バリエーションの概要
適用先: SharePoint Server 2010
トピックの最終更新日: 2016-11-30
Microsoft SharePoint Server 2010 の "バリエーション機能" は、"ソース バリエーション サイト" から各 "ターゲット バリエーション サイト" にコンテンツをコピーすることによって、さまざまなサイトで特定の利用者が同一のコンテンツを利用できるようにします。ユーザーは、ルート サイトにアクセスすると、Web ブラウザーの言語設定に基づいて該当するバリエーション サイトにリダイレクトされます。必要に応じて、ターゲット バリエーション サイトのコンテンツはカスタマイズできます。たとえば、ターゲット バリエーション サイトのコンテンツを発行する前に他の言語に変換できます。バリエーションは、発行サイト テンプレートのいずれかで作成された SharePoint Server 2010 サイト、または SharePoint Server 発行インフラストラクチャ機能が有効になっているサイトでのみ使用できます。
注意
バリエーションは多言語ソリューションに使用できますが、バリエーション機能はページを翻訳する機能ではありません。多言語コンテンツの作成にバリエーションを使用するには、ワークフローを使用して、コンテンツをターゲット サイトにコピーした後で、別のチームまたはサードパーティ ベンダーで翻訳するためにコンテンツをルーティングできます。ワークフローの詳細については、「ワークフローを計画する (SharePoint Server 2010)」を参照してください。
ここでは、バリエーション機能の概要を説明します。バリエーション機能の要素、バリエーション サイトとページの作成方法の概要、バリエーションの制限事項、および SharePoint Server 2010 でバリエーションを使用するシナリオについて説明します。ここでは、バリエーションを使用するソリューションの計画に関するタスクについては説明しません。ソリューションでのバリエーションの使用の計画については、「バリエーションを計画する」を参照してください。また、ここではバリエーション ラベルとバリエーション階層を作成する方法についても説明しません。バリエーション サイトを作成する方法については、「Create a variations site (英語)」を参照してください。
この記事の内容
バリエーションの使用と利点
バリエーションを使用するシナリオ
バリエーションの要素
バリエーションの概要
ソース バリエーション サイトとターゲット バリエーション サイトの作成方法の概要
サイトとページの作成方法の概要
バリエーションの制限事項
バリエーションの使用と利点
多くの企業は世界的規模で事業を営んでおり、国内市場においても、多様な顧客ベースにアピールする必要がある場合があります。顧客は、さまざまな言語を使用していたり、地域の違い、各種のモバイル デバイス、または企業ブランドに基づいた特定の情報を必要としている可能性があります。こうしたタイプの企業には、さまざまな文化、さまざまな市場、およびさまざまな地域に合わせてカスタマイズされたコンテンツを提供する Web サイトが必要です。サイトのバリエーションを作成して維持することは、困難で時間のかかる作業になることもあります。バリエーションを SharePoint Server 2010 ソリューションの一部として使用することで、サイト アーキテクトおよびサイト管理者は、これらのサイトを作成して維持するプロセスを簡素化できます。バリエーション機能によってサイトとページの作成を自動化することによって、必要なバリエーションのインスタンスごとにサイトとそのすべての関連ページを手動で作成する必要がなくなります。
バリエーションを使用するシナリオ
バリエーションを使用すれば、多くのシナリオで、ユーザーに合わせて同じコンテンツの異なるバージョンを作成できます。次の表に、バリエーションが役立つ可能性があるシナリオについて説明します。
シナリオ | 説明 |
---|---|
複数の言語 |
バリエーションを使用することで、特定の言語向けのサイトとコンテンツを作成できます。このシナリオでは、コンテンツの大半をソース バリエーション サイトの言語で作成してから、それを一部またはすべてのターゲット バリエーション サイトにコピーし、そこでさまざまな言語に翻訳します。たとえば、コンテンツを英語で作成してから、ドイツ語、フランス語、およびスペイン語に翻訳するために各ターゲット バリエーション サイトにコピーできます。 |
複数のデバイス |
ユーザーがさまざまな種類のデバイス向けにデザインされたページへ接続されるように VariationRoot.aspx ページのロジックをカスタマイズできます。たとえば、ターゲット バリエーション サイトには、画面サイズまたは画面解像度が異なるデバイス向けにデザインされたページを用意できます。 |
複数の場所またはブランド |
