InfoPath Forms Services の新機能
最終更新日: 2011年6月24日
適用対象: SharePoint Server 2010
この記事の内容
SharePoint リスト フォームの強化
ワンクリックでフォームを発行する
オフラインでのフォーム入力に SharePoint Workspace を使用する
SharePoint ワークフロー アプリケーションを作成する
フォームを基幹業務システムに接続する
InfoPath フォーム Web パーツ を使用してポータル ページ内のフォームをホストする
SharePoint Server のサンドボックス ソリューション
さらに機能が充実した Web フォーム
標準に準拠したブラウザー フォーム
デジタル署名の使用による情報セキュリティと整合性の強化
InfoPath Forms Services の管理
Microsoft InfoPath 2010 は、フォームの作成とデータの収集に役立つツールであり、ビジネス プロセスの合理化に取り組む組織に適しています。InfoPath 2010 は、上級ビジネス ユーザーと開発者の両方を対象として設計され、ユーザーまたは組織が必要とするフォームベース ソリューションの種類によってどちらの用途にも使用できます。コードを書かなくても、上級ビジネス ユーザーは InfoPath 2010 を使用して、費用効率が高い方法ですばやく情報を収集できる高度な電子フォームを設計できます。開発者は、InfoPath 2010、Microsoft SharePoint Server 2010 with InfoPath Forms Services、および Microsoft SharePoint Designer 2010 を使用して、複合アプリケーション、ワークフロー シーケンスなど、部署や会社全体のビジネス プロセスを処理する高度なフォームを、ほとんどまたはまったくコードを書かずに作成できます。フォームへの入力には、Web ブラウザーまたは InfoPath 2010 エディターを使用できます。
InfoPath 2010 および InfoPath Forms Services は重点的に機能が強化され、SharePoint Server 2010 プラットフォームで多機能のフォームベース ソリューションを大幅に簡単に作成できるようになりました。
SharePoint リスト フォームの強化
InfoPath 2010 を使用して、SharePoint リスト内の項目の作成、編集、および表示に使用できるフォームを拡張および強化することができます。リストを開いて、[リスト] タブの [リスト ツール] をクリックし、[フォームのユーザー設定] をクリックすると、すぐに使用できる既定の SharePoint リスト フォームによく似た InfoPath フォームをすばやく自動生成できます。InfoPath 2010 でレイアウトの変更、追加ビューの作成、またはルールとデータ入力規則の追加を行って、このフォームをカスタマイズしたり強化したりすることができます。リスト フォームの変更が終わってから、InfoPath の新しいワンクリック発行の機能を使用してフォームを SharePoint に発行できます。
SharePoint リスト フォームの拡張の詳細については、「Customize a SharePoint list form (英語)」を参照してください。
ワンクリックでフォームを発行する
InfoPath 2010 からフォームの更新を発行する手順は、これまでになく簡単になりました。最初にフォーム テンプレートを発行した後は、複数のダイアログ ボックスでクリックを繰り返すのではなく、クイック アクセス ツール バーと新しい Microsoft Office Backstage で使用できる新しい [クイック発行] ボタンを 1 回クリックするだけでこの操作を実行できます。
オフラインでのフォーム入力に SharePoint Workspace を使用する
Microsoft Office 2010 では、SharePoint リストとライブラリを Microsoft SharePoint Workspace 2010 内でオフラインにすることができます。InfoPath 2010 エディターは SharePoint Workspace 内でホストされ、すべてのオフライン SharePoint フォームの表示とデータ入力に使用できます。フォームに入力した情報は、フォームをオンラインに戻すと自動的に同期されます。
SharePoint ワークフロー アプリケーションを作成する
IT 担当者は、InfoPath 2010、SharePoint Server 2010、および Microsoft SharePoint Designer 2010 を使用して、複雑な共同作業ワークフロー アプリケーションを簡単に作成できます。自動化されたビジネス プロセスまたはワークフローの一部として InfoPath 2010 フォームを展開し、それらにフォーム内の情報に基づくルーティングや通知の機能を追加することができます。
また、カスタム InfoPath 2010 フォームは、標準ドキュメント ワークフローの開始、関連付けなど、異なるワークフロー段階でデータを入力するために使用することもできます。
フォームを基幹業務システムに接続する
InfoPath 2010 が Microsoft Business Connectivity Services (BCS) と統合されたことにより、組織のフォームを SAP、Oracle など、外部の基幹業務システムに保存される重要なビジネス データに接続することができます。SharePoint Designer 2010 を使用すると、外部リストに保存されるビジネス データの作成、読み取り、更新、および削除を行うカスタム InfoPath 2010 フォームを作成できます。外部リストにあるデータを InfoPath フォームで操作する方法については、「[方法] Microsoft InfoPath を使用して外部リスト フォームをカスタマイズする」と「[方法] InfoPath フォームに外部アイテム ピッカー コントロールを埋め込む」を参照してください。
InfoPath フォーム Web パーツ を使用してポータル ページ内のフォームをホストする
