他の場所からの検索結果のフェデレーション (Search Server 2008)

更新日: 2008年7月

適用対象: Microsoft Search Server 2008

 

トピックの最終更新日: 2008-08-14

注意

別途記載のない限り、この記事の情報は Microsoft Search Server 2008 と Microsoft Search Server 2008 Express の両方に適用されます。

フェデレーション検索とは、複数のオンライン データベース (場所) の同時クエリを実行する処理のことです。エンド ユーザーに表示する単一の検索結果ページを生成することを目的としています。

フェデレーション場所を Search Server 2008 に追加すると、エンド ユーザーはサーバーによってクロールされていないコンテンツを検索して取得できるようになります。フェデレーション場所により、リモート検索エンジンとフィードにクエリを送信できます。その後、Search Server 2008 は結果を書式設定して、クロールされたコンテンツの一部としてエンド ユーザーに表示します。

この記事では、Search Server 2008 でのフェデレーション場所の概要 (管理者タスク、サポートされるテクノロジ、およびセキュリティの考慮事項) を示します。

この記事の内容

フェデレーション場所の概要

フェデレーション場所を管理する

フェデレーション場所のセキュリティに関する考慮事項

フェデレーション場所の Web パーツのプロパティを変更する

フェデレーション場所の概要

サーバー ファーム内のインデックス サーバーによって特定のサイトが直接クロールされていない場合は、フェデレーション場所としてそのサイトを追加し、検索センター サイトのユーザーに対してその検索結果を含めることができます。

Search Server 2008 では、次の種類のフェデレーション場所がサポートされます。

  • このサーバーのインデックスを検索

    Search Server 2008 をフェデレーション場所として実行しているサーバーのある、組織の任意の場所またはリモート サイトを使用できます。たとえば、企業の人事サーバー上の SharePoint サイトが、従業員の連絡先情報を使用できる唯一のソースであるとします。このサイトがクロール範囲の一部でない場合でも、そのフェデレーション場所を構成し、検索センター サイトから検索を開始するユーザーが、従業員の連絡先情報の結果を取得するようにできます。

  • OpenSearch 1.0 または 1.1

    OpenSearch 標準をフェデレーション場所としてサポートする任意のパブリック Web サイトを使用できます。このような場所の例として、Live Search などのインターネット検索エンジンや、RSS または Atom プロトコルをサポートする検索結果ページが挙げられます。たとえば、機密性の高い技術調査のために内部サイトを検索するユーザーが、パブリック Web サイトからの関連調査情報も参照できるようにするとします。Live Search クエリのフェデレーション場所を構成すると、最新の Web 検索結果が自動的にユーザーに対して提供されるようになります。

フェデレーション場所に検索クエリが送信されるときは、クエリ テンプレートと呼ばれる形式で URL パラメータとして送信されます。次に、Office SharePoint Server は、結果を XML として書式設定して検索センター サイトのユーザーに表示します。XML は、検索結果ページ上の Web パーツに可読形式のテキストとして表示されます。

フェデレーション検索結果 Web パーツまたは上位フェデレーション検索結果 Web パーツを使用して、検索結果ページに Web パーツを追加し構成することができます。既定では、検索結果ページには 3 つのフェデレーション検索結果 Web パーツが含まれます。

ヒント

既定の検索結果ページ以外のページにフェデレーション検索結果を表示するには、フェデレーション検索結果を表示するページに、フェデレーション検索結果 Web パーツまたは上位フェデレーション検索結果 Web パーツを追加してください。
フェデレーション場所のプロパティと拡張スタイルシート言語 (XSL) コードを編集すると、表示されるメタデータ、表示されるリンクの数など、検索結果の内容を制御できます。また、リンク テキストの色、フォント スタイルなど、検索結果の外観も制御できます。トリガ ルールを使用すると、ユーザーが特定のプレフィックスまたはパターンを入力したときに、フェデレーション場所に送信されるクエリを変更できます。

