着信 FAX を展開および構成する

 

適用先: Exchange Server 2010 SP2, Exchange Server 2010 SP3

トピックの最終更新日: 2009-11-14

Microsoft Exchange Server 2010 ユニファイド メッセージング (UM) は、送信 FAX または FAX ルーティングといった拡張 FAX 機能について、認証された FAX パートナー ソリューションに依存しています。既定では、ユニファイド メッセージング サーバー役割をインストールした時点で、サーバーは着信 FAX メッセージを UM が有効化されたユーザーに対して配信できるようには構成されていません。その代わり、UM サーバーは着信 FAX 呼び出しを認証された FAX パートナー ソリューションにリダイレクトします。FAX パートナーのサーバーは FAX データを受信すると、FAX を .tif 形式にして添付した電子メールのメッセージとして、受信者のメールボックスに送信します。

ユニファイド メッセージング サーバーにより、ユーザーに配信される最終的なメッセージが Microsoft Exchange Server 2007 ユニファイド メッセージングにより生成された FAX メッセージと同一であることが保証されます。ただし、FAX パートナーのソリューションが Exchange 2010 ユニファイド メッセージングとの相互運用における一連の要件を満たしている必要があります。FAX パートナー プログラムの詳細については、「Exchange 2010 の FAX アドバイザー」を参照してください。

FAX の展開と構成

Exchange 2010 UM は着信 FAX 呼び出しを、専用の FAX パートナー ソリューションに転送します。次にそのソリューションが FAX 発信者と FAX 呼び出しを確立し、UM が有効なユーザーの代理として FAX を受信します。ただし、UM が有効なユーザーがメールボックスで FAX メッセージを受信できるようにするためには、最初に Exchange 2010 ユニファイド メッセージング セットアップを実行し、FAX パートナーを構成してから、UM ダイヤル プラン、UM メールボックス ポリシーを構成して、UM が有効なユーザーの FAX 受信を有効化します。詳細については、「ユニファイド メッセージング コンポーネントの管理」を参照してください。

手順 1:ユニファイド メッセージングを展開する

正しく FAX を配信するには、最初にユニファイド メッセージング サーバーを組織に正常に展開し、サポートされた IP ゲートウェイを FAX を許可するよう構成します。UM を追加する方法の詳細については、「新しいユニファイド メッセージング環境の展開」を参照してください。IP ゲートウェイを展開する方法の詳細については、「IP ゲートウェイの管理」を参照してください。

重要

T.38 または G.711 を使用した FAX の送受信は、ユニファイド メッセージングと Microsoft Office Communications Server 2007 が統合された環境ではサポートされていません。

手順 2:FAX パートナー サーバーの構成

次に、FAX パートナー サーバーを組織にインストールして構成する必要があります。FAX パートナー サーバーと Exchange 2010 ユニファイド メッセージングを問題なく統合するためには、特定の手順を踏む必要があります。詳細については、「Exchange 2010 の FAX アドバイザー」を参照してください。

注意

FAX パートナー サーバー上の Microsoft Windows ファイアウォール ポートを、TCP ポート 5060 または 5061 のいずれかを使用している SIP 信号トラフィックを許可するよう構成する必要があります。また、製造元によって定義された UDP ポート範囲を使用する FAX データを許可するよう構成する必要があります。

手順 3:ユニファイド メッセージングの FAX 送受信を有効にする

ユーザーが Exchange 2010 ユニファイド メッセージングを使用して FAX を受信できるようにするには、3 つのコンポーネントを正しく構成する必要があります。

  • UM ダイヤル プラン

  • UM メールボックス ポリシー

  • UM メールボックス

UM ダイヤル プラン、UM メールボックス ポリシー、または UM が有効なユーザーのメールボックスで、FAX を有効または無効にできます。既定では、ユーザーのメールボックスで FAX 受信が許可されていますが、UM が有効なユーザーに関連付けられている UM メールボックス ポリシーで最初に FAX 受信を有効にし、FAX パートナー サーバーの URI を入力する必要があります。

UM が有効なユーザーが FAX を受信できるようにするには、次の操作を行う必要があります。

  • 各 UM ダイヤル プランでダイヤル プランと関連付けられているユーザーが FAX 受信を許可されていることを確認します。既定では、ダイヤル プランに関連づけられたすべてのユーザーが FAX を受信できます。UM が有効なユーザーが各自のメールボックスに FAX メッセージを受信できるようにするには、ダイヤル プランと関連付けられている各ユニファイド メッセージング サーバーを、受信 FAX 呼び出しを受け付けるように構成する必要があります。また、ダイヤル プランに関連付けられているユーザーが FAX メッセージを受信できるようにする必要があります。ダイヤル プランに関連づけられたユーザーによる FAX の受信を有効または無効にする方法の詳細については、「UM ダイヤル プランで、UM が有効なユーザーの FAX 受信を有効にする」を参照してください。

