SQL Server 2005 Integration Services の旧バージョンとの互換性

更新 : 2007 年 9 月 15 日

SQL Server 2005 Integration Services (SSIS) は、SQL Server 2000 ツールとオブジェクト モデルを使用して作成されたデータ変換サービス (DTS) パッケージの管理をサポートし、ランタイム サポート、およびデザイン時サポートを提供します。

ms143706.note(ja-jp,SQL.90).gifメモ :
以前のバージョンの SQL Server で作成されたデータ変換サービス (DTS) パッケージの 64 ビット デザイン時サポートまたはランタイム サポートはありません。

DTS と SSIS の全般的互換性

  • DTS パッケージの管理
  • DTS パッケージのランタイム サポート
    • DTS パッケージのランタイム サポートのインストール
    • コマンド プロンプトからの DTS パッケージの実行
    • SQL Server エージェント ジョブからの DTS パッケージの実行
    • Integration Services パッケージからの DTS パッケージの実行
  • DTS パッケージのデザイン時サポート
  • 移行
    • dtsrun コマンドの dtexec コマンドへの移行
    • DTS パッケージの Integration Services パッケージへの移行
  • 限定的なサポート
    • SQL Server 2005 Express Edition における Integration Services のサポート
    • リポジトリ パッケージのサポート
    • ODBC 変換先のサポート

DTS と SSIS の全般的互換性

Integration Services はバージョンのアップグレードではなく、まったく新しい製品であるため、DTS と SSIS の間でソフトウェアの競合は発生しません。

  • DTS と SSIS は同じサーバー上にインストールできます。
  • DTS パッケージと SSIS パッケージがインストールされている場合は、同じサーバー上で両方の製品を実行できます。SQL Server 2000 ツールが存在しない場合でも、Integration Services と一緒にインストールされている DTS ランタイムの更新バージョンを使用することで、DTS パッケージを実行できます。
  • DTS パッケージは、SQL Server 2000 または SQL Server 2005 インスタンスの MSDB データベースに保存できます。SSIS パッケージは、SQL Server 2005 インスタンス上でのみ保存できます。
  • SQL Server 2000 ツールが存在しない場合でも、ダウンロードして利用できる DTS デザイナの更新バージョンを使用することで、DTS パッケージを編集できます。Business Intelligence Development Studio では DTS パッケージを編集できません。BI Development Studio では SSIS パッケージのみを編集できます。

DTS パッケージの管理

DTS パッケージは、SQL Server Management Studio 内から管理できます。このとき、SQL Server 2000 のインスタンスに保存されているかまたは SQL Server 2005 のインスタンスにインポートされているかは関係ありません。Management Studio で DTS パッケージを表示するには、SQL Server のインスタンスに接続し、[管理]、[レガシ]、[データ変換サービス] の順に展開してオブジェクト ブラウザを表示します。

Management Studio で DTS パッケージを個別に選択した後、パッケージを開いて編集したり、移行したりできます。また、構造化ストレージ ファイルにエクスポートしたり、削除したりできます。

Management Studio で [データ変換サービス] ノードを選択すると、パッケージを開いたり、構造化ストレージ ファイルから SQL Server にインポートしたりできます。また、パッケージ移行ウィザードを起動することもできます。

ms143706.note(ja-jp,SQL.90).gifメモ :
DTS パッケージを編集するには、DTS デザイナ コンポーネントを別途ダウンロードする必要があります。「SQL Server 2000 DTS パッケージのデザイン時サポートのインストール」を参照してください。BI Development Studio で、直接 DTS パッケージを開いたり編集したりすることはできません。

SQL Server 2000 DTS パッケージのランタイム サポートのインストール

DTS パッケージと SSIS パッケージは、同じコンピュータ上で実行できます。

インストール時に [Integration Services] を選択すると、DTS パッケージのサポート (SQL Server Management Studio での DTS ランタイムと DTS パッケージの列挙など) がセットアップによってインストールされます。ランタイムのサポートが機能強化され、DTS パッケージで SQL Server 2005 データ ソースにアクセスできるようになりました。

詳細については、「データ変換サービス パッケージを確実にサポートする方法」を参照してください。

ms143706.note(ja-jp,SQL.90).gifメモ :
SQL Server 2000 データ変換サービスのサポートは、インストールで Integration Services を選択したときに自動的にインストールされますが、セットアップ中、またはセットアップ後に、コンピュータ上の SQL Server 2000 の最後のインスタンスを SQL Server 2005 にアップグレードすると、DTS に必要なレジストリと環境設定の一部は失われます。これらの設定を復元するには、[コントロール パネル] の [プログラムの追加と削除] で "Microsoft SQL Server 2005 の旧バージョンとの互換性" の [変更] をクリックし、[プログラムのメンテナンス] ページで [修復] オプションを選択します。

