SIP トランキングのサポート

 

トピックの最終更新日: 2012-10-16

エンタープライズ VoIP と SIP トランキングの併用を計画する場合、仲介サーバーを展開して、他のインフラストラクチャとコンポーネントが展開モデルに対応するサポート要件を満たしていることを確認する必要があります。 SIP トランキングの実装決定の詳細については、「計画」のドキュメントの「SIP トランキングを使用する理由」を参照してください。

エンタープライズ テレフォニー インフラストラクチャを対象にした Microsoft Unified Communications Open Interoperability Program を使用して、動作が確認されている PSTN ゲートウェイ、IP-PBX、および SIP トランキング サービス (認定 IP テレフォニー サービス プロバイダーを含む) を検索できます。詳細については、Microsoft Unified Communications Open Interoperability Program の Web サイト (https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=187781&clcid=0x411)。

仲介サーバーのサポート

SIP トランキングを実装するには、仲介サーバーを介して通信をルーティングする必要があります。この仲介サーバーは、Lync Server 2010 クライアントとサービス プロバイダー間の通信セッションをプロキシ処理します。 仲介サーバーは、クライアントおよびサーバーからのメディア トラフィックをデコードし、サービス プロバイダーに送信する前に再エンコードします。 再エンコードが必要なのは、SIP トランクが、リアルタイム オーディオ (RTA) または Interactive Connectivity Establishment (ICE) プロトコルによるファイアウォール トラバーサルのネゴシエーションのような、使用されるコーデックの一部をサポートしていないためです。

仲介サーバーごとに、内部ネットワーク インターフェイスと外部ネットワーク インターフェイスを提供する、2 つのネットワーク アダプターを設定できます。 外部インターフェイスは、これまで PSTN ゲートウェイまたは IP-PBX への接続に使用されてきたため、通常、ゲートウェイ インターフェイスといわれます。 SIP トランクを実装するには、外部インターフェイスをサービス プロバイダーのセッション ボーダー コントローラー (SBC) と接続します。

集中型と分散型 SIP トランキングの比較

集中型 SIP トランキングは、ブランチ サイトのトラフィックを含む、すべての VoIP トラフィックをデータ センターを経由してルーティングします。 集中型の展開モデルは、シンプルで費用効果がよく、通常は、Lync Server 2010 での SIP トランク実装アプローチとして好まれます。

企業での使用パターンによっては、すべてのユーザーに集中型 SIP トランクを使用したくない場合があります。 必要性を分析するために、次の質問に回答してください。

  • 各サイトの大きさは? ユーザーの数は?

  • 各サイトで最も通話を受ける Direct Inward Dialing (DID) 番号は?

分散型 SIP トランキングは、1 つまたは複数のブランチ サイトでローカルな SIP トランクを実装する展開モデルです。 その場合 VoIP トラフィックは、データ センターを経由せずに、ブランチ サイトから直接サービス プロバイダーにルーティングされます。

分散型 SIP トランキングが必要なのは、次のケースだけです。

  • ブランチ サイトに存続可能な通話接続が必要な場合 (WAN がダウンした場合など)。 ブランチに冗長性とフェールオーバーが必要な場合、サービス プロバイダーの負担が高くなり、構成に時間がかかります。 このことについて、各ブランチ サイトで分析する必要があります。 冗長性とフェールオーバーが必要なブランチがある一方で、他のブランチには必要ない場合があります。

  • ブランチ サイトとデータ センターで国/地域が異なる場合。 互換性と法律上の理由により、国/地域ごとに少なくとも 1 つの SIP トランクが必要です。

集中型 SIP トランキングと分散型 SIP トランキングのどちらを展開するかを決定するには、費用便益分析が必要です。 必要のない場合にも分散型展開モデルを選択したほうが有益な場合があります。 完全な集中型展開では、すべてのブランチ サイトのトラフィックが WAN リンク経由でルーティングされます。 WAN リンクに必要な帯域幅に費用をかけるより、分散型 SIP トランキングを使用したい場合があります。

note注:
分散型 SIP トランキングを使用する理由と方法の詳細については、「計画」のドキュメントの「ブランチ サイトの SIP トランキング」を参照してください。

サポートされている SIP トランキング接続の種類

Lync Server 2010 では、SIP トランキング用に次の接続の種類をサポートします。

  • Multiprotocol Label Switching (MPLS) は、ネットワーク ノード間でデータを伝送するプライベート ネットワークです。 MPLS ネットワークの帯域幅は他のサブスクライバーと共有され、サブスクライバーのデータどうしを区別するためにデータ パケットごとにラベルが付けられます。この接続の種類に VPN は必要ありません。 潜在的な欠点は、VoIP トラフィックに優先度を与えないと、過剰な IP トラフィックが VoIP の処理に干渉する可能性があることです。

  • 他のトラフィックを使用しないプライベート接続は、通常、最も信頼できるセキュアな接続の種類です (専用の光ファイバー接続、T1 回線など)。 この接続の種類には、最高の通話伝送能力がありますが、通常最も費用がかかります。 VPN は必要ありません。 プライベート接続は、通話件数が多いか、セキュリティと可用性の要件が厳しい組織に適しています。

  • 公共のインターネットは、最も費用のかからない接続の種類ですが、最も信頼性が低く、通話伝送能力も最低です。インターネット テレフォニー サービス プロバイダー (ITSP) は、TLS および Secure Real-Time Transport Protocol (SRTP) による信号トラフィックとメディア トラフィックの暗号化をサポートしている場合は、この SIP トランク接続種類をセキュリティで保護できます。TLS および SRTP を使用するようにインターネット経由の SIP トランク接続を構成できない場合は、VPN トンネルを使用していっそう安全な接続を提供することを強くお勧めします。ITSP が TLS と SRTP のサポートを提供しているかどうかを確認するには、ITSP に問い合わせてください。

接続の種類の選択

企業に最適な SIP トランキング接続の種類は、ニーズと予算によって異なります。

  • 中規模または比較的大規模な企業では、通常、MPLS ネットワークが最も費用対効果が高くなります。 専用のプライベート ネットワークに比べて、必要な帯域幅が安価に提供されます。

  • 大規模な企業には、プライベートな光ファイバー接続または T1 接続が必要なことがあります。

  • 通話件数の少ない小規模な企業やブランチ サイトでは、インターネットを介した SIP トランキングが最良の選択ですが、この種類の接続は中規模サイズまたは比較的大規模なサイトには推奨されません。

コーデックのサポート

サービス プロバイダー プロキシでは、次のコーデックをサポートする必要があります。

  • G.711 A-Law (主に北米以外で使用)

  • G.711 µ-Law (北米で使用)