS サフィックスを入力し、[OK] をクリックします。
コマンド プロンプト ウィンドウで、「set」と入力します。 変数 USERDNSDOMAIN に DNS ドメイン名が表示されます。 変数 USERDOMAIN に NetBIOS ドメイン名が表示されます。