ビジュアル アップグレード

最終更新日: 2010年4月6日

適用対象: SharePoint Foundation 2010

Microsoft SharePoint Foundation 2010 にアップグレードすると、ユーザー エクスペリエンスに影響する新しい製品に対する変更が、カスタマイズされたページ、Web パーツ、Web コントロール、ビューなどの特定のユーザー インターフェイス (UI) 要素に悪影響を及ぼす可能性があります。ビジュアル アップグレードを使用すると、サイト コレクション管理者および Web サイトの所有者が以前のビジュアル UI 要素から現在のビジュアル UI 要素に切り替えるかどうかを決めることができます。管理者は、サイト コレクションのすべての Web サイトにビジュアル アップグレード オプションを表示するか非表示にするかを選択できます。また、最新の UI 要素をすべての Web サイトに直接適用することもできます。

ビジュアル アップグレードがサイト コレクション内で有効になっている場合は、Web サイト所有者がビジュアル アップグレードを制御します。そして、最初のサーバー ファーム アップグレードでは、元の Web サイトのすべてのデータと設定が保持されるように以前のユーザー エクスペリエンス (レイアウト、コマンド操作、およびスタイルを含む) が保持されます。ただし、サーバー ファームがアップグレードされた後は、ファーム管理者、サイト コレクション管理者、または Web サイト所有者が自分のサイトを更新し、最新の SharePoint ユーザー エクスペリエンスを提供できます。以前のユーザー エクスペリエンスを保持することで、カスタマイズされたコンテンツが機能しなくなる可能性が減り、すべてのアップグレードが完了するまで、管理者、開発者、およびエンド ユーザーは SharePoint Foundation での作業を続行できます。以前の SharePoint ユーザー エクスペリエンスに従って Web サイトが機能している場合は、新しい SharePoint 機能の一部、たとえば、サーバー リボン UI、Wiki ページのインプレース編集、対話型カレンダー、リスト関係などが使用できない可能性があります。Web サイトを最新のユーザー エクスペリエンスに切り替えると、新しい機能は自動的に使用可能になります。アップグレード後に作成する新しいサイトでは、新しい UI が既定で使用されます。

両方の UI モードでのテスト

アップグレード後は、テスト環境を使用して、ビジュアル アップグレードの前と後の両方で Web サイトをテストします。以前の UI モードと現在の UI モードでテストを行い、サイトが両方のバージョンで動作することを確認します。カスタマイズ設定がインストールされていること、また、少なくとも以前の UI モードで正しく機能することを確認してください。

ビジュアル機能を備えた UI 要素が、新しいバージョンの SharePoint Foundation で正しく機能し、表示されることを検証します。ビジュアル カスタマイズ、つまり HTML のフォームを挿入するカスタマイズ、またはスタイル シートに依存するカスタマイズ (マスター ページ、レイアウト構造、ページ上のコントロールなど) では、テストするまで必要であることがわからないリビジョンが必要になることがあります。これらの UI 要素には、委任コントロール、Web パーツ、カスタム サイト定義、ユーザー設定のマスター ページ、ユーザー設定テーマなどがあります。ビジュアル アップグレードの前はこれらの UI 要素が適切に動作していても、ビジュアル アップグレードの後に、新しい UI と互換性のないものをレンダリングすることがよくあり、この場合は、要素を変更しなければなりません。最小限の作業でアップグレードできる UI 要素には、ユーザー設定のコンテンツ タイプ、ビジュアル機能がないカスタム フィールド コントロール、カスタム HTML モジュール、HTML ハンドラーなどがあります。

UI 要素がビジュアルの場合は、ほとんどの場合、現在のバージョンの SharePoint Foundation で要素が動作するようにコードを記述する必要があります。要素がブラウザーでどのように表示されるかを考慮してください。たとえば、Strict モード用に終了タグで HTML を修正すればいいだけの場合があります。また、Web パーツによって、古いマークアップ言語がページに挿入されていることもあります。ネストされたリストが間違った順序で閉じている場合は、たとえば、ブラウザー固有または DOM 関連の動作が原因でページが破損する可能性があります。カスタム ユーザー コントロールにスクリプトが含まれる場合, .asmx および .ascx ページで定義されたコードが含まれる場合、またはカスタム ユーザー コントロールを使用することでドキュメント ライブラリ内で .ascx コントロールをホストできる場合は、セキュリティに関するリスクまたはアップグレードの問題が必ず発生します。アップグレード中はこれを考慮する必要があります。テスト中に問題が見つかった場合は、必ず最初に SharePoint Foundation で提供される XML 宣言型アップグレード構造の 1 つ、つまり、簡単にテストできるアップグレード定義ファイルまたは機能アップグレードのどちらかを使用して解決を試みてください。

