Azure VM からのプリンタの使い方 (ja-JP)

Azure 上のサーバーから印刷を実施する方法について下記の通りお伝えいたします。

■ Azure 上のサーバーから印刷を実施する際の構成につきまして

リモート デスクトップ接続にて Azure 上のサーバーへ接続し、当該サーバーで稼働する
アプリケーションより印刷を行う際に考えられる構成としては、下記の 2 パターンがご
ざいます。

  1. リダイレクト プリンターを使用して、クライアント PC にセットアップされている
       プリンターを Azure サーバーから利用する

  2. クライアント PC 上にセットアップされているプリンターを共有設定し、Azure サー
       バーからクライアントへ接続して利用する

  3. につきましては、リモート デスクトップ接続クライアントから接続を行う際に
    [ローカル リソース] タブにてプリンターを使用するよう設定いただくことにより比較的
    容易に実現が可能でございます。

一方、2. はクライアント PC がプリント サーバーとして印刷サービスを提供する形態と
なりますため、Azure サーバーからクライアントへ接続できる経路を検討いただく必要が
ございます。VPN や ExpressRoute を含めて検討いただける場合には選択肢となりうる
場合もあるかと存じますが、インターネットを通じて Azure に接続する場合には通常
実現が難しい構成となりますため、技術的には可能でございますが本件お問い合わせでは

  1. を優先してご紹介させていただきます。

■ プリンター リダイレクトの方式につきまして

プリンター リダイレクトには、"Easy Print" と "従来型" の 2 種類の方式がございます。

Easy Print では、Windows がリモートデスクトップ セッション ホストの機能として
用意している汎用のプリンター ドライバー "Remote Desktop Easy Print" を用いて
リダイレクト プリンターを作成いたします。
役割としてリモートデスクトップ セッション ホストを追加していないサーバー OS で
は、Easy Print をご使用いただくことはできません。

一方、従来型の場合は、プリンター機種固有のドライバーを使用してリダイレクト プリ
ンターを作成いたします。そのため、事前に RDP クライアントと Azure サーバーの両方
に同じプリンター ドライバーの同一バージョンがインストールされている必要がござい
ます。従来型のプリンター リダイレクトには、役割の追加等は必要ございません。

通常、RDP サーバーはさまざまなクライアントからの接続を受け付けるため、必ずしも
クライアントが使用しているプリンター ドライバーを保持しているとは限りません。
このようなシナリオにおいてもあらゆるプリンターをリダイレクトするため、
"Remote Desktop Easy Print" という特殊なプリンター ドライバーが用意されておりま
す。

それぞれの方式を比較すると、下記のような特徴がございます。

● Easy Print
・長所
    - サーバー上での設定が一切不要
・短所
    - 印刷データが一度 XPS 画像に変換されることにより、ドキュメントによっては
      まれにレイアウトのずれ等が発生する場合がある
    - リモートデスクトップ セッション ホストに含まれる機能であるため、役割の追加
      とクライアント アクセス ライセンス (CAL) が必要

● 従来型
・長所
    - ドライバー固有の機能 (透かしや集約印刷、ホチキスやパンチ等) が使用できる
・短所
    - 事前にサーバーへドライバーのインストールが必要

■ リダイレクト プリンター使用時のデータの流れにつきまして

プリンターのリダイレクトを行うか否かにつきましては、[リモート デスクトップ接続]
の [オプションの表示] をクリックし、[ローカル リソース] タブにございます
[ローカル デバイスとリソース] において、”プリンター” のチェック ボックスにより切
り替えることが可能でございます。

プリンター リダイレクトを使用する設定にてリモート デスクトップ接続を確立いただき
ますと、接続元のユーザーがクライアント上で使用可能なプリンターが、RDP サーバー上
にリダイレクト プリンターとして作成されます。

このとき、そのリモートデスクトップ セッション内でクライアントからリダイレクト
されたことを区別できるよう、RDP クライアント上のプリンター名には
”(リダイレクト 1)” のような名称が付加されます。

リダイレクト プリンターでの印刷の際、大まかなデータの流れは下記の順となります。

  1. リダイレクト プリンターを指定してユーザーが印刷を実行する
  2. サーバー上で稼働するアプリケーションにて印刷データが作成される
  3. (Easy Print の場合) RDP サーバー上で印刷データが XPS 画像に変換される
  4. 印刷データまたは XPS 画像が RDP クライアントへ転送される
  5. RDP クライアント上のプリンター ドライバーを使用してプリンターが解釈可能な形式
       へ変換し、プリンターへ送信する

このとき、RDP サーバーや印刷データを作成したアプリケーションから直接プリンターへ
データを送信することはございません。必ず、RDP クライアントを経由してプリンターへ
データが送信されます。

そのため、リダイレクト プリンターを使用しない場合と比較して、複数回のデータ変換
や転送処理が加わりますため、RDP サーバーの性能やネットワークのスループットによっ
て印刷完了までの時間が若干変動することがございますが、異常ではございません。

■ リダイレクト プリンターが Easy Print プリンター ドライバーを使用しているか
   判別する方法につきまして

リダイレクト プリンターが Easy Print プリンター ドライバーを使用しているかを確認
いただく方法について、下記に手順をお伝えいたします。

  1. [デバイスとプリンター] を開きます。

  2. プリンター名末尾に "リダイレクト n" (n は数値) が付加されているアイコンを
       右クリックし、[プロパティ] をクリックします。

  3. 対象のプリンターのプロパティが開きます。"モデル" の欄を確認いただき、
       "Remote Desktop Easy Print" と表示されている場合、Easy Print によってリダイレ
       クトされたプリンターと判断することが可能です。

■ Easy Print が使用可能な状態のサーバーで従来型のプリンター リダイレクトを
   ご使用いただく方法につきまして

Azure 上のサーバーにリモートデスクトップ セッション ホストを追加いただき、
Easy Print を使用可能な状態としていただいた際、既定の設定では、リダイレクトされ
るプリンターに対応するプリンター ドライバーがサーバー上にインストールされている
場合であっても、Easy Print の使用が優先される動作となります。

Easy Print が使��できるサーバー上で意図的に従来型のプリンター リダイレクトをご使
用いただく場合は、下記のグループ ポリシーをサーバーに設定いただく必要がございま
す。

コンピューターの構成

  • ポリシー
     - 管理用テンプレート
      - Windows コンポーネント
       - リモート デスクトップ サービス
        - リモート デスクトップ セッション ホスト
         - プリンターのリダイレクト
          ・ リモート デスクトップ Easy Print プリンター ドライバーを最初に使う

「リモート デスクトップ Easy Print プリンター ドライバーを最初に使う」ポリシー
が "未構成" または "有効" の場合、RDP サーバー上に特定のプリンター用のドライバー
がインストールされている場合であっても、Easy Print プリンター ドライバーを優先的
に使用いたします。

本ポリシーを ”無効” に設定いただくことにより、リダイレクトされるプリンターと一致
するドライバーがインストールされている場合、そのドライバーを使用した従来型のプリ
ンター リダイレクトを実行します。ドライバーが見つからないプリンターに対しては、
引き続き Easy Print プリンター ドライバーを使用いたしますため、本ポリシーを無効
に設定いただいても通常はデメリットとなることはございません。