情報伝達計画を作成する (SharePoint Foundation 2010)

 

適用先: SharePoint Foundation 2010

Windows SharePoint Services 3.0 から Microsoft SharePoint Foundation 2010 へのアップグレード時には、ユーザーとの間の情報伝達が重要になります。サイトのユーザーは、アップグレード後のどのタイミングでサイトにアクセスすればよいのかを知る必要があります。サイトの所有者は、アップグレードの準備にどのような形で協力できるのか、またアップグレード後に何をする必要があるのかを知る必要があります。また、サイトのユーザーと所有者はどちらも、アップグレードがいつ実行されるのかを知る必要があります。計画プロセスの一環として、以下の要素を決定します。

  • アップグレード チームのメンバー、その他の関係者、およびアップブレードの影響を受ける人々

  • アップグレード チームに必要な情報とそれらが必要なタイミング

  • サイトのユーザーおよびその他の関係者に必要な情報とそれらが必要なタイミング

ここでは、アップグレード チーム、関係者、およびユーザーがアップグレードの前後および実行中の想定事項を把握できるように情報伝達計画を作成する方法を説明します。

この記事の内容 :

  • アップグレード チームのメンバー

  • アップグレード チームへの情報伝達のタイミングと内容

  • サイトのユーザーへの情報伝達のタイミングと内容

アップグレード チームのメンバー

サイトのカスタマイズの度合いが低い小規模な展開では、アップグレード チームが 1 人だけの場合があります。一方、大規模な展開では、以下に示すような異なる役割を持つ複数のメンバーが必要になる場合があります。

  • サーバー管理者   サーバー管理者は、アップグレード タスクの大半を実行します。セットアップ ウィザードを実行するには、各フロントエンド Web サーバーのローカル管理者グループのメンバーが必要なので、アップグレード チームには少なくとも 1 人のサーバー管理者が必要です。

    注意

    ファーム管理者がサーバーのローカル管理者ではない場合があります。

  • データベース管理者   データベース管理チームが別に存在する場合、特にデータベース接続アップグレードの実行を予定しているときには、そのチームと協力しながらアップグレードのスケジュールを設定して実行に移す必要があります。

  • サーバー セキュリティ チーム   アカウントとアクセス許可を確認したり、SharePoint Foundation 2010 で適用できる新しいポリシー設定を活用したりするには、セキュリティ チーム (Active Directory ディレクトリ サービス チームなど) と協力する必要があります。

  • クライアント展開チーム   新しいクライアントおよびサーバー アプリケーションの展開を調整するには、クライアント展開チームとの間で情報伝達を行います。クライアント展開は、アップグレード前に行う必要があることもあれば、ユーザーのサイトのアップグレード完了後にユーザーが利用できるオプションにすることもできます。

  • サイト コレクションの所有者   サイト コレクションの所有者には、アップグレード プロセスが開始されるタイミングを通知し、アップグレード前チェック ツールの実行時やサイトのアップグレード時にわかった問題があればそれらについての注意を促す必要があります。ビジュアル アップグレードを実行する場合は、新しいユーザー インターフェイスへの変更や、ファーム管理者またはサイト コレクションの所有者によってその変更が完了されるかどうかについても、サイト コレクションの管理者との間で情報伝達を行う必要があります。

  • サイトの作成者およびサイトの開発者   カスタム テンプレート、カスタム Web パーツ、カスタム Web サービスなど、サイトに関連するカスタム要素がある場合は、それらの要素の開発またはカスタマイズの担当者と連携して、これらのカスタム要素の新しいバージョンを作成できるようにするか、これらのカスタム要素が適切にアップグレードされたことを確認する必要があります。カスタム要素に関する潜在的な問題の詳細については、「試用版のアップグレードを使用して潜在的な問題を発見する (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。

  • サイトのユーザー   アップグレード プロセスに関する意思決定にサイトのユーザーを含める必要はありませんが、アップグレード実行の予定日時とその実行に関する想定事項はサイトのユーザーに知らせる必要があります。

  • スポンサーおよび他の関係者   組織内の上記以外の関係者がアップグレード計画プロセスに関与する場合があります。情報伝達計画には、これらの関係者を適切な形で組み入れてください。

