【Tips】 SCCM 2007 SP2 と BranchCache
今回は SCCM 2007 SP2 からサポート可能となった BranchCache にフォーカスして、
その機能と設定方法についてご紹介したいと思います。
まずは、BranchCache について簡単に紹介したいと思います。
BranchCache は PC またはサーバーが SMB や HTTP、BITS プロトコルを通して取得したデータを
ローカル環境にキャッシュし、もしも同じサブネット上に存在する他の PC が同じデータを要求した場合に、
キャッシュを保持する PC やサーバーがデータを提供する仕組みとなります。
BranchCacheにはサーバーがキャッシュデータを保持する “ホスト型キャッシュモード” と
クライアント PC がキャッシュデータを保持する “分散キャッシュモード” の2つのモードが存在していますが、
SCCM 2007 SP2 では BITS プロトコルに対応した BranchCache の “分散キャッシュモード” を
Vista SP1 以上の クライアント OS でサポートしています。
■ BITS プロトコルに対応した BranchCache の “分散キャッシュモード” 利用のメリット
さて、SCCM 2007 SP2 がサポートする BITS プロトコルに対応したBranchCache の “分散キャッシュモード”
がどのようなシーンで活用できるかについて考えてみたいと思います。
例えば、データの取得に WAN 回線を必要とするようなケースでは、WAN 回線を経由せずとも同じサブネット上の
SCCM クライアントから必要なデータ (アプリケーションや更新プログラム) を取得することが可能となります。
WAN 回線のトラフィック軽減、BITS によるデータの確実な取得、といった点で大きな威力を発揮します。
では、ここからは設定のポイントと動作確認方法をご紹介いたします。
設定はアプリケーションや更新プログラムを配布するサーバー (SCCM 配布ポイント)、
SCCM クライアントそれぞれに対して実施します。
■ BITS プロトコルに対応した BranchCache の “分散キャッシュモード”設定のポイント
まずは、アプリケーションや更新プログラムを配布するサーバー (配布ポイント) や
SCCMサーバーに必要な設定から見ていきたいと思います。
(1) アプリケーションや更新プログラムを配布するサーバー (配布ポイント):BranchCache 機能の追加
配布ポイントとして利用するサーバーには Windows Server 2008 R2 の BranchCache 機能が必要となります。
既定ではBranchCache 機能がインストールされていないため、サーバーマネージャーから BranchCache 機能を追加します。
(2) SCCM サーバー:配布ポイントの設定
SCCM の管理下におかれる配布ポイントが BranchCacheをサポートするためには、
配布ポイントが BITSをサポートするように以下の設定を実施します。
(3) SCCM サーバー:アプリケーション/更新プログラムの配布設定
アプリケーションを配布するための設定情報である提供情報の作成時は、
“配布ポイントからコンテンツをダウンロードしてローカルで実行する” を選択するようにします。
BranchCache をソフトウェアの更新で使用するには、上記と同様に
[配布ポイントからソフトウェアの更新をダウンロードしてインストールする]
オプションを使用してソフトウェアの更新の展開を構成します。
サーバー側の設定は以上となります。
引き続き、SCCM クライアント側の設定を見ていきたいと思います。
(4) SCCM クライアント:AD GPOまたはローカルポリシーによるBranchCacheの設定
前述のとおり、SCCM 2007 SP2 ではBITS プロトコルに対応した
BranchCache の “分散キャッシュモード” をVista SP1以上の
クライアント OS でサポートしています。
対応 OS にインストールされた SCCM クライアントが BITS プロトコルに対応した
BranchCache の ”分散キャッシュモード” を利用できるようにするためには、
Active Directory のGPO または ローカルポリシーから以下のBranchCache ポリシーの設定を実施します。
・BranchCache 有効にする
既定では無効になっています。有効に設定します。
・BranchCacheを分散キャッシュモードに設定する
既定では無効になっています。有効に設定します。
・ネットワーク ファイルの BranchCache を構成する
既定では無効になっています。有効に設定します。
また、データをキャッシュする条件 (往復レイテンシ) を定義します。
ポリシーを有効にした場合の既定値は、往復レイテンシ 80 (ミリ秒) となります。
・クライアント コンピューター キャッシュに使用するディスク領域の割合を設定する
既定では無効になっています。有効に設定します。
ポリシーを有効にした場合、キャッシュ領域として使用される領域のディスク領域の全体に
占める割合の規定値は 5% となっています。
(4) SCCM クライアント:AD GPOまたはローカルポリシーによるファイアウォールの設定
“分散モード”のBranchCacheで利用されるトラフィックに対するファイアウォールの設定を実施します。
受信・送信のそれぞれに規則に以下の許可設定を追加します。
設定は以上で終了となります。
■BranchCache の “分散キャッシュモード”の動作確認
SCCM クライアントがアプリケーションや更新プログラムのデータ取得に、
同じサブネット上に存在するキャッシュデータを利用していることを確認するには、
SCCM クライアントが稼働する OS 上のイベントログやパフォーマンスモニターを利用します。
(1) パフォーマンスモニター:BranchCache カウンターの参照
パフォーマンスモニターに BranchCache カウンタ-を追加することで、
BITS プロトコルがデータの取得にキャッシュを利用しているかどうかを確認して頂けます。
(2) イベントログ:Bits-Client - Operational ログの参照
BranchCache の動作可否は イベントログからも確認できます。
Bits-Client– Operational ログ内の イベント ID 60 のメッセージを確認頂き、
詳細タブから peerProtocolFlags の値に “1” が確認できた場合は、
BranchCache が動作をしていることになります。
今回はSCCM 2007 SP2 からサポート可能となった BranchCache にフォーカスして、
その機能と設定方法についてご紹介させて頂きました。
SCCM 2007 SP2 と Windows 7 を導入済みのお客様、これから導入予定のお客様、是非ご活用ください!
■ 参考情報
BranchCahce 機能のサポートの詳細については以下の URL でご確認頂けます。
・Configuration Manager 2007 SP2 がサポートする構成
http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/ee344146.aspx
BranchCache 機能を利用するための設定方法等の詳細については以下の Blog (英語) からもご確認頂けます。
・Configuring SCCM and BranchCache
http://blogs.msdn.com/b/steverac/archive/2010/02/06/configuring-sccm-and-branch-cache.aspx