WAN 環境のクライアント ソリューション (SharePoint Server 2010)
適用先: SharePoint Server 2010
トピックの最終更新日: 2016-11-30
WAN リンクにわたって分散しているユーザーやネットワークに常時接続されていないユーザーは多くの組織に存在します。Microsoft SharePoint 2010 製品 は、さまざまなネットワーク シナリオおよび作業環境に対応します。ここでは、低速ネットワーク接続やオフラインのユーザーを対象としたクライアント ソリューションについて説明します。
この記事の内容
モバイル ビュー
Office Web Apps
Office 2010 ドキュメント キャッシュと MS-FSSHTTP プロトコル
Outlook 2013
SharePoint Workspace
SharePoint Workspace Mobile for Windows Phone 7
SharePoint Workspace と Groove Server
次の表では、ソリューションが最も快適に動作する環境、およびソリューションが SharePoint サイトに提供するアクセス範囲を示すことで、ソリューションを比較しています。この記事では、そのソリューションについて、さらに詳しく後述します。
モバイル ビュー
モバイル ビューは、モバイル デバイスだけが対象とは限りません。帯域幅が狭く、待ち時間が長い環境 (たとえば、待ち時間が 300 ミリ秒以上の環境) でモバイル ビューを使用すると、サイト階層内を移動したり、簡単なフォームを入力したり、テキスト データを表示したりするときに、許容範囲のパフォーマンスを実現できます。
モバイル ブラウザー以外でモバイル ビューを表示するには、?mobile=1 を SharePoint サイトの URL に追加します。
既定のテンプレートを使用して作成したリストまたはライブラリのほとんどで、モバイル ビューが既定で有効になっています。カスタム リスト、カスタム ライブラリ、または Microsoft SharePoint Foundation 2010 にアップグレードされた以前のバージョンの製品で作成されたリストまたはライブラリでは、モバイル ビューは既定で有効になっていません。種類がデータシートまたはガント ビューの場合は、モバイル ビューを使用できません。
リストおよびライブラリのモバイル ビューの構成については、「モバイル ビューを構成する (SharePoint Server 2010)」を参照してください。
Office Web Apps
Microsoft Office Web Apps は、Microsoft Word、Microsoft Excel、Microsoft PowerPoint、および Microsoft OneNote のオンライン コンパニオンです。これを使用すると、帯域幅が狭いか待ち時間が長い接続でファイルをダウンロードおよびアップロードしなくても、ファイルにアクセスしてブラウザーで簡単な編集を行うことができます。
サイト コレクションに対して Office Web Apps が有効になっている場合は、次の図で示すように、ブラウザーでファイルを表示および編集するように選択できます。
ほとんどの場合、ブラウザーでファイルを開くと、Microsoft Office 2010 クライアント アプリケーションの 1 つでファイルを開くよりも、最初のページまでの時間が短くなります。
さらに、モバイル アクセスが有効になっているビューとコンテンツがファイアウォール外で公開されている場合は、組織内のユーザーがブラウザー対応の携帯電話やモバイル デバイスを使って、SharePoint Server コンピューターに格納されている Word、Excel、および PowerPoint ドキュメントを読むことができます。Office Web Apps でモバイルをサポートしているデバイスは次のとおりです。
Windows Phone 7
Windows Mobile
BlackBerry
iPhone、iPod Touch
Nokia S60
NTT DOCOMO、SoftBank、au by KDDI などの日本の多機能携帯電話
Microsoft Silverlight は、Office Web Apps ユーザー エクスペリエンスを向上させることができます。Silverlight は、多数のブラウザーでより豊かな Web エクスペリエンスを提供する無料のプラグインです。Silverlight プラグインをインストールしなくてもクライアント ブラウザーで Office Web Apps を使うことはできます。しかし、Silverlight プラグインをブラウザーにインストールすると、以下の効果がもたらされます。
Silverlight プラグインがインストールされているブラウザーで Word Web App を使用すると、ページの読み込みが速くなる、拡大表示時のテキストの再現性がよくなる、Microsoft ClearType に適した設定がサポートされる、このページの検索コマンドによって見つかる検索文字列の位置がより正確になる、などの効果を体験できます。
Silverlight プラグインがインストールされているブラウザーで PowerPoint Web App を使用すると、ページの読み込みが速くなる、アニメーションがより滑らかに表示される、プレゼンテーション スライドの大きさがブラウザーのウィンドウ サイズに合わせて調整される、などの効果を体験できます。
Excel Web App および OneNote Web App については、Silverlight がクライアント ブラウザーにインストールされていても特別な効果は得られません。
Silverlight の詳細については、「Microsoft Silverlight」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=206068&clcid=0x411) を参照してください。
