WebReady ドキュメント表示を構成する方法

 

適用先: Exchange Server 2007 SP3, Exchange Server 2007 SP2, Exchange Server 2007 SP1

トピックの最終更新日: 2008-11-09

ここでは、Microsoft Office Outlook Web Access 内の添付ドキュメントを WebReady ドキュメント表示で開く際の表示方法を、レジストリ エディタを使用して構成する方法について説明します。

WebReady ドキュメント表示について

WebReady ドキュメント表示は、ドキュメントを HTML ファイルに変換して、Web ブラウザで表示します。これにより、Outlook Web Access ユーザーは、メッセージに添付されているドキュメントを、そのドキュメントを開くために通常使用するアプリケーションが使用中のコンピュータにインストールされていない場合でも表示することができます。

クライアント アクセス サーバーがオリジナル リリース (RTM) 版の Exchange Server 2007 を実行している場合、WebReady ドキュメント表示は以下のファイルの種類をサポートします。

Microsoft Office Word (.doc、rtf)

Microsoft Office Excel (.xls)

Microsoft Office PowerPoint (.ppt)

Adobe Portable Document Format (.pdf)

Exchange 2007 Service Pack 1 (SP1)

クライアント アクセス サーバーが Exchange 2007 SP1 を実行している場合、WebReady ドキュメント表示は以下のファイルの種類をサポートします。

  • Word (.doc, .dot、rtf, .docx)
  • Excel (.xls, .xlsx)
  • PowerPoint (.ppt, .pps, .pptx)

Adobe Portable Document Format (.pdf)

その他の形式も更新プログラムで追加される可能性があります。

ドキュメントの外観

WebReady ドキュメント表示は、基本的なビューアとして機能することを目的としており、ファイルを作成するのに使用されたアプリケーションの機能を完全に提供するものではありません。WebReady ドキュメント表示は、ファイルのすべてのデータをブラウザに表示して、ユーザーがドキュメントの各領域をスクロールまたはページ移動できるようにします。WebReady ドキュメント表示では、すべてのテキスト、グラフィックス、表、およびハイパーリンクが読みやすい基本的な形式で表示されます。ただし、コンテンツの表示はオリジナルとは多少異なる場合があります。これは、ピボット テーブルやグラフが使用されている Excel ファイルの場合に主に顕著です。

Excel、PowerPoint、および Adobe PDF ファイルは、ファイル内のすべてのデータをページ移動およびスクロールする機能と共に表示されます。これらの種類のファイルは、1 ページずつのみ印刷できます。ユーザーは、ドキュメント全体を一度に印刷できません。Word 文書は、長くてスクロール可能な読みやすい形式で表示され、ドキュメント全体を印刷できます。

Excel ワークブック

WebReady ドキュメント表示で表示される Excel ワークブックにはページ リンクがあり、ユーザーはワークブック内のすべての行とワークシート間を移動できます。ワークブックは、ピボット テーブルとセル書式付きで表示されます。

ワークブックの一部のコンポーネントは、他のコンポーネントほど正確に表示されない場合があります。たとえば、一部のグラフの種類はサポートされておらず、表示したときに空のグラフ ページとして表示される場合があります。Excel ワークブックを本来の表示どおりに表示するには、Excel を使用して開きます。

PowerPoint プレゼンテーション

WebReady ドキュメント表示は、PowerPoint スライドを PowerPoint アプリケーションで表示する場合とまったく同じように表示します。

ユーザーはページ番号入力ボックスまたはページ移動用のリンクを使用してスライドを切り替えることができるため、表示は簡単です。スライドが大きすぎて現在のウィンドウに収まらない場合は、スクロール バーが表示されます。各スライドは画像ファイルに変換され、インライン画像として表示されます。

Adobe PDF ファイル

Adobe PDF ファイルは、スクロール バー、ページ移動用のリンク、およびページ番号入力ボックスと共にウィンドウに表示されます。

note注 :
ユーザーが .pdf ファイルをビューアで表示した場合、ハイパーリンクは機能しません。

開始する前に

以下の手順を実行するには、使用するアカウントがクライアント アクセス サーバーのローカルの Administrators グループのメンバである必要があります。

Exchange Server 2007 を管理するために必要なアクセス許可、役割の委任、および権限の詳細については、アクセス許可に関する考慮事項に関するページを参照してください (このサイトは英語の場合があります)。

