Exchange 2003 ハイブリッド展開でのトランスポート ルーティングについて

 

適用先: Exchange Server 2010 SP2, Exchange Server 2010 SP3

トピックの最終更新日: 2013-01-29

このトピックでは、インターネットからの受信メッセージおよびインターネットへの送信メッセージのルーティング オプションについて説明します。

注意

このトピックの例に、ハイブリッド展開へのエッジ トランスポート サーバーの追加は含まれていません。社内組織、Exchange Online 組織、およびインターネット間でメッセージが通るルートは、エッジ トランスポート サーバーの追加によって変わることはありません。ルーティングは、社内組織内のみで変わります。ハイブリッド展開にエッジ トランスポート サーバーを追加する方法の詳細については、「Exchange 2003 ハイブリッド展開でのエッジ トランスポート サーバーについて」を参照してください。

インターネットからの受信メッセージ

ハイブリッド展開の計画と構成の一部として、インターネットの送信者からのすべてのメッセージを、社内組織を通すかまたは Exchange Online 組織を通すかを決定する必要があります。 インターネット送信者からのすべてのメッセージは、最初は選択した組織に配信され、次に受信者のメールボックスの場所に従いルーティングされます。 メッセージを社内組織を通してルーティングするか Exchange Online 組織を通してルーティングするかの選択は、さまざまな要因に依存します。たとえば、両方の組織に送信されるすべてのメッセージに法令遵守ポリシーを適用するかどうか、それぞれの組織にどの位の数のメールボックスがあるか、などです。

社内および Exchange Online の組織で受信者に送信されるメッセージのパスは、ハイブリッド展開で MX レコードを構成する方法によって決まります。 ハイブリッド構成の管理ウィザードでは、社内組織と Exchange Online 組織の受信インターネット メッセージのルーティングは構成されません。受信インターネット メールの配信方法を変更する場合は、MX レコードを手動で構成する必要があります。

  • 社内組織を MX レコードでポイントする場合:   いずれの組織の受信者に送信されるどのメッセージも、まず社内組織でルーティングされます。 Exchange Online に存在する受信者に宛てられたメッセージは、最初に社内組織を通ってルーティングされ、次に Exchange Online の受信者に配信されます。このルートは、組織で送受信されたメッセージをジャーナリング ソリューションで検査することを義務付けるコンプライアンス ポリシーがある組織に役立つと考えられます。 このルートは、Exchange Online 組織よりも、社内組織により多くの受信者が存在する場合にも推奨されます。

  • Office 365 の Microsoft Exchange Online Protection (EOP) サービスをポイントするように MX レコードを変更する場合:   いずれの組織の受信者に送信されるどのメッセージも、まず Exchange Online 組織でルーティングされます。 社内組織に存在する受信者に宛てられたメッセージは、最初に Exchange Online 組織を通ってルーティングされ、次に社内組織の受信者に配信されます。 このルートは、社内組織よりも Exchange Online 組織により多くの受信者が存在する場合にも推奨されます。

インターネットの受信者から社内の受信者および Exchange Online の受信者に対して送信されたメッセージのルーティングの計画方法については、以下のセクションで一致するものを参照してください。

社内組織で受信インターネット メッセージをルーティングする

次の手順と図は、MX レコードで社内組織をポイントする場合にハイブリッド展開で発生する受信インターネット メッセージのパスを示しています。

  1. 受信メッセージは、インターネットの送信者から受信者 chris@contoso.com および david@contoso.com に送信されます。Chris のメールボックスは、社内組織の Exchange 2003 サーバーにあります。 David のメールボックスは Exchange Online にあります。

  2. 両方の受信者の電子メール アドレスに contoso.com が含まれており、contoso.com の MX レコードが社内組織をポイントしているため、メッセージは Exchange 2003 サーバーに配信されます。

  3. Exchange 2003 サーバーが、社内のグローバル カタログ サーバーを使用してそれぞれの受信者を参照します。 グローバル カタログ検索の間に、Chris のメールボックスは Exchange 2003 サーバーにあることがわかり、一方で David のメールボックスは Exchange Online 組織にあり、david@contoso.mail.onmicrosoft.com のハイブリッド ルーティング アドレスを持っていることがわかりました。

  4. Exchange 2003 サーバーがメッセージを 2 つのコピーに分割します。 メッセージの 1 つのコピーは Chris のメールボックスに配信されます。

  5. メッセージの 2 番目のコピーは、ハイブリッド サーバーと Exchange 2003 サーバーの間に構成されたルーティング グループ コネクタを通して送信されます。