バリエーションを使用することで、特定の場所またはブランド向けのコンテンツを作成できます。たとえば、レンタカー会社は、支店がある各都市向けのターゲット バリエーション サイトを用意できます。企業情報のほとんどは支店全体で同じなので、それらのページにバリエーションを使用し、スペシャル オファーやプロモーションのその他のコンテンツは、そのコンテンツが必要なターゲット バリエーション サイトで作成します。 |
バリエーションの要素
バリエーション機能は、次の要素で構成されます。
バリエーション ルート サイト バリエーション ルート サイトは、ソース バリエーション サイトとターゲット バリエーション サイトすべてに URL を提供し、ユーザーを正しいバリエーション サイトにリダイレクトするランディング ページが含まれています。これは、サイト コレクションのルート サイトとは異なりますが、サイト コレクションのルート サイトをバリエーション階層のルート サイトとして指定することもできます。
バリエーション ラベル バリエーション ラベルとは、新しいバリエーション サイトを指定する識別子です。サイトのバリエーションは、バリエーション ラベルを作成することで定義します。バリエーション ラベルは、計画された各バリエーションに対し 1 つです。
バリエーション サイト バリエーション サイトとは、定義されたバリエーション ラベルに基づいて作成されるサイトです。バリエーション サイトには 2 つの種類があります。
ソース バリエーション サイト ソース バリエーション サイトとは、共有コンテンツを作成して発行するサイトです。このサイトから、共有コンテンツのコピーがターゲット バリエーション サイトに送信されます。1 つのサイト コレクションにソース バリエーション サイトは 1 つのみです。ソース バリエーション サイトを選択した後は、変更できません。
ターゲット バリエーション サイト ターゲット バリエーション サイトは、ソース バリエーション サイトからコンテンツの大半を受け取ります。ターゲット バリエーション サイトで新しいコンテンツを作成することはできますが、そのコンテンツは他のサイトと共有できず、作成されたサイトに固有になります。
バリエーション階層 バリエーション階層とは、すべてのバリエーション ラベルが含まれる全サイトの集合です。
バリエーション ページ バリエーション ページとは、ソース バリエーション サイトのページ ライブラリとターゲット バリエーション サイトに格納されている発行ページです。ソース バリエーション サイトからターゲット バリエーション サイトにコピーされるコンテンツは、これらのページと、これらのページに依存するイメージやドキュメントのリソースのみです。
重要
バリエーションを使用しているサイトのページ ライブラリには、非発行ページを追加しないことをお勧めします。非発行ページを追加すると、バリエーション階層作成ジョブの定義のタイマー ジョブが失敗することがあります。
バリエーションの概要
バリエーション機能は、サイトを作成し、ソース バリエーション サイトから 1 つ以上のターゲット バリエーション サイトにコンテンツをコピーします。バリエーション機能は、既定ではソース バリエーション サイトのページ ライブラリから発行ページのみをコピーします。バリエーション機能は、コンテンツ展開機能と異なり、リストやその他のドキュメント ライブラリのサイト コンテンツはコピーしないのに対し、コンテンツ展開機能は、リストやその他のドキュメント ライブラリを含め、すべてのコンテンツをサイト間でコピーします。リソースをターゲット バリエーション サイトにコピーするように [リソース] オプションが構成されている場合は、イメージやドキュメントのリンク先リソースもコピーされます。バリエーション機能とコンテンツ展開機能のもう 1 つの重要な違いは、バリエーション機能ではターゲット バリエーション サイト上にあるコピーされたコンテンツを変更できるのに対し、コンテンツ展開機能では、コピーされたコンテンツの変更は推奨されません。
既定で、ユーザーは、ルート サイトにアクセスすると、Web ブラウザーの言語設定に基づいて該当するバリエーション サイトにリダイレクトされます。たとえば、ユーザーの既定のブラウザー言語がフランス語の場合、SharePoint Server 2010 によってそのユーザーはフランス語のバリエーション サイトにリダイレクトされます。この動作は、既定のリダイレクト ページ VariationRoot.aspx を別のページに置き換えることでカスタマイズできます。この新しいページによって、ユーザーの優先する言語、ユーザーのデバイス、またはサイトを変更するための別の基準を識別するロジックを実装できます。バリエーション サイトへのリダイレクトをカスタマイズする方法については、「How to: Customize the Variation Root Landing Logic」を参照してください。
バリエーション ラベル