インストールされる、旧バージョンとの互換性に関連するファイルには、SQL Server 2000 Analysis Services 処理タスクとそれに依存する Decision Support オブジェクト (DSO) のランタイム サポートも含まれています。ただし、SQL Server 2000 Analysis Services 処理タスクを含む DTS パッケージを編集するためのデザイン時サポートは含まれません。SQL Server 2000 Analysis Services が同じコンピュータにインストールされている場合に限り、このタスクを含むパッケージを編集できます。

旧バージョンとの互換性ファイルには、SQL Server 2000 データ マイニング予測クエリ タスクは含まれていません。

コマンド プロンプトからの DTS パッケージの実行

SQL Server 2000 DTS パッケージはコマンド プロンプトから実行できます。SQL Server 2005 Integration Services (SSIS) は、DTS ランタイム サポートをインストールするときに SQL Server 2000 dtsrun.exe ユーティリティをインストールします。

SQL Server エージェント ジョブからの DTS パッケージの実行

SQL Server 2000 DTS パッケージを SQL Server エージェント ジョブから実行する場合、SQL Server Integration Services パッケージ型のジョブ ステップは使用できません。その代わりに、オペレーティング システム (CmdExec) 型のジョブ ステップを使用し、コマンドとして dtsrun.exe ユーティリティを実行します。

Integration Services パッケージからの DTS パッケージの実行

SQL Server 2000 ツールを使用して作成したパッケージは、SQL Server 2005 データ変換ソリューションの一部としても実行できます。Integration Services には、SQL Server 2005 Integration Services パッケージから DTS パッケージを実行するための DTS 2000 パッケージ実行タスクが用意されています。

詳細については、「DTS 2000 パッケージ実行タスク」を参照してください。

SQL Server 2000 DTS パッケージのデザイン時サポートのインストール

Business Intelligence Development Studio で、直接 DTS パッケージを開いたり編集したりすることはできません。さらに、SQL Server 2005 では、DTS パッケージ編集用の DTS パッケージ デザイナがインストールされません。ただし、最新バージョンの DTS パッケージ デザイナをダウンロードしてインストールし、その最新バージョンを使用すると DTS パッケージを変更できます。最新の DTS パッケージ デザイナをダウンロードするには、Microsoft の Web ページ「Microsoft SQL Server 2005 用 Feature Pack」にアクセスして、Microsoft SQL Server 2000 DTS デザイナ コンポーネントをダウンロードします。ダウンロードしたコンポーネントをインストールすると、Management Studio から、または、Business Intelligence Development Studio の DTS 2000 パッケージ実行タスク エディタから DTS パッケージを表示したり変更したりできるようになります****。

DTS デザイン環境に影響する DTS アプリケーションの特定のプロパティを管理する方法については、「DTS アプリケーション プロパティの設定」を参照してください。

パッケージを実行するコマンド ラインの移行

SQL Server 2000 dtsrun ユーティリティで使用されるコマンド プロンプト オプションと、SQL Server 2005 dtexec ユーティリティで使用されるコマンド プロンプト オプションのマップ方法については、「dtsrun から dtexec へのコマンド オプションのマッピング」を参照してください。

DTS パッケージの移行

SQL Server 2005 には、SQL Server 2000 DTS パッケージを Integration Services パッケージ形式に移行するためのパッケージ移行ウィザードが用意されています。多くのパッケージを SQL Server 2005 に完全に移行できます。特にタスク、接続、および他のオブジェクトを使用する DTS パッケージは SQL Server 2005 でも同等のものになります。他のパッケージは、DTS 2000 パッケージ実行タスクから移行できないタスクや機能をカプセル化することによって、正常に移行できます。パッケージ移行ウィザードを実行する前に、アップグレード アドバイザをインストールおよび実行して、既存のパッケージの移行に関連する問題を分析できます。

アップグレード アドバイザの詳細については、「アップグレード アドバイザを使用したアップグレードの準備」を参照してください。

ms143706.note(ja-jp,SQL.90).gifメモ :
パッケージ移行ウィザードは、SQL Server 2005 の Standard Edition、Enterprise Edition、および Developer Edition で使用できます。
ms143706.note(ja-jp,SQL.90).gifメモ :
SQL Server 7.0 インスタンスの msdb データベースに保存されている DTS パッケージは、アップグレード アドバイザで分析したり、パッケージ移行ウィザードで移行することはできません。ただし、SQL Server 7.0 DTS パッケージが構造化ストレージ ファイルとして保存されているか、SQL Server 2005 にアップグレードされた SQL Server 7.0 インスタンスの msdb データベースに保存されている場合は、アップグレード アドバイザで分析したりパッケージ移行ウィザードで移行できます。

Integration Services パッケージを SQL Server 2000 DTS パッケージ形式に保存またはエクスポートすることはできません。

詳細については、「データ変換サービス パッケージの移行」を参照してください。

SQL Server 2005 Express Edition における SQL Server 2000 DTS パッケージのサポート

SQL Server 2005 Express Edition には、Integration Services も、SQL Server 2000 DTS パッケージのサポートも含まれていません。