ビジュアル アップグレードのオブジェクト モデル

新しいメンバーが、ビジュアル アップグレードの状態に従って変わる SharePoint Foundation オブジェクト モデルに追加されています。また、これにより、Web サイトのレンダリングが適切に行われているかどうかを判断できます。ビジュアル アップグレードを使用すると、2 つの方法でコントロールをレンダリングして、現在の UI で動作するコントロールが作成されるのを防ぐことができますが、これにより以前の UI でレンダリングされたすべてのページが破損します。たとえば、以前のモードの UI ページで現在のモードのスタイル構造をレンダリングすることによってモードが混在することを避けるため、サイトの適切なモードでページをレンダリングすることが必要な場合があります。新しいプロパティを使用すると、UI バージョンに従って、条件に応じて UI を表示する方法を決定するコードを記述し、機能にインテリジェンスを組み込むことができます。

  • UIVersion (SPWeb): 現在のバージョンの Web サイトのユーザー インターフェイスを指定します。有効な値は、Windows SharePoint Services 3.0 の場合は 3、SharePoint Foundation 2010 および Microsoft SharePoint Server 2010 の場合は 4 です。

  • UIVersionConfigurationEnabled (SPWeb): ビジュアル アップグレード設定 UI を有効にして、Web サイトの UI バージョンを変更するかどうかを指定します。false に設定されている場合、ユーザーが UI バージョンを変更することはできません。

  • UIVersionConfigurationEnabled (SPSite): ビジュアル アップグレード設定 UI を有効にして、サイト コレクションの UI バージョンを変更するかどうかを指定します。このプロパティを false に設定すると、サイト コレクション所有者がすべての子 Web サイトを新しい UI に変換できるようにする、ビジュアル アップグレード設定 UI が無効になります。また、この設定により、すべての Web サイトのビジュアル アップグレード設定 UI が非表示になります。

    注意

    Web サイトには UI バージョンがありますが、サイト コレクションにはありません。

前のプロパティの他に、SharePoint Foundation には、UIVersionedContent コントロールが用意されています。これは、指定したバージョンの文字列と現在の Web サイトの UI バージョンに基づいてコンテンツを条件付きで表示する Web コントロールです。このコントロールでは、コンテンツは、Web サイトの UI バージョンと一致した場合にのみページ コントロール階層に追加されます。もう 1 つのコントロール、VersionedPlaceHolder も動作しませんが、これは、初期化、読み込み、およびプレレンダリングのためにコントロールをページに配置する必要がある一方で、レンダリング用にそのコントロールを非表示にする必要がある場合にバックアップ オプションを提供します。機能のアップグレードのためにオブジェクト モデルおよびスキーマに追加された新しい Version プロパティおよび属性については、「フィーチャーをアップグレードする」を参照してください。

Windows SharePoint Services 3.0 (Service Pack 2 同梱版) に用意されているアップグレード前チェッカー ツール (ルールは 2009 年 10 月の累積的な更新サーバー修正プログラム パッケージ で更新) を使用すると、カスタマイズが行われた場所、およびカスタマイズが適切に動作するかどうかを識別できます。たとえば、stsadm コマンドライン ユーティリティの enumallwebs 操作を使用することで、Web パーツ、イベント レシーバー、機能、またはカスタム リスト ビューが実装されていることを特定できます。カスタマイズについて心配がある場合は、インストールされている Windows SharePoint Services 3.0 を Service Pack 2 にアップグレードし、2009 年 10 月の累積的な更新サーバー修正プログラムをインストールしてから、アップグレード前チェッカーを実行することをお勧めします。アップグレード前チェッカー ツールの使用方法については、「アップグレード前チェック ツールを実行する (SharePoint Server 2010)」を参照してください。

関連項目

その他の技術情報

SharePoint Foundation をアップグレードする