アドレス一覧について

 

適用先: Exchange Server 2010 SP2, Exchange Server 2010 SP3

トピックの最終更新日: 2011-12-01

アドレス一覧は、受信者およびその他の Active Directory オブジェクトの集合です。それぞれのアドレス一覧には、ユーザー、連絡先、グループ、パブリック フォルダー、会議、その他のリソースなど、1 つ以上の種類のオブジェクトを含めることができます。アドレス一覧を利用すると受信者とリソースを整理できるので、必要な受信者やリソースを簡単に見つけられるようになります。アドレス一覧は動的に更新されます。したがって、新しい受信者が組織に追加されると、その受信者は自動的に適切なアドレス一覧に追加されます。

次の図に示すように、Microsoft Outlook などのクライアント アプリケーションには Exchange によって提供される使用可能なアドレス一覧が表示されます。

Microsoft Office Outlook 2007 で表示されるグローバル アドレス一覧の例

Outlook 2007 で表示されるアドレス一覧

アドレス一覧は Active Directory に格納されます。したがって、ネットワークとの接続を解除したモバイル ユーザーは、サーバーに格納されているアドレス一覧との接続も解除されます。ただし、ネットワークとの接続を解除しているユーザーのために、オフライン アドレス帳 (OAB) を作成することが可能です。OAB は、ユーザーのハード ディスクにダウンロードできます。多くの場合、リソース節約のため、OAB はサーバーに格納されている実際のアドレス一覧の情報のサブセットになります。詳細については、「オフライン アドレス帳について」を参照してください。

メールボックス サーバーの管理に関連する管理タスクについては、「メールボックス サーバーの管理」を参照してください。

目次

Exchange 2010 SP2 のアドレス一覧の変更

既定のアドレス一覧

カスタム アドレス一覧

アドレス一覧を作成するためのベスト プラクティス

Exchange 2010 SP2 のアドレス一覧の変更

グローバル アドレス一覧 (GAL) セグメンテーション (GAL 分離とも呼ばれる) は、ユーザーを特定グループに分割して、組織の GAL のカスタマイズされた表示を提供するプロセスです。Exchange Server 2007 以前の GAL の分割は複雑で、クエリ ベース DN (ディレクトリ検索のルートとして働く) またはアクセス制御リスト (ACL) を使用して、各アドレス一覧へのアクセスを許可または拒否する必要がありました。

このプロセスを簡素化するため、Exchange 2010 Service Pack 2 (SP2) ではアドレス帳ポリシー (ABP) が導入されました。ABP の作成時には、GAL、オフライン アドレス帳 (OAB)、会議室一覧、1 つ以上のアドレス一覧をポリシーに割り当てます。次に ABP をメールボックス ユーザーに割り当て、カスタマイズされた GAL にメールボックス ユーザーが Outlook と Outlook Web App でアクセスできるようにします。目標は、複数の GAL を必要とする社内組織で GAL セグメンテーションを完成するメカニズムを単純にすることです。

ABP の詳細については、「アドレス帳ポリシーについて」を参照してください。

既定のアドレス一覧

クライアント アプリケーションを使用して受信者情報を検索する場合、使用可能なアドレス一覧から選択することができます。グローバル アドレス一覧 (GAL) などのいくつかのアドレス一覧は既定で作成されます。Exchange には次の既定のアドレス一覧があります。組織に追加された新規のユーザー、連絡先、グループ、会議室は、自動的にこれらのアドレス一覧に追加されます。

  • すべての連絡先   このアドレス一覧には、メールが有効な組織内の連絡先がすべて含まれています。メールが有効な連絡先とは、外部の電子メール アドレスを持っている受信者です。メールが有効な連絡先の情報を組織内のすべてのユーザーが利用できるようにするには、その連絡先を GAL に含める必要があります。 メール連絡先の詳細については、「受信者について」を参照してください。

  • すべてのグループ   このアドレス一覧には、メールが有効な組織内のグループがすべて含まれています。メールが有効なグループとは、大量の電子メール メッセージおよびその他の情報を効率よく送信するために作成された受信者のグループです。電子メール メッセージがメールが有効なグループに送信されると、そのグループのメンバー全員がメッセージのコピーを受け取ります。メールが有効なグループの詳細については、「受信者について」を参照してください。