このサーバー オプションで検索インデックスと共にフェデレーション場所を使用する

Search Server 2008 にローカル インデックスのフェデレーション場所を追加するときは、次の条件が適用されます。

  • この場所が、[このサーバーのインデックスを検索] に設定されます。

  • クエリ テンプレートは必要ありません。Search Server 2008 は、オブジェクト モデルを使用して場所を照会します。

  • 既定のサーバー認証が使用されます。

  • 高度な検索クエリはサポートされていません。

注意

リモート検索インデックスのフェデレーション場所は、リモート サーバーの RSS フィードを使用して、OpenSearch に基づく場所と同じ方法で構成されます。

OpenSearch に基づくフェデレーション場所を使用する

OpenSearch に基づくフェデレーション場所を Search Server 2008 に追加するときは、次の条件が適用されます。

  • クエリは、http://www.example.com/search.aspx?q=TEST のような URL として検索エンジンに送信されます。

  • 検索結果は、RSS、Atom、またはその他の構造化 XML 形式で返されます。

  • 注意

    Search Server 2008 は HTML または XHTML をサポートしていません。

  • 場所の機能、クエリ テンプレート、および応答の要素は、場所に関連付けられているフェデレーション場所定義 (.fld) ファイルの一部です。

  • Search Server 2008 に固有の OpenSearch の拡張機能では、トリガを含む機能と、XSL コードを検索結果に関連付ける機能がサポートされています。

  • 検索結果に表示するメタデータの選択は、OpenSearch の場所によって決定されます。

OpenSearch の詳細については、http://www.opensearch.org を参照してください。

フェデレーション場所を使用するかどうかを決定する

フェデレーション検索結果をユーザーに表示するかどうかを決定するときは、次の点を考慮します。

  • 特定の検索向けにカスタマイズした結果を表示するか。

    フェデレーション場所が、特定のクエリに一致する結果を返すようにするには、トリガ ルールを使用します。フェデレーション場所にトリガ ルールを作成すると、その場所に関連付けられた Web パーツにより、指定したパターンまたはプレフィックスに一致するユーザー クエリだけに検索結果が表示されます。たとえば、自分が Contoso 社の従業員であるとします。この企業の従業員とユーザーは Search Server 2008 を使用しており、一般的に widget と呼ばれる製品を製造しています。Live Search のフェデレーション場所を追加すると、"widget" の検索で一貫して "Contoso widget" という製品名の結果が返されるようにするトリガを作成できます。

  • クエリで取得する結果を指定する URL を使用できるか。

    フェデレーション場所を作成するには、クエリ テンプレートが必要です。これは、検索クエリを送信し、結果を XML として返すために必要な URL およびパラメータの組み合わせです。この情報を [フェデレーション場所の追加] ページの "クエリ テンプレート" フィールドに追加するときは、ページの例に示されているように文字列の形式を正しく設定する必要があります。そうしないと、フェデレーション場所によってまったく結果が返されません。

  • ユーザーは、フェデレーション場所で提供されるリンクにアクセスできるか。

    組織がインターネット リソースに対して制限されたアクセスだけを許可している場合 (ユーザーが会社の外部 Web サイトだけに移動でき、その他の外部サイトには移動できない場合など)、フェデレーション場所としてインターネット検索エンジンを使用すると、一部の検索結果が表示されないため、ユーザーにとって使いづらくなる可能性があります。

  • 認証は必要か。

    フェデレーション場所で認証が必要な場合は、正しい資格情報を提供する必要があります。資格情報は、SharePoint サイトに対してのみ必要です。インターネット検索エンジンなど、ほとんどのフェデレーション場所では、資格情報は必要ありません。詳細については、後の「フェデレーション場所のセキュリティに関する考慮事項」を参照してください。

フェデレーション場所を管理する

フェデレーション場所の概要を理解するには、[検索管理] ページの [フェデレーション場所] をクリックします。[フェデレーション場所の管理] ページでは、次のいずれかの操作を実行できます。

  • フェデレーション場所を追加またはインポートする

    [フェデレーション場所の追加] ページに設定とプロパティを入力して新しいフェデレーション場所を作成するか、既存のフェデレーション場所定義 (.fld) ファイルをインポートして操作を開始できます。定義ファイルをダウンロードするには、[フェデレーション場所の管理] ページの [オンライン ギャラリー] リンクをクリックします。定義ファイルのインポートの詳細については、後の「場所の定義ファイルをダウンロードする」を参照してください。

