メッセージング レコード管理ログを構成する方法

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1, Exchange Server 2007

トピックの最終更新日: 2008-01-21

ここでは、Exchange 管理シェルを使用して Microsoft Exchange Server 2007 でメッセージング レコード管理 (MRM) ログを構成する方法を説明します。ログ ファイルを定期的に監視することは、システム パフォーマンスの追跡、発生した問題の修正、発生する前の問題の予想、Exchange 組織の改善計画に役立つ優れた方法です。

note注 :
Exchange 管理コンソールを使用して MRM ログを構成することはできません。

Exchange 管理シェルの Set-MailboxServer コマンドレットを使用して以下を行います。

  • LogPathForManagedFolders パラメータで MRM ログ ディレクトリの場所を構成します。MRM ログ ディレクトリ (既定の名前は、[Managed Folder Assistant]) は、MRM ログ ファイルが格納されるディレクトリです。
  • LogDirectorySizeLimitForManagedFolders パラメータで MRM ログ ディレクトリの最大サイズを構成します。
  • LogFileSizeLimitForManagedFolders パラメータで MRM ログ ファイルの最大サイズを構成します。
  • LogFileAgeLimitForManagedFolders パラメータで MRM ログ ファイルの最大保存期間を構成します。
  • RetentionLogForManagedFoldersEnabled パラメータで保存期限ログ エントリを有効または無効にします。
  • JournalingLogForManagedFoldersEnabled パラメータで MRM ジャーナリング ログ エントリを有効または無効にします。
  • FolderLogForManagedFoldersEnabled パラメータでフォルダ ログ エントリを有効または無効にします。
  • SubjectLogForManagedFoldersEnabled パラメータで電子メール メッセージの件名のログを有効または無効にします。

開始する前に

次の手順を実行するには、使用するアカウントに以下が委任されている必要があります。

  • Exchange 組織管理者の役割

メールボックス サーバーの役割がインストールされているコンピュータで以下の手順を実行するには、そのコンピュータのローカルの Administrators グループのメンバであるアカウントを使用してログオンする必要があります。

Exchange 2007 を管理するために必要なアクセス許可、役割の委任、および権限の詳細については、「アクセス許可に関する考慮事項」を参照してください。

また、このトピックの手順を実行する場合は、事前に以下の点を確認してください。

  • このトピックの構成タスクを実行するには、Set-MailboxServer コマンドレットを使用します。構文およびパラメータの詳細については、関連トピック「Set-MailboxServer」を参照してください。

    note注 :
    Set-MailboxServer コマンドレットはログ設定の設定に使用するほか、ManagedFoldedAssistantSchedule パラメータを使用して [Managed Folder Assistant] をスケジュールできます。
  • 現在の MRM ログ設定を表示するには、Get-MailboxServer コマンドレットを使用します。構文およびパラメータの詳細については、関連トピック「Get-MailboxServer」を参照してください。

ログ ファイル形式およびデータ

MRM ログ ファイルは、タブ区切り形式になっています。この形式のファイルは、Microsoft Excel など、ほとんどのデータベースおよびスプレッドシート アプリケーションにインポートできます。

各ログ エントリには、次の情報が含まれます。

  • 現在の日時
  • MRM アクションの種類 (保存期間、ジャーナル、管理のために開始されるフォルダの準備、およびユーザーによるフォルダの準備)
  • フォルダの完全なパス (ルート レベル フォルダとサブフォルダ)
  • メールボックスの所有者 (ドメイン\エイリアス)

次の項目は、保存期間およびジャーナル操作についてのみログに記録されます。

  • メッセージの件名
  • メッセージの受信日 (送信済みアイテムのメッセージの送信日)
  • メッセージの送信者 (アイテムが代理で送信された場合、実際の送信者と代理でアイテムを送信してもらったユーザーの両方が含まれます)
  • インターネット メッセージ ID (これは、複数のアイテムの件名と送信者が同じである場合に特定のアイテムを見つけるために役立ちます)
  • メッセージ クラス
  • 実行された保存期間用のアクション (保存期間の設定を超えたアイテムの場合のみ)
  • ジャーナルの保存先アドレス (ジャーナル処理されたアイテムの場合のみ)

