オンプレミス環境との PowerBI.com の統合
クラウド版では、Microsoft Power BI との緊密な統合を可能にするいくつかの機能が用意されています。 いくつかの機能は、オンプレミスの配置用にはまだ実装されていません。 ただし、オンプレミス配置でのエンティティ格納を利用することで、PowerBI.com を使ってデータのレポートや分析ができるようになっています。
この記事では、Microsoft Dynamics 365 Finance プラットフォーム更新プログラム 26 (2019 年 5 月) 以降にて動作する、オンプレミスの展開で使用できる分析機能について概説します。
特性/機能 | クラウド | オンプレミス (プラットフォーム更新プログラム 26 またはそれ以降) |
---|---|---|
分析ワークスペース | 利用可 | まだ実装されていません Entity Store上で構築されたレポートは、PowerBI.comと一緒に使うことができます。 |
PowerBI.com からレポート、タイル、およびダッシュボードをクライアントに固定することができます。 | 利用可 | まだ実装されていません |
アプリケーションのデータを使用した Power BI のレポートを作成および配布します。 | 使用可能 | 使用可能 オンプレミスでエンティティストアを使用することで、既製のレポートを変更したり、新しいレポートを作成をすることができます。 |
アプリケーション データをデータ ウェアハウスに抽出します。 | 利用可能 | 使用可能 |
エンティティストアをオンプレミスにて有効化する
この記事では、オンプレミス環境の設定および配置 (プラットフォーム プラットフォーム 12 および それ以降) 記事についての補足事項を提供します。 以下のセクション番号は、該当する記事のセクション番号に対応しています。
3. ユーザーとサービスのアカウントを準備する
ユーザー アカウント | 種類 | 使用方法 | ユーザー名 |
---|---|---|---|
AOS SQL AXDW DB 管理者 ユーザー | SQL ユーザー | アプリケーションは、このユーザーを使用して AXDW データベースに情報を入力します。 このユーザーは任意であり、エンティティストアに対応する必要がある場合にのみ作成する必要があります。 | axdwadmin |
AOS SQL AXDW FB 管理者 ユーザー | SQL ユーザー | アプリケーションは、このユーザーを使用して AXDW データベースに情報を入力します。 このユーザーは任意であり、エンティティストアに対応する必要がある場合にのみ作成する必要があります。 | axdwruntimeuser |
14. データベースの環境設定
本セクションの以下手順は任意の設定です。
エンティティストアに使用するデータベースを作成する場合は、最初に ConfigTemplate .xml ファイルを変更する必要があります。
DbServer - セキュリティで、 axdwadmin および axdwruntimeuser の generateuser フラグを Trueに設定します。 次の手順のスクリプトを実行すると、2つのユーザーが作成されます。 ユーザーのパスワードを設定するよう求められます。
次のスクリプトを実行します。
.\Initialize-Database.ps1 -ConfigurationFilePath .\ConfigTemplate.xml -ComponentName EntityStore .\Configure-Database.ps1 -ConfigurationFilePath .\ConfigTemplate.xml -ComponentName EntityStore
Initialize-Database.ps1 スクリプトは、以下の処理を行います:
- AXDW という名前の空のデータベースを作成します。 このデータベースは、エンティティストアに使用されます。
- SQL認証が有効となった Axdwadmin という名前の新規ユーザーが作成され、パスワードの設定が求められます。
- SQL認証が有効となった axdwruntimeuser という名前の新規ユーザーが作成され、パスワードの設定が求められます。
- axdwadmin と axdwruntimeuser ユーザーに対して、データベースへの db_owner 権限を付与します。
Configure-Database.ps1 スクリプトは、以下の処理を行います:
- 指定したデータベースファイル と ログの設定を行います。
- VIEW SERVER STATE 権限を axdbadmin に付与します。
- VIEW SERVER STATE 権限を axdwruntimeuser に付与します。
15. 資格情報の暗号化
以下のように、Credentials.json ファイルを作成します。 AosDWAuth カテゴリは任意であり、エンティティストアが有効な場合にのみ使用されます。
{
"AosPrincipal": {
"AccountPassword": "<encryptedDomainUserPassword>"
},
"AosSqlAuth": {
"SqlUser": "<encryptedSqlUser>",
"SqlPwd": "<encryptedSqlPassword>"
},
"AosDWAuth": {
"DWUser": "<encryptedDWUser>",
"DWPwd": "<encryptedDWPassword>",
"DWRuntimeUser": "<encryptedDWRuntimeUser>",