バリエーション ラベルとは、バリエーション サイトを指定する識別子です。ソースとして、ソース バリエーション サイトを表す 1 つのバリエーション ラベルを選択します。残りのバリエーション ラベルはターゲット ラベルで、コンテンツのコピー先のターゲット バリエーション サイトを表します。[バリエーション ラベル] ページの [階層の作成] を使用して、バリエーション ラベルからバリエーション サイトを作成します。
1 つのサイト コレクションに対して 1 つのバリエーション ラベル セットのみを定義できます。これが、バリエーション階層です。対応するバリエーション サイトは、サイト コレクション階層のどこにでも作成できます。ソース バリエーション サイトとターゲット バリエーション サイトは、常にバリエーション ルート サイトのサブセットとして作成されます。バリエーション ルート サイトにアクセスするユーザーは、該当するバリエーション サイトにリダイレクトされます。
次の図に、バリエーション サイト階層の例を示し、ページ ライブラリの公開コンテンツがターゲット バリエーション サイトにコピーされるしくみを説明します。
ルート サイト https://contoso.com に 3 つのバリエーション ラベル "EN"、"FR"、および "DE" が作成されます。バリエーション階層が作成されると、対応するバリエーション サイト "EN"、"FR"、および "DE" がバリエーション ルート サイトの 1 つ下のレベルに作成されます。サイト "https://contoso.com/EN" がソース バリエーション サイトとして指定されるので、サイト "https://contoso.com/EN" で作成されて発行されるページが、ターゲット バリエーション サイト "https://contoso.com/FR" および "https://contoso.com/DE" にコピーされます。
バリエーション ラベルを作成する場合は、そのラベルで使用するロケールを選択します。ロケール設定は、ブラウザーのリダイレクトのみに適用され、ユーザー インターフェイスの言語には影響しません。言語パックがフロントエンド Web サーバーにインストールされている場合は、バリエーション サイトの言語も選択できます。SharePoint Server 2010 の言語設定によって、バリエーション サイトのユーザー インターフェイスの言語が決まります。言語パックがインストールされていない場合は、言語を選択するオプションは使用できず、バリエーション ラベルに対して選択したロケールにかかわらず、バリエーション サイトではサーバーにインストールされている SharePoint Server 2010 の既定の言語が使用されます。たとえば、SharePoint Server 2010 が英語バージョンを使用してインストールされている場合、言語パックがインストールされていないと、日本語ロケールに対する新しいバリエーション ラベルを作成しても、新しいバリエーション ターゲット サイトのユーザー インターフェイスは、日本語ではなく英語になります。多言語サイトの作成にバリエーションを使用する場合に、ターゲット バリエーション サイトのユーザー インターフェイスを特定の言語を使用して表示するには、バリエーション サイトを作成する前に各言語の言語パックをインストールしておく必要があります。ターゲット バリエーション サイトの作成時に言語パックが使用できない場合でも、ターゲット バリエーション サイトは作成でき、ユーザーは多言語ユーザー インターフェイスを使用することでサイトの第 2 言語を変更できます。多言語インターフェイスの詳細については、「多言語ユーザー インターフェイスの概要 (SharePoint Server 2010)」を参照してください。言語パックをインストールする方法については、「言語パックを展開する (SharePoint Server 2010)」を参照してください。
バリエーション設定
サイト コレクション内の任意のサイトをバリエーション ルート サイトとして指定できますが、バリエーション設定は、サイト コレクション内のトップレベル サイトの [サイト コレクションの管理] ページで構成します。[バリエーション設定] ページで、バリエーション ルート サイトを選択します。バリエーション ルート サイトを選択してバリエーション階層を作成した後は、ルート サイトを変更できません。
ルート サイトを指定するオプションのほかに、[バリエーション設定] ページには次のオプションが用意されています。
自動作成 ソース バリエーション サイト上のサイトとページをターゲット バリエーション サイト上に自動的に作成するかどうかを指定します。このオプションは既定で有効になっています。このオプションを無効にした場合は、ソース バリエーション サイト上に作成されたサイトとページをターゲット バリエーション サイト上で手動で作成する必要があります。
削除された対象ページの再作成 ターゲット バリエーション サイトからページが削除された後でソース バリエーション サイト上のページが再発行された場合に、そのページをターゲット バリエーション サイト上に再作成するかどうかを指定します。このオプションは既定で有効になっています。このオプションを無効にした場合、削除されたページはターゲット バリエーション サイト上に再作成されません。
