ペアのないリージョンのためのリージョン間レプリケーション ソリューション

一部の Azure サービスでは、事業継続を確実にするとともにデータ損失を防ぐために、リージョン間レプリケーションがサポートされています。 これらのサービスでは、"リージョン間レプリケーション" を使用する別のセカンダリ リージョンが利用されます。 プライマリ リージョンとセカンダリ リージョンの両方が一緒になってリージョン ペアを形成します。

ただし、ペアのないリージョンもあり、そのリージョンで geo レプリケーションを実現するには代替方法が必要です。

このドキュメントでは、ペアのリージョンを必要とせずに geo レプリケーション方法をサポートするサービスのうち主なもののリストを示すとともに、考えられるソリューションを紹介します。

Azure App Service

App Service のカスタム バックアップは、選択されたストレージ アカウントに格納されます。 そのため、リージョン間復元に関しては GRS と、ペアになったリージョンへの依存があります。 バックアップの種類が自動の場合は、リージョンをまたがるバックアップ/復元はできません。 回避策としては、保存済みデータ セットのためのカスタム ファイル コピー メカニズムを実装して、ペアではないリージョン間で、および異なるストレージ アカウント間で手動でコピーするという方法があります。

Azure Backup

ペアのないリージョンでの geo レプリケーションを実現するには:

  • Azure Site Recovery を使用してください。  Azure Site Recovery は Azure のディザスター リカバリー サービスであり、ワークロードをプライマリの場所からセカンダリの場所にレプリケートするという方法で事業継続とディザスター リカバリーを実現します。 セカンダリの場所は、Azure Site Recovery でサポートされていればペアのないリージョンでもかまいません。 Azure Site Recovery でのデータ保持は最大 15 日間です。
  • ゾーン冗長ストレージを使用してデータを可用性ゾーン内でレプリケートします。これで、同じリージョン内でのデータ所在地と回復性が保証されます。

Azure Database for MySQL

Azure Database for MySQL を利用できる任意の Azure リージョンを選択して読み取りレプリカをスピンアップします。

Azure Database for PostgreSQL

Azure Database for PostgreSQL を使用する、ペアのないリージョンで geo レプリケーションを行うには、次の方法を使用できます。

geo レプリケーションが可能なマネージド サービス: Azure PostgreSQL マネージド サービスではアクティブ geo レプリケーションがサポートされているため、プライマリ サーバーの継続的読み取り可能セカンダリ レプリカを作成できます。 この読み取り可能セカンダリの場所は、プライマリと同じ Azure リージョンにすることも別のリージョンにすることもでき、一般的には後者です。 この種の読み取り可能セカンダリ レプリカは "geo レプリカ" と呼ばれることもあります。

また、次に示す 2 つの、お客様が管理するデータ移行方法のいずれかを利用して、ペアではないリージョンにデータをレプリケートすることもできます。

Azure Data Factory

ペアのないリージョンでの geo レプリケーションに関して、Azure Data Factory (ADF) では ADF パイプラインの "コードとしてのインフラストラクチャ" プロビジョニングと ADF のソース管理の組み合わせがサポートされています。

Azure Event Grid

ペアのないリージョンでの Event Grid トピックの geo レプリケーションを行うには、クライアント側フェールオーバーを実装するという方法があります。

Azure IoT Hub

ペアのないリージョンで geo レプリケーションを行うには、セカンダリ IoT Hub にルーティングするためのコンシェルジェ パターンを使用します。

Azure Key Vault

ペアになっていない Azure リージョンとブラジル南部および米国西部 3 リージョンの場合、Azure Key Vault はゾーン冗長ストレージ (ZRS) を使用することで、リージョン内の独立した可用性ゾーン間でご利用のデータを 3 回レプリケートします。 Azure Key Vault Premium では、3 つのゾーンのうち 2 つを使って、ハードウェア セキュリティ モジュール (HSM) のキーがレプリケートされます。

また、バックアップと復元機能を使って、コンテナーの内容を任意の別のリージョンにレプリケートすることもできます。

Azure Kubernetes Service (AKS)

Azure Backup を利用すると AKS クラスターの保護が可能であり、これにはリージョン間復元 (CRR) 機能も含まれています。これは現在プレビュー段階であり、サポートされるのは Azure ディスクのみです。 この CRR 機能は GRS ペア リージョン レプリカに依存していますが、CRR への依存は回避可能です。ただし、AKS クラスターのデータが外部ストレージにのみ格納されていることと、"クラスター内" ソリューションの使用を回避することが条件となります。

Azure Monitor ログ

Azure Monitor ログの Log Analytics ワークスペースでは、ペアになっているリージョンは使用されません。 事業継続を確実にするとともにデータ損失を防ぐには、リージョン間ワークスペース レプリケーションを有効にしてください。

詳細については、「リージョン間で Log Analytics ワークスペースをレプリケートして回復性を強化する」を参照してください。

Azure SQL データベース

Azure SQL Database を使用する、ペアのないリージョンで geo レプリケーションを行うには、次の方法を使用できます。

  • フェールオーバー グループ機能。基になるストレージ GRS への依存は一切なく、任意の組み合わせの Azure リージョン間でレプリケートを行います。

  • アクティブ geo レプリケーション機能。プライマリ データベースに対して、継続的に同期される読み取り可能セカンダリ データベースを作成します。 この読み取り可能セカンダリ データベースの場所は、プライマリと同じ Azure リージョンにすることも別のリージョンにすることもでき、一般的には後者です。 この種の読み取り可能セカンダリ データベースは、"geo セカンダリ" または "geo レプリカ" と呼ばれることもあります。

Azure SQL Managed Instance

Azure SQL Managed Instance を使用する、ペアのないリージョンでの geo レプリケーションを行うには、次の方法を使用できます。

Azure Storage

ペアのないリージョンでの geo レプリケーションを実現するには:

  • Azure Object Storage の場合:

    Note

    オブジェクト レプリケーションは、Azure Data Lake Storage に対してはサポートされていません。

  • Azure NetApp Files (ANF) の場合は、Azure リージョン ペアの他に非標準ペアのセットにレプリケートできます。 Azure NetApp Files (ANF) リージョン間レプリケーションに関するページを参照してください。

  • Azure Files の場合:

    重要

    すべてのデータが確実にローカルに存在する状態にするために、"クラウドを使った階層化" を無効にする必要があります。また、データセット全体を保持するために十分なストレージを Azure 仮想マシン上でプロビジョニングする必要があります。 変更が速やかにセカンダリ リージョンにレプリケートされるようにするには、ファイルのアクセスと変更が Azure の中ではなくサーバー エンドポイントでのみ行われるようにしてください。

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