Windows Vista、Windows 7、および Windows Server 2008 で SharePoint 2010 の開発環境をセットアップする

最終更新日: 2011年3月18日

適用対象: SharePoint Foundation 2010 | SharePoint Server 2010

この記事の内容
手順 1: オペレーティング システムを選択して事前に構成する
手順 2: SharePoint 2010 用の必須コンポーネントをインストールする
手順 3: SharePoint 2010 をインストールする
手順 4: Visual Studio 2010 と開発者ドキュメントをインストールする
手順 5: インストールしたシステムから Hyper-V イメージを作成する

SharePoint ソリューションを作成またはカスタマイズする場合、通常は、Microsoft SharePoint Server 2010 または Microsoft SharePoint Foundation 2010 がインストールされているローカル コンピューター上でソリューションを開発するのが最善策です。この記事では、Microsoft SharePoint 2010 および Microsoft Visual Studio 2010 を備えた開発環境のインストール方法を説明します。ここで説明する方法で作成する開発環境は、SharePoint ファーム インストールをサポートしないので、この構成でアクティブな実稼働サイトをホストしないでください。ここで説明する方法を使用すると、SharePoint カスタム ソリューションの開発に適した環境で作業を始めることができます。

注意

SharePoint Server 2010 開発を開始するのに必要なすべての必須コンポーネントと製品をインストールおよび構成する Windows PowerShell スクリプトについては、「SharePoint 2010 Easy Setup Script (英語)」を参照してください。

手順 1: オペレーティング システムを選択して事前に構成する

開発環境の要件は、実稼働環境の要件ほど厳しくなく、費用も低く抑えられます。このトピックのガイドラインは、実稼働環境のインストールをサポートしません。開発用に SharePoint 2010 をインストールするローカル コンピューターのオペレーティング システムを事前に構成するためのオプションはいくつかあります。何を選ぶかは、それぞれの組織と環境に固有の要因 (予算、開発チームの規模、現在使用しているオペレーティング システムなど) によって決まります。

どのような開発環境でも、SharePoint Foundation をインストールして実行するには、対象のコンピューターに x64 対応の CPU と少なくとも 2 ギガバイト (GB) の RAM が搭載されている必要があります (4 GB の RAM を推奨)。SharePoint Server をインストールして実行するには、対象のコンピューターに 4 GB の RAM が搭載されている必要があります (6 ~ 8 GB の RAM を推奨)。

次のオプションがあります。

  • Windows Server 2008 Service Pack 2 x64 (または Windows Server 2008 R2 x64) 上に SharePoint をインストールします。

  • Microsoft Hyper-V を使用し、Windows Server 2008 Service Pack 2 x64 (または Windows Server 2008 R2 x64) ゲスト オペレーティング システムを実行している仮想マシン上に SharePoint をインストールします。

  • Windows 7 x64、Windows Vista Service Pack 1 x64、または Windows Vista Service Pack 2 x64 上に SharePoint をインストールします。

  • Microsoft Hyper-V を使用し、Windows 7 x64、Windows Vista Service Pack 1 x64、または Windows Vista Service Pack 2 x64 ゲスト オペレーティング システムを実行している仮想マシン上に SharePoint をインストールします。

Microsoft Windows 用の WCF 修正プログラムをインストールする必要があります。この修正プログラムは、Windows Server 2008 Service Pack 2、Windows Vista Service Pack 1、Windows Vista Service Pack 2 のほか、Windows Server 2008 R2 と Windows 7 で使用できます。

Windows Vista Service Pack 1 または Windows Vista Service Pack 2 を使用している場合は、IIS 7.0 上の ASP.NET の修正プログラム (KB967535) をインストールしてください。この修正プログラムは、Windows 7、Windows Server 2008 Service Pack 2、および Windows Server 2008 R2 には既にインストールされており、ASP.NET 共通言語ランタイム (CLR) を更新して、コンパイルを最適化する新しいオプションが認識されるようにします。このオプションを利用するには、web.config ファイル内の <compilation> タグの optimizeCompilations プロパティを true に設定します。

<compilation optimizeCompilations="true">

この変更により、bin ディレクトリにソリューションをインストールした後の初期ページ読み込み時間が大幅に短縮されます。

.NET Framework 3.5 SP1 の ADO.NET データ サービスの更新プログラムをインストールして、REST ベースのデータ サービスを有効にする必要があります。この更新プログラムは、Windows Server 2008 Service Pack 2、Windows Vista Service Pack 1、Windows Vista Service Pack 2 のほか、Windows Server 2008 R2 と Windows 7 で使用できます。