対象ページの Web パーツの更新 ソース バリエーション サイト上のページの Web パーツに加えられた変更をターゲット バリエーション サイト上のページにも反映するかどうかを指定します。このオプションは既定で有効になっています。
通知 新しいページやサイトが作成された場合にはターゲット バリエーション サイトのウェルカム ページの連絡先に、ページがソース バリエーション サイトの変更で更新された場合にはそのページの連絡先に電子メールを送信します。このオプションは既定で有効になっています。
リソース ページがターゲット バリエーション サイトにコピーされたときと同じソース バリエーション サイト上のリソースを使用するか、リソースをターゲット バリエーション サイトにコピーするかを指定します。リソースは、ドキュメント ライブラリに格納されている、公開ページが参照できるイメージやドキュメントのファイルに限定されます。このオプションは既定では [既存のリソースを参照する] に設定されています。
バリエーション設定を指定する方法については、「Turn on variations settings so you can create variations of your site (英語)」を参照してください。
バリエーションのタイマー ジョブ
バリエーション機能では、タイマー ジョブを使用して、サイトとページの作成や伝達のタスクを実行します。タイマー ジョブは、SharePoint Server 2010 の Windows サービスである OWSTIMER の内部で実行されます。各タイマー ジョブには、ジョブを実行するタイミングについての既定の固有のスケジュールがあります。各ジョブの実行間隔は、サーバーの全体管理 Web サイトの [ジョブの定義] ページで変更できます。バリエーション機能が使用するタイマー ジョブは、次のとおりです。
バリエーション階層作成ジョブの定義 バリエーション ラベルに基づいて、すべてのバリエーション サイトとソース バリエーション サイトからのページを作成することによって完全なバリエーション階層を作成します。既定で、このタイマー ジョブは 1 日に 1 回実行されます。
バリエーション ページ作成ジョブの定義 [自動作成] オプションが無効になっているときに、ユーザーが新しいページを手動で作成した場合、ターゲット バリエーション サイト上にページを作成します。既定で、このタイマー ジョブは毎時間実行されます。
バリエーション サイト作成ジョブの定義 [自動作成] オプションが無効になっているときに、ユーザーが新しいバリエーション サイトを手動で作成した場合、バリエーション サイトを作成します。既定で、このタイマー ジョブは 5 分間隔で実行されます。
バリエーション ページ伝達ジョブの定義 ソース バリエーション サイト上のページが承認された後、またはそのページがユーザーによって手動で送信された後、ターゲット バリエーション サイト上でページを作成および更新します。既定で、このタイマー ジョブは毎時間実行されます。
バリエーション サイト伝達ジョブの定義 [自動作成] オプションが有効になっている場合、バリエーション サイトを作成します。既定で、このタイマー ジョブは 5 分間隔で実行されます。
タイマー ジョブについては、「タイマー ジョブの状態を表示する (SharePoint Server 2010)」を参照してください。
ソース バリエーション サイトとターゲット バリエーション サイトの作成方法の概要
ソース バリエーション サイトとターゲット バリエーション サイトは、常にバリエーション ルート サイトの 1 つ下のレベルに作成されます。それぞれのバリエーション サイトの作成には、バリエーション ルート サイトを作成するときと同じサイト テンプレートが使用されますが、テーマとマスター ページはバリエーション サイトごとに変更できます。テーマについては、「テーマの概要 (SharePoint Server 2010)」を参照してください。
バリエーション階層の最初の作成時には、定義されたバリエーション ラベルの一覧に基づいたサイトのみが作成されます。階層サイト構造をもつバリエーション ルート サイトの下に複数のサイトを置き、各バリエーション サイトの階層サイト構造にもそれらのサイトを置く場合は、バリエーション階層を作成後、ソース バリエーション サイトの下にそれらのサイトの階層構造を手動で作成する必要があります。既定では、次にバリエーション階層作成ジョブの定義のタイマー ジョブが実行されたときに、それらのサイトはその時点で作成されているすべての新しいターゲット バリエーション サイトにのみコピーされます。ソース バリエーション サイトの下にあるサイトを既存のターゲット バリエーション サイト上に作成する方法については、「サイトとページの作成方法の概要」を参照してください。
