Azure で Micro Focus Enterprise Developer 4.0 用の Micro Focus CICS BankDemo を設定する

Micro Focus Enterprise Server 4.0 と Enterprise Developer 4.0 を Azure 上で設定する際には、IBM z/OS ワークロードのデプロイをテストできます。 この記事では、CICS BankDemo (Enterprise Developer に付属しているサンプル アプリケーション) の設定方法について説明します。

CICS とは、Customer Information Control System (顧客情報管理システム) の略です。これは、多くのオンライン メインフレーム アプリケーションで使用されているトランザクション プラットフォームです。 BankDemo アプリケーションは、Enterprise Server と Enterprise Developer の動作を学習したり、グリーンスクリーン端末を備えた実際のアプリケーションの管理方法やデプロイ方法を学習するのに最適です。

注意

近日対応予定:Azure VM での Micro Focus Enterprise Server 5.0 のセットアップの手順。

前提条件

  • Enterprise Developer がインストールされたVM。 Enterprise Developer には、開発やテスト目的に使用できる、Enterprise Server の完全なインスタンスが含まれています。 このインスタンスは、デモで使用される Enterprise Server のインスタンスです。

  • SQL Server 2017 Express エディション。 ダウンロードして、Enterprise Developer VM にインストールします。 Enterprise Server では、CICS リージョンの管理用データベースが必要になります。また BankDemo アプリケーションでも、BANKDEMO という SQL Server データベースが使用されます。 このデモでは、両方のデータベースに SQL Server Express を使用していることを前提とします。 インストールの際には、基本インストールを選択してください。

  • SQL Server Management Studio (SSMS)。 SSMS は、データベースの管理と T-SQL スクリプトの実行に使用されます。 ダウンロードして、Enterprise Developer VM にインストールします。

  • 最新のサービス パックが適用された Visual Studio 2019 か、Visual Studio Community (無料でダウンロードできます)。

  • Rumba Desktop または別の 3270 のエミュレーター。

Windows 環境を構成する

Enterprise Developer 4.0 を VM にインストールしたら、それに付属する Enterprise Server のインスタンスを構成する必要があります。 これを行うには、次の手順で、いくつかの追加の Windows 機能をインストールする必要があります。

  1. RDP を使用して、作成した Enterprise Server 4.0 の VM にログオンします。

  2. [スタート] ボタンの横にある [検索] アイコンをクリックし、「Windows 機能」と入力します。 サーバー マネージャーの役割と機能の追加ウィザードが開きます。

  3. [Web サーバー (IIS) の役割] を選択し、次のオプションをオンにします。

    • Web 管理ツール
    • IIS 6 管理互換 (使用可能な機能をすべて選択します)
    • IIS 管理コンソール
    • IIS 管理スクリプトおよびツール
    • IIS 管理サービス
  4. [World Wide Web サービス] を選択し、次のオプションをオンにします。

    アプリケーション開発機能:

    • .NET 拡張機能
    • ASP.NET
    • HTTP 共通機能:使用可能な機能をすべて追加します
    • 状態と診断:使用可能な機能をすべて追加します
    • セキュリティ:
      • 基本認証
      • Windows 認証
  5. [Windows プロセス アクティブ化サービス] とその子項目をすべて選択します。

  6. [機能] で、 [Microsoft .NET framework 3.5.1] をオンにし、次のオプションをオンにします。

    • Windows Communication Foundation HTTP Activation
    • Windows Communication Foundation Non-HTTP Activation
  7. [機能] で、 [Microsoft .NET framework 4.6] をオンにし、次のオプションをオンにします。

    • 名前付きパイプのアクティブ化

    • TCP のアクティブ化

    • TCP ポート共有

      役割と機能の追加ウィザード:役割サービス

  8. すべてのオプションを選択したら、 [次へ] をクリックしてインストールします。

  9. Windows 機能がインストールされたら、 [コントロール パネル] > [システムとセキュリティ] > [管理ツール] に移動し、 [サービス] を選択します。 下にスクロールし、次のサービスが実行されていることと、それらが [自動] に設定されていることを確認します。

    • NetTcpPortSharing
    • Net.Pipe リスナー アダプター
    • Net.tcp リスナー アダプター
  10. IIS と WAS のサポートを構成するには、メニューから [Micro Focus Enterprise Developer Command Prompt (64 bit)] を探し、 [管理者] として実行します。

  11. wassetup –i」と入力し、Enter キーを押します。

  12. スクリプトが実行されたら、ウィンドウを閉じることができます。

SQL Server 用のローカル システム アカウントを構成する

一部の Enterprise Server プロセスでは、SQL Server にサインインし、データベースやその他のオブジェクトを作成する必要があります。 これらのプロセスではローカル システム アカウントが使用されるため、そのアカウントに sysadmin 権限を付与する必要があります。

