メインフレーム移行の概要

メインフレームのワークロード、アプリケーション、データベースの全部または一部をクラウドに移行することで多くの会社や組織が効果を上げています。 Azure はメインフレームのような機能をクラウド機能で提供しますが、メインフレームに付き物の多くの欠点がありません。

"メインフレーム" という言葉は一般的に大型のコンピューター システムを意味しますが、近年配備されているメインフレームの大半は IBM System z サーバーか、MVS、DOS、VSE、OS/390、z/OS を実行している IBM プラグ互換システムです。 メインフレーム システムは、重要な情報システムを実行する目的で、今後もさまざまな産業で利用されます。大量の処理が集中する IT 環境など、特定のシナリオで役目が与えられています。

クラウドに移行することで企業はそのインフラストラクチャを最新式にすることができます。 クラウド サービスを利用すれば、メインフレームのアプリケーションとそれが与える価値を、組織がそれを必要とするときに、ワークロードとして利用できます。 ワークロードの多くは、データベースの名前を更新するなど、コードを少し変更するだけで Azure に転送できます。 段階的な手法を利用すれば、もっと複雑なワークロードを移行できます。

Fortune 500 企業のほとんどが既に、重要なワークロードのために Azure を稼働させています。 Azure は最終結果に基づくインセンティブが大きく、それが多くの移行プロジェクトの動機となっています。 企業は通常、開発とテストのワークロードを最初に Azure に移行し、続いて DevOps、電子メール、およびディザスター リカバリーを移行します。

対象ユーザー

IT 環境のオプションとして移行またはクラウド サービスの追加を検討している場合、このガイドをお読みください。

このガイドがは、IT 組織が移行について検討を始めるときに役に立ちます。 メインフレームよりも Azure やクラウドベースのインフラストラクチャに詳しい方もいるので、このガイドではまず、メインフレームのしくみについて説明し、それからどのような移行をどのように行うかを決めるためのさまざまな方針を提示します。

メインフレームのアーキテクチャ

メインフレームは 1950 代の後半に、大量のオンライン トランザクションと一括処理を実行するための大規模サーバーとして設計されました。 そのため、メインフレームにはオンライン トランザクション フォーム (グリーン スクリーンとも呼ばれています) 用のソフトウェアや一括実行を処理するための高性能 I/O システムが備わっています。

メインフレームは信頼性と可用性に優れ、大量のオンライン トランザクションと一括ジョブを処理できることでも知られています。 トランザクションとは、1 つの要求によって開始された処理から発生します。その要求は通常、端末のユーザーによって行われます。 トランザクションは、Web ページ、リモート ワークステーション、他の情報システムのアプリケーションなど、他の複数のソースから発生することもあります。 次の図のように、トランザクションは事前に定義した時刻に自動トリガーすることもできます。

一般的な IBM メインフレーム アーキテクチャのコンポーネント

一般的な IBM メインフレーム アーキテクチャには次のような共通コンポーネントがあります。

  • フロントエンド システム: ユーザーは端末、Web ページ、リモート ワークステーションからトランザクションを開始できます。 メインフレームのアプリケーションには、多くの場合、カスタムのユーザー インターフェイスがありますが、これは Azure への移行後も残すことができます。 (グリーン スクリーン端末とも呼ばれる) 端末のエミュレーターは、メインフレームのアプリケーションにアクセスするために引き続き利用されています。

  • アプリケーション層: メインフレームには一般的に、CICS (Customer Information Control System/顧客情報管理システム) と、IBM Information Management System (IMS)、メッセージベースのトランザクション マネージャーとよく併用される IBM z/OS メインフレーム用の主要なトランザクション管理スイートが含まれます。 バッチ システムでは、大量のアカウント レコードに対して高スループットのデータ更新が処理されます。

  • コード: メインフレームで使用されるプログラミング言語には、COBOL、Fortran、PL/I、Natural があります。 ジョブ制御言語 (JCL) は z/OS と併用されます。

  • データベース層: z/OS で一般的なリレーショナル データベース管理システム (DBMS) は IBM DB2 です。 これにより dbspaces と呼ばれているデータ構造が管理されますが、この構造には 1 つまたは複数のテーブルが含まれ、dbextents と呼ばれている物理データ セットのストレージ プールに割り当てられます。 データベースには重要な構成要素が 2 つあり、それはストレージ プールでデータの場所を特定するディレクトリと、データベース上で実行された操作が記録されるログです。 さまざまなフラットファイル データ形式がサポートされています。 z/OS 向け DB2 では通常、データの保管に Virtual Storage Access Method (VSAM) データセットが使用されます。

  • 管理層: IBM メインフレームには、TWS-OPC など、スケジュール作成ソフトウェア、CA-SAR や SPOOL など、印刷と出力管理のためのツール、コードのソース管理システムが含まれます。 z/OS のセキュリティで保護されたアクセス制御は RACF (Resource Access Control Facility) によって処理されます。 データベース マネージャーからはデータベース内のデータにアクセスできます。また、データベース マネージャーは z/OS 環境内の専用パーティションで実行されます。

  • LPAR: 論理パーティションまたは LPAR は、計算リソースを分割する目的で使用されます。 物理メインフレームは複数の LPAR にパーティション分割されます。

  • z/OS: IBM メインフレームに最もよく使用されている 64 ビットのオペレーティング システムです。

IBM システムでは、CICS などのトランザクション モニターを使用し、ビジネス トランザクションのあらゆる面を追跡記録し、管理します。 CICS では、リソースの共有、データの整合性、実行の優先順位が管理されます。 CICS によってユーザーが認証され、リソースが割り当てられ、アプリケーションからのデータベース要求が IBM DB2 などのデータベース マネージャーに渡されます。

もっと精密な調整が必要であれば、一般的に CICS と IMS/TM (以前の IMS/Data Communications (IMS/DC)) が併用されます。 IMS は、データの 1 つのコピーを維持することでデータの重複を減らすように設計されています。 プロセス全体で状態を維持し、データ ストアにビジネス機能を記録することでトランザクション モニターとして CICS を補完します。

メインフレームの操作

メインフレームの一般的な操作:

  • オンライン: ワークロードには、トランザクション処理、データベース管理、接続があります。 それらは多くの場合、IBM DB2、CICS、z/OS コネクタで実装されます。

  • バッチ: ジョブはユーザーの介入なしで実行されます。通常、平日の毎朝などの、定期的なスケジュールで行われます。 バッチ ジョブは、Micro Focus Server Enterprise Edition や BMC Control-M ソフトウェアなど、JCL エミュレーターを利用し、Windows または Linux ベースのシステム上で実行できます。

  • ジョブ制御言語 (JCL): バッチ ジョブの処理に必要なリソースを指定します。 JCL は一連のジョブ制御ステートメントを介してこの情報を z/OS に伝えます。 基本の JCL には、JOBASSGNDLBLEXTENTLIBDEFEXEC の 6 種類のステートメントがあります。 1 つのジョブには複数の EXEC ステートメント (手順) を含めることができます。各手順には、複数の LIBDEFASSGNDLBLEXTENT ステートメントを与えることができます。

  • 初期プログラム ロード (IPL): ディスクからプロセッサの実ストレージにオペレーティング システムのコピーを読み込み、実行することを指します。 IPL はダウンタイムからの復帰に利用されます。 IPL は、Windows や Linux の VM でのオペレーティング システムの起動に似ています。

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