バリアント ジェネリック インターフェイスの作成 (Visual Basic)
インターフェイスのジェネリック型パラメーターは、共変または反変として宣言できます。 "共変性" により、インターフェイス メソッドの戻り値の型の派生を、ジェネリック型パラメーターで定義されている型よりも強くすることができます。 "反変性" により、インターフェイス メソッドの引数の型の派生を、ジェネリック パラメーターで指定されている型よりも弱くすることができます。 共変または反変のジェネリック型パラメーターを持つジェネリック インターフェイスは、"バリアント" と呼ばれます。
注意
.NET Framework 4 では、既存のいくつかのジェネリック インターフェイスに対して、変性のサポートが導入されています。 .NET Framework のバリアント インターフェイスの一覧については、「ジェネリック インターフェイスの変性 (Visual Basic)」を参照してください。
バリアント ジェネリック インターフェイスの宣言
バリアント ジェネリック インターフェイスは、ジェネリック型パラメーターの in
キーワードと out
キーワードを使用して宣言できます。
重要
Visual Basic の ByRef
パラメーターは、バリアントにすることはできません。 また、値の型も変性をサポートしていません。
ジェネリック型パラメーターを共変として宣言するには、out
キーワードを使用します。 共変の型は、次の条件を満たす必要があります。
型がインターフェイス メソッドの戻り値の型としてのみ使用され、メソッド引数の型として使用されない。 この例を以下に示します。ここでは、型
R
が共変として宣言されています。Interface ICovariant(Of Out R) Function GetSomething() As R ' The following statement generates a compiler error. ' Sub SetSomething(ByVal sampleArg As R) End Interface
この規則には例外が 1 つあります。 反変の汎用デリゲートをメソッド パラメーターとして使用する場合は、型をデリゲートのジェネリック型パラメーターとして使用できます。 次の例では、型
R
によって示します。 詳細については、「デリゲートの変性 (Visual Basic)」および「Func および Action 汎用デリゲートでの変性の使用 (Visual Basic)」を参照してください。Interface ICovariant(Of Out R) Sub DoSomething(ByVal callback As Action(Of R)) End Interface
型がインターフェイス メソッドのジェネリック制約として使用されない。 これを次のコードに示します。
Interface ICovariant(Of Out R) ' The following statement generates a compiler error ' because you can use only contravariant or invariant types ' in generic constraints. ' Sub DoSomething(Of T As R)() End Interface
ジェネリック型パラメーターを反変として宣言するには、in
キーワードを使用します。 反変の型は、メソッド引数の型としてのみ使用でき、インターフェイス メソッドの戻り値の型として使用できません。 また、反変の型はジェネリック制約にも使用できます。 次のコードでは、反変のインターフェイスを宣言し、そのメソッドの 1 つにジェネリック制約を使用する方法を示します。
Interface IContravariant(Of In A)
Sub SetSomething(ByVal sampleArg As A)
Sub DoSomething(Of T As A)()
' The following statement generates a compiler error.
' Function GetSomething() As A
End Interface
次のコード例に示すように、同一インターフェイス内の異なる型パラメーターで、共変性と反変性の両方をサポートすることもできます。
Interface IVariant(Of Out R, In A)
Function GetSomething() As R
Sub SetSomething(ByVal sampleArg As A)
Function GetSetSomething(ByVal sampleArg As A) As R
End Interface
Visual Basic では、デリゲート型を指定せずにバリアント インターフェイスでイベントを宣言することはできません。 また、バリアントのインターフェイスでは、入れ子になったクラス、列挙型、または構造体を使用することはできませんが、入れ子になったインターフェイスを使用することはできます。 これを次のコードに示します。
Interface ICovariant(Of Out R)
' The following statement generates a compiler error.
' Event SampleEvent()
' The following statement specifies the delegate type and
' does not generate an error.
Event AnotherEvent As EventHandler
' The following statements generate compiler errors,
' because a variant interface cannot have
' nested enums, classes, or structures.
'Enum SampleEnum : test : End Enum
'Class SampleClass : End Class
'Structure SampleStructure : Dim value As Integer : End Structure
' Variant interfaces can have nested interfaces.
Interface INested : End Interface
End Interface
バリアント ジェネリック インターフェイスの実装
バリアント ジェネリック インターフェイスをクラスに実装する場合は、インバリアント インターフェイスに使用するのと同じ構文を使用します。 次のコード例では、共変のインターフェイスをジェネリック クラスに実装する方法を示します。
Interface ICovariant(Of Out R)
Function GetSomething() As R
End Interface
Class SampleImplementation(Of R)
Implements ICovariant(Of R)
Public Function GetSomething() As R _
Implements ICovariant(Of R).GetSomething
' Some code.
