カルチャを認識しないコレクションの操作の実行
System.Collections 名前空間には、既定の動作でカルチャに依存するクラスとメンバーがあります。 CaseInsensitiveComparer クラスと CaseInsensitiveHashCodeProvider クラスの既定のコンストラクターは、Thread.CurrentCulture プロパティを使用して新しいインスタンスを初期化します。 CollectionsUtil.CreateCaseInsensitiveHashTable メソッドのすべてのオーバーロードは、既定で Thread.CurrentCulture プロパティを使用して Hashtable クラスの新しいインスタンスを作成します。 ArrayList.Sort メソッドのオーバーロードは、既定で Thread.CurrentCulture を使用してカルチャに依存した並べ替えを実行します。 文字列をキーとして使用する場合、SortedList の並べ替えと検索は Thread.CurrentCulture の影響を受けることがあります。 Collections 名前空間のこれらのクラスおよびメソッドからカルチャに依存しない結果を取得するには、後で説明する使用に関する推奨事項に従ってください。
メモ 比較メソッドに CultureInfo.InvariantCulture を渡すと、カルチャに依存しない比較が実行されます。 ただし、この場合、ファイル パス、レジストリ キー、環境変数などに関する非言語的な比較は行われません。 また、比較結果に基づくセキュリティの決定もサポートされません。 非言語的な比較を行う場合、または結果に基づくセキュリティの決定をサポートする場合、アプリケーションは StringComparison 値を受け取る比較メソッドを使用してから、 Ordinal を渡す必要があります。
CaseInsensitiveComparer クラスと CaseInsensitiveHashCodeProvider クラスの使用
CaseInsensitiveHashCodeProvider と CaseInsensitiveComparer の既定のコンストラクターは、Thread.CurrentCulture を使用してクラスの新しいインスタンスを初期化するため、その動作はカルチャに依存します。 次のコード例に示す Hashtable のコンストラクターは、CaseInsensitiveHashCodeProvider と CaseInsensitiveComparer の既定のコンストラクターを使用しているため、カルチャに依存します。
internalHashtable = New Hashtable(CaseInsensitiveHashCodeProvider.Default, CaseInsensitiveComparer.Default)
internalHashtable = new Hashtable(CaseInsensitiveHashCodeProvider.Default, CaseInsensitiveComparer.Default);
CaseInsensitiveComparer クラスと CaseInsensitiveHashCodeProvider クラスを使用してカルチャに依存しない Hashtable を作成するには、culture パラメーターを受け取るコンストラクターを使用してこれらのクラスの新しいインスタンスを初期化します。 culture パラメーターには、CultureInfo.InvariantCulture を指定します。 カルチャに依存しない Hashtable のコンストラクターを次のコード例に示します。
internalHashtable = New Hashtable(New
CaseInsensitiveHashCodeProvider(CultureInfo.InvariantCulture),
New CaseInsensitiveComparer(CultureInfo.InvariantCulture))
internalHashtable = new Hashtable(new CaseInsensitiveHashCodeProvider
(CultureInfo.InvariantCulture),
new CaseInsensitiveComparer(CultureInfo.InvariantCulture));
CollectionsUtil.CreateCaseInsensitiveHashTable メソッドの使用
CollectionsUtil.CreateCaseInsensitiveHashTable メソッドは、文字列の大文字と小文字の区別を無視する Hashtable クラスの新しいインスタンスを作成するための便利なショートカットです。 ただし、CollectionsUtil.CreateCaseInsensitiveHashTable メソッドのオーバーロードはすべて Thread.CurrentCulture プロパティを使用するため、カルチャに依存します。 このメソッドを使用して、カルチャに依存しない Hashtable を作成することはできません。 カルチャに依存しない Hashtable を作成するには、culture パラメーターを受け取る Hashtable のコンストラクターを使用します。 culture パラメーターには、CultureInfo.InvariantCulture を指定します。 カルチャに依存しない Hashtable のコンストラクターを次のコード例に示します。
internalHashtable = New Hashtable(New
CaseInsensitiveHashCodeProvider(CultureInfo.InvariantCulture),
New CaseInsensitiveComparer(CultureInfo.InvariantCulture))
internalHashtable = new Hashtable(new CaseInsensitiveHashCodeProvider
(CultureInfo.InvariantCulture),
new CaseInsensitiveComparer(CultureInfo.InvariantCulture));
SortedList クラスの使用
SortedList は、キーで並べ替えられ、キーやインデックスでアクセスできるキーと値の組み合わせのコレクションを表します。 文字列がキーである SortedList を使用すると、並べ替えおよび検索が Thread.CurrentCulture プロパティの影響を受ける可能性があります。 SortedList の動作がカルチャに依存しないようにするには、comparer パラメーターを受け取るコンストラクターを使用して SortedList を作成します。 comparer パラメーターは、キーを比較するときに使用する IComparer の実装を指定します。 このパラメーターには、CultureInfo.InvariantCulture を使用してキーを比較するカスタム比較演算子クラスを指定します。 SortedList コンストラクターの comparer パラメーターとして指定できる、カルチャに依存しないカスタム比較演算子クラスの例を次に示します。
Imports System
Imports System.Collections
Imports System.Globalization
Friend Class InvariantComparer
Implements IComparer
Private m_compareInfo As CompareInfo
Friend Shared [Default] As New InvariantComparer()
Friend Sub New()
m_compareInfo = CultureInfo.InvariantCulture.CompareInfo
End Sub
Public Function Compare(a As Object, b As Object) As Integer _
Implements IComparer.Compare
Dim sa As String = CType(a, String)
Dim sb As String = CType(b, String)
If Not (sa Is Nothing) And Not (sb Is Nothing) Then
Return m_compareInfo.Compare(sa, sb)
Else
Return Comparer.Default.Compare(a, b)
End If
End Function
End Class
using System;
using System.Collections;
using System.Globalization;
internal class InvariantComparer : IComparer
{
private CompareInfo m_compareInfo;
internal static readonly InvariantComparer Default = new
InvariantComparer();
internal InvariantComparer()
{
m_compareInfo = CultureInfo.InvariantCulture.CompareInfo;
}
public int Compare(Object a, Object b)
{
String sa = a as String;
String sb = b as String;
if (sa != null && sb != null)
return m_compareInfo.Compare(sa, sb);
else
return Comparer.Default.Compare(a,b);
}
}
一般的に、カスタム インバリアント比較演算子を指定せずに、文字列に対して SortedList を使用した場合は、リストが作成された後に Thread.CurrentCulture を変更するとリストが無効になることがあります。
ArrayList.Sort メソッドの使用
ArrayList.Sort メソッドのオーバーロードは、既定で Thread.CurrentCulture プロパティを使用してカルチャに依存した並べ替えを実行します。 結果は、並べ替えの順序が異なるため、カルチャごとに異なることがあります。 動作がカルチャに依存しないようにするには、IComparer 実装を受け取るこのメソッドのオーバーロードを使用します。 comparer パラメーターには、CultureInfo.InvariantCulture を使用するカスタム インバリアント比較演算子クラスを指定します。 カスタム インバリアント比較子クラスの例については、「SortedList クラスの使用」を参照してください。
参照
参照
CaseInsensitiveHashCodeProvider
CollectionsUtil.CreateCaseInsensitiveHashTable メソッド