クライアントの偽装
偽装のサンプルでは、サービスで呼び出し元のアプリケーションを偽装し、サービスが呼び出し元の代わりにシステム リソースにアクセスできるようにする方法を示します。
このサンプルは、「自己ホスト」のサンプルに基づいています。サービスとクライアントの構成ファイルは、「自己ホスト」サンプルの構成ファイルと同じです。
メモ : |
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このサンプルのセットアップ手順とビルド手順については、このトピックの最後を参照してください。 |
サービス コードは、サービスの Add
メソッドが OperationBehaviorAttribute を使用して呼び出し元を偽装するように変更されています。次のサンプル コードを参照してください。
[OperationBehavior(Impersonation = ImpersonationOption.Required)]
public double Add(double n1, double n2)
{
double result = n1 + n2;
Console.WriteLine("Received Add({0},{1})", n1, n2);
Console.WriteLine("Return: {0}", result);
DisplayIdentityInformation();
return result;
}
この結果、実行中のスレッドのセキュリティ コンテキストは呼び出し元を偽装するように切り替えられ、その後 Add
メソッドが入力されて、このメソッドが終了すると元に戻ります。
次のサンプル コードに示す DisplayIdentityInformation
メソッドは、呼び出し元の ID を表示するユーティリティ関数です。
static void DisplayIdentityInformation()
{
Console.WriteLine("\t\tThread Identity :{0}",
WindowsIdentity.GetCurrent().Name);
Console.WriteLine("\t\tThread Identity level :{0}",
WindowsIdentity.GetCurrent().ImpersonationLevel);
Console.WriteLine("\t\thToken :{0}",
WindowsIdentity.GetCurrent().Token.ToString());
return;
}
サービスの Subtract
メソッドは、強制呼び出しを使用して呼び出し元を偽装します。次のサンプル コードを参照してください。
public double Subtract(double n1, double n2)
{
double result = n1 - n2;
Console.WriteLine("Received Subtract({0},{1})", n1, n2);
Console.WriteLine("Return: {0}", result);
Console.WriteLine("Before impersonating");
DisplayIdentityInformation();
if (ServiceSecurityContext.Current.WindowsIdentity.ImpersonationLevel == TokenImpersonationLevel.Impersonation ||
ServiceSecurityContext.Current.WindowsIdentity.ImpersonationLevel == TokenImpersonationLevel.Delegation)
{
// Impersonate.
using (ServiceSecurityContext.Current.WindowsIdentity.Impersonate())
{
// Make a system call in the caller's context and ACLs
// on the system resource are enforced in the caller's context.
Console.WriteLine("Impersonating the caller imperatively");
DisplayIdentityInformation();
}
}
else
{
Console.WriteLine("ImpersonationLevel is not high enough to perform this operation.");
}
Console.WriteLine("After reverting");
DisplayIdentityInformation();
return result;
}
この場合、呼び出し元は呼び出し全体に対して偽装されるのではなく、呼び出しの一部に対してのみ偽装されます。通常、操作全体の偽装を行うよりも、最小限の範囲での偽装をお勧めします。
他のメソッドは呼び出し元を偽装しません。
クライアント コードは、偽装レベルを Impersonation に設定するように変更されています。クライアントは TokenImpersonationLevel 列挙体を使用して、サービスで使用される偽装レベルを指定します。この列挙体は、None、Anonymous、Identification、Impersonation、および Delegation の値をサポートします。Windows ACL を使用して保護されているローカル コンピュータのシステム リソースにアクセスする場合、アクセス チェックを実行するには、偽装レベルを Impersonation に設定する必要があります。次のサンプル コードを参照してください。
// Create a client with given client endpoint configuration
CalculatorClient client = new CalculatorClient();
client.ClientCredentials.Windows.AllowedImpersonationLevel = TokenImpersonationLevel.Impersonation;
このサンプルを実行すると、操作要求と応答がサービスとクライアントの両方のコンソール ウィンドウに表示されます。どちらかのコンソールで Enter キーを押すと、サービスとクライアントがどちらもシャットダウンされます。
メモ : |
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サービスを管理アカウントで実行するか、またはサービスを実行するアカウントに https://localhost:8000/ServiceModelSamples の URI を HTTP レイヤに登録する権限を付与する必要があります。このような権限を付与するには、Httpcfg.exe ツールを使用して名前空間予約を設定します。 |
メモ : |
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Windows Server 2003 を実行しているコンピュータでは、Host.exe アプリケーションに偽装特権がある場合にのみ偽装がサポートされます (既定では、管理者のみがこれを許可できます)。この特権をサービスが実行されているアカウントに追加するには、[管理ツール] の [ローカル セキュリティ ポリシー] を開き、[ローカル ポリシー] を開きます。次に、[ユーザー権利の割り当て] をクリックして [認証後にクライアントを偽装] をクリックし、ユーザーまたはグループを追加する [プロパティ] をダブルクリックします。 |
サンプルを設定、ビルド、および実行するには
「Windows Communication Foundation サンプルの 1 回限りのセットアップの手順」が実行済みであることを確認します。
ソリューションの C# 版または Visual Basic .NET 版をビルドするには、「Windows Communication Foundation サンプルのビルド」の手順に従います。
単一コンピュータ構成か複数コンピュータ構成かに応じて、「Windows Communication Foundation サンプルの実行」の手順に従います。
サービスが呼び出し元を偽装していることを示すため、サービスが実行されているアカウントとは異なるアカウントでクライアントを実行します。これを行うには、コマンド プロンプトに次のコマンドを入力します。
runas /user:<machine-name>\<user-name> client.exe
次に、パスワードの入力が求められます。先ほど指定したアカウントのパスワードを入力します。
クライアントを実行する際、クライアントを実行する前と後で ID の資格情報が異なることに注意してください。
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