  6. ハイブリッド ハブ トランスポート サーバーはメッセージを EOP に送信し、Exchange Online 組織に対して送信されたメッセージを、TLS を使用するように構成された送信コネクタを使用して受信します。

  7. EOP はメッセージを Exchange Online 組織に送信します。そこでメッセージはウイルス スキャンされて David のメールボックスに配信されます。

社内組織と Exchange Online 組織の両方に対し、社内組織を通してメールをルーティングする

オンプレミス経由の受信

受信インターネット メッセージを Exchange Online 組織経由でルーティングする

次の手順と図は、Office 365 組織の EOP サービスを MX レコードでポイントする場合にハイブリッド展開で発生する受信メッセージのパスを示しています。メッセージのパスは、メール トランスポートの集中管理を有効にするかどうかによって異なります。

重要

最初に EOP に配信されてから Exchange Online 組織を通ってルーティングされるメッセージを受信する社内メールボックスそれぞれに EOP ライセンスを購入しなければならない場合があります。 詳細については、マイクロソフト製品販売店にお問い合わせください。

メール トランスポートの集中管理が無効である場合 (既定の構成)、受信インターネット メッセージはハイブリッド展開で次のようにルーティングされます。

  1. 受信メッセージは、インターネットの送信者から受信者 chris@contoso.com および david@contoso.com に送信されます。Chris のメールボックスは、社内組織の Exchange 2003 サーバーにあります。 David のメールボックスは Exchange Online にあります。

  2. 両方の受信者の電子メール アドレスに contoso.com が含まれており、contoso.com の MX レコードが EOP をポイントしているため、メッセージは EOP に配信されます。

  3. EOP は両方の受信者のメッセージを Exchange Online にルーティングします。

  4. Exchange Online はメッセージをウイルス スキャンして、それぞれの受信者を参照します。 参照により、Chris のメールボックスは社内組織にあり、David のメールボックスは Exchange Online 組織内にあることがわかります。

  5. Exchange Online はメッセージを 2 つのコピーに分割します。 メッセージの 1 つのコピーは David のメールボックスに配信されます。

  6. 2 番目のコピーは Exchange Online から EOP に送り返されます。

  7. EOP はメッセージを社内組織のハイブリッド Exchange 2010 ハブ トランスポート サーバーに送信します。

  8. ハイブリッド ハブ トランスポート サーバーがハイブリッド サーバーと Exchange 2003 サーバーの間に構成されているルーティング グループ コネクタを経由してメッセージを送信し、そのメッセージが Chris のメールボックスに配信されます。

メール トランスポートの集中管理を無効にした状態で (既定の構成) 社内組織と Exchange Online 組織の両方に Exchange Online 組織でメールをルーティングする

Exchange Online 経由の受信

メール トランスポートの集中管理が有効である場合、受信インターネット メッセージはハイブリッド展開で次のようにルーティングされます。

  1. 受信メッセージは、インターネットの送信者から受信者 chris@contoso.com および david@contoso.com に送信されます。Chris のメールボックスは、社内組織の Exchange 2003 サーバーにあります。David のメールボックスは Exchange Online にあります。

  2. 両方の受信者の電子メール アドレスに contoso.com が含まれており、contoso.com の MX レコードが EOP をポイントしているため、メッセージは EOP に配信され、ウイルス スキャンされます。

  3. メール トランスポートの集中管理が有効であるため、EOP は両方の受信者のメッセージを社内 ハイブリッド Exchange 2010 ハブ トランスポート サーバーにルーティングします。

  4. ハイブリッド ハブ トランスポート サーバーは、受信者ごとの検索を実行します。参照により、Chris のメールボックスは社内組織にあり、David のメールボックスは Exchange Online 組織内にあることがわかります。

  5. ハイブリッド ハブ トランスポート サーバーはメッセージを 2 つのコピーに分割します。 メッセージの片方のコピーは、社内 Exchange 2003 サーバーの Chris のメールボックスに配信されます。

  6. 2 番目のコピーは、ハイブリッド ハブ トランスポート サーバーから EOP に送り返されます。

  7. EOP は Exchange Online にメッセージを送信します。

  8. Exchange はメッセージを David のメールボックスに配信します。

メール トランスポートの集中管理を有効にした状態で社内組織と Exchange Online 組織の両方に Exchange Online 組織でメールをルーティングする

一元化されたトランスポートを有効にした EOP への受信

インターネットへの送信メッセージ

組織の受信者宛ての受信メッセージのルーティング方法を選択するだけでなく、Exchange Online の受信者から送信される送信メッセージのルーティング方法も選択できます。ハイブリッド構成ウィザードを実行する際に、以下の 2 つのオプションのうちいずれかを選択できます。

