Office 2010 をインストールする前にセットアップをカスタマイズする

 

適用先: Office 2010

トピックの最終更新日: 2011-11-21

Microsoft Office 2010 のセットアップをカスタマイズするには、この記事の手順を実行した後で、インストールを開始してください。Office 2010 では (2007 Microsoft Office system の場合と同様に)、セットアップによってインストール全体を制御します。これには、2007 Office system より前のバージョンの Office では Windows インストーラーで処理していたプロセスが含まれます。セットアップの既定の動作をカスタマイズすることによって、プロセスを制御できます。たとえば、ユーザーの操作なしにインストールを実行したり、ユーザーの代わりにプロダクト キーとマイクロソフト ソフトウェア ライセンス条項を処理したり、組織名や別のインストール先を指定したりできます。

セットアップをカスタマイズする前に、「Office 2010 のボリューム ライセンス認証の概要」、「Office 2010 のボリューム ライセンス認証を計画する」、および「Office 2010 のボリューム ライセンス認証を構成および展開する」を読むことをお勧めします。

この記事の内容

  • セットアップをカスタマイズする

  • Office をサイレント モードでインストールする

セットアップをカスタマイズする

セットアップでインストール プロセスを管理する方法をカスタマイズするには、Office カスタマイズ ツール (OCT) を使用してセットアップ カスタマイズ (.msp) ファイルを作成します。このファイルは、ユーザーがコンピューターに Office をインストールするときに適用されます。

Office 2010 では、2 種類のアーキテクチャ別の Office カスタマイズ ツール (OCT) を使用できます。1 つは 32 ビット版 Office 2010、もう 1 つは 64 ビット版 Office 2010 です。64 ビット版の OCT は、Office 2010 の 64 ビット版クライアント エディションをサポートし、32 ビット版の OCT と同じユーザー インターフェイス、機能、および構成可能な設定を備えています。同じコマンドを使用して、32 ビット版と 64 ビット版の OCT を実行します。たとえば、32 ビット版 OCT を実行するには、次の例に示すように、x86 (32 ビット) フォルダーから setup.exe /admin コマンド ラインを実行します。\\server\share\Office14\x86\setup.exe /admin。64 ビット版 OCT を実行するには、x64 (64 ビット) フォルダーから setup.exe /admin コマンド ラインを実行します。64 ビット版 Office 2010 の詳細については、「64 ビット版の Office 2010」を参照してください。

Office のセットアップをカスタマイズするには

  1. Office CD のすべてのファイルとフォルダーをネットワーク上のフォルダーにコピーして、ネットワーク インストール ポイントを作成します。詳細については、「Office 2010 のネットワーク インストール ポイントを作成する」を参照してください。

  2. ネットワーク インストール ポイントのルートから、次のコマンドを実行して Office カスタマイズ ツールを起動します。

    setup.exe /admin

  3. 構成する製品を選択し、[OK] をクリックします。

  4. 左側のウィンドウで、[インストール先と組織名] をクリックします。

  5. [既定のインストール先] ボックスに、ユーザーのコンピューター上の既定のインストール先のパスを入力します。フォルダー キーワード [ProgramFilesFolder] を含む相対パスを入力できます。

  6. [組織名] ボックスに、このカスタマイズ ファイルを使って Office をインストールするすべてのユーザーの既定の組織名を入力します。

  7. 左側のウィンドウで、[追加のネットワーク ソース] をクリックし、[追加] をクリックします。

  8. [ネットワーク サーバー] ボックスに、ネットワーク上に作成したバックアップ ソースのパスを入力します。ユーザーのローカル インストール ソースと元のネットワーク インストール ポイントのどちらも使用できない場合に、セットアップはこれらの複製されたインストール ポイントのいずれかを使用して、ソースを必要とする処理を行います。ソースは必要な数だけ追加できます。

