ARM64 組み込み

Microsoft C++ コンパイラ (MSVC) では、ARM64 アーキテクチャで以下の組み込みを利用できるようになっています。 ARM の詳細については、ARM 開発者ドキュメントの Web サイトで、アーキテクチャとソフトウェア開発ツールに関するセクションを参照してください。

NEON

ARM64 の NEON ベクター命令セット拡張は、Single Instruction Multiple Data (SIMD) 機能を提供します。 これらは、x86 および x64 アーキテクチャのプロセッサに共通する MMX や SSE ベクター命令セットの機能に似ています。

ヘッダー ファイル arm64_neon.h に記載されているように、NEON 組み込みはサポートされています。 MSVC による NEON の組み込みのサポートは、ARM64 コンパイラのそれと似ています。この点については、ARM Infocenter Web サイトの ARM NEON 組み込みリファレンスに記載されています。

ARM64 固有の組み込みの一覧

ヘッダー ファイル intrin.hで提供されているように、ARM64 固有の組み込みがサポートされています。

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メモリ バリアの制限

組み込み関数 __dmb (データ メモリ バリア)、__dsb (データ同期バリア)、および __isb (命令同期バリア) では、定義済みの次の値を使用して、操作の影響を受ける共有ドメインおよびアクセスの種類の観点からメモリ バリアの制限を指定します。

組み込みが __isb の場合、現在有効な制限は _ARM64_BARRIER_SY のみです。その他のすべての値は、アーキテクチャによって予約されています。

__iso_volatile_load/store 組み込み

これらの組み込み関数では、コンパイラによる最適化の対象にならないロードとストアが明示的に実行されます。

__int16 __iso_volatile_load16(const volatile __int16 * Location);
__int32 __iso_volatile_load32(const volatile __int32 * Location);
__int64 __iso_volatile_load64(const volatile __int64 * Location);
__int8 __iso_volatile_load8(const volatile __int8 * Location);

void __iso_volatile_store16(volatile __int16 * Location, __int16 Value);
void __iso_volatile_store32(volatile __int32 * Location, __int32 Value);
void __iso_volatile_store64(volatile __int64 * Location, __int64 Value);
void __iso_volatile_store8(volatile __int8 * Location, __int8 Value);

パラメーター

場所
読み取る、または書き込むメモリ位置のアドレスです。

Value
指定されたメモリ位置に書き込む値です (store 組み込みのみ)。

戻り値 (load 組み込みのみ)

Location で指定されたメモリ位置の値。

解説

組み込みの __iso_volatile_load8/16/32/64 および __iso_volatile_store8/16/32/64 を使用すると、コンパイラによる最適化の対象にはならないメモリ アクセスを明示的に実行することができます。 コンパイラはこれらの操作の相対順序を削除、合成、変更できません。 ただし、暗黙的なハードウェアメモリバリアは生成されません。 したがって、ハードウェアでも複数のスレッド間で観察可能なメモリ アクセスの順序が変更される場合があります。 具体的には、これらの組み込みは、/volatile:iso でコンパイルされる次の式と同等です。

int a = __iso_volatile_load32(p);    // equivalent to: int a = *(const volatile __int32*)p;
__iso_volatile_store32(p, a);        // equivalent to: *(volatile __int32*)p = a;

組み込みは、volatile 変数を格納する volatile ポインターを受け取ることに注意してください。 ただし、volatile ポインターを引数として使用するための要件や推奨事項はありません。 これらの操作のセマンティクスは、volatile ではない通常の型を使用する場合とまったく同じです。

/volatile:iso コマンドライン引数の詳細については、「/volatile (volatile キーワードの解釈)」を参照してください。

他のアーキテクチャの組み込みの ARM64 サポート

次の表は、ARM64 プラットフォームでサポートされている他のアーキテクチャの組み込みを示しています。 ARM64 の組み込みの動作が他のハードウェア アーキテクチャの動作と異なる場合は、さらに詳細な情報がメモに記載されています。

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インタロックされた組み込み

インタロックされた組み込みは、アトミックな読み取り/変更/書き込み操作を実行するときに使用する一連の組み込みです。 一部の組み込みは、すべてのプラットフォームに共通です。 これらは数が多いため、ここではその 1 つ 1 つをリストに示しています。 その定義のほとんどは重複しているため、概要で考える方が簡単です。 組み込みの名前から、その具体的な動作を推測できます。

次の表は、bittest 以外のインタロック組み込みについて、ARM64 サポートの概要を示しています。 テーブル内の各セルで、行の一番左のセルにある操作名と、列の一番上にある型名を _Interlocked の最後に付け加えると、組み込みの名前になります。 たとえば、Xor 行と 8 列の交点のセルは _InterlockedXor8 に対応し、これは完全にサポートされています。 サポートされているほとんどの関数には、オプションのサフィックス _acq、_rel、および _nf が用意されています。 _acq サフィックスは "取得" のセマンティクスを示し、_rel サフィックスは "解放" のセマンティクスを示します。 _nf ("フェンスなし") サフィックスは ARM と ARM64 で一意であり、次のセクションで説明します。

キー:

• 完全: サフィックスなし、_acq、_rel、および _nf の各形式をサポートします。

• なし: サポートされません。

_nf (フェンスなし) サフィックス

_nf ("フェンスなし") サフィックスは、その操作に、どのような種類のメモリ バリアとしての機能もないことを示します。これは、すべてがなんらかのバリアとして機能する他の 3 つの形式 (サフィックスなし、_acq、および _rel) とは対照的です。 考えられる _nf 形式の用途の 1 つに、複数のスレッドから同時に更新されるものの、そのスレッドの実行中には値が利用されない統計カウンターの保持があります。

インタロック組み込みのリスト

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_interlockedbittest の組み込み

サフィックスなしの bit test インターロック組み込みは、すべてのプラットフォームに共通です。 ARM64 では _acq、_rel、および _nf の各バリアントが追加されますが、これらのバリアントにより変更されるのは、バリアに関する操作のセマンティクスのみです (このドキュメントの「_nf (フェンスなし) サフィックス」を参照)。

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関連項目

コンパイラの組み込み
ARM 組み込み
ARM アセンブラー リファレンス
C++ 言語リファレンス