Office Web Apps の詳細については、「Microsoft Web Apps の展開」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=206018&clcid=0x411) を参照してください。
Office 2010 ドキュメント キャッシュと MS-FSSHTTP プロトコル
Office 2010 と SharePoint 2010 Products を組み合わせて使用すると、低速ネットワーク接続を使ってファイルを使用および管理しているユーザーのエクスペリエンスが向上します。SharePoint 2010 サイトから開かれているファイルは、非同期ファイル転送を使用してダウンロードされ、ローカルにキャッシュされます。この結果、ファイルがより迅速に開き、ダウンロードが完了しないうちにファイルを使用できます。さらに、SharePoint 2010 Products とクライアント コンピューター間では、ファイル全体ではなく、ファイルに対する変更のみが転送されます。これは、SOAP over HTTP (MS-FSSHTTP) プロトコルを介した新しいファイル同期によって実現します。
ドキュメント キャッシュの設定と機能は、自動的にインストールされる Office 2010 の新機能であるアップロード センターからアクセスおよび管理できます。アップロード センターを利用するには、通知領域の [アップロード センター] アイコンをクリックします。[スタート] メニューから開くこともできます。
アップロード センターには、キャッシュされたファイルの一覧が表示されます。キャッシュされたファイルは、アップロード センターからオフラインで管理できます。アップロード処理中のファイルのステータスはユーザーが監視できます。次の図で示すように、ユーザーはキャッシュの設定を管理して、キャッシュされたファイルの保持期間を設定したり、キャッシュされたすべてのファイルを必要に応じて削除したりすることもできます。
ユーザーは、Office 2010 のキャッシュ機能を利用する目的でアップロード センターにアクセスし、管理する必要はありません。Office 2010 の機能は、ユーザーが操作しなくてもバックグラウンドで動作します。
注意
ユーザーが、Office 2007 など、以前のバージョンの Office を使用している場合は、BranchCache を使用すると、帯域幅の使用量を減らし、アクセスが多いコンテンツのダウンロード時間を短縮できます。BranchCache がサーバー コンピューターとクライアント コンピューターの両方で有効になっている場合、キャッシュされているファイルを開く時間は大幅に短縮されます。しかし、ファイルを SharePoint サイトに戻すときに使用されるネットワーク帯域幅が、BranchCache によって減ることはありません。BranchCache は、ドキュメント キャッシュおよび MS-FSSHTTP プロトコルとの組み合わせでは使用できません。BranchCache とドキュメント キャッシュの両方が実装されている場合、通信は MS-FSSHTTP プロトコルを使用して行われます。SharePoint Server 2010 と Office 2010 を組み合わせて使用すると、WAN の全体的なパフォーマンスが大幅に向上します。
BrancheCache を使用する方法の詳細については、「Windows 7 および Windows Server 2008 R2 の BranchCache の概要」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=206069&clcid=0x411) を参照してください。
アップロード センターおよび Office ドキュメント キャッシュの設定の詳細については、次の記事を参照してください。
Microsoft Office 2010 アップロード センター (https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=206070&clcid=0x411)
Office ドキュメント キャッシュの設定 (https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=206071&clcid=0x411)
Outlook 2013
ユーザーは、SharePoint ライブラリ、連絡先リスト、タスク リスト、プロジェクト タスク リスト、および特定の種類の SharePoint 外部リストと Outlook 2013 を同期させることができます。また、SharePoint 2010 Products ユーザーの多くが、Outlook 2013 を使用して、アクティビティおよびプロジェクトに対してグループ作業および調整を行っています。したがって、これらのライブラリとリストを同期する機能は、特にユーザーがオフラインで作業している場合、または SharePoint サイトにアクセスしにくい場合に、ユーザーがより効率的に操作を行うのに役立ちます。
他の Office 2010 アプリケーションのように、Outlook 2013 と同期される SharePoint ファイルは、MS-FSSHTTP プロトコルを使用してダウンロード、アップロード、およびキャッシュされます。その結果、低速ネットワーク接続において、以前のバージョンよりも優れたパフォーマンスが実現します。
SharePoint ライブラリと Outlook 2013 を同期させるには、次の図で示すように、[ライブラリ] タブの [接続とエクスポート] グループで [Outlook に接続] をクリックします。
