メッセージング レコード管理について

 

適用先: Exchange Server 2010 SP2, Exchange Server 2010 SP3

トピックの最終更新日: 2010-01-22

組織やユーザーが毎日処理する電子メールの量は、日ごとに増え続けています。増大する電子メールには、ビジネス、法律、規制の観点から組織にとって重要なメッセージが含まれます。また、組織のメッセージング ポリシーに応じて、特定の期間、保持が必要となる場合もあります。ただし、電子メール メッセージの多くは、保持する価値があったとしても、特定の期間が過ぎればその価値は失われます。たとえば、ユーザーのメールボックスには、ビジネス戦略、トランザクション、製品開発、顧客とのやりとりに関連するメッセージなど、保持する必要のある重要なメッセージが含まれている可能性があります。ただし、ニュースレターの購読、個人的な電子メールなどのメッセージは、保持する価値がない可能性があるため、特定の期間が過ぎれば保持する必要はなくなります。保持する価値がほとんどないメッセージを保持すると、メールボックスが大きくなるため、メールボックス サーバー上により多くのリソースが必要となります。

メッセージング レコード管理 (MRM) は Microsoft Exchange Server 2010 のレコード管理テクノロジで、組織での電子メールに関連する法的リスクの軽減に役立ちます。MRM を使用すると、企業ポリシー、政府規制、または法的要件への準拠に必要なメッセージを保持し、法的価値またはビジネス上の価値を持たなくなったコンテンツを削除することがより簡単になります。これは、アイテム保持ポリシーまたは管理フォルダーによって実現できます。

  • アイテム保持ポリシー   アイテム保持ポリシーは、Exchange 2010 の新しい MRM テクノロジで、保存期間の設定を適用するために保持タグを使用します。保持タグを作成し、タグをアイテム保持ポリシーにリンクします。アイテム保持ポリシーが適用されているメールボックスは、管理フォルダー アシスタントによって処理されます。管理フォルダー アシスタントは、スケジュールに従って実行され、メールボックス内の保持タグを準備するメールボックス アシスタントです。アイテム保持ポリシーの詳細については、「保持タグおよびアイテム保持ポリシーについて」を参照してください。

  • 管理フォルダー   管理フォルダーは、Exchange Server 2007 に導入された MRM テクノロジで、Exchange 2010 でも使用できます。管理フォルダーには管理コンテンツ設定が適用されます。管理フォルダーを作成して、管理フォルダー メールボックス ポリシーにリンクします。管理フォルダー メールボックス ポリシーが適用されたメールボックスは、管理フォルダー アシスタントによって処理されます。管理フォルダー アシスタントは、スケジュールに従って実行され、メールボックス内の管理フォルダーを準備するメールボックス アシスタントです。 管理フォルダーの詳細については、「管理フォルダーについて」を参照してください。

メッセージが保存期限に達すると、保持タグ (管理フォルダーの場合は管理コンテンツ設定) で指定されている保存期間のアクションが実行されます。メッセージは、[削除済みアイテム] フォルダーに移動したり、[回復可能なアイテム] フォルダーから復元するための機能を使って削除したり、完全削除したりすることができます。アーカイブ メールボックスがユーザーに準備されている場合、保持タグの追加アクションとして、メッセージをユーザーのアーカイブ メールボックスに移動できます。管理フォルダーの管理コンテンツ設定にも、メッセージを管理されたカスタム フォルダーに移動するという追加アクションがあります。

メッセージング レコード管理戦略

アイテム保持ポリシーと管理フォルダーは、MRM に対して 2 つの異なるアプローチを提供します。どちらの MRM テクノロジを使用しても、基本的な MRM ポリシーを既定のフォルダーとメールボックス全体に適用できます。MRM を効果的なものにするには、ユーザーが、メッセージをその特質と保持する価値に基づいて分類するプロセスに参加する必要があります。