  • フェデレーション場所を編集する

    フェデレーション場所を編集するには、[フェデレーション場所の管理] ページで場所の名前をポイントし、表示される矢印をクリックして、[場所の編集] をクリックします。[フェデレーション場所の編集] ページでは、場所のプロパティとメタデータ (検索結果をどのように表示するか、ユーザー クエリが特定のパターンまたはプレフィックスに一致したときだけ結果を返すトリガ ルールを追加するかどうかなど) を変更できます。XSL コードは [フェデレーション検索結果の表示メタデータ] セクションまたは [上位フェデレーション検索結果の表示メタデータ] セクションで変更し、フェデレーション検索結果 Web パーツまたは上位フェデレーション結果 Web パーツのタイトル、リンクなどの書式を変更できます。

  • フェデレーション場所をコピーする

    フェデレーション場所をコピーするには、[フェデレーション場所の管理] ページで場所の名前をポイントし、表示される矢印をクリックして、[場所のコピー] をクリックします。

  • フェデレーション場所を削除する

    フェデレーション場所を使用しなくなった場合は、Office SharePoint Server サイトから削除できます。[フェデレーション場所の管理] ページで、場所の名前をポイントし、表示される矢印をクリックして、[場所の削除] をクリックします。削除された場所がフェデレーション検索結果ページで参照される場合、その場所の結果はページに含まれなくなります。

    注意

    フェデレーション場所をサーバーから削除しなくても、その場所からの検索結果の表示を中止することができます。そのためには、その場所からの結果を表示するように構成した Web パーツを削除するか、またはその Web パーツのプロパティを変更し、別のフェデレーション場所の検索結果を表示するようにします。

  • フェデレーション場所をエクスポートする

    フェデレーション場所のプロパティとメタデータをフェデレーション場所定義 (.fld) ファイルとしてエクスポートすると、それらを保存することができます。フェデレーション場所をエクスポートするには、[フェデレーション場所の管理] ページで場所の名前をポイントし、表示される矢印をクリックして、[場所のエクスポート] をクリックします。定義ファイルをエクスポートした後は、別の検索センター サイトにインポートするか、ファイル共有に配置して他のユーザーが使用できるようにすることができます。

    注意

    フェデレーション場所を定義ファイルにエクスポートするときに、Office SharePoint Server では、セキュリティ資格情報または設定はファイルに含まれません。

  • フェデレーション場所の詳細を表示する

    1 つ以上のフェデレーション場所を Office SharePoint Server に追加すると、[フェデレーション場所の管理] ページでは、指定されたすべての場所に対して過去 30 日間に登録されたユーザー クエリとクリックスルーの数が自動的に報告されます。管理者は、フェデレーション場所からの特定の検索結果はまったくクリックされない可能性があることを認識しておく必要があります。たとえば、"佐藤 直樹の電話番号" というクエリに対して表示される電話番号の場合、ユーザーは検索結果ページ上のハイパーリンクをクリックするのではなく、手動で電話番号をダイヤルする可能性があります。

    ヒント

    検索結果が表示されない、表示されるまでに長い時間がかかるなど、フェデレーション場所に関して問題が発生することがあります。このような問題が見つかった場合は、フェデレーション場所を修復する手順を実行できます。フェデレーション場所のトラブルシューティングの詳細については、TechNet の「Office SharePoint Server 2007 for Search」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=84739&clcid=0x411) を参照してください。

場所の定義ファイルをダウンロードする

Office SharePoint Server 2007 オンライン ギャラリーには、ダウンロードして使用できるフェデレーション場所定義ファイル (.fld) がいくつか用意されています。このサイトにアクセスするには、[フェデレーション場所の管理] ページの [オンライン ギャラリー] リンクをクリックします。定義ファイルをダウンロードしたら、ハード ドライブに保存し、[フェデレーション場所の管理] ページの [場所のインポート] ボタンを使用して、その場所をサイトに追加します。場所がリストに表示されたら、その設定を編集してプロパティをカスタマイズできます。

定義ファイルをインポートしてフェデレーション場所を作成するときは、検索結果の書式設定と表示の方法を決定する XSL コードが既に作成されています。[フェデレーション場所の追加] ページにプロパティとメタデータを手動で入力してカスタムの場所を作成した場合、検索結果の既定の外観を変更するためには、フェデレーション場所の XSL コードを編集する方法を知っている必要があります。サイトのフェデレーション場所を構成した後は、別の検索センター サイトでフェデレーション場所として使用するために、その場所をエクスポートできます。