    注意

    組織によっては、アップグレード チームの各役割に 1 人以上のメンバーを割り当てることができます。

アップグレード チームへの情報伝達のタイミングと内容

通常、サーバー管理者と共有サービスの管理者がアップグレードのタイムラインを設定し、サイトの所有者にはアップグレードの開始予定日時のみが通知されます。ただし、チームのメンバーはアップグレード プロセス全体の特定の時点に各自のタスクを実行する必要があるので、各自の担当タスクの実行時期が来たときにそれがわかるように、アップグレードの進捗をチームのメンバー全員に伝えるための明確な計画を立てることが重要です。

アップグレード チーム全体が連携して、以下の要素を決定する必要があります。

  • 使用するアップグレード方法   「アップグレード方法を決定する (SharePoint Foundation 2010)」の記事には、実行するアップグレードの種類の決定に役立つ情報が示されています。この決定を行う際には、アップグレード前チェック ツールによって生成されるレポートの内容を考慮に入れることも重要です。

  • アップグレードを実行する日時   サイトの利用が少ないときにアップグレードを行うことをお勧めします (特に一括アップグレードの場合)。サーバーが 1 台だけの小規模な展開の場合、アップグレードは通常 1 日以内に完了します。大量のデータがあるサーバー ファームなどの大規模な展開の場合は、データベース接続アップグレードまたはデータベースを切断する一括アップグレードの方法を使用すると、アップグレード プロセスを複数のサービス停止期間に分散して実行できます。特定のサイト コレクションのアップグレードに要する正確な時間を求める方法はありません。そのため、アップグレード プロセスに関与するチームの他のメンバーとエンド ユーザーへの情報伝達が非常に重要になります。アップグレードを実行する日時または期間を決定する際は、アップグレード チームがすべての準備作業を完了できるように、余裕を持って日程を組む必要があります。タイムラインを計画する際は、アップグレードしたサイトを検証する時間や、変更の実施またはサイトのブランド変更作業の時間をスケジュールに組み込む必要があります。

アップグレード プロセス中の以下の時点で、サイトの所有者、作成者、および開発者と連絡を取ることが重要です。

  • プロセスの開始前。全体的なタイムラインおよびプロセスにおける個々の役割を伝えます。

  • アップグレード前チェック ツールの実行後。チェック ツールによって検出された問題に対処するのが目的です。アップグレード前チェック ツールの詳細については、「アップグレード前チェック ツールを実行する (SharePoint Foundation 2010)」を参照してください。たとえば、カスタマイズされたサイト テンプレートやカスタム Web パーツのような問題は、アップグレードのスケジュールを設定する前に適切なサイトの所有者、作成者、または開発者に報告して、問題に関する調査と準備作業を行う時間を与える必要があります。開発者が、アップグレード実行前の Web パーツの再構築には慎重を期したほうがよいと判断する場合もあります。また、サイトの所有者が、サイト テンプレート、Active Server Page Extension (ASPX) コア ファイルの変更など、サイトに対して行われたすべてのカスタマイズを記録しようとする場合もあります。

  • サイトのアップグレード後。サイトを確認し、必要に応じて変更を行うのが目的です。

サイトのユーザーへの情報伝達のタイミングと内容

また同様に、サイトのユーザーに以下の事項について通知することも重要です。

  • サイトのアップグレードの実行予定日時   一括アップグレードの場合は、アップグレード中はサイトが利用できないことも通知する必要があります。

  • アップグレードされたサイトの準備完了時期   これは、アップグレード チームがアップグレードの実行だけでなく、アップグレードされたサイトの機能検証も完了したことを意味します。

  • アップグレードがユーザーに与える影響とユーザーが新しい環境について知っておく必要がある事項   たとえば、サイトの外観が変化し、新しいユーザー インターフェイスで若干の機能変更が発生します。ビジュアル アップグレードを使用する場合は、新しいまたは古いユーザー エクスペリエンスが確認されるかや想定される事項をユーザーに通知します。また、新しいバージョンについて学習できるように、新機能に関する記事、トレーニング資料など、利用可能なコンテンツの場所をユーザーに示すこともできます。機能の変更とビジュアル アップグレードの詳細については、「ビジュアル アップグレードを計画する (SharePoint Foundation 2010)」と「アップグレードの新機能」の「バージョン間での主要機能の変更点」を参照してください。

  • ヘルプを得る方法   アップグレード後のサイトに問題が見つかった場合、どこに行けば解決できるかを伝えておきます。