  1. SSMS を起動し、 [接続] をクリックして、ローカルの SQLEXPRESS サーバーに Windows 認証を使って接続します。 これは [サーバー名] の一覧から選択できます。

  2. 左側で、 [セキュリティ] フォルダーを展開し、 [ログイン] を選択します。

  3. [NT AUTHORITY\SYSTEM] を選択し、[プロパティ] を選択します。

  4. [サーバー ロール] を選択し、 [sysadmin] をオンにします。

    SSMS の [オブジェクト エクスプローラー] ウィンドウ:ログインのプロパティ

BankDemo データベースとそのすべてのオブジェクトを作成する

  1. エクスプローラーを開き、C:\Users\Public\Documents\Micro Focus\Enterprise Developer\Samples\Mainframe\CICS\DotNet\BankDemo\SQL に移動します。

  2. BankDemoCreateAll.SQL ファイルの内容をクリップボードにコピーします。

  3. SSMS を開きます。 右側で、 [サーバー] をクリックし、 [新しいクエリ] を選択します。

  4. クリップボードの内容を [新しいクエリ] ボックス内に貼り付けます。

  5. クエリの上の [コマンド] タブから [実行] をクリックして SQL を実行します。

クエリはエラーなく実行されます。 クエリが完了すると、BankDemo アプリケーション用のサンプル データベースが作成されます。

SQLQuery1.sql の出力

データベース テーブルとオブジェクトが作成されたことを確認する

  1. BANKDEMO データベースを右クリックし、 [更新] を選択します。

  2. [データベース] を展開し、 [テーブル] を選択します。 画面表示は次のようになります。

    オブジェクト エクスプローラーで展開された BANKDEMO テーブル

Enterprise Developer でアプリケーションをビルドする

  1. Visual Studio を開いて、サインインします。

  2. [ファイル] メニュー オプションで、[プロジェクト/ソリューションを開く] を選択し、C:\Users\Public\Documents\Micro Focus\Enterprise Developer\Samples\Mainframe\CICS\DotNet\BankDemo に移動して、sln ファイルを選択します。

  3. 少し時間をかけてオブジェクトを確認します。 ソリューション エクスプローラーには、CBL 拡張子が付いた COBOL プログラムのほか、CopyBook (CPY) や JCL が表示されます。

  4. BankDemo2 プロジェクトを右クリックし、 [スタートアップ プロジェクトに設定] を選択します。

    注意

    BankDemo プロジェクトでは、このデモでは使用されない HCOSS (Host Compatibility Option for SQL Server) が使用されます。

  5. ソリューション エクスプローラーで、BankDemo2 プロジェクトを右クリックし、 [ビルド] を選択します。

    注意

    ソリューション レベルでビルドするとエラーが発生します (HCOSS が構成されていないため)。

  6. プロジェクトがビルドされたら、 [出力] ウィンドウで結果を確認します。 出力は下の図のようになります。

    ビルドの成功を示す出力ウィンドウ

BankDemo アプリケーションをリージョン データベースにデプロイする

  1. Enterprise Developer のコマンド プロンプト (64 ビット) を管理者として開きます。

  2. %PUBLIC%\Documents\Micro Focus\Enterprise Developer\samples\Mainframe\CICS\DotNet\BankDemo に移動します。

  3. コマンド プロンプトで、bankdemodbdeploy を実行し、デプロイ先となるデータベースのパラメーターを指定します。次に例を示します。

    bankdemodbdeploy (local)/sqlexpress
    

注意

バックスラッシュ (\) ではなく、フォワード スラッシュ (/) を使用してください。 このスクリプトの実行には少し時間がかかります。

[Administration:Enterprise Developer Command Prompt]\(管理: Enterprise Developer コマンド プロンプト\) ウィンドウ

Enterprise Administrator for .NET で BankDemo リージョンを作成する

  1. [Enterprise Server for .NET Administration](Enterprise Server for .NET の管理) UI を開きます。

  2. MMC スナップインを起動するには、Windows の [スタート] メニューから [Micro Focus Enterprise Developer] > [構成] > [Enterprise Server for .NET Admin](Enterprise Server for .NET の管理) を選択します(Windows Server の場合は、 [Micro Focus Enterprise Developer] > [Enterprise Server for .NET Admin](Enterprise Server for .NET の管理) を選択します)。

  3. 左側のウィンドウで [Regions](リージョン) コンテナーを展開し、 [CICS] を右クリックします。

  4. [Define Region](リージョンの定義) を選択して、(ローカルの) データベースでホストされる、BANKDEMO という新しい CICS リージョンを作成します。

  5. データベース サーバー インスタンスを指定し、 [Next](次へ) をクリックした後、リージョン名として「BANKDEMO」と入力します。

    [Define Region]\(リージョンの定義\) ダイアログ ボックス

  6. リージョンをまたいだデータベース用のリージョン定義ファイルを選択するには、C:\Users\Public\Documents\Micro Focus\Enterprise Developer\Samples\Mainframe\CICS\DotNet\BankDemoregion_bankdemo_db.config を探します。

    Define Region - Region name:BANKDEMO

  7. [完了] をクリックします。

XA リソース定義を作成する

  1. [Enterprise Server for .NET Administration](Enterprise Server for .NET の管理) UI の左側のウィンドウで、 [System](システム) を展開し、 [XA Resource Definitions](XA リソース定義) を展開します。 この設定では、リージョンが Enterprise Server やアプリケーション データベースとどのように連携するかを定義します。