フェデレーション場所のセキュリティに関する考慮事項

フェデレーション場所を作成または変更したときに指定した場所の種類に応じて、フェデレーション場所に認証が必要になることがあります。その場合は、使用する必要がある認証方法を指定する必要があります。

[このサーバーのインデックスを検索] がフェデレーション場所の [場所の種類] として選択されている場合は、追加の認証情報は必要ありません。検索結果ページにアクセスできるユーザーは、資格情報に基づいてフェデレーション場所からの結果を自動的に参照します。ただし、[OpenSearch 1.0/1.1] がフェデレーション場所の場所の種類として選択されている場合は、その場所に対するセキュリティ資格情報を認証する方法を指定する必要があります。

OpenSearch 1.0 または 1.1 向けに構成されたフェデレーション検索場所は、次のいずれかの方法で認証できます。

  • 匿名アクセス

    アカウント資格情報を認証することなく、関連する場所のフェデレーション検索結果に対して、組織のユーザー全員にアクセス権を付与します。このオプションを選択するには、[フェデレーション場所の追加] ページまたは [フェデレーション場所の編集] ページの [資格情報の指定] セクションで、[匿名: この場所は認証不要] をクリックします。

  • 共通認証

    組織内の全員に、関連付けられた場所にフェデレーション検索結果を表示するために使用する 1 つのユーザー名とパスワードを付与します。このオプションを有効にするには、[フェデレーション場所の追加] または [フェデレーション場所の編集] ページの [資格情報の指定] セクションにある [共通] で、目的の認証オプションをクリックします。

  • ユーザー レベル認証

    フェデレーション検索結果を関連付けられた場所に表示するための個々のユーザー資格情報を認証します。このオプションを有効にするには、[フェデレーション場所の追加] ページまたは [フェデレーション場所の編集] ページの [資格情報の指定] セクションにある [ユーザー] で、目的の認証オプションをクリックします。

    注意

    Search Server 2008 には、シングル ユーザー アカウント認証の資格情報を取得するためのユーザー インターフェイスはありませんが、カスタム ユーザー インターフェイスから資格情報を検証するための API が用意されています。

フェデレーション場所の Web パーツのプロパティを変更する

フェデレーション場所のすべての検索結果は、フェデレーション検索結果 Web パーツと上位フェデレーション結果 Web パーツという 2 種類の Web パーツを使用して表示されます。フェデレーション場所から返される検索結果を表示できるようにするには、Web パーツのツール ウィンドウの [場所] ボックスの一覧で、フェデレーション場所の名前をクリックする必要があります。

検索結果ページで、[サイトの操作] メニューの [ページの編集] をクリックします。Web パーツ メニューの [編集] をクリックし、次に [共有 Web パーツの変更] をクリックしてツール ウィンドウを開きます。

フェデレーション検索結果 Web パーツおよび上位フェデレーション結果 Web パーツで利用できる次のプロパティを変更することができます。

  • [場所]

    フェデレーション場所 (複数可) の名前を指定します。

  • プロパティの表示

    1 ページに表示する結果の数、表示するさまりー 概要テキストまたは URL の文字数を制限するかどうか、場所の表示形式を使用するかどうかの各設定を指定します。フェデレーション検索結果 Web パーツのプロパティでは、まだイメージを読み込み中であることを示すアニメーション グラフィックを表示するかどうか、またはページ全体を読み込むまで待機しないで結果を非同期に返すかどうかを追加で指定できます。

  • 結果クエリ オプション

    重複した結果を除外するかどうか、検索用語のステミングを有効にするかどうか、ノイズ ワードを無視するかどうかを指定します。

  • その他の結果リンク

    [その他の結果] リンクを表示するかどうか、およびリンクのテキストをどのようにするかを指定します。

注意

フェデレーション Web パーツの一意のプロパティ以外にも、すべての Web パーツは、外観、レイアウト、および詳細な特性を制御する共通のプロパティ セットを共有します。フェデレーション Web パーツのこれらのプロパティは、フェデレーション Web パーツ以外の任意のものに対する場合と同じ方法で、表示および変更できます。共通のプロパティ設定を使用する方法の詳細については、Microsoft Windows SharePoint Services ヘルプの「Customize Web Parts (英語)」を参照してください。