バリエーション階層が最初に作成された後は、新しいラベルがバリエーション階層に追加されて、[階層の作成] ボタンがクリックされるたびに、新しい各ラベルに対する新しいターゲット バリエーション サイトが作成されます。既定では、ソース バリエーション サイトのページ ライブラリにコンテンツがある場合、またはソース バリエーション サイトの下にサイト階層で複数のサイトが含まれている場合、それらのページとサイトは新しい各ターゲット バリエーション サイト上にのみ作成されます。
サイトとページの作成方法の概要
ソース バリエーション サイトの下に作成されているサイトと、ソース バリエーション サイト上で発行されているページやソース バリエーション サイトの下にあるサイト階層のサイト上で発行されているページは、既定でターゲット バリエーション サイトに自動的にコピーされます。[自動作成] が無効になっている場合は、選択されたターゲット バリエーション サイト上にサイトとページを手動で作成する必要があります。
ここでは、サイトとページをターゲット バリエーション サイト上に作成する方法について説明します。
サイトの作成
初めてバリエーション階層作成ジョブの定義のタイマー ジョブが実行されて、バリエーション ラベルの一覧からバリエーション階層が作成される場合には、ソース バリエーション サイトとターゲット バリエーション サイトのみが作成されます。ソース バリエーション サイトの作成後は、そのサイトの下にサイト階層で複数のサイトを作成でき、次にバリエーション サイト伝達ジョブの定義のタイマー ジョブが実行されたときに、それらのサイトが既存のターゲット バリエーション サイト上に作成されます。[自動作成] が無効になっている場合は、ソース バリエーション サイトで [サイトのコンテンツと構造] ページを使用して、1 つのターゲット バリエーション サイト上に、ソース バリエーション サイトの下にあるサイト階層のサイトを手動で作成します。次にバリエーション サイト作成ジョブの定義のタイマー ジョブが実行されたときに、指定されたターゲット バリエーション サイトに新しいサイトが作成されます。この操作は、[自動作成] が無効になっているときに随時実行できます。
注意
ソース バリエーション サイトとターゲット バリエーション サイトの作成時には、ソース ラベルの作成時に選択されたテンプレートによって提供される既定のサイト定義が使用されます。新しいサイトには、カスタムのサイト構成もサイト設定もコピーされません。ソース バリエーション サイトとターゲット バリエーション サイトで、ナビゲーションのカスタマイズなど、カスタムのサイト構成またはサイト設定を使用するには、バリエーション階層の作成後に各サイトでそれらの変更を加える必要があります。
ページの作成
ソース バリエーション サイトの作成時に [発行サイト] テンプレートを選択した場合は、ソース バリエーション サイト上のページまたはソース バリエーション サイトの下にあるサイト階層のサイト上のページをターゲット バリエーション サイトにコピーできるように事前に発行しておく必要があります。[ワークフロー付き発行サイト] テンプレートを選択した場合は、ターゲット バリエーション サイトにコピーできるように事前に発行ワークフローを使用してページの発行を承認しておく必要があります。既定では、新しいページの発行後または発行の承認後 (ワークフローを使用している場合)、そのページは、次にバリエーション ページ伝達ジョブの定義のタイマー ジョブが実行されたときにすべてのターゲット バリエーション サイトにコピーされます。ページの発行後にソース バリエーション サイト上でページを変更したり再発行した場合、そのページは、次にバリエーション ページ伝達ジョブの定義のタイマー ジョブが実行されたときにすべてのターゲット バリエーション サイトにコピーされます。
リソースをコピーできるように [リソース] 設定が構成されている場合は、イメージなどの依存するリソースもターゲット バリエーション サイトにコピーされます。リソースのコピー先のターゲット バリエーション サイト上でライブラリのバージョン管理が有効になっている場合に、リソースのコピーが既に存在すると、新しいバージョンは既存のリソースに追加されて、バージョン階層が更新されます。リソースのコピー先のターゲット バリエーション サイト上でライブラリのバージョン管理が無効になっている場合に、リソースのコピーが既に存在すると、既存のリソースは新しいバージョンで上書きされます。
初めてソース バリエーション サイト上のページがターゲット バリエーション サイトにコピーされるときは、ページのタイトルとコンテンツがターゲット バリエーション サイトにコピーされます。次にそのページがターゲット バリエーション サイトにコピーされるときは、ページのコンテンツのみがコピーされます。ページがコピーされても、ページのタイトルはターゲット バリエーション サイト上で更新されません。
注意