保持タグを使用する場合、既定の保存期間の設定を受信トレイ フォルダーなどの既定のフォルダーに適用し、既定のポリシー タグ (DPT) をメールボックス全体に適用できます。DPT の保存期間の設定は、ユーザーによって作成されたカスタム フォルダーなど、保持タグなしでフォルダーに存在する可能性がある、タグの付いていないアイテムに適用されます。保持タグは、電子メールをフォルダーにファイリングし、メッセージをほとんど受信トレイに保管しないユーザーにも、ほどんどの電子メールを受信トレイに残したままにするユーザーにも役立ちます。保持タグを使用すると、ユーザーが、フォルダーの保存期間の設定に基づいてフォルダー内のメッセージをファイリングする必要がなくなるため、ユーザーのワークフローへの影響が抑えられます。保持タグでは、任意の個人タグをカスタム フォルダーに適用できます。異なるタグを個々のメッセージに明示的に適用することもできます。

管理フォルダーの場合、ユーザーは、自分自身のメッセージを分類し、管理フォルダーに並べ替えることで、MRM プロセスに参加します。この並べ替えプロセスにより、メッセージがユーザーの設定や組織のニーズに応じて確実に分類されます。これにより、完全に自動化されたメッセージング管理ソリューションで発生する可能性があるメッセージ処理の誤りもなくなります。

Exchange 2010 のメッセージング保持管理およびポリシー適用の信頼性、効果、および使いやすさを向上させるための戦略は、次の 3 つの原則に基づいています。

  • ユーザーは自分自身のメッセージを分類する。

  • 保持する価値のないメッセージが削除される。

  • 保持する価値のあるメッセージが保持される。

ユーザーは自分自身のメッセージを分類する

Exchange 2010 では、ユーザーは自分自身のメッセージを分類することで、MRM プロセスに参加します。アイテム保持ポリシーが適用されたユーザーは、保持タグが適用されたフォルダーにメッセージを移動するか、個人タグをメッセージに適用できます。ユーザーのアクションがないと、以下の保存期間の設定のいずれかが適用されます。

  • アイテム保持ポリシー タグが適用された既定のフォルダー内のメッセージ   メッセージが、アイテム保持ポリシー タグが適用された既定のフォルダーに存在する場合に、フォルダーの保存期間の設定がメッセージに適用されます。

  • 個人タグが適用されたカスタム フォルダー内のメッセージ   メッセージが、ユーザーが個人タグを適用したカスタム フォルダーに存在する場合に、フォルダーの保存期間の設定がメッセージに適用されます。

  • 保持タグのない既定のフォルダーまたはカスタム フォルダー内のメッセージ   メッセージが、保持タグが適用されていない既定のフォルダーまたはカスタム フォルダーに存在する場合に、DPT がメッセージに適用されます。

メッセージの場所に関係なく、ユーザーがタグをメッセージに明示的に適用したときはいつでも、ユーザーのアクションが優先されます。

保持する価値のないメッセージが削除される

アイテム保持ポリシーと管理フォルダー メールボックス ポリシーは、管理フォルダー アシスタントによってユーザーのメールボックスに適用されます。このアシスタントは、アイテム保持ポリシーまたは管理フォルダー メールボックス ポリシーが適用されているメールボックスを処理します。アイテム保持ポリシーが適用されているメールボックスの場合、管理フォルダー アシスタントは、ポリシーに含まれている保持タグを、既定のフォルダーとメールボックス全体に適用します。ポリシーに含まれている個人タグが準備され、Microsoft Outlook 2010 および Microsoft Office Outlook Web App のユーザーが使用できるようになります。

保持する価値のあるメッセージが保持される

保持する価値のあるメッセージが、メッセージ、フォルダー、またはメールボックスに適用された保存期間の設定に基づいて保持されます。ただし、ユーザーがメールボックスからメッセージを削除できることに注意してください。MRM では、ユーザーが自分自身のメッセージを削除することを禁止しません。組織でメッセージをユーザーのメールボックス以外で長期間保持する必要がある場合は、ジャーナルの実装を検討してください。ジャーナルの詳細については、「ジャーナルについて」を参照してください。

組織で、ユーザーが電子情報開示や保持の要件を満たすためにメッセージを保存することを希望する場合は、大容量のメールボックスを展開し、これらのユーザーを法的情報保留にすることを検討してください。法的情報保留の詳細については、「訴訟ホールドについて」を参照してください。

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