Windows Azure Media Services 概要 ~ クラウドカーバー Episode 81
今回のクラウドカバーでは、Nathan と Nick をホストに、Windows Azure Media Service の開発チームの Samuel とエバンジェリストの Alex をゲストに迎え、Windows Azure に新たに加わったサービスである Media Service について紹介します。
いつものように、ニュースから。
◆ Getting Started with the Service Bus Samples for Windows 8
「Windows Azure Service Bus を活用した Windows 8 メトロ アプリケーションの開発 ~ クラウドカバー Episode 75」でも紹介した Windows 8 における Service Bus の活用について、さらに詳しく解説したブログエントリです。
◆ イベント開催のお知らせ:Meet Windows Azure & Learn Windows Azure
実際のクラウドカバーでは、2つに分けて紹介されていますが、Windows Azure のイベント「Meet Windows Azure」および「Learn Windows Azure」のお知らせです。
米国で開催される両イベントですが、いずれもオンラインにてストリーミングにて視聴いただくことが可能です。内容や日本での時間については、「出会って、学ぶ ~ Meet & Learn Windows Azure」を参考にしてください。
◆ Build the Next Great App at AngelHack June 23-24, 2012
AngelHack によるアプリケーションコンテストのお知らせです。シアトル、パロアルト、ボストン、そしてニューヨークでの開催という事で、入賞者は 25,000US ドルの賞金(シードマネーとしての投資)と、Windows Azure の無償利用枠を獲得できます。
また、日本における同様の取り組みとして「BizSpark Plus」があります(このプログラムのパートナーであるインキュベーターが実施している投資プログラム等に応募いただき、その中で有望な企業に対してパートナーからの投資と Windows Azure の利用枠を提供する取り組みです)。
Windows Azure の開発者向けイベントである DevCamps のお知らせです。
なお、日本においていて「 Go Azure 」という名称で 6/29(金)、6/30(土)にイベントを開催させていただきます。
さて、ここからは本題の Windows Azure Media Service。
まず、IIS Media Services は、オンプレミスでこれまでも提供していた機能ですが、これをクラウドである Windows Azure にてプラットフォーム サービスとして提供するのが Windows Azure Media Service です。
Windows Azure Media Service の第一のゴールはメディア配信に関するワークフローを可能な限りシンプルにする、ということです。そのゴールに基づき、配信元データ(Input)および配信するデータ(Output)に関して複数の選択肢が利用できるようになっています。
例えば、エンコーダーに関してはマイクロソフトが提供する Expression Encoder だけでなく、サードパーティのパートナーが提供するエンコーダーを使用することも可能です。これにより、配信先のプラットフォームも Silverlight に限定する、といったことなく、様々なプラットフォームを利用いただくことが可能になります。
また、Windows Azure Media Service は、開発者向けプラットフォームとして、たとえば、自分で携帯で撮影した動画をアップロードし、他のデバイスに配信する、といったアプリケーションを自身で構築することに用いることもできますし、パートナーのソリューションを利用してより抽象度の高いサービスとして利用することも可能です。
Media Service では REST 形式で API の公開を行っていますが、.NET ベースのクライアントライブラリーを用いると、REST をラップした形で Media Service を利用することができます。
また、API に関しては基本的にすべて(Everything)そろっています。
具体的には、アセット、と呼ばれるビデオや、オーディオ、イメージ、等の素材を、API を使うことで操作、管理することが可能です。また、Job のテンプレートや、タスクのスケジューリングなどの機能も用意されています。
※ 「How to Use Media Services」も参照ください。
例えば、配信するビデオに広告を入れたり、しかもユーザーによって広告を変えてみたり、といったことは可能? と Nathan が質問。
まず、Nathan が言ったシナリオはすべて可能で、実際、ダイナミック アドバタイジング等の機能は Smooth Streaming の中ですでに実現されているものです。
これまでは、(IIS の Smooth Streaming を利用してオンプレミスなシステムで)自身でエンコーダーを用意し、Right Management のための暗号化を行い、パートナーの CDN ソリューションを利用する、といったことを行ってきました。
これからは、もし、それらの作業がコスト的に見合わない、と思うのであれば、クラウドとしての Windows Azure Media Service の利用を検討してください。
メディア アセットをアップロードし、フォーマット変換を行い、暗号化を行い、blob ストレージにデータを置き、(Windows Azure の) CDN で配信する、といったことが Windows Azure Media Service で実現できます。
また、Windows Azure Media Service では、エンコーダーや DRM といった配信に必要な技術ピースを、あらかじめパートナーと協調して準備しているので、同じプラットフォーム上で、様々なエンコーダー、DRM、CDN といったテクノロジーを選択し、簡単に利用することが可能です。
さらに、Windows Azure Media Service ではクラウドの特長である、Pay As Use (使った分だけ支払)で利用できますので、データ変換のニーズが月によって3万件だったり、千件だったりと波のある場合にも、うまく利用することができます。
なお、Windows Azure Media Service の利用料に関しては、現在フィードバックを受けつつ、検討を進めているとのことで、プレビュー中は無償で利用できるそうです。
また、Smooth Streaming は HTTP ベースでの配信となるため、世界で26拠点にある CDN サービスを利用することも可能です(パートナーの CDN を利用することも可能です)。プレビュー中は Media Service はヨーロッパのデータセンターでのみ利用が可能なのですが、CDN を組み合わせて全世界向けにサービスすることも可能です。
なお、最初にデータをアップロードする Blob ストレージに関しては、ヨーロッパのデータセンターに作成したほうが良いようです。
様々な特長を持つ Windows Azure Media Service ですが、今年ロンドンで行われる夏季オリンピックにおいては、公式 Web サイトにおいて、この Windows Azure Media Service を利用して、オリンピック情報の配信が行われる、とのことです。
このように、Windows Azure Media Service では、個人がライブ配信をお行うようなシナリオから、オリンピックのような大量のトラフィックに耐えうる配信シナリオまで、クラウドならではのスケーラビリティを利用して、ニーズに合わせたメディア配信が可能になっています。
最後は恒例の Tip of the Week!
今回の Tip は、「Windows Azure Blob Storage を使いこなすための8つのベストプラクティス」のエントリから、以下の8つのプラクティスの紹介です。
1. Always define content-type of each element
2. Always define the Cache-Control header for each element
3. Always upload contents to Blob Storage in parallel
4. Choose the right type of Blob
5. Use ‘Get Blob Properties’ or ‘Get Blob Metadata’ whenever you only need that specific information
6. Take snapshots to improve availability and caching
7. Enable the ‘Content Delivery Network’ for better availability
8. Serve static contents directly from Blob Storage
以上、クラウドカバー Episode 81、Windows Azure Media Services 概要の紹介でした。
Enjoy!