対話型音声応答の使用による通話の流れの設計

 

トピックの最終更新日: 2010-11-06

対話型音声応答 (IVR) を使用して、発信者から情報を取得し、発信者を適切なキューに移動します。 通話の移動に使用する、質問と回答のペアを指定できます。 発信者の応答に応じて、発信者は、追加の質問を受けるか、適切なキューにルーティングされます。 IVR の質問と発信者の応答は、応答エージェントが通話を承諾すると、その応答エージェントに提供されます。 このシステムにより、応答エージェントは有益な情報を得られます。

IVR 機能の概要

応答グループ アプリケーションでは、26 種類の言語による音声認識機能および音声合成機能が提供されます。 IVR の質問は、音声合成や wave (.wav) または Windows Media オーディオ (.wma) ファイルを使用して入力できます。 発信者は、音声またはデュアルトーン多重周波数 (DTMF) を使用して応答できます。

対話ワークフローでは最高 2 問の質問がサポートされ、各質問には回答の選択肢を 4 つまで設定できます。 IVR は、発信者に最大 4 つの応答の選択肢を持つ質問をして、発信者の応答に応じて、発信者をキューにルーティングするか、2 番目の質問をします。 2 番目の質問にも、4 つの回答を設定できます。 2 番目のレベルの質問に対する回答に応じて、発信者は適切なキューにルーティングされます。

note注:
Lync Server 管理シェルを使用して通話の流れを設計する場合は、任意の質問数の IVR 質問と、任意の数の回答を定義できます。 ただし、発信者の利便性を考え、3 問より多くの質問は使用せず、それぞれの回答の選択肢を 5 つ以下にするようお勧めします。 また、質問数が 2 問より多く、それぞれの回答の選択肢が 4 つより多い質問を設定した通話の流れを設計する場合は、Microsoft Lync Server 2010 コントロール パネルを使用してその通話の流れを編集することはできません。

IVR の質問と発信者の応答は、応答エージェントが通話を承諾すると、その応答エージェントに提供されます。

音声テクノロジの操作

音声認識や音声合成などの音声テクノロジにより、顧客のエクスペリエンスが強化され、情報へのより自然で効率的なアクセスが可能となります。 ただし、指定したテキストやユーザーの音声応答が、音声エンジンによって正しく認識されない場合もあります。 たとえば、"#" 記号は、音声合成エンジンによって "番号" という語に変換されます。 この問題は、次の方法によって軽減されます。

  • 音声エンジンにより、発信者は 5 回まで質問に回答することができます。 発信者の質問に対する回答が不適切な場合 (回答が指定された応答のいずれでもない)、またはまったく回答がない場合には、発信者にもう一度その質問に回答する機会が与えられます。 発信者は、通話が切断されるまでに 5 回質問に回答することができます。 IVR は、発信者の回答に誤りがあるたびにカスタマイズしたメッセージを再生するように構成できます。 質問は毎回繰り返されます。

  • 音声エンジンによって周囲の雑音が応答として解釈される可能性を最小限に抑えるため、長めの応答を使用してください。 たとえば、応答には複数の音節を含め、発音が相互に明確に異なるようにしてください。

  • 質問に音声応答と DTMF 応答の両方が含まれる場合は、DTMF 応答ではなく概念を表す語句で音声応答を構成してください。 たとえば、「1 を押すか 1 とお答えください」を使用する代わりに、「1 を押すか請求とお答えください」を使用します。

  • IVR を設計したら、ワークフローを呼び出して質問を聞き、音声で各質問に応答して、IVR が正常に再生および動作することを確認します。 その後、IVR を変更して、解釈の問題を修正できます。 # キーを示す必要がある場合は、前の例に従って、# 記号ではなく、キー名を使用して IVR の質問を書き直すことができます。 たとえば、「営業部門をご希望の場合は、シャープを押してください」とします。

IVR 設計の例

以下のセクションでは、さまざまな IVR シナリオおよび質問と回答のペアの例を示します。

1 問の質問が設定された IVR

次の例は、1 問の質問を使用する IVR を示しています。 この例では、音声認識を使用して発信者の応答を検出します。

質問:「人事部にお問い合わせいただき、ありがとうございます。 給与課をご希望の場合は、給与課とお答えください。 それ以外の場合は、人事部とお答えください。」

  • **1 つ目のオプションが選択された場合:**発信者は給与課にルーティングされます。

  • **2 つ目のオプションが選択された場合:**発信者は人事部にルーティングされます。

次の図は、通話の流れを示します。

1 問対話の通話の流れ

対話型音声応答の使用による通話の流れの設計

2 問の質問が設定された IVR

次の例は、2 問の質問を使用する IVR を示しています。 この例で発信者は、音声または DTMF キーパッド入力を使用して応答できます。

質問:「IT ヘルプ デスクにお問い合わせいただき、ありがとうございます。 ネットワーク アクセスに問題がある場合は、1 を押すか、1 とお答えください。ソフトウェアに問題がある場合は、2 を押すか、2 とお答えください。ハードウェアに問題がある場合は、3 を押すか、3 とお答えください。」

  • **1 つ目のオプションが選択された場合:**発信者はネットワーク サポート チームにルーティングされます。

  • **2 つ目のオプションが選択された場合:**発信者には、追加の質問が行われます。

    質問:「オペレーティング システムに問題がある場合は、1 を押すか、1 とお答えください。内部アプリケーションに問題がある場合は、2 を押すか、2 とお答えください。それ以外の場合は、3 を押すか、3 とお答えください。」

    • **1 つ目のオプションが選択された場合:**発信者はオペレーティング システムのサポート チームにルーティングされます。

    • **2 つ目のオプションが選択された場合:**発信者は内部アプリケーションのサポート チームにルーティングされます。

    • **3 つ目のオプションが選択された場合:**発信者はソフトウェア サポート チームにルーティングされます。

  • **3 つ目のオプションが選択された場合:**発信者には、追加の質問が行われます。

    質問:「プリンタに問題がある場合は 1 を、それ以外の場合は 2 を押してください。」

    • **1 つ目のオプションが選択された場合:**発信者はプリンタのサポート チームにルーティングされます。

    • **2 つ目のオプションが選択された場合:**発信者はハードウェア サポート チームにルーティングされます。

次の図は、通話の流れを示します。

2 問対話の通話の流れ

対話型音声応答の使用による通話の流れの設計

ベスト プラクティス

以下に、IVR を設計する場合のベスト プラクティスをいくつか示します。

  • 発信者がすばやくタスクに取りかかることができるようにする。 過剰な情報や長いマーケティング メッセージを IVR に含めないようにする。

  • 長いメッセージを含める場合は、開始メッセージの代わりに、最初の質問に追加することを考慮する。 発信者は、そのメッセージが最初の質問の一部であれば、質問に回答することによって省略できるが、開始メッセージを省略することはできない。

  • 発信者の言語で話す。 堅苦しい言い回しを避ける。 自然に話す。

  • 効率的かつ効果的な案内を記述する。 不要なオプションを削除する。 情報を構造化し、発信者が予期している応答が文の最後になるようにする。 たとえば、「営業部をご希望の場合は、1 を押してください」とする。

  • 音声応答をわかりやすいものにする。 たとえば、DTMF 応答と音声応答の両方を指定する場合は、次のようにする。 「営業部をご希望の場合は、1 を押すか、営業と答えてください。」

  • 組織全体で展開する前に、ユーザーのグループで IVR をテストする。

関連項目

タスク

対話ワークフローの作成