  • メール トランスポートの集中管理を有効にする   このオプションを選択すると、Exchange Online 組織から送信された送信メッセージは社内組織でルーティングされます。 同じ Exchange Online 組織内の他の受信者に送信されるメッセージを除き、Exchange Online 組織の受信者から送信されたすべてのメッセージは、社内組織経由で送信されます。 これにより、法令遵守ルールをこれらのメッセージに適用したり、受信者が Exchange Online 組織にいるか、社内組織にいるかにかかわらず、適用する必要がある他のプロセスや要件をすべての受信者に適用したりできるようになります。

    注意

    メール トランスポートの集中管理は、コンプライアンスに関連する特定のトランスポート ニーズがある組織のみに推奨されます。一般的な Exchange 組織では、メール トランスポートの集中管理を有効にしないことをお勧めします。

  • メール トランスポートの集中管理を有効にしない   このオプションはハイブリッド構成の管理ウィザードで既定で選択されており、Exchange Online 組織から送信された送信メッセージはインターネットに直接ルーティングされます。 このオプションは、社内の法令遵守ポリシーやその他の処理ルールを、Exchange Online 組織の受信者から送信されるメッセージに適用する必要がない場合に使用します。

社内の受信者から送信されたメッセージは、上記のハイブリッド構成の管理ウィザードで選択した選択肢に関係なく、常に DNS を使用してインターネットに直接送信されます。

次の手順と図は、社内の受信者から送信されたメッセージの送信メッセージの経路を説明しています。

  1. 社内 Exchange 2003 サーバーにメールボックスがある Chris は、外部インターネット受信者 erin@cpandl.com にメッセージを送信します。

  2. Exchange 2003 サーバーは cpandl.com の MX レコードを検索し、メッセージをインターネット上にある cpandl.com メール サーバーに送信します。

社内の送信者からインターネットの受信者へのメッセージ

オンプレミスからインターネットへの直接送信

Exchange Online 組織内の受信者からインターネットの受信者に対して送信されたメッセージのルーティングの計画方法については、以下のセクションで一致するものを参照してください。

DNS を使用してインターネット向けのメッセージを Exchange Online から配信する (メール トランスポートの集中管理は無効)

次の手順と図は、[メール トランスポートの集中管理を有効にする] をハイブリッド構成の管理ウィザードで選択していない場合 (既定の構成) に発生する、Exchange Online の受信者からインターネット受信者に送信されたメッセージの送信メッセージ パスを示しています。

  1. 社内の Exchange Online 組織にメールボックスがある David が、外部のインターネット受信者 erin@cpandl.com にメッセージを送信します。

  2. Exchange Online はメッセージをスキャンしてウイルスの有無を確認し、Exchange Online EOP 会社に送信します。

  3. EOP は cpandl.com の MX レコードを検索し、メッセージをインターネット上にある cpandl.com メール サーバーに送信します。

メール トランスポートの集中管理を無効にした状態 (既定の構成) で Exchange Online の送信者からのメールをインターネットに直接ルーティングする

Exchange Online からインターネットへの送信

社内組織で Exchange Online からのインターネット向けのメッセージをルーティングする (メール トランスポートの集中管理が有効)

次の手順と図は、[メール トランスポートの集中管理を有効にする] をハイブリッド構成の管理ウィザードで選択したときに発生する、Exchange Online の受信者からインターネットの受信者に送信されたメッセージの送信メッセージ パスを示しています。

  1. 社内の Exchange Online 組織にメールボックスがある David が、外部のインターネット受信者 erin@cpandl.com にメッセージを送信します。

  2. Exchange Online はメッセージをウイルス スキャンして EOP に送信します。

  3. EOP はインターネット向けのすべてのメッセージを社内のサーバーに送信するように構成されているため、メッセージはハイブリッド ハブ トランスポート サーバーにルーティングされます。 メッセージは TLS を使用して送信されます。

  4. ハイブリッド ハブ トランスポート サーバーは、David のメッセージに対して、法令遵守および管理者によって構成されたその他のプロセスを実行します。

  5. ハイブリッド ハブ トランスポート サーバーは cpandl.com の MX レコードを検索し、メッセージをインターネット上にある cpandl.com メール サーバーに送信します。

メール トランスポートの集中管理を有効にした状態で Exchange Online の送信者からのメールを社内組織でルーティングする

Exchange Online からのオンプレミス経由での送信

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