Microsoft Dynamics 365 システムのバックアップ

公開日: 2017年1月

対象: Dynamics 365 (on-premises)、Dynamics CRM 2016

どのような状況からでも回復を行うためには、必要なすべての情報をバックアップし、コピーをオフサイトに保存しておく必要があります。 すべての Microsoft Dynamics 365 コンポーネントとサービスで、ディスク障害またはその他の障害が発生した場合に最大限のデータを回復できるように、バックアップ計画を作成してリハーサルを行う必要があります。

このトピックの内容

バックアップ要件の概要

バックアップ技術と種類の選択

Windows Server のバックアップ

Active Directory のバックアップ

SQL Server のバックアップ (Reporting Services を含む)

Microsoft Dynamics 365 Server のバックアップ

バックアップ要件の概要

バックアップ要件は、関連するサーバーによって異なります。 以下の表に、Microsoft Dynamics 365 のバックアップ対象の概要を示します。

バックアップ技術と種類の選択

Microsoft Dynamics 365 Server にはボリューム シャドー コピー サービス (VSS) サポートが含まれ、これを System Center Data Protection Manager と共に使用すると、Microsoft Dynamics 365 のバックアップおよび復元操作を一元管理できます。 詳細については、Microsoft Dynamics 365 VSS Writer サービス および データ保護マネージャーを参照してください。

Windows Server 2012 の Windows Server バックアップは、ローカル ストレージとして、外部および内部ハード ディスク、光学メディア ドライブ、リムーバル メディア ドライブ、および Hyper-V 仮想マシンをサポートします。 また、Windows Server 2012 は、Microsoft Azure Online Backup を使用して、オンライン バックアップをサポートします。詳細: Azure バックアップ

スケジュールされたバックアップを実行するときのベスト プラクティスは、USB 2.0 または IEEE 1394 をサポートする外付けハード ディスクを使用することです。

Windows Server 2012 では、3 種類のバックアップを実行できます。

• システム状態バックアップには、Active Directory を回復するために必要なすべてのファイルが含まれます。

• 重要なボリュームのバックアップには、システム状態ファイルが格納されているすべてのボリュームが含まれます。

• サーバーの完全バックアップには、サーバー上のすべてのボリュームが含まれます。

Windows Server のバックアップ

Windows Server に付属するバックアップ ツールを使用すると、重要な企業データをディスク、リムーバブル メディア、またはクラウドにバックアップできます。バックアップと復元ウィザードに含まれるスケジュール機能により、小規模ビジネス ネットワーク内でサーバー自体とワークステーションのデータをバックアップできます。 バックアップされるデータには、セキュリティ情報、ファイルと共有の権限、およびレジストリ データが含まれます。 セキュリティ データの場合、Administrators グループまたは Backup Operators グループのメンバーだけがバックアップを実行できます。 サーバー上の個々のファイルとディレクトリは、バックアップと復元ウィザードを使用して復元できます。

Active Directory のバックアップ

Windows Server バックアップを使用して、オペレーティング システム状態、ボリューム、ファイル、およびアプリケーション データを保護できます。Active Directory のバックアップの詳細については、「Windows Server のバックアップ機能の概要」および「Windows Server 2012: Active Directory フォレストの復旧のための計画」を参照してください。

Active Directory のバックアップもお勧めしますが、データの損失を防止する唯一の方法は、複数の Active Directory ドメイン コントローラーを使用することです。 こうすると、1 つのドメイン コントローラーで障害が発生した場合でも、その他のドメイン コントローラーにディレクトリの完全なコピーが保持されます。 バックアップには、最後にバックアップされた時点でのデータのみが保持されます。

SQL Server のバックアップ (Reporting Services を含む)

Windows Server 2012 の Windows Server バックアップは、ボリューム シャドウ コピー サービス (VSS) を使用して Microsoft SQL Server アプリケーション データを保護します。SQL Server の実行中に使用できる代わりの方法は、Microsoft SQL Server の組み込みバックアップ機能です。

SQL Server データベースのバックアップ作成に SQL Server Management Studio を使用する場合、Reporting Services が作成したデータベース バックアップを含めるために バックアップと復元ウィザード からのバックアップ ジョブを実行できます。Reporting Services のバックアップ処理を最初に実行し、その後でバックアップと復元ウィザードのバックアップ ジョブを実行するように、スケジュールします。詳細: SQL Server でのデータベースのバックアップおよび復元

