開発チームの役割について
Microsoft Office SharePoint Server 2007 のサイトは、開発チームの複数のメンバが、複数のさまざまな環境で多くのツールとプロセスを使用して、それぞれの専門知識を連携させて設計します。チーム内のさまざまな役割と、各役割に関係するツールやプロセスを理解することで、設計と開発プロセスの十分な連携が簡単に達成できます。
開発チームの役割は、次のとおりです。
アーキテクト
開発者
設計者
作成者
テスト担当者
管理者
これらの役割は、一般的に使用される 1 つまたは複数のツールやプロセスと関連しています。各役割のチーム メンバが使用するツールの詳細については、「ツールとプロセスのレビュー」を参照してください。
アーキテクト
アーキテクトは開発チームのリーダーで、プロジェクト全体の計画を立て、次の作業を行います。
Office SharePoint Server 2007 のサイトの情報アーキテクチャを設計する。
運用環境で使用するサイト構造を設計する。
開発するアーティファクトのカスタマイズと開発するサイト要素の仕様を決定する。
情報技術担当者と連携してサイトの設計と構築に使用する環境を選択し、各環境に必要となる具体的なアーキテクチャとソフトウェアを計画する。
アーキテクトは、アーティファクト、開発するサイト要素、作成するコンテンツの製作に関して、プログラム マネージャや固有の専門知識を持つその他のチーム メンバのサポートを受けます。
開発者
1 人または複数の開発者が、開発環境内で Microsoft Visual Studio 2005 または Microsoft Visual Studio 2008 などの開発ツールと Microsoft .NET Framework Version 3.0 を個々のワークステーション上で使用して、Web パーツ、ワークフローなど、開発するサイト要素を作成します。
開発者の作業は次のとおりです。
新しく設計したサイト要素を作成する。
既存の設計済みサイト要素を変更する。
設計したサイト要素の単体テストを実行する。
メンテナンスや他の環境への展開のために、設計したサイト要素をソフトウェア構成管理環境へ送信する。
一部の開発者が、次の作業のどちらかまたは両方を追加で行う場合があります。
統合テストのためのビルドを作成する。
ソフトウェア構成管理の管理者を担当する。
展開時に開発されたサイト要素が不要な場合は、この役割は必要ありません。
設計者
設計者は、マスタ ページ、レイアウト、カスケード スタイル シートなどのアーティファクトや、サイト ブランドのカスタマイズを行います。
設計者の作業は次のとおりです。
サイト コレクションやサイトの設定ページで使用可能な構成設定 (ギャラリーなど) を使用して、サイト ブランドを確立し、アーティファクトの簡単なカスタマイズを行う。
Microsoft SharePoint Designer や同様のカスタマイズおよび設計ツールをオーサリング環境で使用して、より広範なカスタマイズを行う。
作成者中心の方法では、アーティファクトはオーサリング ファームでコンテンツと統合され、コンテンツ展開機能またはコンテンツの移行 API を使用して、テストのために試験環境に展開されます。この方法では、開発者は、通常、オーサリング環境のファーム管理者を担当します。
一般的な開発者中心の方法では、設計者がアーティファクトをソリューションとして統合ファームに展開し、そこでソリューションと開発したサイト要素がパッケージ化され、他の環境に展開する前にテストされます。開発者中心の方法では、ソフトウェア構成管理の管理者が自動化プロセスを使用して、アーティファクトを展開する役割を担う場合もあります。
作成者
作成者は、Internet Explore などのサポートされているブラウザで動作するオーサリング ツール (2007 Microsoft Office system や Office SharePoint Server 2007 のクライアント アプリケーション) を使用して、Office SharePoint Server 2007 サイトのコンテンツの作成を担当します。
作成者がオーサリング環境で行う作業は次のとおりです。
個々のワークステーション上でコンテンツを作成する。
オーサリング ファームのオーサリング サイト コレクションにコンテンツをアップロードする。
エンタープライズ コンテンツ管理機能を使用して、他の作成者と連携する。
コンテンツを公開用ファームに公開する。
