固定入庫価格

固定入庫価格は、標準原価または加重平均の移動以外の在庫モデルを使用する場合に、品目モデル グループで選択できるオプションです。 Microsoft Dynamics AX の初期のバージョンでは、このオプションは標準原価という名前でした。 Dynamics AX 2012 で新しい標準原価在庫モデルが導入された際、固定入庫価格の名前が変更されました。 この記事では、Dynamics 365 Supply Chain Management の固定入庫価格を構成して使用する方法について説明します。

固定入庫価格について

品目の品目モデル グループ ページで固定入庫価格チェック ボックスをオンにすると、入庫価格が在庫入庫の標準原価として使用されます。 購買価格と製品に対して構成されている既定の品目原価価格が異なる場合、差額は固定入庫価格差益勘定、または固定入庫価格損失勘定に転記され、在庫転記プロファイル ページで指定した固定入庫価格相殺勘定に相殺されます。

固定入庫価格オプションはさまざまな在庫モデル (先入れ先出し法 (FIFO)、後入れ先出し法 (LIFO)、加重平均など) と組み合わせて使用されます。在庫決算および調整プロセス では、品目モデル グループ ページで選択した在庫原則に従って決済と調整が作成されます。 ただし、調整は在庫からの品目に対してのみおこなわれます。

たとえば、在庫モデル フィールドが FIFO に設定され、固定入庫価格オプションが選択されている品目モデル グループを使用して製品を構成しました。 発注書を通じて在庫を受け取る場合、在庫値は製品の入庫時の品目の既定の原価価格の値に設定されます。 発注書を請求する際に、請求価格が異なる場合は、リリースされた製品の既定の原価価格が在庫勘定に転記されます。 この差は、固定入庫価格の損益勘定に転記されます。 後で製品を販売または消費する場合、システムは、マーキングを使用しない限り、販売注文請求書が転記された時点の品目の移動平均を使用します。

在庫決済および調整プロセスを実行する場合、システムは最初の入庫に対する最初の出庫で決済を作成します。 入庫で使用された入庫価格と、その入庫で使用された移動平均の差額は、新しい伝票に転記されます。

固定入庫価格を有効にする

品目に対して固定入庫価格を有効にするには、次の手順に従います。

1. 在庫管理 > 設定 > 在庫 > 品目モデル グループの順に進みます。

2. 新規品目モデルグループを作成、または既存のモデル グループを選択します。

3. 原価方法と原価認識 クイック タブ で、固定入庫価格 チェック ボックスをオンにします。

   注記

   在庫モデル フィールドが標準原価または移動平均に設定されている場合は、固定入庫価格チェック ボックスをオンにすることもできます。

4. ページを閉じます。

固定入庫価格オプションを有効 にした後、次の手順に従って在庫転記プロファイルを更新する必要があります。

1. 在庫管理 > 設定 > 転記 > 転記 に移動します。
2. 発注書 タブの 選択列で、固定入庫価格の利益を選択します。
3. アクション ウィンドウで新規を選択して、行をグリッドに追加します。
4. 固定入庫価格決定を有効にした品目モデル グループに適用する新規行を設定し、発注書の固定入庫価格の利益を記録するために使用する主勘定を指定します。 必要に応じてその他の設定を構成します。
5. 選択列で、固定入庫価格の損失を選択します。 固定入庫価格決定を有効にした品目モデル グループに適用する新規行を追加し、発注書の固定入庫価格の損失を記録するために使用する主勘定を指定します。 必要に応じてその他の設定を構成します。
6. 選択列で、固定入庫価格の相殺を選択します。 固定入庫価格決定を有効にした品目モデル グループに適用する新規行を追加し、発注書の固定入庫価格のオフセットを記録するために使用する主勘定を指定します。 必要に応じてその他の設定を構成します。
7. 在庫タブの 選択列で、固定入庫価格の利益を選択します。 固定入庫価格決定を有効にした品目モデル グループに適用する新規行を追加し、在庫の固定入庫価格の利益を記録するために使用する主勘定を指定します。 必要に応じてその他の設定を構成します。
8. 選択列で、固定入庫価格の損失を選択します。 固定入庫価格決定を有効にした品目モデル グループに適用する新規行を追加し、在庫の固定入庫価格の損失を記録するために使用する主勘定を指定します。 必要に応じてその他の設定を構成します。