Project Server 2007 の移行シナリオ

更新日: 2009年5月

 

トピックの最終更新日: 2009-04-28

この記事の内容 :

  • 完全移行のシナリオ

  • 段階的移行のシナリオ

Microsoft Office Project Server 2003 から Microsoft Office Project Server 2007 へのアップグレード プロセスでは、バイナリ ファイルをアップグレードするのではなく、データの移行を行います。ここでは、移行シナリオのサンプルを使用して、組織のプロジェクト データを移行するときに選択できるさまざまなオプションについて説明します。

Office Project Server 2007 にデータを移行するプロセスについては、十分な計画と考慮が必要です。すべてのプロジェクトを一度に移行するのか。現時点では移行できない不安定な状態のプロジェクトが存在しないか。まずは、小規模な部門に関連するプロジェクト データから移行するのか。このような疑問は、移行を計画するときに解決する必要があります。

Project Server 2003 から Office Project Server 2007 への移行を計画する場合、次の 2 種類の移行方法が考えられます。

  • 完全移行 : すべてのプロジェクトを一度に Office Project Server 2007 に移行します。

  • 段階的移行 : 時間を掛けて、バッチ処理でプロジェクトを Office Project Server 2007 に移行します。

    Important重要
    移行方法を計画するときに、Microsoft Office Project Professional 2003 は Office Project Server 2007 プロジェクトに接続できないことを考慮してください。また、Microsoft Office Project Professional 2007 も Project Server 2003 プロジェクトに接続できません。詳細については、「Project Server 2007 バージョン間の互換性」を参照してください。

完全移行のシナリオ

加藤さんは、従業員 50 人の小規模なコンサルティング会社の IT 管理者です。Project Server 2003 は、この企業のエンタープライズ プロジェクト管理ソリューションで、現在、1 つのサーバー上に Microsoft Windows SharePoint Services 2.0 を展開しています。この企業には、約 100 のアクティブなプロジェクトがあります。この展開は、小規模で単純なので、加藤さんは、すべてのプロジェクトと関連するワークスペースを一度に移行することに決めました。彼は移行ガイドを読んで、展開オプションの「完全移行 : Project Server 2003 with Windows SharePoint Services 2.0 (同じコンピュータ上)」に従うことを選択しました。

第 1 段階として、加藤さんは Windows SharePoint Services 3.0 をインストールします。セットアップを実行すると、既にインストールされている Windows SharePoint Services 2.0 が検出され、そこで彼は "一括" アップグレードを選択します。これによって、Windows SharePoint Services 2.0 ファーム全体が Windows SharePoint Services 3.0 に 1 回の処理でアップグレードされます。これが終了したら、次に、コンピュータ上に Office Project Server 2007 をインストールし、Microsoft Office Project Web Access サイトを準備します (まだ Project Server 2003 をアンインストールする必要はありません)。彼は、Office Project Web Access サイトに接続できることと、予想通りそのサイトにデータがまったく含まれていないことを確認します。さらに、別のコンピュータ上に Office Project Professional 2007 をインストールし、プロジェクトを作成、保存、発行できることを確認します。

次に、加藤さんは Office Project Professional 2007 CD から移行ツールをインストールします。最初にグローバル データ (エンタープライズ グローバル テンプレート、エンタープライズ リソース、Project Web Access データ) を移行するように、移行構成ファイルを構成します。これが推奨されるベスト プラクティスです。次に、移行ツールを実行します。ツールが終了した時点で、グローバル データが適切に移行されたかどうかを確認します。次に、すべてのプロジェクトを Project Server 2003 から Office Project Server 2007 に移行するために、移行構成ファイルを構成します。移行ツールの実行が終了した後、加藤さんは移行されたデータを確認するために、テスト チームを選任します。すべてが正常に機能していることを確認したら、Office Project Server 2007 サーバー設定の一部 (セキュリティ、キューブの作成など) を変更し、Project Server 2003 をアンインストールして、新しい Office Project Server 2007 URL と Project Professional 2007 クライアントのインストール方法を電子メールでチームに送信します。

段階的移行のシナリオ

田中さんは、自社にインストールされている Project Server 2003 を管理しています。営業部門および IT 部門のプロジェクトは、このサーバーにあります。Windows SharePoint Services はインストールされていません。

Project Server の最新バージョンに早急に移行するように IT 部門から要求されています。この部門では、新しいバージョンの TimeSheet 機能を使用することを望んでいます。この部門のメンバは、現在インストールされている Project Server 2003 の最もアクティブなユーザーです (サーバー上の 940 のアクティブ プロジェクトのうち 850 が IT 部門のプロジェクトです)。営業部門は、新しいマーケティング キャンペーン用に一連のプロジェクトを開始したところなので、今すぐ移行を実施することを望んでいません。そこで、田中さんは段階的な移行方法を使用することに決めました。彼女は移行ガイドを読んで、展開オプションの「段階的移行 : Project Server 2003 without Windows SharePoint Services 2.0 (同じコンピュータ上)」に従うことを選択しました。

