メッセージのフィルタ処理
適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007
トピックの最終更新日: 2007-07-03
Exchange キュー ビューアのグラフィカル ユーザー インターフェイスと、Microsoft Exchange Server 2007 の Exchange 管理シェルのコマンドを使用して、キュー内のメッセージを管理することができます。現在のメール フローによっては、メッセージの一覧は非常に大きくなることがあります。メッセージの一覧は、メッセージがサーバーで送受信されるときに変更されます。
メッセージのプロパティによってメッセージをフィルタ処理する場合は、特定の条件に合わせて検索を調整し、メール フローの問題を引き起こしている可能性があるメッセージや、スパムと疑われるメールを検出できます。その後で、それらのメッセージの状態を変更する操作を行うことができます。
メッセージのフィルタ処理のシナリオ
フィルタ処理により、キュー内のメッセージの異なるビューが生成されます。フィルタ条件を指定すると、メッセージをすばやく見つけて、操作を行うことができます。電子メール メッセージが複数の受信者に送信される場合、そのメッセージは複数のキューに存在する可能性があります。メッセージのプロパティによってフィルタ処理を行う場合は、すべてのキューにあるメッセージを見つけることができます。以下のシナリオは、メッセージのフィルタ処理を使用してメール フローを管理する方法の例です。
- エッジ トランスポート サーバーの役割がインストールされているコンピュータの送信キューには、配信のためにキューに置かれた大量のメッセージが含まれています。これらのメッセージの多くが、同じ件名になっています。このため、組織にスパムが送信されている可能性があります。件名の条件に一致するメッセージをすべて表示するためのフィルタを作成することができます。それらのメッセージがスパムであると判断した場合は、そのメッセージをすべて選択し、配信不能レポート (NDR) を送信せずに配信キューから削除できます。
- ユーザーから、メール フローに時間がかかっているという報告を受けました。キューを調べると、ランダムな件名を持つ多数のメッセージが単一のドメインから送信されていることがわかりました。キューに置かれているそのドメインからのメッセージをすべて表示するためのフィルタを作成することができます。それらのメッセージがスパムであると判断した場合は、そのメッセージをすべて選択し、NDR を送信せずに配信キューから削除できます。
メッセージをフィルタ処理する場合に使用するメッセージのプロパティ
メッセージのプロパティを使用してフィルタを作成し、指定した条件に一致するメッセージを見つけることができます。表 1 は、フィルタ処理できるメッセージのプロパティと、それらのプロパティに関連付けられた値の一覧です。
表 1 メッセージのプロパティ
キュー ビューアのメッセージのプロパティ | Exchange 管理シェルのメッセージのプロパティ | プロパティの種類 | 値 | ||
---|---|---|---|---|---|
受信したデータ |
DateReceived |
DateTime |
この値は、メッセージが置かれているキューを保持するサーバーがメッセージを受信したときのタイム スタンプを指定します。 |
||
有効期限 |
ExpirationTime |
DateTime |
この値は、メッセージが配信できない場合に、そのメッセージの有効期限が切れてキューから削除されるときのタイム スタンプを指定します。 |
||
送信元アドレス |
FromAddress |
SMTP アドレス |
この値は、メッセージの送信者の SMTP (簡易メール転送プロトコル) アドレスを指定します。 |
||
Identity |
Identity |
整数 |
この値は、特定のメッセージを表す整数です。メッセージ ID は、処理するメッセージが受信されるときにキュー データベースによって割り当てられます。メッセージの一意のインスタンスを識別するために、省略可能なサーバーとキュー ID を含めることもできます。この値は、以下のように表すことができます。
|
||
インターネット メッセージ ID |
InternetMessageId |
文字列 |
メッセージ ヘッダー内にある 67D754D6103DC4FB3BA6BC7205DACABA61231@exchange.contoso.com |
||
最新のエラー |
LastError |
文字列 |
メッセージに対して記録された最新のエラーを示す文字列です。 |
||
メッセージの送信元の名前 |
MessageSourceName |
文字列 |
このメッセージをキューに送信したコンポーネントの名前を示す文字列です。 |
||
キュー ID |
Queue |
QueueIdentity |
このプロパティの値は、メッセージを保持するキューの ID を指定します。Server\destination という形式でキュー ID を入力します。ここで destination は、リモート ドメイン、メールボックス サーバー、永続キュー名、またはキュー データベース ID です。データベース ID は整数で表され、メッセージのプロパティを表示することにより特定できます。 |
||
再試行回数 |
RetryCount |
整数 |
