Active Directory ドメイン サービス

トピックの最終更新日: 2009-12-17

Active Directory ドメイン サービス (Windows Server 2003 では Active Directory と呼ばれています) は、Windows Server 2003 および Windows Server 2008 ネットワークのディレクトリ サービスとして機能します。Active Directory ドメイン サービスは、Office Communications Server 2007 R2 のセキュリティ インフラストラクチャを構築するための基盤としても機能します。このセクションの目的は、Office Communications Server で Active Directory ドメイン サービスを使用して IM、Web 会議、メディア、および音声用の信頼できる環境を構築するしくみを説明することです。Active Directory ドメイン サービスに対する Office Communications Server の拡張、および Active Directory ドメイン サービスのための環境の準備の詳細については、「Office Communications Server 2007 R2 用の Active Directory ドメイン サービスの準備」を参照してください。Windows Server 2003 および Windows Server 2008 ネットワークでの Active Directory ドメイン サービスの役割の詳細については、Windows Server 2003 または Windows Server 2008 のドキュメントを参照してください。

Office Communications Server 2007 R2 では、Active Directory ドメイン サービスを使用して以下の情報を格納します。

  • フォレスト内のすべての Office Communications Server 2007 R2 サーバーに必要なグローバル設定
  • フォレスト内のすべての Office Communications Server 2007 R2 サーバーの役割を特定するサービス情報
  • ユーザーの設定

Active Directory ドメイン サービスの準備

Dd572770.note(ja-jp,office.13).gif注:
グローバル設定を、システム コンテナよりも構成コンテナに展開することをお勧めします。以前のリリースから移行する際、以前はシステム コンテナを使用していたが今後は構成コンテナを使用する予定の場合は、アップグレードの準備の前にシステム コンテナの設定を移行する必要があります。システム コンテナの設定を構成コンテナに移行するには、Microsoft Office Communications Server 2007 グローバル設定移行ツール (https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=145236) を参照してください。

Office Communications Server を展開するための最初のステップは、Active Directory ドメイン サービスを準備することです。Office Communications Server 用に Active Directory ドメイン サービスを準備する手順は、次の 3 つのステップで構成されます。

  • スキーマの準備: このタスクでは、Office Communications Server 2007 R2 固有のクラスおよび属性を含めるために Active Directory ドメイン サービスのスキーマを拡張します。スキーマの準備は、スキーマ管理者またはスキーマ マスタのローカル管理者のみが実行できます。
  • フォレストの準備: このタスクでは、フォレストのルート ドメインのグローバル設定およびオブジェクト、これらの設定およびオブジェクトへのアクセスを管理するユニバーサル サービス グループとユニバーサル管理グループを作成します。
  • ドメインの準備: このタスクでは、ドメイン内のユーザーをホストおよび管理するアクセス許可を与えるユニバーサル グループに対して、必要なアクセス制御エントリ (ACE) を追加します。ドメインの準備は、Office Communications Server を展開するすべてのドメインと、Office Communications Server ユーザーが格納されるすべてのドメインで実行する必要があります。

Active Directory ドメイン サービスの準備の各ステップの詳細については、「Office Communications Server 2007 R2 用の Active Directory ドメイン サービスの準備」を参照してください。

ユニバーサル グループ

フォレストの準備時、Office Communications Server では、グローバル設定およびサービスのアクセスと管理のためのアクセス許可を持つさまざまなユニバーサル グループを Active Directory ドメイン サービス内に作成します。これには、次のようなユニバーサル グループが含まれます。

  • 管理グループ: Office Communications Server ネットワークの基本的な管理者役割を定義するグループです。フォレストの準備時、これらの管理者グループが Office Communications Server のインフラストラクチャ グループに追加されます。
  • インフラストラクチャ グループ: Office Communications Server のインフラストラクチャの特定の領域へのアクセスを許可するグループです。このグループは管理グループの構成要素として機能するため、このグループを変更することや、このグループにユーザーを直接追加することは避けてください。
  • サービス グループ: このグループは、Office Communications Server によって提供されるさまざまなサービスにアクセスするために必要なサービス アカウントです。

次の表に、Office Communications Server のユニバーサル グループとその特権を示します。

表 1. Office Communications Server 2007 R2 で作成されるユニバーサル グループ

管理グループ 特権

RTCUniversalServerAdmins

すべてのサーバーの役割、グローバル設定、およびユーザーを含む、フォレスト内のすべての Office Communications Server オブジェクトと設定の管理

RTCUniversalUserAdmins

Office Communications Server に対して有効化されている、フォレスト内のすべてのユーザーの管理

RTCUniversalReadOnlyAdmins

すべてのサーバーおよびユーザーに対する読み取り専用アクセス

インフラストラクチャ グループ

特権

RTCUniversalGlobalReadOnlyGroup

グローバル設定に対する読み取り専用アクセス

RTCUniversalGlobalWriteGroup

グローバル設定に対する書き込みアクセス

RTCUniversalUserReadOnlyGroup

ユーザー設定に対する読み取り専用アクセス

RTCUniversalServerReadOnlyGroup

サーバー設定に対する読み取り専用アクセス

サービス グループ

特権

RTCHSUniversalServices

Office Communications Server 2007 R2 Standard Edition サーバーおよび Enterprise Edition フロントエンド サーバーの実行に使用するサービス アカウント。このグループは、これらのサーバーに対してグローバル設定およびユーザー オブジェクトの読み取りと書き込みを許可します。