MRM ログの有効化

MRM ログは既定では有効になっていないため、構成タスクを実行する前にこれを有効にする必要があります。

MRM ログを有効にする方法

  1. サーバーで MRM を構成します。MRM の設定の詳細については、「メッセージング レコード管理について」を参照してください。

  2. Set-MailboxServer コマンドレットを使用し、以下のパラメータを少なくとも 1 つ、$true に設定します。

    • RetentionLogForManagedFoldersEnabled (既定の設定は $false)
    • JournalingLogForManagedFoldersEnabled (既定の設定は $false)
    • FolderLogForManagedFoldersEnabled (既定の設定は $false)
    • SubjectLogForManagedFoldersEnabled (既定の設定は $false)

詳細については、後の MRM ログの有効化に関するセクションを参照してください。

  1. Get-MailboxServer コマンドレットを使用して以下のパラメータ設定が範囲内にあることを確認します。
    • LogDirectorySizeLimitForManagedFolders 0 以上 (既定の設定は Unlimited)
    • LogFileSizeLimitForManagedForManagedFolders 0 以上 (既定の設定は 10 MB)

構文およびパラメータ情報の詳細については、関連トピック「Set-MailboxServer」と「Get-MailboxServer」を参照してください。

MRM ログ ディレクトリの場所の構成

既定では、MRM ログは <Exchange インストール パス>\Logging\Managed Folder Assistant ディレクトリに格納されます。このディレクトリは、Exchange 2007 コンピュータのローカル ディレクトリである必要があります。

Exchange 管理シェルを使用して MRM ログ ディレクトリの場所を設定するには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    Set-MailboxServer -Identity <server> -LogPathForManagedFolders <MRM folder path>
    

    たとえば、Exchange01 という名前の Exchange 2007 コンピュータで MRM ログ パスを C:\Example\Managed Folder Assistant に設定する場合は、次のコマンドを実行します。

    Set-MailboxServer -Identity Exchange01 -LogPathForManagedFolders "C:\Example\Managed Folder Assistant"
    

MRM ログ ディレクトリの最大サイズの構成

単一のメッセージ データベースのすべての管理フォルダ ログ ファイルのサイズ制限を指定するには、LogDirectorySizeLimitForManagedFolders パラメータを使用します。既定では、MRM ログ ディレクトリのサイズ制限はありません。このディレクトリのサイズ制限を設定し、メッセージ データベースの MRM ログ ファイルのセットがサイズ制限に達すると、新しいファイル用の空き領域を作成するために最も古いファイルが削除されます。

管理フォルダ ログ ファイルのサイズは、名前のプレフィックスが同じログ ファイルの合計サイズとして計算されます。たとえば、Managed_Folder_Assistant[Storage Group 01][Mailbox Database 01]20061018-1.log という名前のファイルの場合、プレフィックスは Managed_Folder_Assistant[Storage Group 01][Mailbox Database 01] となります。ログ ファイルの名前を変更したり、他のファイルを管理フォルダ ログ ディレクトリにコピーしたりすると、これらのファイルはログ ファイル サイズの計算に含まれません。各メッセージ データベースの管理フォルダ ログ ファイルの名前には、一意のプレフィックスが付けられます。したがって、この制限はディレクトリ内のすべてのログ ファイルにではなく、各メッセージ データベース内のログ ファイルに適用されます。複数のメッセージ データベースがある場合、管理フォルダ ログ ディレクトリの最大サイズは、LogDirectorySizeLimitForManagedFolders パラメータで指定されたサイズではありません。これは、別のデータベースによって生成される管理フォルダ ログ ファイルには、これとは異なる名前のプレフィックスが付けられるためです。メッセージ データベースが n 個ある場合、管理フォルダ ログ ディレクトリの最大サイズは、指定した値の n 倍になります。

note注 :
MRM ログ ディレクトリの最大サイズは、名前のプレフィックスが同じログ ファイルの合計サイズとして計算されます。同じプレフィックスの表記規則に従っていない他のファイルは、合計ディレクトリ サイズの計算には含まれません。古いログ ファイルの名前を変更したり、他のファイルをメッセージ追跡ログ ディレクトリにコピーしたりすると、ディレクトリが指定した最大サイズを超える場合があります。

LogDirectorySizeLimitForManagedFolders パラメータには、整数または unlimited のいずれかを指定する必要があります。値を入力するときは、値に以下の単位のいずれかを付加した形式で記述します。

