Exchange 2010 によるハイブリッド サーバーについて

適用先: Exchange Server 2010 SP2

ハイブリッド展開を構成するときには、既存の Exchange 組織内にハイブリッド サーバーを構成する必要があります。ハイブリッド サーバーは、Exchange 2010 サーバーの役割で構成された既存の物理サーバーで、既存の Exchange 組織とクラウドベース組織間の通信を調整します。この通信には、社内組織とクラウドベース組織間のメッセージ トランスポート機能およびメッセージング機能が使用されます。

ハイブリッド サーバーの役割

ハイブリッド サーバーには、次の Exchange 2010 サーバーの役割をインストールする必要があります。

• クライアント アクセス サーバーの役割   ハイブリッド サーバー上のクライアント アクセス サーバーの役割によって提供される機能は、ハイブリッド展開をサポートするために必要な機能が若干追加されますが、基本的には Exchange 組織内の他のクライアント アクセス サーバーによって提供される機能と同じです。Outlook クライアント アクセス、Outlook Web App、および Outlook Anywhere などのハイブリッド組織用のすべてのクライアント接続は、ハイブリッド サーバーのクライアント アクセス サーバーの役割を介して行われます。空き情報の共有など、社内組織とクラウドベース組織間の組織上の関係機能も、ハイブリッド サーバー上のクライアント アクセス サーバーの役割によって処理されます。

  詳細情報:クライアント アクセスについて

• ハブ トランスポート サーバーの役割   ハイブリッド サーバー上のハブ トランスポート サーバーの役割は、社内組織とクラウドベース Exchange 組織間のすべてのメール フローを処理します。必要があれば、社内組織のインターネット間のメッセージ ルーティングを処理するように構成することもできます。この役割は、社内組織とクラウドベース組織間のトランスポート通信をセキュリティで保護するのに役立つほか、トランスポート ルール、ジャーナリング ポリシー、およびハイブリッド展開内のユーザー メールボックスへのメッセージ配信も処理します。

  詳細情報:ハブ トランスポート サーバーの役割の概要

ハイブリッド サーバーの機能

ハイブリッド サーバーは、ハイブリッド展開の社内組織にとって重要な機能をいくつか提供します。

• フェデレーション   ハイブリッド サーバーにより、Microsoft Federation Gateway との間の社内組織のフェデレーションの信頼を作成することができます。Microsoft Federation Gateway は、社内組織とクラウドベース組織間の信頼ブローカーとして機能する、マイクロソフト提供のクラウドベースのサービスです。フェデレーションは、社内組織とクラウドベース組織間の組織の関係を作成するうえで必須です。

  詳細情報:フェデレーションについて

• 組織上の関係   ハイブリッド サーバーにより、社内組織とクラウドベース組織間の組織上の関係を作成することができます。組織上の関係は、ハイブリッド展開においてその他の多くのサービス (予定表の空き時間情報の共有、メッセージ追跡、社内組織とクラウドベース組織間でのメールボックスの移動など) に必要です。

  詳細情報:フェデレーション委任について

• メッセージ トランスポート   ハイブリッド サーバーは、ハイブリッド展開において、社内組織とクラウドベース組織間のメッセージ トランスポートを担当します。共存サーバーは、送信コネクタと受信コネクタを使用して、クラウドベースの組織からの受信メッセージ用の接続エンドポイントとして機能します。

  詳細情報:トランスポートについて

• メッセージ トランスポート セキュリティ   ハイブリッド サーバーにより、Exchange 2010 のドメイン セキュリティ機能を使用して、社内組織とクラウドベース組織間のメッセージ通信をセキュリティで保護することができます。メッセージ通信に対して相互トランスポート層セキュリティ認証および暗号化を使用することによって、セキュリティを強化できます。

  詳細情報:ドメイン セキュリティについて

• Outlook Web App   ハイブリッド サーバーは、社内メールボックスおよびクラウドベースのメールボックスへの外部接続用の単一 URL エンドポイントを構成する機能をサポートしています。社内メールボックスの場合は、ユーザーの Outlook Web App 要求を Exchange 2010 メールボックス サーバーに自動的にリダイレクトするようにハイブリッド サーバーを構成できます。クラウドベース組織のメールボックスの場合は、クラウドベースの組織の Outlook Web App エンドポイントへのリンクを自動的に表示するようにハイブリッド サーバーを構成できます。

  詳細情報:Outlook Web App について

ハイブリッド サーバーのトポロジ

ハイブリッド サーバーは、Exchange 2010 サーバーを既存の Exchange 2010 組織で構成するときのようにして構成します。ハイブリッド サーバーは、クライアント アクセス サーバーとハブ トランスポート サーバーの役割を使用して、既存の Exchange 2010 クライアント アクセス サーバーによって提供されるサービスに似た多くのサービスを担当します。違いは、ハイブリッド サーバーの責任が、主に社内組織とクラウドベース組織間のハイブリッド展開関連のメッセージングに限られる点です。次の表に、ハイブリッド展開を構成した後のサービスにおける変更点の概要を示します。

ハイブリッド サーバー ソフトウェア

Exchange Server 2010 Service Pack 1 (SP1) は、ハイブリッド展開機能の基盤となります。指定された Exchange 2010 ハイブリッド サーバーを Exchange 2010 SP1 に更新する必要があります。

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