手順

レジストリ エディタを使用して WebReady ドキュメント表示オプションを構成するには、次の操作を行います。

  1. クライアント アクセス サーバーにログオンします。

  2. レジストリ エディタ (regedit) を起動します。

  3. 編集するレジストリ サブキーを探すか、作成します。

  4. サブキーの値を必要な値に変更します。

  5. レジストリ エディタを閉じます。

レジストリに対して誤った編集を行うと、重大な問題が発生する可能性があり、オペレーティング システムの再インストールが必要になる場合があります。 誤ったレジストリ編集に起因する問題は、解決できない場合もあります。 レジストリを編集する前に、重要なデータをバックアップしてください。

note注 :
設定を適用する各クライアント アクセス サーバーで手順を繰り返す必要があります。

レジストリ キー

Excel

既定では、Excel ワークブックの WebReady 表示では、ページ表示あたり 200 行が表示されます。ウィンドウをスクロールして 200 行すべてを表示できます。これを異なる値に変更する場合は、以下のレジストリ情報を使用します。

Key: HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\MSExchange OWA\ WebReadyDocumentViewing
DWORD ExcelRowsPerPage
Default value if DWORD is not present: 200
Value is an integer larger than 0
Value is the number of rows to be displayed per page in a WebReady Document Viewing page.

変換によるリサイクル

既定では、変換が 150 回行われた後、キャッシュはリサイクルされ、削除するように設定されていた未使用のセッションは削除されます。次のレジストリ情報を使用すると、レジストリを変更してキャッシュのリサイクル間隔を変更できます。

Key: HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\MSExchange OWA\WebReadyDocumentViewing
DWORD RecycleByConversions
Default value if DWORD is not present: 150
Value is an integer larger than 0

ドキュメントの最大入力サイズ

クライアント アクセス サーバーの使用負荷が高く、パフォーマンスの問題が発生し始めている場合、管理者はこのレジストリ キーを使用して、変換エンジンが処理を受け付けるファイルのサイズを変更できます。ユーザーがこのレジストリ エントリで指定されているサイズを超えるファイルに対して [Web ページとして開く] をクリックすると、Outlook Web Access で以下のエラー メッセージが表示されます。

WebReady ドキュメント表示サービスを使用してドキュメントを変換できません。このドキュメントのサイズが、所属組織の管理者によって設定されている最大サイズを超えています。

この値を設定するには、次のレジストリ情報を使用します。

Key: HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\MSExchange OWA\ WebReadyDocumentViewing
DWORD MaxDocumentInputSize
Default value if DWORD is not present: 5000 (value is in kilobytes; 5000 = 5 MB)
Value is an integer between 0 and 1000000 (1 GB)
Value is the number of kilobytes the maximum size of the input file can be.

ドキュメントの最大出力サイズ

この設定は、MaxDocumentInputSize 値と似ていますが、出力ファイル用です。コンバータによって出力され、XCCache フォルダに置かれるファイルは、このレジストリ キーの値のサイズを超えることができません。この制限は、Sourcedoc ファイルには適用されません。このファイルは入力ファイルで、この値を超えることができるためです (ただし、MaxDocumentInputSize キーの値を超えることはできません)。出力ファイルの種類は通常, .htm, .css、および .jpg です。ユーザーがこのレジストリ キー値を超えるファイルおよび出力ファイルに対して [Web ページとして開く] をクリックすると、Outlook Web Access で以下のエラー メッセージが表示されます。

ドキュメントを Web ページとして開くことができません。問題が引き続き発生する場合は、所属組織のテクニカル サポートに問い合わせてください。

この値を設定するには、次のレジストリ情報を使用します。

Key: HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\MSExchange OWA\ WebReadyDocumentViewing
DWORD MaxDocumentOutputSize
Default value if DWORD is not present: 5000 (value is in kilobytes; 5000 = 5 MB)
Value is an integer between 0 and 1000000 (1 GB)
Value is the number of kilobytes the maximum size of the output file (jpg, htm, css) can be.