  • すべての会議室   このアドレス一覧には、会議室として指定されている組織内のリソースがすべて含まれています。会議室とは、クライアント アプリケーションから会議出席依頼を送信することによってスケジューリングできる、組織内のリソースです。会議室に関連付けられているユーザー アカウントは無効になります。アドレス一覧にリソース メールボックスを追加する方法については、「リソース メールボックスをアドレス一覧に追加する」を参照してください。リソース メールボックスの詳細については、「受信者について」を参照してください。

  • すべてのユーザー   このアドレス一覧には、メールが有効な組織内のユーザーがすべて含まれています。メールが有効なユーザーは、Exchange 組織外のユーザーを表します。メールが有効なユーザーは、ぞれぞれ、外部電子メール アドレスを持っています。メールが有効なユーザーに送信されるメッセージはすべて、この外部電子メール アドレスにルーティングされます。メールが有効なユーザーはメール連絡先に似ていますが、メールが有効なユーザーは Active Directory ログオン資格情報を持ち、リソースにアクセスできるという点で異なります。メールが有効なユーザーの詳細については、「受信者について」を参照してください。

  • 既定のグローバル アドレス一覧   このアドレス一覧には、メールが有効な組織内のユーザー、連絡先、グループ、会議室がすべて含まれています。Exchange では、セットアップ時にさまざまな既定のアドレス一覧が作成されます。GAL は、その中で最も一般的なアドレス一覧です。既定では、GAL には Exchange 組織内のすべての受信者が含まれます。つまり、Active Directory がインストールされている Exchange フォレスト内のメールボックスが有効なオブジェクトまたはメールが有効なオブジェクトは、すべて GAL に含まれます。GAL では、使いやすいように、オブジェクトが (電子メール アドレス順ではなく) 名前順に並べられています。詳細については、「アドレス一覧の管理」を参照してください。

  • パブリック フォルダー   このアドレス一覧には、組織内のパブリック フォルダーがすべて含まれています。アクセス許可によって、フォルダーの参照と使用が可能なユーザーが特定されます。パブリック フォルダーは Exchange を実行しているコンピューターに格納されます。パブリック フォルダーの詳細については、「パブリック フォルダーの管理」を参照してください。

カスタム アドレス一覧

Exchange 組織には、多数の受信者を含めることができます。しかし、すべての受信者を既定のアドレス一覧にまとめると、一覧が非常に大きくなることがあります。そうならないようにするため、カスタム アドレス一覧を作成して、組織内のユーザーがより簡単に検索対象を見つけられるようにすることができます。

たとえば、2 つの大きな事業部がある企業で、1 つの Exchange 組織を使用しているとします。1 つ目の事業部は Fourth Coffee という名前で、コーヒー豆の輸入販売を行っています。もう 1 つの事業部は Contoso, Ltd. という名前で、保険引受業務を行っています。ほとんどの日常業務に関して、Fourth Coffee の従業員と Contoso, Ltd. の従業員が連絡を取り合うことはありません。したがって、従業員が同じ事業部内の受信者を見つけやすくするため、Fourth Coffee と Contoso, Ltd. にそれぞれ 1 つずつ、2 つのカスタム アドレス一覧を新たに作成することができます。同じ事業部内の受信者を検索する場合、このカスタム アドレス一覧を利用して自分が所属する事業部に限定されたアドレス一覧のみを選択できるようになります。受信者が属している事業部がわからない場合は、両方の事業部の受信者全員が含まれている GAL を検索するという方法があります。

また、階層アドレス一覧と呼ばれる、アドレス一覧のサブカテゴリを作成することもできます。たとえば、マンチェスターのすべての受信者を含むアドレス一覧を作成し、シュトゥットガルトのすべての受信者を含むアドレス一覧を含む別のアドレス一覧を作成することができます。

アドレス一覧を作成するためのベスト プラクティス

アドレス一覧はユーザーにとって便利なツールですが、十分な計画を立てずにアドレス一覧を作成すると、フラストレーションの原因にもなりかねません。アドレス一覧がユーザーにとって役に立つものにするため、以下のベスト プラクティスを考慮してください。

  • 多くのアドレス一覧を作成しすぎて、ユーザーがどの一覧で受信者を検索したらよいか迷うことがないようにします。

  • ひと目見ただけで、どのような種類の受信者が含まれているのかがわかるような名前をアドレス一覧に付けます。アドレス一覧の名前がわかりにくくなってしまう場合は、作成するアドレス一覧の数を抑え、GAL を使用すれば組織内のあらゆる受信者を検索できるということをユーザーに通知します。

アドレス一覧の作成方法の詳細については、「アドレス一覧の作成」を参照してください。

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