運用環境での使用が予定されているオーサリング環境内のコンテンツは、試験環境に展開してテストしてから、運用環境に展開する必要があります。作成者中心の方法、および最も一般的な開発者中心の方法のどちらでも、開発者が各環境への展開を行います。この際、接続されている展開ではコンテンツ展開機能、接続されていない展開ではコンテンツ移行 API が使用されます。開発者中心の方法では、ソフトウェア構成管理の管理者が集中管理プロセスを使用して、コンテンツを自動的に展開する場合もあります。
テスト担当者
テスト担当者は、運用環境への展開前に、アーティファクト、開発されたサイト要素、コンテンツが正常に機能することを確認します。
テスト担当者の作業は次のとおりです。
統合された開発済みのサイト要素をテストする (作成者中心の方法)。
統合されたアーティファクトおよび開発済みサイト要素の両方をテストする (開発者中心の方法)。
結合されたコンテンツ、アーティファクト、開発済みサイト要素を、運用環境と類似または同一のネットワーク条件およびセキュリティ条件の試験環境でテストする。
開発者、設計者、作成者と密接に協力して、テストで発見された問題を解決する。
ソフトウェア構成管理の管理者や開発者が、統合テストのためのビルドの作成を実行しない場合、テスト担当者がこれを行うことがあります。
一般的に、統合環境でテストされた開発済みサイト要素は、ソフトウェア構成管理環境からソリューションとして展開されます。作成者中心の方法では、アーティファクトは統合環境ではテストされませんが、開発者中心の方法では、ほとんどの場合、設計者がアーティファクトを統合環境に展開します。統合テストは、運用環境のネットワーク、セキュリティ条件のシミュレーションを目的としていません。管理者は、テストされた要素を試験環境に展開して、さらにテストする役割を担います。
運用環境の条件に近い状態をシュミレーションするために、テスト担当者は試験環境を使用します。試験環境には、開発されたすべての要素、すべてのアーティファクト、その他のすべてのコンテンツが展開方法に関係なく置かれます。試験環境は、運用環境と同一のネットワーク、セキュリティ条件下に置かれます。試験環境でのテスト後、管理者はすべてのサイト要素を運用環境に展開する役割を担います。
ほとんどの場合、テスト担当者はプロジェクトのライフ サイクル全体を通じて、すべてのサイト要素の改良版や更新版のテストを継続して行います。
管理者
管理者は、各環境の構成と管理、コンテンツ、アーティファクト、開発されたサイト要素の各環境間での展開を担当します。
管理者は、通常、統合環境、オーサリング環境、試験環境、運用環境のファーム管理者、またはソフトウェア構成管理環境のソフトウェア構成管理システムの管理者のどちらかです。
ファーム管理者の作業は次のとおりです。
統合環境、オーサリング環境、試験環境、運用環境のファームを管理する。
統合テスト後に、開発されたサイト要素をソリューションとして試験環境に展開する (このプロセスがソフトウェア構成管理の管理者によって管理されていない場合)。
コンテンツ展開機能またはコンテンツ移行 API を使用して、作成されたコンテンツをオーサリング環境から試験環境に展開する。
(作成者中心の方法の場合) コンテンツ展開機能またはコンテンツ移行 API を使用して、アーティファクトをオーサリング環境から試験環境に展開する。
(作成者中心の方法の場合) コンテンツ展開機能またはコンテンツ移行 API を使用して、アーティファクトと作成されたコンテンツの両方を試験環境から運用環境に展開する。
(開発者中心の方法の場合) 統合テスト後に、アーティファクトをソリューションとして試験環境に展開する (このプロセスがソフトウェア構成管理の管理者によって管理されていない場合)。
(開発者中心の方法のうち、環境間での展開が自動化されていない場合) 接続された展開ではコンテンツ展開機能、接続されていない展開ではコンテンツ移行 API を使用して、作成されたコンテンツを試験環境から運用環境に展開する。
ソフトウェア構成管理の管理者の作業は次のとおりです。
ソース管理ツールを含む、ソフトウェア構成管理環境を管理する。
開発者による単体テストの実施後、開発されたサイト要素をソリューションとしてソフトウェア構成管理環境から統合環境に展開する。
(開発者中心の方法のうち、ソフトウェア構成管理環境からの展開を集中管理する場合) すべてのコンテンツ、アーティファクト、開発されたサイト要素を環境間で展開するプロセスを自動処理する。この処理は、ほとんどの方法でファーム管理者や設計者が行う展開作業を、代わりに実施します。
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入手できるドキュメントの詳細な一覧については、「Office SharePoint Server 2007 のダウンロード可能なブック」を参照してください。