田中さんは、この 1 か月の段階的移行期間中、グローバル アイテムを (ユーザー設定フィールドも含めて) 凍結することにします。そうしなければ、2003 バージョンと 2007 バージョンのユーザー設定フィールドをマージするのは、難しい処理になりそうです。営業部門は IT 部門から 1 か月弱遅れて移行することになるので、彼女はこの方法がうまくいくと考えています。さらに、Project Server 2003 のインストールに、回避できないグローバルな変更があるときに通知されるプロセスを準備します。

Office Project Server 2007 サーバー上で、田中さんは Office Project Server 2007 DVD からセットアップを実行します。最初に Windows SharePoint Services 3.0 がインストールされるのがわかります。Windows SharePoint Services 3.0 が Office Project Server 2007 の必須コンポーネントであることは、インストール ガイドで簡単に確認できます。Office Project Server 2007 がインストールされたら、田中さんは Office Project Web Access サイトを用意します。さらに、彼女は Project Server 2003 にも引き続きアクセスできることを確認します。営業部門は、まだ Project Server 2003 に接続する必要があるので、この可否を確認することは重要です。

次に、田中さんは Office Project Professional 2007 CD から移行ツールをインストールします。田中さんは、まず移行構成ファイルを編集して、グローバル データ (エンタープライズ グローバル テンプレート、エンタープライズ リソース、および Office Project Web Access データ) のみが移行され、プロジェクトは移行されないようにします。これが推奨されるベスト プラクティスです。次に、移行ツールを実行し、このデータが適切に移行されたかどうかを検証します。その後、Project Server 2003 から IT 部門のプロジェクトがすべて移行されるように移行構成ファイルを編集し、再度移行ツールを実行します。IT 部門のすべてのプロジェクトが Office Project Server 2007 に移行されます。Project Server 2003 および Office Project Server 2007 環境の両方にアクセスできるかどうかを、再度検証します。次に、田中さんは Project Web Access の新しい Office Project Server 2007 URL と Office Project Professional 2007 のインストール方法を電子メールで IT 部門のユーザーに送信します。

1 か月後、営業部門のマーケティング キャンペーンが終了した時点で、田中さんは、営業部門のプロジェクトを Office Project Server 2007 に移行する準備をします。それまでの間に、田中さんは Office Project Server 2003 に "Marketing Region" という名前のプロジェクト ユーザー設定フィールドが追加されていたことに気付きました。田中さんは、これを手動で Office Project Server 2007 に追加します。次に、移行ツールを実行し、営業部門のプロジェクトを Office Project Server 2007 に移行します。ただし、"Marketing Region" ユーザー設定フィールドの値は、移行後に失われることは認識しています。この後、彼女は営業部門のプロジェクト管理者に電子メールを送信し、Project Web Access の Office Project Server 2007 URL と Project Professional 2007 のインストール方法を伝えると共に、"Marketing Region" ユーザー設定フィールドに正しい値を設定するように要請します。プロジェクト管理者は、2003 バージョンの Project Web Access にあるユーザー設定フィールドの値を調べて、それを手動で 2007 バージョンの Project Web Access に設定します。すべて完了した後、田中さんは Project Server 2003 をアンインストールします。

[!メモ] Project Server 2003 と Office Project Server 2007 の間でリソースを共有すると、面倒な問題を引き起こす可能性があります。プロジェクト管理者が両バージョンのプロジェクトを処理しなければならないだけでなく、チーム メンバを両バージョンに対応させる必要がある場合は、リソースの利用可能時間に関する問題が発生する可能性もあります。Project Server 2003 と Office Project Server 2007 を並行して運用している期間は、Project Server 2003 または Office Project Server 2007 のどちらでも、リソースの利用可能時間表示は更新されません。したがって、プロジェクトを並行させる状態は、できるだけ短期間にすることをお勧めします。1 つの方法として、2 つのシステムからリソースの利用可能時間を取得し、統合して表示するカスタム ソリューションを構築することもできます。これは、Office Project Server 2007 への移行に固有なことではなく、1 つの環境に 2 つの Project Server インスタンスがあり、その間でリソースが共有される場合は、常に同じような管理上の問題が発生します。

[!メモ] ユーザー設定フィールド、参照テーブル、およびアウトライン コードを段階的に移行することに関する重要な注意事項は、最初に移行を実行した後で Project Server 2003 システムに追加されたユーザー設定フィールド定義およびユーザー設定フィールド値は、その後で実行される移行に含まれないことです。こうした状況の結果として、最初に移行を実行した後、Project Server 2003 でユーザー設定フィールドが変更されたり、新しいユーザー設定フィールドが追加された場合、手動で Office Project Server 2007 に修正を加える必要があります。つまり、ユーザー設定フィールドの定義を Office Project Server 2007 で追加または変更したり、プロジェクトやタスク内のユーザー設定フィールド値を修正する作業を手動で行う必要があります。段階的移行を計画するときは、この点も考慮する必要があります。