"DWRuntimePwd": "<encryptedDWRuntimePassword>"
}
}
上記のコマンドの内容について説明します:
- AccountPassword は、Application Object Server (AOS) ドメインユーザー (contoso\axserviceuser) 用の暗号化されたドメイン ユーザー パスワードです。
- SqlUser は、アプリケーション データベース (AXDB) にアクセス権限が付与されている暗号化された SQL ユーザー (axdbadmin) です。 SqlPwd は暗号化されたSQLパスワードです。
- DWUser は、エンティティストア データベース (axdw) へのアクセス権限が付与されている、暗号化されたSQLユーザー (axdwadmin) です。 DWPwd は、Initialize-Database.ps1 スクリプトの実行時に入力される暗号化されたSQLパスワードです。
- DWRuntimeUser は、エンティティストア データベース (AXDW) へのアクセス権限が付与されている、暗号化されたSQLユーザー (axdwruntimeuser) です。 DWRuntimePwd は、Initialize-Database.ps1 スクリプトの実行時に入力される暗号化されたSQLパスワードです。
詳細情報
エンティティストアは、プラットフォーム更新プログラム 26で有効となっています。
エンティティストアを行うデータベースとユーザーの作成は任意です。 Microsoft Dynamics Lifecycle Services (LCS)で配置の構成を行う際には、エンティティストアのカスタマイズを空白のままにしておくことができます。
エンティティストアを環境内で有効にする必要がある場合は、以下のタスクを完了する必要があります:
手順14に記載のスクリプトを使用することで、 AXDW データベースを作成することができます。
手順14に記載のスクリプトを使用することで、適切な権限を持つ axdwadmin と axdwruntimeuser ユーザーを作成することができます。 ユーザーは次のファイルで定義されています: ConfigTemplate.xml、DatabaseTopologyDefinition.xml
手順15に記載の Credentials.json ファイルを作成します。 手順14に記載されているように、ユーザー名とパスワードは、axdwadminおよびaxdwruntimeuserに対して定義する必要があり、暗号化する必要があります。
エンティティストアを行うSQL Serverの名称および、データベースの名称は、LCSへの配置差処理中に設定される必要があります。
- データベースの名称は手順14で作成され、DatabaseTopologyDefinitionファイルにて定義されています。 既定の名称は AXDW です。
- SQL Serverの名称は、 Microsoft SQL Server またはAlwaysOnリスナー の完全修飾ドメイン名 (FQDN) となります。 このFQDNの例としては、 sqlinstance.onprem.contoso.com があります。 これはAXDWデータベースが作成されたサーバーです。
既に配置されている環境でエンティティ格納を有効にするには、LCS の管理ボタンの下にある更新設定アクションを使用できます。 これにより、エンティティ格納のコンフィギュレーションを指定できるダイアログが開きます。
エンティティストア オンプレミスを使用したレポートの作成および配布
エンティティ格納は、含まれている運用データ ウェアハウスです。 これにより、パワー ユーザーやビジネス アナリストは、シンプルで豊富なデータを使用したレポートを作成することができます。 エンティティストアには集計測定値が含まれており、単純化されたスタースキーマを使用できます。 エンティティストアを使用してレポートを作成する方法の詳細については、 Power BI Desktopを使用して分析レポートを作成するを参照してください。
オンプレミスの配置に固有となる、以下の手順についても注意してください。
- オンプレミス環境においては、運用環境またはサンドボックス環境に Power BI レポートを配置するにあたってLCSを使用する必要はありません。 オンプレミス環境では、管理者はPowerBI.comデータセットを特定のエンティティー ストアデータベースに指定することができるため、LCSが提供する機能を使用する必要はありません。 ただし、オンプレミスのゲートウェイを設定して、オンプレミスのデータにPowerBI.comがアクセスできるようにする必要となる場合もあります。 ゲートウェイの詳細については、 Power BI ゲートウェイのドキュメント を参照してください。
- クラウドベースのアプリケーション環境は、DirectQuery オプションを使用して作成されたレポートにのみ対応していますが、オンプレミスのエンティティ格納は、DirectQuery レポートとインポート モード レポートの両方に対応しています。
- 分析ワークスペースは、オンプレミス配置はに実装されていません。 分析ワークスペースでレポートを表示することはできませんが、PowerBI.com の環境にレポートを配置することができます。 そうすることで、PowerBI.com へのアクセス権限を持つユーザーがレポートを使用できるようになります。 PowerBI.comのレポートへのアクセスには、ユーザーが適切なライセンスを要求する場合があります。