System.Data 名前空間

System.Data 名前空間の大部分は、ADO.NET アーキテクチャを形成するクラスで構成されています。ADO.NET アーキテクチャによって、複数のデータ ソースのデータを効率的に管理するコンポーネントを作成できます。インターネットなどに接続されていない場合、ADO.NET は多階層のシステムでデータを要求、更新、および調整するツールを提供します。ADO.NET アーキテクチャは、Windows フォーム、ASP.NET で作成した HTML ページなどのクライアント アプリケーションでも実装されます。

ADO.NET アーキテクチャの中心的クラスは DataSet クラスです。各 DataSet は複数の DataTable オブジェクトを含むことができ、各 DataTable は、SQL Server など、単一のデータ ソースのデータを含みます。

DataTable は、各 DataTable のスキーマを決定する DataColumn オブジェクトのコレクションである DataColumnCollection を含みます。 DataType プロパティは、 DataColumn に格納されるデータの型を決定します。 ReadOnly プロパティと AllowDBNull プロパティは、データの整合性を強化するために使用します。 Expression プロパティは、計算済み列を生成するために使用します。

DataTable がほかの DataTable との親子のリレーションシップに関係している場合は、 DataSet オブジェクトの DataRelationCollectionDataRelation を追加してリレーションシップが生成されます。このようなリレーションシップが追加されると、コンストラクタのパラメータ設定に応じて、 UniqueConstraintForeignKeyConstraint の両方が自動的に作成されます。 UniqueConstraint は、列に格納される値が一意であるようにする制約です。 ForeignKeyConstraint は、プライマリ キーの値が変更または削除されたときに、子行または子列に対して実行されるアクションを決定します。

System.Data.SqlClient 名前空間 (.NET Framework Data Provider for SQL Server)、 System.Data.Odbc 名前空間 (.NET Framework Data Provider for ODBC)、または System.Data.OleDb 名前空間 (OLE DB .NET Framework Data Provider for OLE DB) を使用すると、 DataSet と組み合わせて使用するデータ ソースにアクセスできます。各 .NET データ プロバイダには、データ ソースと DataSet の間のブリッジとして使用される、対応する DataAdapter があります。

