Exchange 2010 ハイブリッド展開の管理について
適用先: Exchange Server 2010 SP2
社内組織と、クラウド ベースの組織は、ともに Exchange 2010 をベースにしています。これにより、ハイブリッド組織を管理するために使用する必要がある管理インターフェイスの数を抑えることができます。
既存の Exchange 2010 サーバーをハイブリッド展開用に構成すると、そのサーバーに Exchange 2010 管理ツールが自動的にインストールされます。それらの管理ツールは、既定で、ハイブリッド サーバーの構成に使用されますが、クラウドベースの組織の構成にも使用できます。このような管理ツールとして、GUI 形式の管理インターフェイスに当たる Exchange 管理コンソール (EMC) と Windows PowerShell ベースのコマンドライン インターフェイスに当たる Exchange 管理シェルを挙げることができます。
Exchange 管理コンソール
EMC を使用すると、数多くの展開タスクやほとんどの一般的な日常の管理タスクを実行できます。既定では、EMC はすべての Exchange 2010 サーバーにインストールされますが、次の 64 ビット オペレーティング システムのいずれかにインストールすることもできます。
Windows Server 2008 SP2 Standard および Enterprise
Windows Server 2008 R2 Standard および Enterprise
Windows 7
Windows Vista Service Pack (SP) 2
EMC による管理の対象が社内のハイブリッド サーバーだけの場合、インストールする必要があるのは Exchange 管理ツールとその前提条件だけです。一方、EMC をクラウドベースの組織の管理に使用する場合は、管理ツールがインストールされている任意のコンピューターに Microsoft Online Service Connector もインストールする必要があります。このコネクタは、EMC がクラウドベースの組織を正しく認証するために必要なコンポーネントを追加します。
クラウドベースの組織の EMC への追加は、別の Exchange 2010 フォレストの EMC への追加と類似しています。EMC に追加されたクラウドベースの組織は、ナビゲーション ツリーでは、別のノードとして表示されます。このナビゲーション ツリーで、クラウドベースの組織を選択して、組織と受信者オブジェクトを構成できます。ただし、社内組織ノードにある多くのオブジェクトはクラウドベースの組織ノードでは使用できないことに注意してください。次に、クラウドベースの組織ノードでは使用できない設定の例を示します。
物理サーバーの構成
送信および受信コネクタの構成
トランスポート制限
トランスポート収集
カスタム配信状態通知 (DSN) コード
アドレス一覧
オフライン アドレス帳
管理された既定のフォルダー
電子メール アドレス ポリシー
データベースの管理
データベース可用性グループ
次のスクリーンショットでは、同じコンソール内に社内組織とクラウドベース組織があります。
Exchange 管理コンソール内の社内組織とクラウド ベースの組織
EMC では、クラウドベースの組織ノードの追加以外にも、使用できる機能がいくつかあります。たとえば、EMC を使用して社内組織とクラウドベースの組織間でメールボックスを移動できます。
詳細情報:Exchange 管理コンソール
Exchange 管理シェル
このシェルを使用すると、EMC で実行できるあらゆるタスクのほか、シェルだけでしか実行できないいくつかのタスクも実行できます。このシェルは、Exchange 2010 管理ツールがインストールされるときにコンピューターにインストールされる Windows PowerShell スクリプトとコマンドレットを集めたものです。これらのスクリプトとコマンドレットは、Exchange 管理シェル アイコンを使用してシェルを起動したときだけ、読み込まれます。Windows PowerShell を直接開いても、これらの Exchange スクリプトとコマンドレットは読み込まれないため、社内組織は管理できません。
注意
以下で説明するクラウドベースの組織への手動接続と同様の方法で、Windows PowerShell をローカルの社内組織に手動で接続することはできます。ただし、社内のハイブリッド サーバーの管理には、Exchange 管理シェル アイコンを使用してシェルを開くことを強くお勧めします。
管理ツールがインストールされているコンピューター上で Exchange 管理シェル アイコンを使用してシェルを開くと、社内組織を管理できます。ただし、このアイコンを使用してシェルを開いてもクラウドベースの組織は管理できません。これは、Exchange 管理シェル アイコンを使用してシェルを開くと、ユーザーが自動的にローカルのハイブリッド サーバーに接続されるためです。
Windows PowerShell を使用してクラウドベースの組織を管理する場合は、Exchange 管理シェル アイコンの使用は避け、Windows PowerShell を直接開く必要があります。Windows PowerShell を開いた後、接続先を手動で指定できます。手動で接続を確立するときは、クラウドベースの組織の管理者アカウントを指定した後、コマンドを使用して接続を確立します。接続が確立したら、実行のアクセス許可がある Exchange コマンドレットを使用できるようになります。
シェルを使った経験がない場合は、次のトピックを調べてシェルのしくみ、コマンド構文などについて基本事項を把握してください。
詳細情報: Exchange 2010 で PowerShell を使用する (Exchange 管理シェル)
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