インライン画像を含む WebReady ドキュメント表示

ユーザーが画像または画像ファイルを出力する変換済みファイルを含むドキュメントを表示すると、WebReady ドキュメント表示はこれらの画像をインライン表示します。以下のレジストリ キーを使用すると、これらの画像の表示を無効にすることができます。

ただし、このレジストリ キーを使用した場合、一部の PowerPoint スライドは空白になることがあります。スライド全体が画像として扱われるためです。

インライン画像の表示を無効にした場合、WebReady ドキュメント表示には、表示されないインライン画像ファイル用のプレースホルダは表示されません。テキストはドキュメント全体で残りますが、画像は削除されます。

このレジストリ キーを実装するには、次のレジストリ情報を使用します。

Key: HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\MSExchange OWA\ WebReadyDocumentViewing
DWORD WebReadyDocumentViewingWithInlineImage
Default value if DWORD is not present: 1
Value is 1 (Show embedded images) or 0 (Do not show embedded images)

一時フォルダの場所

変換済みファイルの既定のフォルダの場所は %SYSTEMROOT%\Temp です。これは一般に Windows\temp フォルダです。領域を節約するためにこの場所を別のドライブまたはフォルダに変更する場合、またはパフォーマンスに優れた別のドライブを使用する場合は、次のレジストリ情報を使用します。

Key: HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\MSExchange OWA\ WebReadyDocumentViewing
String TempFolderLocation
Example value: d:\
Default value if String is not present: %SYSTEMROOT%\temp (ie. C:\Windows\temp)

フォルダ名 XCCache は、設定に関係なく使用されます。このため、文字列型の一時フォルダの場所の値を d:\ に設定すると、キャッシュされるファイルはすべて d:\XCCache に格納されます。

キャッシュ ディスク クォータ

WebReady ドキュメント表示機能が使用できるディスク領域の合計容量を変更するには、キャッシュ ディスク クォータ設定を使用します。これにより、変換処理中に XCCache フォルダ コンテンツによって使用される領域が指定されます。既定値は 1,000 MB です。既定値は、2,000 ユーザーをサポートするクライアント アクセス サーバーが 1 時間に最大 3,400 セッション、および入力ファイル サイズが 5 MB の WebReady ドキュメント表示要求を最大 200 件処理できるという想定に基づいています (ドキュメント入力サイズに関するレジストリ キーを参照してください)。これにより、既定値は 5 MB x 200 = 1,000 MB となりました。

キャッシュ ディスク クォータの値を変更する場合は、次のレジストリ情報を使用します。

Key: HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\MSExchange OWA\ WebReadyDocumentViewing
DWORD: CacheDiskQuota
Default value if DWORD is not present: 1000 (The value is in megabytes.)

[Web ページとして開く] をクリックしたときに次のエラー メッセージが表示された場合、既定の設定の変更が必要になることがあります。

エラーが発生したため、WebReady ドキュメント表示サービスは正常に機能していません。

変換のタイムアウト

この設定は、タイムアウト値 (秒単位) を変更し、変換処理を停止してトランスコード タスク マネージャ内の次の要求の処理へと進むまでの時間を制御する場合に役に立つことがあります。既定値は 20 秒です。変換処理が、指定された時間内に WebReady ドキュメント表示ウィンドウでドキュメントの最初のページの表示を開始できない場合、Outlook Web Access で次のエラーが表示されます。

このドキュメントを Web ページとして表示するための変換処理に時間がかかり過ぎています。ファイルのサイズが大きすぎる可能性があります。

所属組織でオプションが利用可能になっている場合、ドキュメントは通常どおりダウンロードできます。

サーバーのパフォーマンスによっては、値を大きくして、WebReady ドキュメント表示ウィンドウの表示により多くの時間をかけられるようにすることができます。これは、現在使用中のサーバーでパフォーマンスの問題が発生している場合に役に立つことがあります。

このタイムアウト値を変更するには、次のレジストリ情報を使用します。

Key: HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\MSExchange OWA\ WebReadyDocumentViewing
DWORD ConversionTimeout
Default value if DWORD is not present: 20 (seconds)

詳細情報

Outlook Web Access で添付ファイルを管理する方法の詳細については、以下のトピックを参照してください。

参照している情報が最新であることを確認したり、他の Exchange Server 2007 ドキュメントを見つけたりするには、Exchange Server TechCenter を参照してください。