既定のメッセージ コントラクト
既定のメッセージ コントラクトのサンプルでは、ユーザー定義のカスタム メッセージをサービス操作に渡したり、サービス操作から渡されたりするサービスを示します。 このサンプルは、電卓インターフェイスを型指定のあるサービスとして実装する「入門サンプル」に基づいています。 このサンプルでは、「入門サンプル」で使用される加算、減算、乗算、および除算の個別のサービス操作ではなく、オペランドと演算子の両方を含むカスタム メッセージを渡し、その算術計算の結果を返します。
クライアントはコンソール プログラム (.exe) であり、サービス ライブラリはインターネット インフォメーション サービス (IIS) によってホストされます。 クライアント アクティビティは、コンソール ウィンドウに表示されます。
Note
このサンプルのセットアップ手順とビルド手順については、このトピックの最後を参照してください。
このサービスでは、型 MyMessage
のカスタム メッセージを受け入れて返す、1 つのサービス操作が定義されます。 このサンプルでは要求および応答のメッセージの型は同じですが、もちろん、メッセージ コントラクトは必要に応じて変えることができます。
[ServiceContract(Namespace="http://Microsoft.ServiceModel.Samples")]
public interface ICalculator
{
[OperationContract(Action="http://test/MyMessage_action",
ReplyAction="http://test/MyMessage_action")]
MyMessage Calculate(MyMessage request);
}
カスタム メッセージ MyMessage
は、MessageContractAttribute、MessageHeaderAttribute、および MessageBodyMemberAttribute 属性で注釈が付いたクラスで定義されます。 このサンプルで使用するのは 3 番目のコンストラクタだけです。 メッセージ コントラクトを使用すると、SOAP メッセージを完全に制御できます。 このサンプルでは、MessageHeaderAttribute 属性を使用して SOAP ヘッダーに Operation
を格納します。 オペランド N1
、N2
、および Result
は SOAP 本文内に示されます。これらのオペランドには MessageBodyMemberAttribute 属性が適用されているためです。
[MessageContract]
public class MyMessage
{
private string operation;
private double n1;
private double n2;
private double result;
//Constructor - create an empty message.
public MyMessage() {}
//Constructor - create a message and populate its members.
public MyMessage(double n1, double n2, string operation,
double result)
{
this.n1 = n1;
this.n2 = n2;
this.operation = operation;
this.result = result;
}
//Constructor - create a message from another message.
public MyMessage(MyMessage message)
{
this.n1 = message.n1;
this.n2 = message.n2;
this.operation = message.operation;
this.result = message.result;
}
[MessageHeader]
public string Operation
{
get { return operation; }
set { operation = value; }
}
[MessageBodyMember]
public double N1
{
get { return n1; }
set { n1 = value; }
}
[MessageBodyMember]
public double N2
{
get { return n2; }
set { n2 = value; }
}
[MessageBodyMember]
public double Result
{
get { return result; }
set { result = value; }
}
}
実装クラスには、Calculate
サービス処理用のコードが含まれています。 CalculateService
クラスは、オペランドと演算子を要求メッセージから取得し、要求された計算結果が含まれる応答メッセージを作成します。次のサンプル コードを参照してください。
// Service class which implements the service contract.
public class CalculatorService : ICalculator
{
// Perform a calculation.
public MyMessage Calculate(MyMessage request)
{
MyMessage response = new MyMessage(request);
switch (request.Operation)
{
case "+":
response.Result = request.N1 + request.N2;
break;
case "-":
response.Result = request.N1 - request.N2;
break;
case "*":
response.Result = request.N1 * request.N2;
break;
case "/":
response.Result = request.N1 / request.N2;
break;
default:
response.Result = 0.0D;
break;
}
return response;
}
}
クライアント用に生成されるクライアント コードは、ServiceModel Metadata Utility Tool (Svcutil.exe) ツールを使用して作成されました。 このツールでは、必要に応じて、生成済みのクライアント コード内にメッセージ コントラクト型が自動的に作成されます。 /messageContract
コマンド オプションを指定すると、メッセージ コントラクトを強制的に生成できます。
svcutil.exe /n:"http://Microsoft.ServiceModel.Samples,Microsoft.ServiceModel.Samples" /o:client\generatedClient.cs http://localhost/servicemodelsamples/service.svc/mex
MyMessage
メッセージを使用するクライアントを次のサンプル コードに示します。
// Create a client with given client endpoint configuration
CalculatorClient client = new CalculatorClient();
// Perform addition using a typed message.
MyMessage request = new MyMessage()
{
N1 = 100D,
N2 = 15.99D,
Operation = "+"
};
MyMessage response = ((ICalculator)client).Calculate(request);
Console.WriteLine("Add({0},{1}) = {2}", request.N1, request.N2, response.Result);
サンプルを実行すると、クライアント コンソール ウィンドウに計算が表示されます。 クライアントをシャットダウンするには、クライアント ウィンドウで Enter キーを押します。
Add(100,15.99) = 115.99
Subtract(145,76.54) = 68.46
Multiply(9,81.25) = 731.25
Divide(22,7) = 3.14285714285714
Press <ENTER> to terminate client.
この時点で、ユーザー定義のカスタム メッセージがクライアントとサービスの操作間で渡されます。 メッセージ コントラクトでは、オペランドと結果はメッセージ本文内にあり、演算子はメッセージ ヘッダー内にあることが定義されました。 このメッセージ構造を監視するために、メッセージ ログ記録を設定できます。
サンプルをセットアップ、ビルド、および実行するには
Windows Communication Foundation サンプルの 1 回限りのセットアップの手順を実行したことを確認します。
ソリューションの C# 版または Visual Basic .NET 版をビルドするには、「 Building the Windows Communication Foundation Samples」の手順に従います。
単一または複数コンピューター構成でサンプルを実行するには、「Windows Communication Foundation サンプルの実行」の手順に従います。