    注意

    ダイヤル プランで FAX メッセージが受信されないようにした場合は、個々のユーザーのプロパティを FAX メッセージを受信できるように構成しても、そのダイヤル プランと関連付けられているユーザーは FAX メッセージを受信できなくなります。UM ダイヤル プランでの FAX 送受信の有効化または無効化は、個々の UM が有効なユーザーに対する設定より優先されます。

  • UM が有効になっているユーザーに関連付けられている UM メールボックス ポリシーを構成する。UM メールボックス ポリシーは、FAX パートナーの URI および FAX パートナーのサーバー名を含む、着信 FAX を許可するように構成する必要があります。FaxServerURI は、次の形式を使用する必要があります。sip:<FAX サーバー URI>:<ポート>;<トランスポート>、“FAX サーバー URI” は、FAX パートナー サーバーの FQDN または IP アドレスのいずれか。“ポート” は FAX サーバーが着信 FAX 呼び出しを待機するポートで、“トランスポート” は着信 FAX で使用されるトランスポート プロトコル (UDP、TCP、または TLS) です。たとえば、次のように FAX を構成できます。

    Set-UMMailboxPolicy MyUMMailboxPolicy -AllowFax $true -FaxServerURI "sip:faxserver.abc.com:5060;transport=tcp"
    

    詳細については、「UM メールボックス ポリシーの FAX 受信を有効または無効にする」を参照してください。

  • UM が有効な Exchange 2010 メールボックスが FAX メッセージを受信できることを確認します。既定では、ダイヤル プランに関連づけられたすべてのユーザーが FAX を受信できます。ただし、FAX を受信する機能がメールボックスで無効になっているために、ユーザーが FAX を受信できない場合もあります。UM が有効なユーザーが FAX を受信できるようにする方法の詳細については、「UM が有効なユーザーの FAX 受信を有効にする」を参照してください。

    ダイヤル プランと関連付けられている単一のユーザーが FAX メッセージを受信しないようにすることができます。これを行うには、Exchange 管理コンソール、または Exchange 管理シェルの Set-UMMailbox コマンドレットを使用して、ユーザーのプロパティを構成します。また、Set-UMMailbox コマンドレットを使用して、複数のユーザーが FAX メッセージを受信しないようにすることもできます。1 人または複数のユーザーが FAX メッセージを受信しないようにする方法の詳細については、「UM が有効なユーザーの FAX 受信を禁止する」を参照してください。

手順 4:認証を構成する

UM ダイヤル プラン、UM メールボックス ポリシー、および UM が有効なユーザーの構成に加えて、UM サーバーと FAX パートナー サーバー間の認証を構成する必要があります。UM サーバーは、FAX パートナーのサーバーから発信されたと主張しているメッセージの発信元を認証できる必要があります。

FAX パートナー サーバーから UM サーバーへと送信された FAX メッセージは認証される必要があり、FAX パートナー サーバーから送信されたと主張しているすべての認証されていないメッセージは、UM サーバーによって処理されることはありません。FAX パートナーから UM サーバーへの接続を認証するには、次の方法が使用できます。

  • 相互 TLS

  • 送信者 ID の検証

  • 専用の受信コネクタ

UM サーバーと共に組織に展開された FAX パートナー サーバーを認証するには、受信コネクタで十分です。受信コネクタは、FAX パートナー サーバーから送信されたすべてのトラフィックを Exchange サーバーが認証済みとして扱うことを保証します。

受信コネクタは、SMTP FAX メッセージを送信するために FAX パートナー サーバーによって使用されるハブ トランスポート サーバー上に展開される必要があり、以下の値で構成される必要があります。

  • AuthMechanism: ExternalAuthoritative

  • PermissionGroups: ExchangeServers, PartnersFax

  • RemoteIPRanges: {the fax server's IP address}

  • RequireTLS: False

  • EnableAuthGSSAPI: False

  • LiveCredentialEnabled: False

詳細については、「コネクタの管理」を参照してください。

FAX パートナー サーバーが、パブリック ネットワークを介してネットワーク トラフィックを UM サーバーに送信する場合、例えば、クラウドでホストされているサービス ベースの FAX パートナー サーバー。送信者 ID の確認を使用して FAX パートナーを認証することを推奨します。この種類の認証によって、FAX メッセージの発信元の IP が、実際に、メッセージが発信元であると主張する FAX パートナー ドメインを代理して電子メール メッセージを送信することを認証されていることが保証されます。送信者 ID レコード (または SPF レコード) の保存には DNS が使用され、FAX パートナーは DNS 前方参照ゾーンの自分自身の SPF レコードを公開する必要があります。Exchange 2010 は DNS に問い合わせを行うことで IP アドレスを検証します。ただし、DNS クエリを実行できるように、送信者 ID エージェントが Exchange 2010 エッジ サーバー上で実行中である必要があります。

また、ネットワーク トラフィックの暗号化に TLS を使用したり、または FAX パートナー サーバーと Exchange 2010 ユニファイド メッセージング サーバー間の暗号化および認証に相互 TLS を使用できます。詳細については、「ユニファイド メッセージング VoIP セキュリティについて」を参照してください。

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