  9. 左側のウィンドウで、[使用許諾契約とユーザー インターフェイス] をクリックします。次のオプションが使用できます。

    • [KMS クライアント キーの使用] – プロダクト キー エントリは、キー管理サービス (KMS) のアクティブ化を使用している企業展開では必要ありません。これは、Office 2010 のすべてのボリューム ライセンス エディションには、KMS クライアント キーがプレインストールされているためです。KMS は、マイクロソフト ボリューム ライセンス プログラムでライセンスされている製品のライセンス認証のために Office ライセンス認証テクノロジで提供されている方法の 1 つです。この方法では、KMS ホスト コンピューターで KMS ホスト キーをアクティブ化し、環境内でローカル ライセンス認証サービスを構築するのみで、それ以外に必要な処理はありません。Office 2010 は、ローカルの KMS ホストに接続してライセンス認証を行います。[KMS クライアント キーの使用] オプションは既定で選択されています。

      Office 2010 のライセンス オプションの詳細については、「Office 2010 のボリューム ライセンス認証の概要」を参照してください。KMS ホストを構成する方法については、「Office 2010 のボリューム ライセンス認証を展開する」の「KMS ホストをインストールおよび構成する」を参照してください。

    • [別のプロダクト キーの入力] – [別のプロダクト キーの入力] に入力されたプロダクト キーを使用して、OCT に有効なマルチ ライセンス認証キー (MAK) を入力できます。この MAK キーも、マイクロソフト ボリューム ライセンス プログラムでライセンスされている製品のライセンス認証のために Office ライセンス認証テクノロジで提供されている方法の 1 つです。MAK を使用する場合、クライアントは、マイクロソフトがホストするライセンス認証サーバーまたは電話を使用して、オンラインで Office 2010 をライセンス認証します。

      MAK キーを使用するには、[別のプロダクト キーを入力する] オプションを選択し、[プロダクト キー] テキスト ボックスに MAK キー (25 桁の数字または文字) をスペースなしで入力します。MAK キーの使用方法の詳細については、「Office 2010 のボリューム ライセンス認証を展開する」を参照してください。

      注意

      [別のプロダクト キーを入力する] オプションを使用して、Microsoft Visio Standard 2010 または Microsoft Visio Professional 2010 の KMS キーを入力することもできます。Visio 2013 は、Microsoft Visio Premium 2010 KMS クライアント キーと共にプレインストールされます。これにより、Microsoft Visio Premium 2010 のすべての機能が有効になります。ただし、Microsoft Visio Standard 2010 または Microsoft Visio Professional 2010 に対する使用許諾契約がある場合は、適切な KMS クライアント キーをインストールする必要があります。使用できる機能は、インストールされているキーによって異なります。
      Microsoft Visio Standard 2010 または Microsoft Visio Professional 2010 の使用許諾契約に対する KMS キーの一覧などの詳細については、「Office 2010 のボリューム ライセンス認証を展開する」の「Visio 2010 を展開する」を参照してください。

  10. [「使用許諾契約書」の条項に同意します] チェック ボックスをオンにします。この情報をセットアップ カスタマイズ ファイルに設定しておくと、インストール時または Office アプリケーションの初回起動時に、ユーザーに対してプロダクト キーやマイクロソフト ソフトウェア ライセンス条項への同意を求めるメッセージは表示されません。

  11. 自動モードで (ユーザーの操作なしに) Office をインストールするには、右側のウィンドウで、[表示レベル] を [基本] または [なし] に設定します。表示設定の詳細については後で説明します。

    注意

    企業展開では、ファイルが使用されている場合も、サイレント インストールを実行し、情報の入力を求める画面をユーザーに表示せず、インストールでユーザー操作を待機しないように、[表示レベル] を [なし] に設定することをお勧めします。[表示レベル] を [なし] に設定すると、[入力項目を表示しない] オプションおよび [完了通知を表示する] オプションは無視されます。また、マイクロソフト ソフトウェア ライセンス条項に自動的に同意します。管理者は、Office 2010 のインストール時に Office アプリケーションが実行されていないことも確認する必要があります。
    [表示レベル] を [基本] に設定し、[入力項目を表示しない] オプションを選択すると、使用中の Office ファイルがある場合に確認のメッセージがユーザーに対して表示されることがあります。[表示レベル] を [なし] に設定すると、このような場合でも確認のメッセージは表示されません。[入力項目を表示しない] オプションでは、使用中のファイルについてのメッセージは非表示になりません。[表示レベル] を [なし] に設定した場合にのみ表示されなくなります。