名前空間の階層構造

クラス

クラス 説明
Constraint 1 つ以上の DataColumn オブジェクトに強制的に適用できる制約を表します。
ConstraintCollection DataTable に対する制約のコレクションを表します。
ConstraintException 制約に違反するアクションを実行しようとした場合にスローされる例外を表します。
DataColumn DataTable 内の列のスキーマを表します。
DataColumnChangeEventArgs ColumnChanging イベントのデータを提供します。
DataColumnCollection DataTableDataColumn オブジェクトのコレクションを表します。
DataException ADO.NET コンポーネントを使用してエラーが生成されたときにスローされる例外を表します。
DataRelation 2 つの DataTable オブジェクト間の親子のリレーションシップを表します。
DataRelationCollection この DataSetDataRelation オブジェクトのコレクションを表します。
DataRow DataTable 内のデータ行を表します。
DataRowChangeEventArgs RowChangedRowChangingOnRowDeletingOnRowDeleted の各イベントのデータを提供します。
DataRowCollection DataTable の行のコレクションを表します。
DataRowView 完全な機能を持つ Windows フォーム コントロールとして公開されている DataRow のカスタマイズされたビューを表します。
DataSet データのメモリ内キャッシュを表します。
DataSysDescriptionAttribute プロパティ、イベント、またはエクステンダを作成し、説明を付けます。メンバを参照するときに、ビジュアル デザイナでこの説明を表示できます。
DataTable インメモリ データのテーブル 1 つを表します。
DataTableCollection DataSet のテーブルのコレクションを表します。
DataView 並べ替え、フィルタ処理、検索、編集、および移動を実行できる、データ連結可能な、カスタマイズされた DataTable のビューを表します。
DataViewManager DataSet 内の各 DataTable の既定の DataViewSettingCollection を格納しています。
DataViewSetting DataViewManager から作成された DataViews の ApplyDefaultSort、DataViewManager、RowFilter、RowStateFilter、Sort、および Table の既定の設定を表します。
DataViewSettingCollection DataSet 内の各 DataTable に対する DataViewSetting オブジェクトの読み取り専用コレクションを格納しています。
DBConcurrencyException 更新操作中に影響を受ける行数が 0 になった場合に DataAdapter によってスローされる例外。
DeletedRowInaccessibleException 削除された DataRow でアクションを実行しようとしたときにスローされる例外を表します。
DuplicateNameException DataSet 関連オブジェクトで追加操作を実行中に、重複するデータベース オブジェクト名が発見されたときにスローされる例外を表します。
EvaluateException DataColumnExpression プロパティを評価できないときにスローされる例外を表します。
FillErrorEventArgs DbDataAdapterFillError イベントのデータを提供します。
ForeignKeyConstraint 値または行を削除または更新したときに、主キーと外部キーのリレーションシップに関係する列セットに対して適用するアクション制約を表します。
InRowChangingEventException RowChanging イベント内で EndEdit メソッドを呼び出したときにスローされる例外を表します。
InternalDataCollectionBase コレクションを作成するための基本機能を用意しています。
InvalidConstraintException リレーションシップを誤って作成またはアクセスしようとしたときに生成される例外を表します。
InvalidExpressionException 無効な Expression が格納された DataColumnDataColumnCollection に追加しようとした場合にスローされる例外を表します。
MergeFailedEventArgs ターゲットとソースの DataRow に同じ主キー値が格納されていて、 EnforceConstraints プロパティが true に設定されている場合に発生します。
MissingPrimaryKeyException 主キーが格納されていないテーブル内の行にアクセスしようとした場合にスローされる例外を表します。
NoNullAllowedException AllowDBNullfalse に設定されている列に null 値を挿入しようとした場合にスローされる例外を表します。
PropertyCollection DataColumnDataSet 、または DataTable に追加できるプロパティのコレクションを表します。
ReadOnlyException 読み取り専用列の値を変更しようとした場合にスローされる例外を表します。
RowNotInTableException DataTable 内に存在しない DataRow で操作を実行しようとした場合にスローされる例外を表します。
StateChangeEventArgs .NET Framework データ プロバイダの状態変化イベントにデータを提供します。
StrongTypingException ユーザーが DBNull 値にアクセスした場合に厳密に型指定された DataSet によってスローされる例外。
SyntaxErrorException DataColumnExpression プロパティが構文エラーを含んでいる場合にスローされる例外を表します。
TypedDataSetGenerator 厳密に型指定された DataSet を作成するために使用されます。
TypedDataSetGeneratorException 厳密に型指定された DataSet を生成するときに名前の矛盾が発生した場合にスローされる例外。
UniqueConstraint すべての値が一意である必要がある列のセットに対する制限を表します。
VersionNotFoundException 削除された DataRow のバージョンを返そうとした場合にスローされる例外を表します。

インターフェイス

インターフェイス 説明
IColumnMapping データ ソース列に DataSet 列を関連付けます。この関連付けは、.NET Framework データ プロバイダが共通に使用する DataColumnMapping クラスによって実装されます。
IColumnMappingCollection DataColumnMapping オブジェクトのコレクションを格納します。.NET Framework データ プロバイダが共通に使用する DataColumnMappingCollection によって実装されます。
IDataAdapter オブジェクトが DataAdapter を実装できるようにします。 DataSet の格納と更新およびデータ ソースの更新に使用するメソッドとマップ アクション関連プロパティのセットを表します。
IDataParameter Command オブジェクトに対するパラメータと、オプションとして DataSet 列へのマップを表します。データ ソースにアクセスする .NET Framework データ プロバイダによって実装されます。
IDataParameterCollection Command オブジェクトに関連するすべてのパラメータと、それらのパラメータの DataSet 列へのマップを収集します。データ ソースにアクセスする .NET Framework データ プロバイダによって実装されます。
IDataReader データ ソースでコマンドを実行して取得した結果セットの、1 つ以上の前方向ストリームを読み込む手段を提供します。リレーショナル データベースにアクセスする .NET Framework データ プロバイダによって実装されます。
IDataRecord DataReader から各行内の列値にアクセスできるようにします。リレーショナル データベースにアクセスする .NET Framework データ プロバイダによって実装されます。
IDbCommand データ ソースに接続されている間に実行される SQL ステートメントを表します。リレーショナル データベースにアクセスする .NET Framework データ プロバイダによって実装されます。
IDbConnection データ ソースへの開いている接続を表します。リレーショナル データベースにアクセスする .NET Framework データ プロバイダによって実装されます。
IDbDataAdapter DataSet にデータを格納し、データ ソースを更新するために使用するコマンド関連プロパティのセットを表します。リレーショナル データベースにアクセスする .NET Framework データ プロバイダによって実装されます。
IDbDataParameter Visual Basic .NET データ デザイナが、Command オブジェクトに対するパラメータを表し、オプションとして DataSet 列に割り当てるために使用します。
IDbTransaction データ ソースで実行するトランザクションを示します。リレーショナル データベースにアクセスする .NET Framework データ プロバイダによって実装されます。
ITableMapping ソース テーブルに DataSet 内のテーブルを関連付けます。.NET Framework データ プロバイダが共通に使用する DataTableMapping クラスによって実装されます。
ITableMappingCollection TableMapping オブジェクトのコレクションを格納します。.NET Framework データ プロバイダが共通に使用する DataTableMappingCollection によって実装されます。

