準拠機能の概要

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2011-01-23

ここでは、Microsoft Exchange Server 2007 で使用できる準拠機能について説明します。また、各機能の詳細情報を提供するトピックへのリンクも掲載しています。

Exchange 2007 の準拠は、送受信される電子メール メッセージおよびメールボックス内のメッセージに適用される、包括的なソリューションです。以下に示す準拠機能は、組織内のメッセージをシームレスに管理するために役立つツールを提供します。メッセージング レコード管理 (MRM) を使用すると、メールボックスにメッセージが置かれたまま放置されることがなくなります。トランスポート ルールを使用すると、組織内でやり取りされるメッセージの処理方法を管理できるようになります。プレミアム ジャーナリングを使用すると、技術的な制約にニーズを合わせるのではなく、個々の受信者や送信者、またはすべてのグループに対して、組織のニーズを適用できるようになります。

メッセージング レコード管理

メッセージング管理ポリシーを使用すると、組織は法的要件に準拠し、情報技術リソースを節約することが容易になります。従来は、これらのポリシーを適用してユーザーの準拠を監視することは困難でした。また、法的な証拠開示命令への準拠は、多くのコストと時間が必要でした。メッセージング管理プロセスを自動化する試みも、限られた成果しか上げていません。Exchange 2007 の MRM 機能は、これらの課題に対応するものです。

Exchange 2007 のメッセージング管理およびポリシー適用の信頼性、効果、および使いやすさを向上させるための戦略は、次の 3 つの原則に基づいています。

  • ユーザーは自分自身のメッセージを分類する。
  • 古くなったメッセージは削除される。
  • 必要なメッセージは保持される。

管理フォルダ メールボックス ポリシーに、管理されたカスタム フォルダの設定が含まれている場合、このポリシーが適用される各メールボックスに Exchange Enterprise クライアント アクセス ライセンス (CAL) が必要です。ライセンスとジャーナリングの詳細については、後の「Enterprise ライセンスと Standard ライセンス」を参照してください。

MRM の詳細については、「メッセージング レコード管理の管理」を参照してください。

トランスポート ルール

Exchange 2007 のトランスポート ルールを使用すると、Exchange 2007 組織から送受信される電子メール メッセージや、組織を通過する電子メール メッセージにメッセージング ポリシーを適用できます。これらのメッセージング ポリシーで指定した条件に基づいて、メッセージの配信またはコンテンツを変更することができます。

note注 :
トランスポート ルールは、エッジ トランスポート サーバーの役割が実行されているコンピュータ上で実行することもできますが、準拠シナリオで使用できるのは、ハブ トランスポート サーバー上で実行されるトランスポート ルールだけです。

今日、多くの組織では、組織の内部および外部にいる受信者と送信者の間の通信を制限するメッセージング ポリシーを適用することが、法律、規制要件、または企業ポリシーによって要求されています。Exchange 2007 のトランスポート ルール エージェントは、これらの要件を満たすために必要な機能を提供します。

トランスポート ルールは、Exchange Enterprise CAL と Exchange Standard CAL の両方で使用できます。ライセンスとジャーナリングの詳細については、このトピックの「Enterprise ライセンスと Standard ライセンス」を参照してください。

トランスポート ルールの詳細については、「トランスポート ルールの概要」を参照してください。

ジャーナリング

ジャーナリングとは、組織の電子メールの保存またはアーカイブ戦略で使用するため、電子メール通信を含む組織内のすべての通信を記録する機能です。

ジャーナリングの詳細については、「ジャーナリングの概要」を参照してください。

プレミアム ジャーナリング

Exchange 2007 では、プレミアム ジャーナリングが導入されました。プレミアム ジャーナリングでは、組織でジャーナル対象となるメールボックス、連絡先、または配布リストに属する SMTP (簡易メール転送プロトコル) アドレスを指定することで、ジャーナリング ルールの対象を追加できます。ジャーナル ルールで対象の受信者または送信者を指定すると、特定の受信者または送信者をジャーナリングの対象にすることができます。このトピックで前述した規制要件の制約を受けている受信者や送信者を対象にすることができます。または、電子メール メッセージやその他の通信が証拠として収集される法的手続きに関与している場合に、これらの受信者や受信者を対象にすることもできます。特定の受信者、送信者、または受信者や送信者のグループを対象にすることで、組織のプロセスおよび法規制の要件を満たすジャーナリング環境を容易に構成できます。

