入門サンプル

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この入門サンプルでは、一般的なサービスと一般的なクライアントを、Windows Communication Foundation (WCF) を使用して実装する方法を示します。このサンプルは、他のすべての基本的な技術サンプルの基礎になります。

Noteメモ :

このサンプルのセットアップ手順とビルド手順については、このトピックの最後を参照してください。

サービスが実行する操作は、メタデータとしてパブリックに公開するサービス コントラクト内に表されています。また、サービスにはその操作を実装するためのコードが含まれています。

クライアントには、サービス コントラクトの定義と、サービスにアクセスするためのプロキシ クラスが含まれています。プロキシ コードは、Service Model Metadata Utility Tool (Svcutil.exe) を使用してサービス メタデータから生成されます。

Windows Vista では、サービスは Windows アクティベーション サービス (WAS) 内でホストされます。Windows XP と Windows Server 2003 では、インターネット インフォメーション サービス (IIS) と ASP.NET によってホストされます。サービスを IIS または WAS でホストすることにより、サービスに初めてアクセスしたときにそのサービスを自動的にアクティブ化できます。

Noteメモ :

IIS ではなくコンソール アプリケーションでサービスをホストするサンプルから始める場合は、「自己ホスト」サンプルを参照してください。

サービスとクライアントは、アクセスの詳細を構成ファイルの設定により指定します。この方法によって展開時の柔軟性が得られます。この設定には、アドレス、バインディング、およびコントラクトを指定するエンドポイント定義が含まれます。バインディングは、サービスへのアクセス方法を示すためのトランスポートとセキュリティの詳細を指定します。

サービスは、メタデータを公開するようにランタイムの動作を構成します。

サービスは、要求/応答通信パターンを定義するコントラクトを実装します。このコントラクトは ICalculator インターフェイスによって定義されており、算術演算 (加算、減算、乗算、および 除算) を公開しています。クライアントは指定された算術演算を要求し、サービスは結果と共に応答します。サービスは、次に示すコードで定義される ICalculator コントラクトを実装します。

// Define a service contract.
[ServiceContract(Namespace="http://Microsoft.ServiceModel.Samples")]
public interface ICalculator
{
    [OperationContract]
    double Add(double n1, double n2);
    [OperationContract]
    double Subtract(double n1, double n2);
    [OperationContract]
    double Multiply(double n1, double n2);
    [OperationContract]
    double Divide(double n1, double n2);
}

サービス実装は計算を行い、結果を返します。次のコード例を参照してください。

// Service class that implements the service contract.
public class CalculatorService : ICalculator
{
    public double Add(double n1, double n2)
    {
        return n1 + n2;
    }
    public double Subtract(double n1, double n2)
    {
        return n1 - n2;
    }
    public double Multiply(double n1, double n2)
    {
        return n1 * n2;
    }
    public double Divide(double n1, double n2)
    {
        return n1 / n2;
    }
}

サービスは、そのサービスとの通信に使用する単一エンドポイントを公開します。エンドポイントは構成ファイル (Web.config) を使用して定義します。次のサンプル構成を参照してください。

<services>
    <service 
        name="Microsoft.ServiceModel.Samples.CalculatorService"
        behaviorConfiguration="CalculatorServiceBehavior">
        <!-- ICalculator is exposed at the base address provided by         host: https://localhost/servicemodelsamples/service.svc.  -->
       <endpoint address=""
              binding="wsHttpBinding"
              contract="Microsoft.ServiceModel.Samples.ICalculator" />
       ...
    </service>
</services>

サービスは、IIS ホストまたは WAS ホストから提供されるベース アドレスで、エンドポイントを公開します。バインディングの構成には、標準の WSHttpBinding を使用します。これは HTTP 通信と Web サービスの標準プロトコルを提供し、アドレス指定とセキュリティをサポートします。コントラクトは、サービスによって実装される ICalculator です。

上記の構成では、サービスと同じコンピュータ上にあるクライアントは、https://localhost/servicemodelsamples/service.svc でサービスにアクセスできます。リモート コンピュータ上のクライアントがサービスにアクセスするには、localhost の代わりに完全修飾ドメイン名を指定する必要があります。

既定では、フレームワークはメタデータを公開しません。そのため、サービスは ServiceMetadataBehavior を有効にし、Metadata Exchange (MEX) エンドポイントを https://localhost/servicemodelsamples/service.svc/mex で公開します。これを設定する構成を次に示します。

  <system.serviceModel>
    <services>
      <service 
          name="Microsoft.ServiceModel.Samples.CalculatorService"
          behaviorConfiguration="CalculatorServiceBehavior">
        ...
        <!-- the mex endpoint is explosed at         https://localhost/servicemodelsamples/service.svc/mex -->
        <endpoint address="mex"
                  binding="mexHttpBinding"
                  contract="IMetadataExchange" />
      </service>
    </services>