デリゲート

デリゲート 説明
DataColumnChangeEventHandler ColumnChanging イベントを処理するメソッドを表します。
DataRowChangeEventHandler DataTableRowChangingRowChangedRowDeletingRowDeleted の各イベントを処理するメソッドを表します。
FillErrorEventHandler FillError イベントを処理するメソッドを表します。
MergeFailedEventHandler MergeFailed イベントを処理するメソッドを表します。
StateChangeEventHandler StateChange イベントを処理するメソッドを表します。

列挙体

列挙体 説明
AcceptRejectRule ForeignKeyConstraint が設定されている DataTableAcceptChanges メソッドまたは RejectChanges メソッドを呼び出した場合に実行されるアクションを決定します。
CommandBehavior クエリの結果とそれがデータベースに与える影響を記述します。
CommandType コマンド文字列の解釈方法を指定します。
ConnectionState データ ソースへの接続の現在の状態を記述します。
DataRowAction DataRow で実行されたアクションを記述します。
DataRowState DataRow オブジェクトの状態を取得します。
DataRowVersion DataRow のバージョンを示します。
DataViewRowState DataRow 内のデータのバージョンを記述します。
DbType .NET Framework データ プロバイダのフィールド、プロパティ、または Parameter オブジェクトのデータ型を指定します。
IsolationLevel 接続のトランザクション ロック動作を指定します。
KeyRestrictionBehavior 許可されている、または、許可されていないことのいずれかを表す KeyRestrictions プロパティで指定された、接続文字列パラメータのリストを示します。
MappingType DataColumn の割り当て方法を指定します。
MissingMappingAction ソース テーブルまたはソース列からのマップがない場合に実行するアクションを決定します。
MissingSchemaAction データを DataSet に追加する場合に、必要な DataTable または DataColumn がないときに実行するアクションを指定します。
ParameterDirection DataSet に関連するクエリ内のパラメータの型を指定します。
PropertyAttributes プロパティの属性を指定します。
Rule ForeignKeyConstraint を適用した場合に実行されるアクションを示します。
SchemaType FillSchema 操作を実行するときに既存のスキーマ マップを処理する方法を指定します。
SqlDbType SqlParameter で使用するフィールド (プロパティ) のデータ型として、SQL Server に固有のデータ型を指定します。
StatementType OleDbRowUpdatedEventArgsOleDbRowUpdatingEventArgsSqlRowUpdatedEventArgs 、または SqlRowUpdatingEventArgs の各クラスが使用する SQL クエリの種類を指定します。
UpdateRowSource 更新する行にクエリ コマンドの結果を適用する方法を指定します。
UpdateStatus Update 中に現在の行と残りの行に対して実行するアクションを指定します。
XmlReadMode XML データとリレーショナル スキーマを DataSet に読み込む方法を指定します。
XmlWriteMode XML データとリレーショナル スキーマを DataSet から書き込む方法を指定します。

参照

.NET Framework クラス ライブラリ