Windows 7 と Windows Vista は、SharePoint 2010 の実稼働展開には使用できません。開発環境用に Windows 7 または Windows Vista を使用する場合は、実稼働環境と同じオペレーティング システムがインストールされているテスト環境にアクセスできることが必要です。Windows 7 と Windows Vista は、開発者ワークステーションとしてのみ推奨されており、スタンドアロン インストールにのみ使用してください。独立した Microsoft SQL Server インスタンスを使用できますが、そのインストールを SharePoint ファームとして構成しないでください。また、この構成でアクティブなサイトをホストしないでください。

手順 2: SharePoint 2010 用の必須コンポーネントをインストールする

SharePoint のインストールを開始する前に、一定の必須コンポーネントがインストールされている必要があります。そのため、SharePoint には、これらの必須コンポーネントをすべてインストールする PrerequisiteInstalle.exe ツールが含まれています。開発者ワークステーションが Windows Server 2008 Service Pack 2 または Windows Server 2008 R2 オペレーティング システムでセットアップされている場合、SharePoint 2010 をインストールするには、SharePoint 2010 に含まれている PrerequisiteInstaller.exe ツールを実行して SharePoint に必要な必須コンポーネントをインストールし、Setup.exe を実行します。ただし、Windows 7 または Windows Vista で PrerequisiteInstaller.exe を使用することはできません。これらのオペレーティング システムでは、このセクションで説明する追加的な手順を実行する必要があります。

既定のインストールは Windows Server 2008 でのみ有効なので、1 つの構成ファイルを編集し、必須コンポーネントの多くを手動でインストールする必要があります。ローカル コンピューター上で管理者アクセス権を持つアカウントを使ってログオンして、以下に示す手順を 1 つずつ実行してください。これらの手順は、SharePoint 2010 配布を圧縮された単一の実行可能ファイルとして受け取っているものと想定しています。この実行可能ファイルの名前は、SharePoint Foundation 2010 用が SharePointFoundation.exe で、SharePoint Server 2010 用が setup.exe です。

開発者ワークステーションをセットアップするには

  1. SharePointFoundation.exe (または setup.exe) インストール ファイルを、SharePoint をインストールして開発を行うフォルダーにコピーします。たとえば、次のようなパスを使用します。

    c:\SharePointFiles

  2. インストール ファイルを解凍するため、コマンド プロンプト ウィンドウを開き、前の手順でインストール ファイルをコピーしたフォルダーのディレクトリ位置で次のコマンドを入力します。

    SharePoint Foundation 2010 の場合:

    c:\SharePointFiles\SharePoint /extract:c:\SharePointFiles

    SharePoint Server 2010 の場合:

    c:\SharePointFiles\OfficeServer /extract:c:\SharePointFiles

  3. メモ帳などのテキスト エディターを使用して、c:\SharePointFiles\files\Setup\config.xml にあるインストール構成ファイル config.xml を開きます。

    <configuration> タグの内部に次の行を追加します。

    <Setting Id="AllowWindowsClientInstall" Value="True"/>
    
  4. この構成ファイルを保存します。

  5. 完成した構成ファイルをよく見てください。SharePoint Foundation 2010 の場合、このファイルは次のようなものになっています。SharePoint Server 2010 の場合、ファイルのサイズはもっと大きくなりますが (したがって、ファイルの内容は下記のテキストと同じではありません)、AllowWindowsClientInstall 属性の設定は同じにしてください。

    <Configuration>
      <Package Id="sts">
        <Setting Id="SETUPTYPE" Value="CLEAN_INSTALL" />
      </Package>
      <DATADIR Value="%CommonProgramFiles%\Microsoft Shared\Web Server
       Extensions\14\Data" />
      <Logging Type="verbose" Path="%temp%" Template="Microsoft Windows
       SharePoint Services 4.0 Setup *.log" />
      <PIDKEY Value="PIDKey Value" />
      <Setting Id="UsingUIInstallMode" Value="1" />
      <Setting Id="SETUP_REBOOT" Value="Never" />
      <Setting Id="AllowWindowsClientInstall" Value="True"/>
    </Configuration>
    

    この構成ファイル内のテキストはすべて大文字と小文字が区別されます。構成ファイルの内容を前の手順のとおりに編集しなかったり、編集後に保存しなかった場合は、インストールを実行しようとしたときに、図 1 に示すようなエラー メッセージが表示されます。

