SQL Server 2005 Analysis Services の既知のアップグレード問題

次の表に、SQL Server 2000 Analysis Services データベースを SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) にアップグレードする際に発生する可能性がある問題を示します。この表には、アップグレードの問題と、それぞれの問題について SQL Server 2005 アップグレード アドバイザが生成するレポートに出力される簡単な説明をまとめています。

問題の種類 問題の説明

リンク オブジェクトに依存するオブジェクトは移行されない

リンク キューブとリンク ディメンションは、アップグレード アドバイザによって Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services に移行されません。したがって、オブジェクトのベースであるリンク オブジェクトが移行できないため、リンク キューブまたはリンク ディメンションを参照するオブジェクトは移行できません。

複数の階層を同一ディメンションに移行した場合、autoexist によって異なるクエリ結果が生成される可能性がある

同一の Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services ディメンションに複数の階層または仮想ディメンションを移行すると、ディメンション内に含まれる移行済みの階層のクエリを実行した場合に、SQL Server 2000 Analysis Services で同じ階層のクエリを実行した場合とは異なる結果が生成される可能性があります。

無効なレベルを使用している場合は表示の見やすさが異なる

Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services では、階層内の非表示レベルまたは無効なレベルがサポートされなくなりました。非表示レベルまたは無効なレベルは、表示可能なレベルおよび有効なレベルとして移行されます。そのようなレベルを含む階層が関与する計算は、予期しない結果を返す場合があります。

バケットはグループ化レベルによって異なる

Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services の自動グループ化は、異なるメンバ グループの結果セットを返す場合があります。このようなメンバ グループを使用する計算は、予期しない結果を返す場合があります。

ニュートラル言語から特定言語への変換によって、予期しない結果が生じる場合がある

以前のバージョンの Analysis Services で使用されていたニュートラル言語の識別子は、Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services では特定言語の識別子に移行されます。ニュートラル言語の識別子を特定言語の識別子に移行すると、予期している翻訳および照合順序の動作が変わり、予期しない結果が生じる場合があります。

キューブ ロール コマンドはサポートされない

Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services ではキューブ ロールに対するコマンド オブジェクトがサポートされていないので、以前のバージョンからコマンドが移行されません。

カスタム レベル式の集計結果が異なる

カスタム レベル式を使用するディメンションがキューブに含まれ、その前後両方にもカスタム メンバ式や単項演算子を使用するディメンションが含まれている場合、以前のバージョンの Analysis Services とは異なる結果がキューブから返される場合があります。これは、計算の優先順位規則が変更されたことによって生じます。

カスタム メンバ式およびカスタム ロールアップ式は MDX スクリプトに移行される

カスタム ロールアップ式、カスタム メンバ式、All メンバ式、およびカスタム レベル式は、Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services のディメンションまたはレベルのプロパティとしてはサポートされなくなりました。

カスタム集計は移行されない

以前のバージョンの Analysis Services を使用して手動で作成した集計は、Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services に移行されません。ストレージ デザイン ウィザードで作成した集計だけが移行されます。

データ メンバは常に親子ディメンションに含まれる

以前のバージョンの Analysis Services では、親子ディメンションにデータ メンバを含めないように指定できました。親子ディメンションからデータ メンバを除外できなくなりました。

データベース ロール コマンドはサポートされない

Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services ではデータベース ロールに対するコマンド オブジェクトがサポートされていないので、以前のバージョンの Analysis Services からコマンドが移行されません。

DefaultMember が MDX スクリプトへ移行される

以前のバージョンの Analysis Services では、ディメンションの既定メンバは多次元式 (MDX) によって指定され、ディメンションの DefaultMember プロパティに含まれていました。Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services では、このプロパティは MDX スクリプトでサポートされる機能に置き換えられ、プロパティは移行中に MDX スクリプトにアップグレードされます。