  2. [XA Resource Definitions](XA リソース定義) を右クリックし、 [Add Server Instance](サーバー インスタンスの追加) を選択します。

  3. ドロップダウン ボックスで、 [Database Service Instance](データベース サービス インスタンス) を選択します。 これはローカル コンピューター SQLEXPRESS になります。

  4. [XA Resource Definitions (machinename\sqlexpress)](XA リソース定義 (machinename\sqlexpress)) コンテナーの下からインスタンスを選択し、[追加] をクリックします。

  5. [Database XA Resource Definition](データベース XA リソース定義) を選択し、 [Name](名前)[Region](リージョン) に「BANKDEMO」と入力します。

    [New Database XA Resource Definition]\(新しいデータベース XA リソース定義\) 画面

  6. 省略記号 ( ) をクリックして、Connection String (接続文字列) ウィザードを起動します。 [Server Name](サーバー名) には、「(local)\SQLEXPRESS」と入力します。 [Logon](ログオン) では、 [Windows Authentication](Windows 認証) を選択します。 データベース名については、「BANKDEMO」と入力します

    [Edit Connection String]\(接続文字列の編集\) 画面

  7. 接続をテストします。

BANKDEMO リージョンを起動する

注意

最初の手順は重要です。このリージョンでは、先ほど作成した XA リソース定義を使用するように設定する必要があります。

  1. [Regions Container](リージョン コンテナー) の下の [BANKDEMO CICS Region](BANKDEMO CICS リージョン) に移動し、 [Actions](アクション) ウィンドウから [Edit Region Startup File](リージョン スタートアップ ファイルの編集) を選択します。 SQL プロパティまで下へスクロールし、XA リソース名として「bankdemo」と入力するか、省略記号を使用して選択します。

  2. [Save](保存) をクリックして変更を保存します。

  3. [Console](コンソール) ウィンドウで [BANKDEMO CICS Region](BANKDEMO CICS リージョン) を右クリックし、 [Start/Stop Region](リージョンの起動/停止) を選択します。

  4. 中央のウィンドウに表示された [Start/Stop Region](リージョンの起動/停止) ボックスの下部で、 [Start](起動) を選択します。 数秒後、リージョンが起動します。

    [SQL Start/Stop]\(SQLの起動/停止\) ボックス

    [CICS Region BANKDEMO - Started]\(CICS リージョン BANKDEMO - 起動済み\) 画面

リスナーを作成する

BankDemo アプリケーションにアクセスする TN3270 セッション用のリスナーを作成します。

  1. 左側のウィンドウで、 [Configuration Editors](構成エディター) を展開し、 [Listener](リスナー) を選択します。

  2. [Open File](ファイルを開く) アイコンをクリックし、seelistener.exe.config ファイルを選択します。 このファイルは編集され、Enterprise Server が起動するたびに読み込まれます。

  3. 以前に定義された 2 つのリージョン (ESDEMO と JCLDEMO) があることを確認します。

  4. BANKDEMO 用の新しいリージョンを作成するには、 [Regions](リージョン) を右クリックし、 [Add Region](リージョンの追加) を選択します。

  5. [BANKDEMO Region](BANKDEMO リージョン) を選択します。

  6. [BANKDEMO Region](BANKDEMO リージョン) を右クリックし、 [Add Channel](チャンネルの追加) を選択して TN3270 チャネルを追加します。

  7. [Name]\(名前) に、「TN3270」と入力します。 [Port]\(ポート) には、「9024」と入力します ESDEMO アプリケーションでポート 9230 が使用されるので、別のポートを使用する必要があります。

  8. ファイルを保存するには、[Save](保存) アイコンをクリックするか、[File](ファイル)>[Save](保存) を選択します。

  9. リスナーを起動するには、[Start Listener](リスナーの起動) アイコンをクリックするか、[Options](オプション)>[Start Listener](リスナーの起動) を選択します。

    [Listener Configuration Editor]\(リスナー構成エディター\) ウィンドウ

BankDemo アプリケーションにアクセスするように Rumba を構成する

最後に、Rumba (3270 エミュレーター) を使用して 3270 セッションを構成する必要があります。 この手順により、作成したリスナーを通じて BankDemo アプリケーションにアクセスできるようになります。

  1. Windows の [スタート] メニューから、Rumba Desktop を起動します。

  2. [Connections](接続) メニュー項目で、 [TN3270] を選択します。

  3. [Insert](挿入) をクリックし、IP アドレスを「127.0.0.1」、ユーザー定義ポートを「9024」と入力します。

  4. ダイアログ ボックスの下部で、 [Connect](作成) をクリックします。 黒い CICS 画面が表示されます。

  5. bank」と入力して BankDemo アプリケーションの初期画面である 3270 画面を表示します。

  6. ユーザー ID は「B0001」と入力し、パスワードは任意の文字列を入力します。 初期画面の BANK20 が表示されます。

Mainframe Display のようこそ画面Mainframe Display - Rumba - サブシステム デモ画面

お疲れさまでした。 これで、Micro Focus Enterprise Server を使用して CICS アプリケーションを Azure で実行できました。

次のステップ