送信先へのメッセージの配信が試行された回数です。 |
||
SCL |
SCL |
整数 |
SCL (Spam Confidence Level) プロパティの値は、メッセージの SCL を指定します。有効な SCL の値は、0 ~ 9 の範囲の整数です。SCL プロパティの値が空の場合、メッセージはコンテンツ フィルタ エージェントによって処理されなかったことを示します。 |
||
サイズ (KB) |
Size |
ByteQuantifiedSize |
メッセージのサイズです。 |
||
送信元 IP |
SourceIP |
IP アドレス |
Exchange 組織にメッセージを送信した外部サーバーの IP アドレスです。
|
||
Status |
Status |
列挙 |
メッセージの現在の状態です。メッセージの状態は、以下のいずれかの値になります。
|
||
Subject |
Subject |
文字列 |
このメッセージの件名は文字列で表されます。 |
メッセージをフィルタ処理する場合に使用する演算子
メッセージ フィルタを作成するときは、プロパティ値が一致する演算子を含める必要があります。表 2 に、フィルタ式で使用できる比較演算子と、各演算子の機能を示します。
表 2 フィルタ式の演算子
演算子 | Exchange 管理シェルの値 | 機能 | Exchange 管理シェルのコード例 |
---|---|---|---|
と等しい |
-eq |
この演算子は、結果が式で指定されているプロパティ値に正確に一致する必要があることを指定するために使用されます。 |
状態が "再試行" であるすべてのメッセージの一覧を表示するには、次の式を使用します。
|
次の値と等しくない |
-ne |
この演算子は、結果が式で指定されているプロパティ値に一致してはならないことを指定するために使用されます。 |
状態が "アクティブ" でないすべてのメッセージの一覧を表示するには、次の式を使用します。
|
次の値より大きい |
-gt |
この演算子は、値が整数で表されるプロパティで使用されます。フィルタの結果には、指定されたプロパティの値が式で指定されている値よりも大きいメッセージのみが含まれます。 |
現在の再試行回数が 3 よりも大きいメッセージの一覧を表示するには、次の式を使用します。
|
以上 |
-ge |
この演算子は、値が整数で表されるプロパティで使用されます。フィルタの結果には、指定されたプロパティの値が式で指定されている値以上のメッセージのみが含まれます。 |
現在の再試行回数が 3 以上のメッセージの一覧を表示するには、次の式を使用します。
|
次の値より小さい |
-lt |
この演算子は、値が整数で表されるプロパティで使用されます。フィルタの結果には、指定されたプロパティの値が式で指定されている値よりも小さいメッセージのみが含まれます。 |
SCL が 6 よりも小さいメッセージの一覧を表示するには、次の式を使用します。
|
以下 |
-le |
この演算子は、値が整数で表されるプロパティで使用されます。フィルタの結果には、指定されたプロパティの値が式で指定されている値以下のメッセージのみが含まれます。 |
SCL が 6 以下のメッセージの一覧を表示するには、次の式を使用します。
|
次の文字を含む |
-like |
この演算子は、値が文字列で表されるプロパティで使用されます。フィルタの結果には、指定されたプロパティの値が式で指定されている文字列を含むメッセージのみが含まれます。文字列フィールドに適用される -like ステートメントにはワイルドカード文字 "*" を含めることができますが、列挙の種類のフィールドには含めることができません。 |
テキスト "payday loan" を件名に含むメッセージの一覧を表示するには、次の式を使用します。
|
複数の式を評価するフィルタを指定するには、Exchange 管理シェルで -and 比較演算子を使用するか、またはキュー ビューアで複数の式を追加します。結果セットには、すべてのフィルタ条件に一致するメッセージのみが含まれます。たとえば、次のコマンドの結果として、Contoso.com で終わるドメイン名を持つ任意の電子メール アドレスから送信された、SCL が 5 よりも大きいメッセージの一覧が表示されます。
Get-message -Filter {FromAddress -like "*Contoso.com*" -and SCL -gt 5}
Exchange 管理シェルで比較演算子を使用する方法の詳細について参照するには、次のコマンドを実行してください。
Help about_comparison_operator
詳細情報
メッセージの管理とフィルタ処理の詳細については、以下のトピックを参照してください。
- キューの管理
- メッセージをフィルタ処理する方法
- Exchange 管理シェルを使用したキューの管理
- キュー コマンドレット
- キューを表示する方法
- メッセージを表示する方法
- キューを中断する方法
- メッセージを中断する方法
- キューを再開する方法
- メッセージを再開する方法
- キューからメッセージを削除する方法
- メッセージをキューからエクスポートする方法
- キュー内のメッセージを再送信する方法
- メッセージをエクスポートおよび再送信する方法
参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。