場所のプロファイル

トピックの最終更新日: 2009-04-30

場所のプロファイルとは、電話番号の承認と通話ルーティングを目的として、特定の場所の電話番号を 1 つの標準形式 (E.164) に変換する正規化ルールのセットに名前を付けたものです。正規化ルールは、さまざまな形式で表現された電話番号を指定の場所にルーティングする方法を定義します。同じ電話番号文字列が、その番号がダイヤルされたロケールに応じて、異なる方法で解釈および変換されることがあります。

ユーザーごとの場所のプロファイル

個々のユーザーにユーザー プロファイルを割り当てられるのは、Office Communications Server 2007 R2 の新機能です。

Office Communications Server 2007 での場所のプロファイル

Office Communications Server 2007 では、場所のプロファイルを使用して、Office Communications Server がプールの地理的な位置に基づいて電話番号を解釈し、ルーティングする方法を指定することができました。1 つのプールで複数の場所を処理するため、プール レベルの場所のプロファイルでは不十分な場合がありました。このため、Communicator は、グループ ポリシー オブジェクトを使用して、ユーザーの場所のプロファイルを構成する方法もサポートしています。Microsoft Exchange Server では、ユニファイド メッセージングがダイヤル プラン名を使用して、Office Communications Server の場所のプロファイルを参照していました。

Office Communications Server 2007 R2 での場所のプロファイル

Office Communications Server 2007 R2 では、場所のプロファイルを個々のユーザーに割り当てることができます。これにより、管理が容易になり、エンド ユーザー エクスペリエンスも向上します。

Office Communications Server 2007 R2 の場合:

  • 場所のプロファイルを個々のユーザーに割り当てることができます。
  • エンタープライズ VoIP アプリケーションで user-default の電話コンテキストの値を受信したときは、ユーザーごとの場所のプロファイルを参照して使用できます。
  • 場所のプロファイルを、連絡先オブジェクトとして個々のユーザーに追加することができます。
  • インバンド プロビジョニングを使用して、ユーザーごとの場所のプロファイルをユーザーに送ることができます。ユーザーごとの場所のプロファイルをユーザーに割り当てない場合、インバンド プロビジョニングは、プールのレベルで既定の場所のプロファイルを送ります。
  • 最大 4 文字の外部アクセス プレフィックス (#、*、0 ~ 9) を付けて、デバイス ダイヤルを最適化できます。