    図 1. エラーによりセットアップを続行できません

    セットアップを続行できません

  6. Windows Vista Service Pack 1 または Windows Vista Service Pack 2 を使用している場合は、次の必須コンポーネントをインストールする必要があります。

  7. Windows Vista Service Pack 1、Windows Vista Service Pack 2、または Windows 7 を使用している場合は、次の追加必須コンポーネントをインストールします。

  8. 必要な Windows の機能の各々を手動で有効にします。コマンド プロンプト ウィンドウに次のコマンドをコピーして実行すれば、これをすばやく行えます。

    注意注意

    下記のテキストには改行が入っています。コマンド プロンプトでこのスクリプトを実行するときは、改行を削除してください。

    start /w pkgmgr /iu:IIS-WebServerRole;IIS-WebServer;IIS-CommonHttpFeatures;
    IIS-StaticContent;IIS-DefaultDocument;IIS-DirectoryBrowsing;IIS-HttpErrors;
    IIS-ApplicationDevelopment;IIS-ASPNET;IIS-NetFxExtensibility;
    IIS-ISAPIExtensions;IIS-ISAPIFilter;IIS-HealthAndDiagnostics;
    IIS-HttpLogging;IIS-LoggingLibraries;IIS-RequestMonitor;IIS-HttpTracing;IIS-CustomLogging;IIS-ManagementScriptingTools;
    IIS-Security;IIS-BasicAuthentication;IIS-WindowsAuthentication;IIS-DigestAuthentication;
    IIS-RequestFiltering;IIS-Performance;IIS-HttpCompressionStatic;IIS-HttpCompressionDynamic;
    IIS-WebServerManagementTools;IIS-ManagementConsole;IIS-IIS6ManagementCompatibility;
    IIS-Metabase;IIS-WMICompatibility;WAS-WindowsActivationService;WAS-ProcessModel;
    WAS-NetFxEnvironment;WAS-ConfigurationAPI;WCF-HTTP-Activation;
    WCF-NonHTTP-Activation
    
  9. 必要な Windows の機能が有効になっていることを確認します。前の手順のコマンドを実行すれば、[Windows の機能] ダイアログ ボックス ([コントロール パネル] の [プログラム] セクションからアクセスできます) の [インターネット インフォメーション サービス] セクション内の必要な機能がすべて有効になります。図 2 および図 3 と照合しながら、必要な Windows の機能がすべて有効になっていることを確認してください。ご使用のオペレーティング システムで有効になっていない機能があれば、[Windows の機能] ダイアログ ボックスの [インターネット インフォメーション サービス] セクションに戻り、それらの機能を有効にしてください。

    注意

    以下の図は、Windows 7 オペレーティング システムを実行しているコンピューター上の [Windows の機能] ダイアログ ボックスを表しています。見やすさを考慮して、2 つの図に分けてあります。Windows Vista でも同じ Windows 機能一覧が表示されます。

    図 2. Windows 7 での Windows の機能の一覧 (前半部分)

    Windows 機能リスト第 1 部

    図 3. Windows 7 での Windows の機能の一覧 (後半部分)

    Windows 機能リスト第 2 部

  10. コンピューターを再起動して、Windows の機能に対して行った変更が実施されるようにします。

手順 3: SharePoint 2010 をインストールする

  1. SharePoint Server 2010 または SharePoint Foundation 2010 をインストールするには、コマンド プロンプト ウィンドウを開き、コマンド プロンプトで次のコマンドを入力します。

    c:\SharePointFiles\Setup.exe
    
  2. マイクロソフト ソフトウェア ライセンス条項に同意します。

  3. [インストールの種類を選択してください] ページで、[スタンドアロン] をクリックして、1 つの開発者ワークステーションにすべてをインストールします。

    図 4. インストールの種類の選択

    インストールの種類の選択

  4. インストールでエラーが発生した場合は、ログ ファイルを調べてください。ログ ファイルを見つけるには、コマンド プロンプト ウィンドウを開き、コマンド プロンプトで次のコマンドを入力します。ディレクトリ リストの終わりにログ ファイルが表示されます。

    cd %temp%
    dir /od *.log
    
    ヒントヒント

    インストールの終了時にログ ファイルへのリンクも表示されます。

  5. インストールが完了すると、SharePoint 製品とテクノロジの構成ウィザードを開始するように求めるメッセージが表示されます。Microsoft SQL Server 2008 のローカル インスタンスを使用している場合は、ウィザードを開始する前に、Microsoft SQL Server 2008 KB 970315 x64 をインストールします。開発環境で Microsoft SQL Server 2008 のリモート インスタンスが使用されている場合、または KB 970315 x64 が既に適用されている Microsoft SQL Server 2008 の既存のインストールがある場合は、この手順は必要ありません。ウィザードを開いたら、次の操作を行います。