SQL Server では、少なくとも 2 つの Microsoft Dynamics 365 固有データベースが Microsoft Dynamics 365 に作成されます。 また、Microsoft Dynamics 365 にはデータベース サービス用の既定の master および msdbSQL Server データベースと、Reporting Services用の既定のレポート サーバー SQL Server データベースが必要です。SQL Server で Dynamics 365 システムを構成するデータベースは次のとおりです。

• OrganizationName_MSCRM

• MSCRM_CONFIG

• ReportServer

• ReportServertempdb

• master

• msdb

SQL Server のバックアップ計画では、これらの各データベースに対処して、データベース障害が発生した場合に Microsoft Dynamics 365 を回復できるようにする必要があります。 組織に SQL Server または別のデータベース アプリケーションが既に存在する場合、データベース管理者がデータベース バックアップ方針を作成している可能性があります。 一方、初めてデータベース アプリケーションを組織に導入する場合は、スケジュールされたジョブを作成して管理し、SQL Server Management Studio のメンテナンス プラン ウィザードを使用して必要なバックアップを実行できます。 メンテナンス プラン ウィザードを開始するには、Reporting Services, でサーバーを展開し、次に Management フォルダーを展開して、Maintenance Plans フォルダーを右クリックし、[メンテナンス プラン ウィザード]をクリックします。

Microsoft Dynamics 365 データベースのバックアップ計画では、Microsoft Dynamics 365 インストールの内容と、バックアップが必要と判断した頻度に応じて、完全データベース バックアップといくつかのトランザクション ログ バックアップを含むバックアップ セットが提供されます。 詳細については、「SQL Server データベースのバックアップと復元」を参照してください。

msdb データベースなど、更新頻度が低いデータベースでは、完全データベース バックアップのみを実行する場合があります。OrganizationName_MSCRM、MSCRM_CONFIG、および ReportServer データベースには、完全データベース バックアップとトランザクション ログ バックアップの両方が必要です。

トランザクション ログ バックアップを実行するデータベースには、完全復旧モデルのデータベース プロパティ セットが必要です。 このプロパティは SQL Server Management Studio を介して設定できます。 詳細については、「復旧モデル」を参照してください。

障害発生後の復元回数を減らすため、十分な頻度で完全データベース バックアップを実行するようにスケジュールします。 たとえば、1 日分のデータが失われても対応可能な場合は、1 日に 1 回トランザクション ログをバックアップし、1 週間に 1 回データベースをバックアップします。 最大 1 時間分のデータ損失にしか対応できない場合は、1 時間に 1 回トランザクション ログをバックアップします。 復元回数を減らすため、1 日に 1 回データベースをバックアップします。

スケジュールされたバックアップ用のデータベース保守計画を作成するには、SQL Server Management Studio からメンテナンス プラン ウィザードを実行します。 完全データベース バックアップ用の保守計画の一部として、データベースのバックアップ オプションを選択します。 トランザクション ログ バックアップ用の保守計画の一部として、トランザクション ログのバックアップ オプションを選択します。

SQL Server を実行しているコンピューターについても、データベース サーバーに適したフォールト トレランスのレベルに応じて計画する必要があります。 これには、データベース用の RAID-5 ディスク アレイとトランザクション ログ用の RAID-1 (ミラー) が含まれます。 ハードウェアのフォールト トレランスのレベルが正しければ、バックアップからの復元が必要になることはほとんどありません。

詳細:

SQL Server でのデータベースのバックアップおよび復元

Microsoft Dynamics 365 Server のバックアップ

Microsoft Dynamics 365 Server のバックアップと復元では、基本的に以下のデータが対象になります。

• Microsoft Dynamics 365 Server のデータベース ファイル (前述)

• Microsoft Dynamics 365 Server のプログラム ファイル

• Microsoft Dynamics 365 Web サイトのファイル

Microsoft Dynamics 365 アプリケーションを使用しないで実装されているソリューションおよびカスタマイズのバックアップ方法については、ソリューションのベンダーに問い合わせてください。

既定では、すべての Microsoft Dynamics 365 のプログラム ファイルは、次のフォルダーに配置されます。

• C:\Program Files\Microsoft Dynamics CRM\

• C:\Program Files\Microsoft Dynamics 365 Reporting Extensions\

既定では、Microsoft Dynamics 365 Web サイトのファイルは、次のフォルダーに配置されます。

• C:\Program Files\Microsoft Dynamics CRM\CRMWeb

関連項目

Microsoft Dynamics 365 データ保護および回復
カスタマイズおよびソリューションのインポートとエクスポート

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