移行によってディメンションおよび階層の名前が変わることで、クエリの結果が変化する場合がある

以前のバージョンの Analysis Services では、ディメンション階層が内部的には個別のディメンションとして表現され、名前付け規則でディメンションを識別していました。Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services に移行すると、各ディメンション階層に対して新しい名前のディメンションが個別に作成され、親ディメンションの下でディメンション階層が結合されることはありません。これは、autoexist によって、以前のバージョンの Analysis Services とは異なるセキュリティ ルールが作成されるためです。

ドリルスルーの設定は移行されない

Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services にもドリルスルーは存在しますが、以前のバージョンの Analysis Services からはドリルスルーの設定が移行されません。

移行後、非表示レベルが表示可能になる

Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services では、階層内の非表示レベルまたは無効なレベルがサポートされなくなりました。非表示レベルまたは無効なレベルは、表示可能なレベルおよび有効なレベルとして移行されます。そのようなレベルを含む階層が関与する計算は、予期しない結果を返す場合があります。

無効なオブジェクトがあると移行が失敗する

データベースに無効なオブジェクトが含まれています。データベースに無効なオブジェクトが含まれていると、移行を完了できません。

リンク キューブは移行されない

以前のバージョンの Analysis Services ではリンク キューブがサポートされていました。Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services では、この機能は、リンク ディメンションおよびリンク メジャー グループに置き換えられています。

移行時にメンバの一意な名前が変更される可能性がある

Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services では、移行時にメンバの一意の名前を保持しますが、メンバの一意な名前が変更される状況が発生する場合があります。メンバの一意な名前が変更された場合、メンバの一意な名前に依存するクライアント アプリケーション、多次元式 (MDX)、およびその他のプロパティに予期しない結果が発生する可能性があります。

ODBC データ ソースはサポートされない

以前のバージョンの Analysis Services では ODBC データ ソースの使用を許可していましたが、Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services はこの機能をサポートしていません。

リモート パーティションは移行されない

リモート パーティションは Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services でもサポートされます。ただし、リモート サーバーを SQL Server 2005 にアップグレードしない限り、自動的に移行されません。

マイニング モデル アルゴリズムの一部のパラメータがサポートされない

Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services では、以前のバージョンの Analysis Services で使用できたマイニング モデル アルゴリズムのパラメータの一部がサポートされません。

MDX 関数の動作が変更された

Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services では多次元式 (MDX) 言語の拡張と変更が行われたので、特定の MDX 関数がサポートされなくなったり、以前のバージョンの Analysis Services とは動作が変わったりしています。

ディメンション セキュリティの最上位はサポートされない

以前のバージョンの Analysis Services では、階層の最上位でない場所を最上位としてユーザーに見せるディメンション セキュリティを指定できました。最上位の設定を使用してセキュリティで保護されているメンバは、移行後に表示可能になります。

UDF の移行元 .dll は移行と登録が行われない

以前のバージョンの Analysis Services で登録したユーザー定義関数 (UDF) は移行されません。

親子階層以外の階層にある単項演算子のサポートは限定される

階層内のレベルを示す属性間の属性リレーションシップがある場合を除き、親子階層以外の階層にある単項演算子は Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services ではサポートされません。

仮想キューブはサポートされない

以前のバージョンの Analysis Services では、仮想キューブがサポートされていました。仮想キューブは、1 つ以上の通常のキューブまたはリンク キューブに属するメジャーとディメンションのサブセットを組み合わせたビューです。Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services では、この機能の代わりにリンク メジャー グループが使用されています。アップグレード時に、仮想キューブはリンク メジャー グループに移行されます。

書き戻しテーブルの内容が移行されない

以前のバージョンの Analysis Services で作成した書き戻しテーブルの構造は、Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services で更新されています。以前のバージョンの Analysis Services で作成した書き戻しテーブルのデータは、新しい書き戻しテーブルの構造に移行できません。

参照

その他の技術情報

SQL Server 2005 Analysis Services の旧バージョンとの互換性

ヘルプおよび情報

SQL Server 2005 の参考資料の入手