    1. SQL Server 2008 KB 970315 x64 をインストールします。

    2. Microsoft SQL Server 2008 KB 970315 x64 のインストールが終了したら、ウィザードを最後まで実行します。

  6. または、[SharePoint 製品とテクノロジ構成ウィザード] チェック ボックスをオフにして、ウィザードを実行せずにインストールの終了ダイアログ ボックスを閉じることもできます。SQL Server 2008 KB 970315 x64 をインストールし、SharePoint 製品とテクノロジ構成ウィザードを手動で開始するには、コマンド プロンプト ウィンドウを開いて、次のコマンドを実行します。

    C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\Web Server Extensions\14\BIN\psconfigui.exe
    
注意注意

SharePoint 製品とテクノロジ構成ウィザードは、ドメインに接続されているのに、ドメイン コントローラーに接続されていないコンピューターでは失敗することがあります。このエラーが発生した場合は、直接または仮想プライベート ネットワーク (VPN) を介してドメイン コントローラーに接続し、そのコンピューターでの管理権限が付与されているローカル アカウントでサインインします。

ウィザードが完了すると、新しい SharePoint サイトが表示されます。

図 5. 新しい SharePoint サイト

新規 SharePoint サイト

手順 4: Visual Studio 2010 と開発者ドキュメントをインストールする

  1. Visual Studio 2010 をインストールします。

  2. Microsoft SharePoint 2010 SDK (英語) をダウンロードしてインストールします。

手順 5: インストールしたシステムから Hyper-V イメージを作成する

作業する開発環境を物理ホスト コンピューター上にセットアップした後は、そのセットアップを仮想コンピューターとして格納できるので、それを他のユーザーが使用できます。また、この "クリーン" インストールを後で再使用することもできます。あるいは、新たに作成した仮想マシン上に開発環境をセットアップすることもできます。Windows Server 2008 Service Pack 2 の Hyper-V (英語) ロールが提供するインフラストラクチャと管理ツールを使用すると、1 つのホスト上に複数のサーバー環境を作成できます。詳細については、「Getting to Know Hyper-V: A Walkthrough From Initial Setup to Common Scenarios (英語)」を参照してください。既存の Windows Server 2008 イメージから仮想ハード ドライブ (VHD) を作成できる便利な Windows PowerShell スクリプトについては、MSDN Code Gallery の「Install-WindowsImage PowerShell Script (英語)」を参照してください。

Windows 7 を使用している場合は、Windows Hyper-V で SharePoint をインストールした VHD を作成してから、BDCEdit.exe で Windows 7 を構成して、VHD 上でオペレーティング システムを直接起動するように設定することもできます。こうすると、仮想化層がないのでパフォーマンスが向上します。また、VHD 差分ディスク (基礎となる単一のインストールと異なる要素だけが含まれる VHD) を使用することも可能になるので、ディスク領域を節約でき、変更のロールバックも容易になります。このような構成の詳細については、「ネイティブ ブートで仮想ハード ディスク上に Windows を展開する」を参照してください。

仮想コンピューター上に単一のサーバー インストールを作成することにした場合も、標準のメモリ要件が適用されます。仮想コンピューターには、少なくとも 2 GB (できれば 4 GB) の RAM が必要です。仮想化を行うと、複数のマシンが含まれるサーバー ファームを作成することもできます。SharePoint Server 2010 のファーム インストールでは、各マシンに少なくとも 1.5 GB (できれば 2 GB) の RAM が必要になります。次の例のようなセットアップ インストールで、機能が完備したドメイン インフラストラクチャを稼働させることができます。

  • それぞれに 2 GB の RAM を搭載した 2 つの仮想コンピューター

  • 一方のコンピューターでドメイン コントローラーと Microsoft SQL Server 2008 が動作する

  • もう一方のコンピューターで SharePoint Server 2010 と 2 つの Web アプリケーション (サーバーの全体管理も含む) が動作する

関連項目

その他の技術情報

SharePoint Server 2010 の新機能

SharePoint Foundation 2010 の新機能