SharePoint Server 2010 では、新しい InfoPath フォーム Web パーツを使用して Web ページ内のフォームをこれまでになく簡単にホストできます。Microsoft Office SharePoint Server 2007 では、Web ページ内の InfoPath フォームをホストする必要がある場合に、Visual Studio でコードを書く必要がありました。今後はコードを 1 行も書かなくても、InfoPath フォーム Web パーツを Web パーツ ページに追加し、発行済みのフォームに関連付けることができます。InfoPath フォーム Web パーツを使用すると、SharePoint リストまたはフォーム ライブラリに発行された InfoPath ブラウザー フォームをホストすることができます。また、ページ内の他の Web パーツに接続してデータの送信や受信を行うこともできます。InfoPath フォーム Web パーツの詳細については、「InfoPath フォーム Web パーツの使用」を参照してください。
SharePoint Server のサンドボックス ソリューション
InfoPath 2010 では、コードが含まれるフォームを SharePoint Server 2010 に展開する操作がこれまでになく簡単になりました。Office InfoPath 2007 では、コードが含まれるすべてのフォームは SharePoint ファーム管理者によって承認され、アップロードされる必要がありました。SharePoint Server 2010 および SharePoint Foundation 2010 でサンドボックス ソリューションがサポートされたことにより、フォーム作成者は、アクセス許可を限定的に付与されて、コードが含まれるフォームを SharePoint サイトに直接発行できるようになりました。リソース クォータによって、過大なリソースの使用が制限されます。サイト コレクション管理者は、管理権限を保持し、ソリューションの信頼性に関する判断を下します。ファーム管理者が関与する必要はありません。
さらに機能が充実した Web フォーム
クライアント フォームとブラウザー フォームの機能の差が縮まり、すべてのユーザーにとってフォーム入力の一貫性が向上しました。ブラウザー フォームでは、次のようなコントロールと機能を使用できるようになりました。
箇条書きリスト、番号付きリスト、および標準リスト
複数選択リスト ボックス
コンボ ボックス
ピクチャ ボタン
ハイパーリンク機能
選択肢グループと選択肢セクション
日付と時刻コントロール
ユーザー/グループの選択
フィルター処理機能
標準に準拠したブラウザー フォーム
InfoPath 2010 ブラウザー フォームは、Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0 AA および Web Accessibility Initiative - Accessible Rich Internet Applications (WAI-ARIA) に準拠しました。そのため、フォーム作成者は、障碍のあるユーザーがアクセスできるフォームを作成できるようになりました。また、InfoPath 2010 ブラウザー フォームは XHTML 1.0 に完全に準拠しました。
デジタル署名の使用による情報セキュリティと整合性の強化
InfoPath 2010 は、Cryptography Next Generation (CNG) によりデジタル署名されたコンテンツをサポートしました。フォームに含まれる情報の整合性を保証するために、InfoPath 2010 クライアントと SharePoint Server 2010 は、単独署名、連署、および副署の各シナリオをフォーム全体またはフォームのセクション単位で使用できるようにするコントロールを提供します。フォームへの署名には、Internet Explorer の ActiveX 署名欄コントロールを使用します。署名されたフォームは、SharePoint Server 2010 でサポートされるすべてのブラウザーで表示できます。
InfoPath Forms Services の管理
SharePoint Server 2010 には、InfoPath Forms Services を操作する Windows PowerShell コマンドレットがサポートされました。SharePoint 用の Windows PowerShell コマンドレットを使用すると、InfoPath Forms Services の操作を自動で繰り返すスクリプトを簡単に作成できるので、時間を節約できます。フォーム テンプレートを複数のサイト コレクションでアクティブ化するなどのタスクが簡単になります。次のコマンドを実行すると、InfoPath Forms Services で使用できるすべてのコマンドレットの一覧を簡単に表示できます。
Get-Command *SPInfoPath* | Name, Definition
SharePoint 用の Windows PowerShell コマンドレットを操作する方法については、「SharePoint 管理シェルにおける Windows PowerShell」を参照してください。
SharePoint Server 2010 がバックアップと復元を実行できる SharePoint 構成データベース内の項目が増えました。InfoPath ソリューションで使用される、管理者が承認したフォーム テンプレートとデータ接続ファイルをバックアップおよび復元することができます。管理者が承認しないフォーム テンプレートとデータ接続ファイルもコンテンツ データベースに保存されますが、Office SharePoint Server 2007 や Windows SharePoint Services 3.0 と同様に、これらのファイルはコンテンツ データベースのバックアップ プロセスの一部としてバックアップおよび復元されます。バックアップまたは復元を実行するには、サーバーの全体管理の [ファームのバックアップと復元] に移動してから [バックアップの実行] に移動します。
SharePoint Foundation 2010 には、SharePoint Maintenance Manager という名前の統合された正常性解析ツールが用意されており、構成、パフォーマンス、および使用状況の潜在的な問題を自動的にチェックできます。SharePoint Server 2010 には、InfoPath Forms Services の問題をチェックするためのルールが用意されています。また、SharePoint Server 2010 管理パックには、Microsoft System Center Operations Manager を使用して InfoPath Forms Services の問題を監視するためのルールとモニターが含まれています。