ユーザーがオフラインで作業している場合、ファイルへの変更はローカルに保存されます。再度オンラインになったとき、ユーザーは、クライアント アプリケーションの最初の同期時に変更を SharePoint ライブラリにアップロードするか、変更されたファイルをローカルに保持したままにするかを選択できます。
WAN 環境で Outlook 2013 を使用するように計画するときは、以下の点を考慮してください。
Outlook 2013 では、SharePoint サイトのコンテンツのピア ツー ピア同期を利用できません。Outlook 2013 では、個別のチーム メンバーが個人的にオフラインで作業を行うことができます。
既定では、同期されたファイルは自動チェック アウトされません。また、ユーザーは Outlook 2013 内のファイルをチェック アウトできません。Outlook 2013 のコンテンツを同期および編集する前に、SharePoint 2010 Products 内のファイルをチェック アウトすることをお勧めします。
詳細については、「Synchronize SharePoint 2010 content with Outlook 2010 (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=206097&clcid=0x411) (英語) を参照してください。
SharePoint Workspace
Microsoft SharePoint Workspace 2010 (以前の Microsoft Office Groove) は、オンラインおよびオフラインのグループ作業をサポートする Microsoft SharePoint Server 2010 および Microsoft SharePoint Foundation 2010 用のクライアント アプリケーションです。
SharePoint Workspace 2013 は以前のバージョンを基盤としており、強力なツールが新しく追加されています。このツールを使用すると、企業ネットワークに接続していないユーザーでも、SharePoint サイトに格納されているコンテンツにアクセスし共有できます。SharePoint Workspace 2013 は Microsoft Office Professional Plus 2010 に含まれており、SharePoint サイトに対して非常に堅牢なオフライン エクスペリエンスを提供します。これにより、ユーザーが SharePoint サイト全体をオフラインにできます。
次の図は、サイトと SharePoint Workspace 2013 を同期させる方法を示しています。
詳細については、「SharePoint Workspace 2010 の新機能」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=206098&clcid=0x411) を参照してください。
SharePoint Workspace Mobile for Windows Phone 7
Windows Phone 7 には Microsoft Office Mobile が搭載されており、これによりユーザーが電話を使ってファイルを操作できます。次の図で示すように、Microsoft SharePoint Workspace Mobile は Office Mobile に含まれ、Office Hub の電話に既に存在します。
モバイル ユーザーは、Windows Phone 7 および Microsoft SharePoint Workspace Mobile を使用して次の操作を行います。
SharePoint 2010 サイトでホストされているコンテンツを表示します。
SharePoint 2010 サイトでホストされている Word、Excel、PowerPoint、および OneNote のファイルを開いて編集します。
SharePoint 2010 サイト、リスト、およびドキュメント ライブラリを参照します。
Microsoft Forefront Unified Access Gateway (UAG) を介した企業リソースへのリモート アクセスのセキュリティを強化します (企業がこれを使用している場合)。
ユーザーは Microsoft SharePoint Workspace Mobile を使用して、電話で SharePoint 2010 ファイルをオフラインにすることもできます。オフラインでファイルを開いて編集した後、オンラインに戻ったときに、そのファイルを SharePoint サイトに保存できます。
詳細については、「Office Mobile 2010 for Windows Phone 7」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=206099&clcid=0x411) を参照してください。
SharePoint Workspace と Groove Server
SharePoint Workspace 2013 と Microsoft Groove Server を組み合わせて使用して、ピア グループ作業を提供することもできます。このグループ作業では、SharePoint 2010 Products に接続されていないチーム メンバーがいてもかまいません。グループ作業は、プライベート ネットワーク外の信頼されたパートナーやフィールド サイトに拡張できます。この構成では、少なくとも 1 人のチーム メンバーが SharePoint サイトにアクセスできなければなりません。他のチーム メンバーについては、SharePoint サイトにアクセス可能な他のチーム メンバーのコンピューターにアクセスできるか、または SharePoint サイトに直接アクセスできる必要があります。次の図は、このアーキテクチャの例を示しています。
SharePoint Workspace および Groove Server の詳細については、「SharePoint Workspace 2010 を計画する」を参照してください。