  • B (バイト)
  • KB (キロバイト)
  • MB (メガバイト)
  • GB (ギガバイト)
  • TB (テラバイト)

単位が付加されていない値は、バイトとして扱われます。

Exchange 管理シェルを使用して MRM ログ ディレクトリの最大サイズを構成するには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    Set-MailboxServer -Identity <server> -LogDirectorySizeLimitForManagedFolders <size>
    

    たとえば、Exchange01 という名前のサーバーで MRM ログ ディレクトリのサイズ制限を 1 GB に設定する場合は、次のコマンドを実行します。

    Set-MailboxServer -Identity Exchange01 -LogDirectorySizeLimitForManagedFolders "1 GB"
    

MRM ログ ファイルの最大サイズの構成

既定では、各 MRM ログ ファイルの最大サイズは 10 MB です。MRM ログ ファイルが最大サイズに達すると、Exchange 2007 は新しい MRM ログ ファイルを開きます。このプロセスは、次のいずれかの条件が満たされるまで続きます。

  • MRM ログ ディレクトリが、指定した最大サイズに達した場合。この場合、新しいログ ファイルは作成され続けますが、古いファイルは削除されます。MRM ログ ディレクトリの最大サイズを計算する方法と最大サイズを変更する方法の詳細については、このトピックの前の方にある「MRM ログ ディレクトリの最大サイズの構成」を参照してください。
  • MRM ログ ファイルが、指定した最大保存期間に達した場合。この場合、最大保存期間に達したログ ファイルが削除され、新しいログ ファイルが作成され続けます。MRM ログ ファイルの最大保存期間を変更する方法の詳細については、このトピックの後の方にある「MRM ログ ファイルの最大保存期間の構成」を参照してください。

上記の最大サイズまたは最大保存期間に達すると、循環ログによって最も古い MRM ログ ファイルが削除されます。

値を入力するときは、値に以下の単位のいずれかを付加した形式で記述します。

  • B (バイト)
  • KB (キロバイト)
  • MB (メガバイト)
  • GB (ギガバイト)
  • TB (テラバイト)

単位が付加されていない値は、バイトとして扱われます。

Exchange 管理シェルを使用して MRM ログ ファイルの最大サイズを構成するには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    Set-MailboxServer -Identity <server> -LogFileSizeLimitForManagedFolders <size>
    

    たとえば、Exchange01 という名前のサーバーで MRM ログ ファイルのサイズ制限を 20 MB に設定する場合は、次のコマンドを実行します。

    Set-MailboxServer -Identity Exchange01 -LogFileSizeLimitForManagedFolders "20 MB"
    

構文およびパラメータの詳細については、関連トピック「Set-MailboxServer」を参照してください。

MRM ログ ファイルの最大保存期間の構成

既定では、MRM ログ ファイルの最大保存期間は 30 日です。次のいずれかの条件が満たされると、MRM ログ ファイルは削除されます。

  • MRM ログ ディレクトリが、指定した最大サイズに達した場合。
  • MRM ログ ファイルが、指定した最大保存期間に達した場合。

ログ ファイルの保存期間を指定するには、dd.hh:mm:ss の形式で期間として入力します。d = 日、h = 時間、m = 分、および s = 秒です。たとえば、30 日間と指定するには、「30.00:00:00」と入力します。

note注 :
このパラメータ値では、時間、分、および秒はコロンで区切られていますが、日はピリオドで区切られています (たとえば、30.00:00:00)。

Exchange 管理シェルを使用して MRM ログ ファイルの最大保存期間を構成するには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    Set-MailboxServer -Identity <server> -LogFileAgeLimitForManagedFolders dd.hh:mm:ss
    

    たとえば、Exchange01 という名前のサーバーで MRM ログ ファイルの保存期間を 2 週間に設定する場合は、次のコマンドを実行します。

    Set-MailboxServer -Identity Exchange01 - LogFileAgeLimitForManagedFolders 14.00:00:00
    