RTCArchivingUniversalServices

Office Communications Server 2007 R2 アーカイブ サーバーの実行およびサービス データベースへのアクセスに使用されるサービス アカウント。

RTCProxyUniversalServices

Office Communications Server 2007 R2 プロキシ サーバーの実行に使用されるサービス アカウント。

RTCComponentsUniversalServices

Office Communications Server 2007 R2 会議サーバー、Web コンポーネント サーバー、および仲介サーバーの実行に使用されるサービス アカウント。

RTCUniversalGuestAccessGroup

電話会議の会議コンテンツに対する読み取り専用アクセス。このグループは、Active Directory の資格情報を使用してリモート接続する内部ユーザーと、Active Directory の資格情報を持たない外部ユーザーによって使用されます。

サーバー情報

アクティブ化時に、Office Communications Server は、Active Directory ドメイン サービス内の次の 3 つの場所にサーバー情報を公開します。

  • Office Communications Server がインストールされている物理的なコンピュータに対応する各 Active Directory コンピュータ オブジェクトのサービス接続ポイント (SCP)
  • msRTCSIP-Pools クラスのコンテナに作成されるサーバー オブジェクト
  • 信頼済みサーバーのリスト

サービス接続ポイント

Active Directory ドメイン サービス内の各 Office Communications Server オブジェクトには、RTC サービスと呼ばれる SCP があります。RTC サービスには、各コンピュータを識別し、それぞれのコンピュータが提供するサービスを指定するさまざまな属性が格納されます。SCP の属性のうち、重要なものとしては、serviceDNSNameserviceDNSNameTypeserviceClassname、および serviceBindingInformation を挙げることができます。サードパーティの資産管理アプリケーションは、これらおよび他の SCP 属性を問い合わせることで、展開全体にわたるサーバー情報を取得できます。

Active Directory サーバー オブジェクト

Office Communications Server の各役割には対応する Active Directory オブジェクトがあり、このオブジェクトの属性が、その役割によって提供されるサービスを定義します。Standard Edition サーバーがアクティブ化されたとき、または Enterprise Edition プールが作成されたとき、Office Communications Server では、msRTCSIP-Pools コンテナ内に新しい msRTCSIP-Pool オブジェクトが作成されます。msRTCSIP-Pool クラスは、プールの完全修飾ドメイン名 (FQDN) と、プールのフロントエンドおよびバックエンド コンポーネント間の関連付けを指定します (Standard Edition サーバーは、フロントエンドとバックエンドが 1 台のコンピュータに配置された論理プールと見なされます)。

信頼済みサーバーのリスト

フォレストの準備時、Office Communications Server は、信頼済みサーバーのリストを格納するためのコンテナを作成します。アクティブ化時に、Office Communications Server サーバーは各サーバーの FQDN を該当するコンテナに公開します。信頼済みサーバーは、以下の条件を満たすサーバーです。

  • サーバーの FQDN が、前のセクションで説明したように、Active Directory ドメイン サービスの信頼済みサーバーのリストのいずれかに出現する。
  • サーバーは信頼済み CA からの有効な証明書を提示していて、この証明書の FQDN が、信頼済みサーバーのリストのいずれかに含まれる、そのサーバーの FQDN に一致している。Office Communications Server における証明書の使用方法の詳細については、「Office Communications Server 2007 R2 における公開キー基盤」を参照してください。

この条件のいずれかに合致しない場合、サーバーは信頼されず、そのサーバーへの接続は拒否されます。この二重の要件により、悪意のあるサーバーが有効なサーバーの FQDN を取得しようとする攻撃 (実行される可能性は低い) を防ぐことができます。

複数の信頼済みサーバー リストの使用は、単一の信頼済みサーバー リストのみを管理していた以前のバージョンの Live Communications Server からの脱却を示します。リストの各サーバーは、グロバール設定コンテナのグローバル一意識別子 (GUID) として表されます。Office Communications Server 2007 R2 で新しいサーバーの役割が追加されたことにより、さまざまなサーバーの役割の GUID を保持するための新しいコンテナが定義されました。次の表に、新しいコンテナと、それぞれのコンテナの信頼済みサーバーのリストを示します。

表 2. 信頼済みサーバーのリストとその Active Directory コンテナ

信頼済みサーバーのリスト Active Directory コンテナ

Standard Edition サーバーおよびエンタープライズ プールのフロントエンド サーバー

RTC サービス/グローバル設定

会議サーバー

RTC サービス/信頼済み MCU

Web コンポーネント サーバー

RTC サービス/TrustedWebComponentsServers

仲介サーバーおよび Communicator Web Access サーバー (サードパーティの SIP サーバーを含む)

RTC サービス/信頼済みサービス

プロキシ サーバー

RTC サービス/信頼済みプロキシ

信頼済みサーバーのリストの FQDN エントリは、個々の Office Communications Server オブジェクトの FQDN エントリと重複しています。この冗長性の目的は、信頼済みサーバーのスプーフィングを防ぐことです。Active Directory ドメイン サービスでは個々のユーザーが自分のパーソナル コンピュータに対応するコンピュータ オブジェクトの属性を変更できるため、このようなスプーフィングが行われることが考えられます。ほとんどの組織では、作業用コンピュータでこのように変更を行うことをユーザーに対して許可していませんが、信頼済みサーバーのリストによって、RTCUniversalServerAdmins のメンバだけがこのような変更を行うことができるようにすることで、セキュリティが一段と強化されます。