プレミアム ジャーナリングを使用できるのは、Exchange 2007 用の Exchange Enterprise CAL を購入している場合に限ります。ライセンスとジャーナリングの詳細については、後の「Enterprise ライセンスと Standard ライセンス」を参照してください。

標準ジャーナリング

プレミアム ジャーナリングに加えて、Exchange 2007 では標準ジャーナリングも提供しています。これにより、メールボックス ストア単位のジャーナリングが可能になります。ジャーナリングが有効になっているメールボックス データベース内のメールボックスで送受信されるすべてのメッセージは、指定されたジャーナリング メールボックスに送信されます。標準ジャーナリングは、Exchange Server 2003 でのジャーナリングと同等の機能を持ちます。

ジャーナルを行うメールボックスのライセンスが Exchange Standard CAL だけである場合は、標準ジャーナリングを使用する必要があります。ライセンスとジャーナリングの詳細については、後の「Enterprise ライセンスと Standard ライセンス」を参照してください。

Enterprise ライセンスと Standard ライセンス

準拠機能が使用できるのは、Exchange Enterprise CAL または Exchange Standard CAL を購入している場合に限られます。Exchange Enterprise CAL を購入している場合は、前述のすべての準拠機能を使用できます。Exchange Standard CAL を購入している場合は、Exchange Standard CAL に含まれる準拠機能のみを使用できます。表 1 に、CAL の種類ごとに使用可能な機能を示します。

表 1   各種類の CAL で使用可能な準拠機能

準拠機能 Exchange Standard CAL Exchange Enterprise CAL

メッセージング レコード管理

 

X

ハブ トランスポート ルール

X

X

標準ジャーナリング

X

X

プレミアム ジャーナリング

 

X

Exchange Enterprise CAL で提供される高度な準拠機能を使用するには、それらを使用するユーザー数と同じ数の Exchange Enterprise CAL を購入してください。たとえばメールボックスが 1,000 個あり、それらのうち 100 個のメールボックスで MRM を有効にするには、Exchange Enterprise CAL を 100 ライセンス購入するだけで済みます。残りの 900 ライセンスは Exchange Standard CAL にすることができます。既に Exchange Enterprise CAL が適用されていた 100 個のメールボックスの一部にプレミアム ジャーナリングを適用するには、ライセンスを追加購入する必要はありません。ただし、MRM またはプレミアム ジャーナリングを元の 100 個のメールボックス以外にも適用する場合は、適切な数の Exchange Standard CAL を Exchange Enterprise CAL にアップグレードする必要があります。

note注 :
Exchange Enterprise CAL または Exchange Standard CAL は、Microsoft Exchange Server Enterprise Edition および Microsoft Exchange Server Standard Edition のどちらでも使用できます。たとえば、Exchange Enterprise CAL などのプレミアム ジャーナリングが必要なメールボックスを、Exchange Standard Edition を実行しているコンピュータに置くことができます。
note注 :
Exchange 2007 のその他の機能で、Exchange Enterprise CAL が必要になる場合があります。Exchange Enterprise CAL の機能を使用するメールボックスについては、それぞれ Exchange Enterprise CAL を購入する必要があります。

ライセンスの詳細については、「よく寄せられる質問」を参照してください。

Exchange Hosted Services の使用

一部の準拠機能は、Microsoft Exchange Hosted Services によって拡張され、そのサービスとして使用できます。Exchange Hosted Services は、次の 4 つの個別のホスト サービスで構成されています。

  • Hosted Filtering は、電子メールから感染するマルウェアから組織を保護します。
  • Hosted Archive は、規制準拠のための保存要件に対応するために役立ちます。
  • Hosted Encryption は、データを暗号化し機密保持をするために役立ちます。
  • Hosted Continuity は、緊急事態が発生したときやその直後に電子メールへのアクセス状態を維持するために役立ちます。

これらのサービスは、社内で管理されている業務用の Exchange や、サービス プロバイダを通じて提供される Hosted Exchange 電子メール サービスと統合することができます。Exchange Hosted Services の詳細については、「Exchange Hosted Services」を参照してください。

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。