場所のプロファイルの使用方法の詳細については、展開ガイドの「ステップ 2. 場所のプロファイルの作成」を参照してください。

場所のプロファイルの計画

場所のプロファイルの計画では、次の作業を行います。

  • 組織内のオフィスがあるすべてのロケールをリストアップします。
    多数の小規模なブランチ オフィスを持つ大規模な多国籍企業の場合は、この作業に時間がかかる可能性があります。このリストは、すべてを網羅した最新の情報である必要があります。また、組織の変化に合わせて改訂する必要があります。
  • 各ロケールにおける有効な番号パターンを特定します。
    場所のプロファイルの計画で最も時間がかかるのは、それぞれの場所の有効な番号パターンを特定することです。特定の場所のプロファイル用に記述した正規化ルールを他の場所のプロファイルにコピーできる場合があります (特に、対応しているロケールが同じ国/地域または同じ大陸にある場合)。また、正規化ルールを少し変更するだけで、他の場所に適した正規化ルールを作成できる場合もあります。
  • 組織全体での場所のプロファイルのネーミング規則と、対応する Exchange Server 2007 UM ダイヤル プランを作成します。
    標準のネーミング規則を利用することで、組織全体で時間の経過と共に担当者が変わる場合や数多くの担当者が作業をする場合も、場所のプロファイルに割り当てられている名前と対応する UM ダイヤル プランの整合性を常に維持することができます。
  • 1 つの場所で複数の場所のプロファイルが必要かどうかを判断します。
    組織が単一のダイヤル プランで複数の場所に対応する場合には、PBX から移行するエンタープライズ VoIP ユーザー向けのダイヤル プランを別に作成して、既存の内線番号を維持する必要性が生じる場合があります。
  • ユーザーごとの場所のプロファイルが必要かどうかを決定します。
  • 場所のプロファイルを作成する前または作成した後のどちらで Exchange UM を展開するのかを決定します。
    場所のプロファイルを作成する前に Exchange UM を展開すると (推奨)、対応するダイヤル プランの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用するだけで、場所のプロファイルに名前を割り当てることができます。
    Exchange UM を展開する前に場所のプロファイルを作成する場合は、次のいずれかを実行できます。
    • 場所のプロファイルの名前を後で変更します (対応する UM ダイヤル プランの FQDN がわかっている場合)。
    • 既存の場所のプロファイルをコピーし、対応する UM ダイヤル プランの FQDN を使って、そのコピーの名前を変更します。古い場所のプロファイルはそのまま保持できます (ただし、Exchange UM を構成する際には新しい場所のプロファイルを使用してください)。
  • 場所のプロファイルを Communications Server のフロントエンド サーバー、エンタープライズ プール、および仲介サーバー (拡張メディア ゲートウェイ) に割り当てます。
    仲介サーバーは、Communications Server にルーティングするために、場所のプロファイルを使用して、受信した電話番号形式を E.164 形式に変換します。公衆交換電話網 (PSTN) または PBX 宛ての発信通話のルーティング方法を決定するために、Communications Server 2007 のフロントエンド サーバーとプールに場所のプロファイルを割り当てておく必要があります。
  • Exchange UM がユーザーに代わって通話を開始するシナリオに対応するように場所のプロファイルを構成する必要があるかどうかを決定します。この問題の詳細、およびそれぞれの構成の長所と短所については、「正規化ルール」の「Exchange UM による通話の開始に対応した場所のプロファイルの構成」を参照してください。

場所のプロファイルを作成する際には、名前、説明、および正規化ルールを指定する必要があります。

名前

場所のプロファイルの名前には、通常、場所のプロファイルが適用される場所を示す名前を使用しますが、一定の制約の中で自由に指定できます。ただし、Exchange UM を Communications Server に統合する場合は、場所のプロファイルの名前を対応する UM ダイヤル プランの FQDN と一致させる必要もあります。たとえば、UM ダイヤル プランの名前が「London」ならば、対応する場所のプロファイルの名前は London.forestFQDN となります。forestFQDN は、UM ダイヤル プランが存在するフォレストです。

これらの値は、Exchange UM ダイヤル プランの phone-context 属性に取り込まれます。前の例の London ダイヤル プランでは、phone-context 属性は London.forestFQDN に設定されます。forestFQDN が Contoso.com の場合は、London の場所のプロファイルの名前は London.Contoso.com となります。

場所のプロファイルのネーミングについては、次の 2 つの方法が使用できます。

  • 展開の順序に関係なく、Exchange UM ダイヤル プランごとに個別の場所のプロファイルが必要です。複数の Exchange フォレストで同じダイヤル プラン名を使用している場合は、フォレストごとに UM ダイヤル プラン FQDN と一致する場所のプロファイルを作成する必要があります。
  • Office Communications Server 2007 R2 に付属している OCSUMUtil ツールを使用すると、場所のプロファイル名を検証できます。このツールは、無効な名前を通知するだけで、訂正は行いません。
Dd425158.note(ja-jp,office.13).gif注:
Exchange 2007 ユニファイド メッセージング (UM) を使用しない場合は、多少の制約はありますが、場所のプロファイルに自由に名前を付けることができます (ただし、名前は一意である必要があります)。

説明

場所のプロファイルの適用先となる地理的な場所の一般的でわかりやすい名前を入力することをお勧めします。たとえば、場所のプロファイルの名前が London.Contoso.com である場合、説明を London とすることをお勧めします。Office Communicator 2007 R2 Phone Edition が既に展開されている場合は、このフィールドの名前がエンド ユーザーに対して表示されるため、エンド ユーザーは通話に適した場所のプロファイルを選択できます。