    <!--For debugging purposes set the includeExceptionDetailInFaults     attribute to true-->
    <behaviors>
      <serviceBehaviors>
        <behavior name="CalculatorServiceBehavior">
          <serviceMetadata httpGetEnabled="True"/>
          <serviceDebug includeExceptionDetailInFaults="False" />
        </behavior>
      </serviceBehaviors>
    </behaviors>
  </system.serviceModel>

クライアントは、Service Metadata Utility Tool (Svcutil.exe) によって生成されたクライアント クラスを使用することによって、特定のコントラクト型を使用して通信を行います。このように生成されたクライアントは、ファイル generatedClient.cs または generatedClient.vb に含まれています。このユーティリティは、特定のサービス用のメタデータを取得し、特定のコントラクト型を使用して通信するクライアント アプリケーションによって使用されるクライアントを生成します。クライアント コードを生成するには、ホストされるサービスを利用できる必要があります。このサービスは、更新されたメタデータの取得に使用されるためです。

次のコマンドをクライアント ディレクトリで SDK コマンド プロンプトから実行して、型指定のあるプロキシを生成します。

svcutil.exe /n:"http://Microsoft.ServiceModel.Samples,Microsoft.ServiceModel.Samples" https://localhost/servicemodelsamples/service.svc/mex /out:generatedClient.cs

Visual Basic でクライアントを生成するには、次のコマンドを SDK コマンド プロンプトから入力します。

Svcutil.exe /n:"http://Microsoft.ServiceModel.Samples,Microsoft.ServiceModel.Samples" https://localhost/servicemodelsamples/service.svc/mex /l:vb /out:generatedClient.vb

生成されたクライアントを使用することにより、クライアントは適切なアドレスとバインディングを構成して、指定のサービス エンドポイントにアクセスできます。サービスと同様、クライアントは構成ファイル (App.config) を使用して、通信するエンドポイントを指定します。クライアント エンドポイント構成は、サービス エンドポイントの絶対アドレス、バインディング、およびコントラクトで構成されます。次の例を参照してください。

<client>
     <endpoint
         address="https://localhost/servicemodelsamples/service.svc" 
         binding="wsHttpBinding" 
         contract=" Microsoft.ServiceModel.Samples.ICalculator" />
</client>

クライアント実装はクライアントをインスタンス化し、型指定のあるインターフェイスを使用してサービスとの通信を開始します。次のコード例を参照してください。

// Create a client.
CalculatorClient client = new CalculatorClient();

// Call the Add service operation.
double value1 = 100.00D;
double value2 = 15.99D;
double result = client.Add(value1, value2);
Console.WriteLine("Add({0},{1}) = {2}", value1, value2, result);

// Call the Subtract service operation.
value1 = 145.00D;
value2 = 76.54D;
result = client.Subtract(value1, value2);
Console.WriteLine("Subtract({0},{1}) = {2}", value1, value2, result);

// Call the Multiply service operation.
value1 = 9.00D;
value2 = 81.25D;
result = client.Multiply(value1, value2);
Console.WriteLine("Multiply({0},{1}) = {2}", value1, value2, result);

// Call the Divide service operation.
value1 = 22.00D;
value2 = 7.00D;
result = client.Divide(value1, value2);
Console.WriteLine("Divide({0},{1}) = {2}", value1, value2, result);

//Closing the client releases all communication resources.
client.Close();

このサンプルを実行する場合は、操作要求および応答はクライアントのコンソール ウィンドウに表示されます。クライアントをシャットダウンするには、クライアント ウィンドウで Enter キーを押します。

Add(100,15.99) = 115.99
Subtract(145,76.54) = 68.46
Multiply(9,81.25) = 731.25
Divide(22,7) = 3.14285714285714

Press <ENTER> to terminate client.

この入門サンプルでは、サービスとクライアントの標準的な作成方法を示します。その他の基本的な Windows Communication Foundation テクノロジ サンプルでは、このサンプルに基づいて、具体的な製品機能の例を示します。

サンプルを設定、ビルド、および実行するには

  1. Windows Communication Foundation サンプルの 1 回限りのセットアップの手順」が実行済みであることを確認します。

  2. ソリューションの C# 版または Visual Basic .NET 版をビルドするには、「Windows Communication Foundation サンプルのビルド」の手順に従います。

  3. 単一コンピュータ構成か複数コンピュータ構成かに応じて、「Windows Communication Foundation サンプルの実行」の手順に従います。

関連項目

その他の技術情報

How To: Create a Basic Self-Hosted Service
How To: Create a Basic IIS-Hosted Service

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