ターゲット バリエーション サイトでは、ソース バリエーション サイトからコピーされたページに常にマイナー バージョン番号が割り当てられます。新しいページがターゲット サイトにコピーされると、そのページにはバージョン 0.1 が割り当てられます。ページがターゲット バリエーション サイトに既に存在する場合、コピーされたページには次に有効なマイナー バージョン番号が割り当てられます。たとえば、ターゲット バージョン サイトにバージョン 2.1 のページがある場合に、そのページの新しいバージョンがターゲット サイトにコピーされると、そのページはバージョン 2.2 になります。ページと、ソース バリエーション サイト上で発行が承認されているイメージなどの追加リソースは、ターゲット バリエーション サイトにコピーされるときに承認の状況が下書きに設定されるため、サイトのユーザーが閲覧できるように事前に承認しておく必要があります。
[自動作成] が無効になっている場合に、特定のバリエーション ラベルのページを作成するには、ソース バリエーション サイト上でページの [発行] タブにある [バリエーション] グループの [作成] を使用します。新しいページは、次にバリエーション ページ作成ジョブの定義のタイマー ジョブが実行されたときに 1 つのターゲット バリエーション サイトにコピーされます。ページの発行後にソース バリエーション サイト上でページを変更したり再発行した場合、そのページは、次にバリエーション ページ伝達ジョブの定義のタイマー ジョブが実行されたときに、指定されたターゲット バリエーション サイトにのみコピーされます。バリエーション ページに対して [自動作成] を無効にする方法については、「バリエーション ページの自動伝達を管理する」を参照してください。バリエーション ページの伝達の詳細については、「Variations: Propagate Pages on Your Terms (英語)」を参照してください。
ソース バリエーション サイトからコピーされたページがターゲット バリエーション サイトから削除された場合、そのページは、既定で、次にソース バリエーション サイト上で発行され、次にバリエーション ページ伝達ジョブの定義のタイマー ジョブが実行されたときに、ターゲット バリエーション サイト上で再作成されます。[削除された対象ページの再作成] が無効になっている場合、削除されたページはターゲット バリエーション サイト上で再作成されません。
バリエーションのソース ページを作成する方法と、バリエーションのターゲット ページ上のコンテンツを操作する方法については、「Work with content updates on variations pages (英語)」を参照してください。
バリエーションの制限事項
次に、SharePoint Server 2010 のバリエーション機能の制限事項について説明します。
バリエーション機能は 1 層の階層です。
ソース バリエーション サイトとターゲット バリエーション サイトは、サイト階層内の同じレベル、つまりバリエーション ルート サイトの 1 つ下のレベルに位置します。ソース バリエーション サイトとターゲット バリエーション サイトには他のサイトを含めることができますが、他のターゲット バリエーション サイトを含めることはできません。たとえば、英語のソース バリエーション サイトとフランス語のターゲット バリエーション サイトがあり、フランス語のターゲット バリエーション サイトの下にフランス語 (カナダ) のサイトがある場合、バリエーション機能は、英語のソース バリエーション サイトからフランス語のターゲット バリエーション サイトにのみコンテンツをコピーします。また、バリエーション機能は、フランス語のターゲット バリエーション サイトからそのサイトの下にあるフランス語 (カナダ) のサイトにもコンテンツをコピーできません。
バリエーション機能はソース サイトからすべてのものをコピーするわけではありません。
バリエーション機能は、既定では、ソース バリエーション サイトのページ ライブラリに格納されている発行ページのみをコピーします。それらのページで使用されているイメージなどの追加リソースはコピーされず、代わりにソース バリエーション サイトから参照されます。それらのリソースをターゲット バリエーション サイトにコピーするには、[バリエーション設定] ページの [ リソース] オプションを変更します。リストやライブラリのその他のサイト コンテンツはまったくコピーされないため、必要に応じて、ターゲット バリエーション サイト上に手動でコピーする必要があります。
コンテンツのコピーは 1 方向です。
バリエーション機能は、1 つのソース バリエーション サイトから 1 つ以上のターゲット バリエーション サイトにコンテンツをコピーします。バリエーション機能を使用して、ターゲット バリエーション サイトからソース バリエーション サイトへコンテンツをコピーすることはできません。また、ターゲット バリエーション サイトから他のターゲット バリエーション サイトへのコンテンツのコピーも行えません。