  • SQL Server 2005 Express Edition サーバーで既存の DTS パッケージを実行するには、SQL Server 2000 クライアント ツールまたは DTS 再配布可能ファイルをサーバーに残しておくか、再インストールする必要があります。SQL Server 2005 Express Edition には、DTS ランタイムは含まれていません。
  • SQL Server 2005 Express Edition サーバーで既存 DTS パッケージを編集するには、SQL Server 2000 を使用するか、SQL Server 2005 Workgroup、Standard、Enterprise、または Developer のエディションを実行しているサーバーからリモートでパッケージを編集する必要があります。SQL Server 2005 Express Edition には SQL Server Management Studio も BI Development Studio も含まれていません。
  • 既存の DTS パッケージを SQL Server 2005 Integration Services に移行するには、SQL Server 2005 Standard Edition、Enterprise Edition、または Developer Edition を使用する必要があります。SQL Server 2005 の他のエディションには、Integration Services パッケージ移行ウィザードが含まれていません。

SQL Server 2005 Express Edition に含まれているインポートおよびエクスポート ユーティリティは、SQL Server インポートおよびエクスポート ウィザードとは異なっており、Integration Services を使用しません。

Meta Data Services (リポジトリ) パッケージのサポート

SQL Server 2000 Meta Data Services (リポジトリ) は推奨されないコンポーネントです。SQL Server 2005 では、リポジトリがインストールされず、使用されません。

SQL Server 2000 データ変換サービス (DTS) デザイナおよび dtsrun.exe ユーティリティでは、Meta Data Services に保存された DTS パッケージが引き続きサポートされます。

SQL Server 2005 Integration Services では、SQL Server 2000、SQL Server 2000 ツール、またはリポジトリの再配布可能ファイルがローカル コンピュータにインストールされている場合だけ、アップグレード アドバイザおよびパッケージ移行ウィザードでのみリポジトリがサポートされます。リポジトリ ファイルが存在する場合は、Meta Data Services に保存された DTS パッケージをアップグレード アドバイザによってスキャンし、パッケージ移行ウィザードによって移行できます。リポジトリ ファイルが存在しない場合は、SQL Server または構造化ストレージ ファイルに保存された DTS パッケージのみをアップグレード アドバイザによってスキャンし、パッケージ移行ウィザードによって移行できます。

Integration Services DTS 2000 パッケージ実行タスクでは、リポジトリに保存された DTS パッケージを実行できません。一方、SQL Server 2000 DTS ランタイムではリポジトリ パッケージを実行できます。Integration Services におけるこの制限への対応策としては、リポジトリ ファイルが存在する場合は、新しい SQL Server 2000 DTS パッケージをラッパーとして作成し SQL サーバーに保存するか、またはこのパッケージを構造化ストレージ ファイルとして作成します。リポジトリ パッケージを実行するには、新しい DTS パッケージでパッケージ実行タスクを使用します。新しいラッパー パッケージを実行するには、Integration Services パッケージで DTS 2000 パッケージ実行タスクを使用します。

ODBC 変換先のサポート

SQL Server 2005 Integration Services には ODBC データ ソースからデータを読み込むための ODBC 変換元コンポーネントがありますが、データを ODBC 変換先に保存するための ODBC 変換先コンポーネントがありません。スクリプト コンポーネントを使用することで、単独のパッケージ内で使用するアドホック ODBC 変換先を作成することができます。詳細については、「スクリプト コンポーネントによる ODBC 変換先の作成」を参照してください。

参照

概念

パッケージの移行に関する既知の問題

その他の技術情報

dtsrun から dtexec へのコマンド オプションのマッピング
64 ビット コンピュータ上での Integration Services の使用上の注意

ヘルプおよび情報

SQL Server 2005 の参考資料の入手

変更履歴

リリース 履歴

2007 年 9 月 15 日

変更内容 :
  • SQL Server エージェントから DTS パッケージを実行する方法を説明するセクションを追加。
  • DTS パッケージ デザイナの更新バージョンのダウンロードに関する詳細な手順を追加。

2006 年 7 月 17 日

変更内容 :
  • ODBC 変換先に関するセクションを追加。
  • DTS パッケージと SSIS パッケージの互換性に関するセクションを追加。
  • パッケージを DTS 2000 形式にエクスポートする場合の制限、および 2000 パッケージのデザイン時サポートに関する制限を追加。

2006 年 4 月 14 日

変更内容 :
  • SQL Server 2005 ツールを使用して DTS パッケージに対して実行できるすべての操作の一覧を追加。
  • DTS パッケージの管理に関するセクションを追加。
  • コマンド プロンプトからの DTS パッケージの実行に関するセクションを追加。
  • 移行に関するセクションにアップグレード アドバイザに関する注記を追加。
  • DTS デザイナ コンポーネントのダウンロード用のリンクを追加。

2005 年 12 月 5 日

変更内容 :
  • DTS デザイナのダウンロードに関する情報、および DTS デザイナのオプションの構成に関する情報を追加。
  • dtsrun.exe コマンド ラインに関する注記とリンクを追加。
  • SQL Server 7.0 からの移行のサポートに関する注記を追加。