End Function
End Class
バリアント インターフェイスを実装するクラスは不変です。 次に例を示します。
The interface is covariant.
Dim ibutton As ICovariant(Of Button) =
New SampleImplementation(Of Button)
Dim iobj As ICovariant(Of Object) = ibutton
' The class is invariant.
Dim button As SampleImplementation(Of Button) =
New SampleImplementation(Of Button)
' The following statement generates a compiler error
' because classes are invariant.
' Dim obj As SampleImplementation(Of Object) = button
バリアント ジェネリック インターフェイスの拡張
バリアント ジェネリック インターフェイスを拡張するときは、in
キーワードと out
キーワードを使用して、派生インターフェイスで変性をサポートするかどうかを明示的に指定する必要があります。 コンパイラでは、拡張されているインターフェイスからの変性の推論は行われません。 たとえば、次のようなインターフェイスがあるとします。
Interface ICovariant(Of Out T)
End Interface
Interface IInvariant(Of T)
Inherits ICovariant(Of T)
End Interface
Interface IExtCovariant(Of Out T)
Inherits ICovariant(Of T)
End Interface
Invariant(Of T)
インターフェイスのジェネリック型パラメーター T
は不変であるのに対して、IExtCovariant (Of Out T)
の型パラメーターは共変ですが、どちらのインターフェイスでも同じインターフェイスを拡張します。 これと同じ規則が、反変のジェネリック型パラメーターにも当てはまります。
拡張インターフェイスのジェネリック型パラメーター T
が不変であれば、ジェネリック型パラメーター T
が共変のインターフェイスと反変のインターフェイスの両方を拡張する 1 つのインターフェイスを作成できます。 これを次のコード例に示します。
Interface ICovariant(Of Out T)
End Interface
Interface IContravariant(Of In T)
End Interface
Interface IInvariant(Of T)
Inherits ICovariant(Of T), IContravariant(Of T)
End Interface
ただし、一方のインターフェイスでジェネリック型パラメーター T
が共変として宣言されている場合は、それを拡張インターフェイスで反変として宣言することはできません。その逆についても同様です。 これを次のコード例に示します。
Interface ICovariant(Of Out T)
End Interface
' The following statements generate a compiler error.
' Interface ICoContraVariant(Of In T)
' Inherits ICovariant(Of T)
' End Interface
あいまいさの回避
バリアント ジェネリック インターフェイスの実装時には、変性によってあいまいさが発生することがあります。 このような状況は回避する必要があります。
たとえば、同一のバリアント ジェネリック インターフェイスを、異なるジェネリック型パラメーターを使用して 1 つのクラスに明示的に実装すると、あいまいさが発生する可能性があります。 この場合、コンパイラではエラーは生成されませんが、実行時にどのインターフェイスの実装が選択されるかは明確ではありません。 これにより、コードで特定しにくいバグが発生する可能性があります。 次のコード例について考えます。
Note
Option Strict Off
では、あいまいなインターフェイス実装が存在すると、コンパイラの警告が Visual Basic によって生成されます。 Option Strict On
の場合は、Visual Basic からコンパイラ エラーが生成されます。
' Simple class hierarchy.
Class Animal
End Class
Class Cat
Inherits Animal
End Class
Class Dog
Inherits Animal
End Class
' This class introduces ambiguity
' because IEnumerable(Of Out T) is covariant.
Class Pets
Implements IEnumerable(Of Cat), IEnumerable(Of Dog)
Public Function GetEnumerator() As IEnumerator(Of Cat) _
Implements IEnumerable(Of Cat).GetEnumerator
Console.WriteLine("Cat")
' Some code.
End Function
Public Function GetEnumerator1() As IEnumerator(Of Dog) _
Implements IEnumerable(Of Dog).GetEnumerator
Console.WriteLine("Dog")
' Some code.
End Function
Public Function GetEnumerator2() As IEnumerator _
Implements IEnumerable.GetEnumerator
' Some code.
End Function
End Class
Sub Main()
Dim pets As IEnumerable(Of Animal) = New Pets()
pets.GetEnumerator()
End Sub
この例では、pets.GetEnumerator
メソッドで Cat
と Dog
がどのように選択されるかが明らかではありません。 そのため、コードで問題が発生する可能性があります。
関連項目
.NET