appdomain
マネージ アプリケーションの各アプリケーション ドメインは特定のグローバル変数または静的メンバー変数の独自のコピーを持つ必要があることを指定します。 詳細については、「アプリケーション ドメインと Visual C++」を参照してください。
あらゆるアプリケーション ドメインに appdomain ごとの変数のコピーが存在します。 appdomain 変数のコンストラクターはアセンブリがアプリケーション ドメインに読み込まれるときに実行され、デストラクターはアプリケーション ドメインがアンロードされるときに実行されます。
共通言語ランタイムのプロセス内ですべてのアプリケーション ドメインがグローバル変数を共有する場合は、__declspec(process) 修飾子を使用します。 __declspec(process) は /clr を指定すると既定で有効であり、__declspec(appdomain) は /clr:pure を指定すると既定で有効です。 __declspec(appdomain) は /clr:safe を指定すると強制されます。
__declspec(appdomain) は、/clr コンパイラ オプションのいずれかを使用している場合にのみ有効です。 __declspec(appdomain) でマークできるのは、グローバル変数、静的メンバー変数、または静的ローカル変数だけです。 マネージ型の静的メンバーに __declspec(appdomain) を適用するとエラーになります。そのようなメンバーは常にこの動作をするためです。
__declspec(appdomain) を使用するのは、スレッド ローカル ストレージ (TLS) を使用するのと似ています。 スレッドは、アプリケーション ドメインと同様に独自のストレージを持ちます。 __declspec(appdomain) を使用すると、このアプリケーションで作成された各アプリケーション ドメインで、グローバル変数が独自のストレージを持つことが保証されます。
process ごとの変数と appdomain ごとの変数の混在使用には制限があります。詳細については、「process」を参照してください。
たとえば、プログラムの開始時に、すべての process ごとの変数が初期化され、続いて、すべての appdomain ごとの変数が初期化されます。 そのため、process ごとの変数が初期化されるときには、appdomain ごとの変数の値に依存することはできません。 appdomain ごとの変数と process ごとの変数を混在使用 (代入) することは好ましくありません。
特定のアプリケーション ドメインの関数を呼び出す方法については、「call_in_appdomain 関数」を参照してください。
使用例
// declspec_appdomain.cpp
// compile with: /clr
#include <stdio.h>
using namespace System;
class CGlobal {
public:
CGlobal(bool bProcess) {
Counter = 10;
m_bProcess = bProcess;
Console::WriteLine("__declspec({0}) CGlobal::CGlobal constructor", m_bProcess ? (String^)"process" : (String^)"appdomain");
}
~CGlobal() {
Console::WriteLine("__declspec({0}) CGlobal::~CGlobal destructor", m_bProcess ? (String^)"process" : (String^)"appdomain");
}
int Counter;
private:
bool m_bProcess;
};
__declspec(process) CGlobal process_global = CGlobal(true);
__declspec(appdomain) CGlobal appdomain_global = CGlobal(false);
value class Functions {
public:
static void change() {
++appdomain_global.Counter;
}
static void display() {
Console::WriteLine("process_global value in appdomain '{0}': {1}",
AppDomain::CurrentDomain->FriendlyName,
process_global.Counter);
Console::WriteLine("appdomain_global value in appdomain '{0}': {1}",
AppDomain::CurrentDomain->FriendlyName,
appdomain_global.Counter);
}
};
int main() {
AppDomain^ defaultDomain = AppDomain::CurrentDomain;
AppDomain^ domain = AppDomain::CreateDomain("Domain 1");
AppDomain^ domain2 = AppDomain::CreateDomain("Domain 2");
CrossAppDomainDelegate^ changeDelegate = gcnew CrossAppDomainDelegate(&Functions::change);
CrossAppDomainDelegate^ displayDelegate = gcnew CrossAppDomainDelegate(&Functions::display);
// Print the initial values of appdomain_global in all appdomains.
Console::WriteLine("Initial value");
defaultDomain->DoCallBack(displayDelegate);
domain->DoCallBack(displayDelegate);
domain2->DoCallBack(displayDelegate);
// Changing the value of appdomain_global in the domain and domain2
// appdomain_global value in "default" appdomain remain unchanged
process_global.Counter = 20;
domain->DoCallBack(changeDelegate);
domain2->DoCallBack(changeDelegate);
domain2->DoCallBack(changeDelegate);
// Print values again
Console::WriteLine("Changed value");
defaultDomain->DoCallBack(displayDelegate);
domain->DoCallBack(displayDelegate);
domain2->DoCallBack(displayDelegate);
AppDomain::Unload(domain);
AppDomain::Unload(domain2);
}