構文およびパラメータの詳細については、関連トピック「Set-MailboxServer」を参照してください。

メッセージの保存期限ログ エントリの有効化または無効化

RetentionLogForManagedFoldersEnabled パラメータを使用し、保存期限を満了したメッセージに関する情報を管理フォルダ アシスタントでログに記録するかどうかを指定します。このパラメータに指定できる値は $true または $false の 2 つです。$true を指定した場合は、保存期限満了のため処理されたメッセージに関する情報がログに記録されます。既定値は $false です。

Exchange 管理シェルを使用して保存期限ログ エントリを有効または無効にするには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    Set-MailboxServer -Identity <server> -RetentionLogForManagedFoldersEnabled <true/false>
    

    たとえば、Exchange01 という名前のサーバーで保存期限を満了したメッセージに関する情報のログ出力を有効にするには、次のコマンドを実行します。

    Set-MailboxServer -Identity Exchange01 -RetentionLogForManagedFoldersEnabled $true
    

構文およびパラメータの詳細については、関連トピック「Set-MailboxServer」を参照してください。

ジャーナリング ログ エントリの有効化または無効化

ジャーナリング ログ エントリは、管理フォルダにある情報が別の場所にジャーナル処理された場合に記録されます。JournalingLogForManagedFoldersEnabled パラメータを使用し、MRM ジャーナリング ログ エントリを有効にするかどうかを指定できます。このパラメータに指定できる値は $true または $false の 2 つです。$true を指定した場合は、ジャーナル処理された情報に関する情報がログに記録されます。既定値は $false です。

Exchange 管理シェルを使用してジャーナリング ログ エントリを有効または無効にするには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    Set-MailboxServer -Identity <server> -JournalingLogForManagedFoldersEnabled <true/false>
    

    たとえば、Exchange01 という名前のサーバーでジャーナリング情報のログを有効にするには、次のコマンドを実行します。

    Set-MailboxServer -Identity Exchange01 -JournalingLogForManagedFoldersEnabled $true
    

構文およびパラメータの詳細については、関連トピック「Set-MailboxServer」を参照してください。

MRM フォルダ ログ エントリの有効化または無効化

フォルダ ログ エントリは、管理フォルダ アシスタントにより管理フォルダが作成または削除された場合に記録されます。FolderLogForManagedFoldersEnabled パラメータを使用し、MRM フォルダ ログ エントリを有効にするかどうかを指定できます。このパラメータに指定できる値は $true または $false の 2 つです。$true を指定した場合は、管理フォルダ メールボックス ポリシーが適用されているフォルダに関する情報がログに記録されます。既定値は $false です。

Exchange 管理シェルを使用して MRM フォルダ ログ エントリを有効または無効にするには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    Set-MailboxServer -Identity <server> -FolderLogForManagedFoldersEnabled <true/false>
    

    たとえば、Exchange01 という名前のサーバーでフォルダ ログを有効にするには、次のコマンドを実行します。

    Set-MailboxServer -Identity Exchange01 -FolderLogForManagedFoldersEnabled $true
    

構文およびパラメータの詳細については、関連トピック「Set-MailboxServer」を参照してください。

電子メール メッセージの件名のログ エントリの有効化または無効化

SubjectLogForManagedFoldersEnabled パラメータを使用し、電子メール メッセージの件名のログを有効にするかどうかを指定できます。有効にした場合は、管理フォルダ アシスタントで処理される電子メール メッセージの件名がログに記録されます。このパラメータに指定できる値は $true または $false の 2 つです。$false を指定すると、メッセージの件名は管理フォルダ ログで空白になります。既定値は $false です。

Exchange 管理シェルを使用して電子メール メッセージの件名のログ エントリを有効または無効にするには、次の操作を行います。

  • 次のコマンドを実行します。

    Set-MailboxServer -Identity <server> -SubjectLogForManagedFoldersEnabled <true/false>
    

    たとえば、Exchange01 という名前のサーバーで電子メール メッセージの件名のログを有効にするには、次のコマンドを実行します。

    Set-MailboxServer -Identity Exchange01 -SubjectLogForManagedFoldersEnabled $true
    

構文およびパラメータの詳細については、関連トピック「Set-MailboxServer」を参照してください。

詳細情報

MRM の詳細については、「メッセージング レコード管理について」を参照してください。

ジャーナリングの詳細については、「ジャーナリングの概要」を参照してください。

Exchange 管理シェルの使用の詳細については、「Exchange 管理シェルの使用」を参照してください。

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。