Azure Active Directory B2C でのユーザー データの管理

この記事では、Microsoft Graph API によって提供される操作を使用して、Azure Active Directory B2C (Azure AD B2C) 内のユーザー データを管理する方法について説明します。 ユーザー データの管理には、監査ログからのデータの削除またはエクスポートがあります。

注意

この記事は、デバイスまたはサービスから個人データを削除する手順について説明しており、GDPR の下で義務を果たすために使用できます。 GDPR に関する一般情報については、Microsoft Trust Center の GDPR に関するセクションおよび Service Trust Portal の GDPR に関するセクションをご覧ください。

ユーザー データを削除する

ユーザー データは、Azure AD B2C ディレクトリおよび監査ログに格納されます。 すべてのユーザー監査データは、Azure AD B2C に 7 日間保持されます。 その 7 日の期間内にユーザー データを削除する場合は、ユーザーの削除操作を使用できます。 データが存在する Azure AD B2C テナントごとに、DELETE 操作を行う必要があります。

Azure AD B2C 内のすべてのユーザーには、オブジェクト ID が割り当てられています。 オブジェクト ID は、Azure AD B2C 内のユーザー データの削除に使用する明確な識別子を提供します。 アーキテクチャによっては、オブジェクト ID は、他のサービス (財務データベース、マーケティング データベース、顧客関係管理データベースなど) との間の便利な相関関係識別子になる可能性があります。

ユーザーのオブジェクト ID を取得する最も確実な方法は、Azure AD B2C での認証過程の一部として入手することです。 他の方法を使ってユーザーからデータの有効な要求を受け取った場合、顧客サービス サポート エージェントによる検索などのオフライン プロセスでは、ユーザーを検索して、関連付けられているオブジェクト ID を記録することが必要な場合があります。

次の例では、可能なデータ削除フローを示します。

  1. ユーザーがサインインし、 [自分のデータを削除] を選びます。
  2. アプリケーションは、アプリケーションの管理セクション内のデータを削除するオプションを提供します。
  3. アプリケーションは、Azure AD B2C に対する認証を強制します。 Azure AD B2C は、ユーザーのオブジェクト ID を含むトークンをアプリケーションに提供します。
  4. アプリケーションによってトークンが受け取られます。Microsoft Graph API への呼び出しを通じてユーザー データを削除するために、オブジェクト ID が使用されます。 Microsoft Graph API によってユーザー データが削除され、状態コード 200 OK が返されます。
  5. 必要に応じて、アプリケーションによってオブジェクト ID または他の識別子が使用され、他の組織システムに含まれているユーザー データの削除が調整されます。
  6. アプリケーションは、データの削除を確認し、ユーザーに次の手順を提供します。

顧客データをエクスポートする

Azure AD B2C から顧客データをエクスポートするプロセスは、削除のプロセスと似ています。

Azure AD B2C のユーザー データは以下に限定されます。

  • Microsoft Entra ID に格納されたデータ: オブジェクト ID または任意のサインイン名 (メール アドレスやユーザー名など) を使用して、Azure AD B2C の認証ユーザー体験でデータを取得できます。
  • ユーザー固有の監査イベント レポート: オブジェクト ID を使用して、データにインデックスを付けることができます。

エクスポート データ フローの次の例において、アプリケーションによって実行されると説明されている手順は、ディレクトリの管理者ロールを持つユーザーまたはバックエンド プロセスが実行することもできます。

  1. ユーザーがアプリケーションにサインインします。 必要な場合は、Microsoft Entra 多要素認証による認証が Azure AD B2C によって強制されます。
  2. ユーザー属性を取得する Microsoft Graph API 操作を呼び出すために、アプリケーションによってユーザーの資格情報が使用されます。 Microsoft Graph API は、JSON 形式で属性データを提供します。 スキーマによっては、ユーザーに関するすべての個人データが含まれるよう、ID トークンの内容を設定できます。
  3. アプリケーションによってユーザーの監査アクティビティが取得されます。 Microsoft Graph API によってイベント データがアプリケーションに提供されます。
  4. アプリケーションによってデータが集計され、ユーザーがそのデータを使用できるようになります。

次のステップ

ユーザーによるアプリケーションへのアクセスを管理する方法については、ユーザー アクセスの管理に関するページを参照してください。