  12. 他にも必要なカスタマイズがあれば行います。[ファイル] メニューの [保存] をクリックし、ネットワーク インストール ポイントのルートにある Updates フォルダーにセットアップ カスタマイズ ファイルを保存します。

カスタマイズは、ネットワーク インストール ポイントで利用できる、指定した製品のすべての言語バージョンに適用されます。多くのカスタマイズは、特定の言語に依存しないコア製品に適用されます。ただし、このツールの機能ツリーには、言語固有の機能のサブセットも含まれます。言語固有の機能に対するカスタマイズは、ユーザーがその言語をインストールするときに適用されます。それ以外の場合は無視されます。

注意

通常、ログ記録のオプションをカスタマイズする必要はありません。既定では、セットアップは標準ログ ファイルを作成し、ユーザーのコンピューターの %Temp% フォルダーにテキスト ファイル形式で保存します。インストールに失敗した場合、セットアップは、エラーの原因となったパッケージ以降について、同じ場所に詳細ログ ファイルを作成します。ログ記録オプションを変更するには、メモ帳で Config.xml ファイルを開き、<Logging> 要素を変更します。詳細については、「Office 2010 の Config.xml ファイル」を参照してください。

Office をサイレント モードでインストールする

組織全体に Office を展開する場合、ユーザーに対してセットアップのユーザー インターフェイスを表示する程度を決定します。既定では、セットアップは対話形式で実行され、インストール中にユーザーに対して選択肢が表示されます。カスタマイズした構成を配布している場合は、ユーザーがセットアップに対して実行できる操作を制限することをお勧めします。インストールはユーザーの操作を必要とせずに実行され、カスタマイズした設定は既定ですべてのユーザーに対して設定されます。表示オプションの詳細については、「Office 2010 の Office カスタマイズ ツール」の「使用許諾契約とユーザー インターフェイス」を参照してください。

Microsoft System Center Configuration Manager 2007 または Microsoft Systems Management Server (SMS) などの展開ツールを使用して、ユーザーがネットワークにログオンしていないときに Office を展開する場合は、表示レベルを [なし] に設定して、セットアップのユーザー インターフェイスを表示せずに Office をインストールします。

注意

サイレント モードで Office をインストールする場合は、有効なプロダクト キーを指定する必要があります。プロダクト キーが指定されていないと、ログにエラーが記録されてセットアップは終了します。前に説明したように、KMS ライセンス認証を使用する場合は、Office 2010 のすべてのボリューム ライセンス エディションに KMS クライアント キーがあらかじめインストールされているので、プロダクト キーを指定する必要はありません。ただし、MAK を使用する場合は、MAK キーを入力する必要があります。ユーザーに代わってライセンス条項に同意していなくても、インストールは完了します。ただし、Office をサイレント モードでインストールすることにより、ライセンス条項に暗黙的に同意したことになります。

Windows インストーラーの DISPLAY プロパティと PIDKEY プロパティは、Office 2010 (または 2007 Office system) では機能しません。Office 2010 では、これらのプロパティを使用するのではなく、OCT で表示設定とプロダクト キーを指定して、セットアップを直接カスタマイズします。その際、KMS 検証を使用する場合は、既定のオプションである [KMS クライアント キーの使用] をそのまま使用し、MAK を使用する場合は、[別のプロダクト キーの入力] ボックスに MAK キーを入力します。これらの方法については、「セットアップをカスタマイズする」を参照してください。

セットアップは、これまで以上に、インストールを制御するための重要な役割を果たすようになり、Windows インストーラーの多くのプロパティが不要になりました。実際、Windows インストーラーのプロパティによっては、ブロックされ、Office カスタマイズ ツールで設定しようとするとエラーが発生する場合もあります。Office 2010 で使用できるセットアップ プロパティの一覧、ブロックされるプロパティやサポートされないプロパティ、およびそれらのプロパティに代わる新しいメカニズムの一覧については、「Office 2010 のセットアップ プロパティ」を参照してください。