PowerPivot の概念
セルフサービス型のビジネス インテリジェンスを理解するために必要な用語と概念について説明します。
PowerPivot ブックと PowerPivot データ
PowerPivot ブックは、PowerPivot データを格納する Excel 2010 ブック (.xlsx) ファイルです。PowerPivot データは、Excel 2010 で Microsoft SQL Server PowerPivot for Excel (大規模な多次元データをサポートするための Excel を拡張するアドイン) を使用して作成する埋め込み Analysis Services データ ソースです。PowerPivot データは、標準的なブックの行と列のしきい値 (100 万) を超える大量のデータを保持できるため、ビジネス インテリジェンス データの分析に適しています。追加容量が可能になるのは、Excel から開く別のウィンドウでデータを処理するからです。PowerPivot ブックでは、Web サービス、テキスト ファイル、リレーショナル データベース、多次元データベース、Reporting Services レポート、その他のワークシートなど、さまざまなソースからデータを集計できます。
PowerPivot データには、Excel および Excel Services とは別の独立したプレゼンテーション層はありません。データのビジュアル化と対話は、追加設定なしで Excel 2010 で行われます。ピボットテーブル、ピボットグラフ、スライサー、および使い慣れたデータ グリッドを使用して PowerPivot データを表示および分析できます。ブックを SharePoint ライブラリにパブリッシュすると、埋め込まれた PowerPivot データがそのまま、SharePoint サイトからパブリッシュおよび表示するドキュメントの不可欠な構成要素になります。
PowerPivot for Excel
PowerPivot for Excel は、PowerPivot データをインポートおよび処理するためのウィンドウを提供する、Excel 2010 向けの SQL Server 2008 R2 のアドインです。大規模なデータをメモリに格納して処理するためのローカル プロセッサ、および PowerPivot データにアクセスするための更新されたクライアント ライブラリとデータ プロバイダーも含まれています。PowerPivot for SharePoint
PowerPivot for SharePoint は、Microsoft SharePoint Server 2010 との Analysis Services の統合です。PowerPivot for SharePoint は、SharePoint 2010 ファームに PowerPivot データの処理機能を追加する、SQL Server 2008 R2 の機能です。これは、Excel Services を使用して、SharePoint サイトにパブリッシュされたブックに計算や表示の機能を追加する場合と類似しています。PowerPivot for SharePoint は、PowerPivot ブックを SharePoint で表示したり共有したりする場合に必要になります。
PowerPivot for SharePoint には、サービス、インフラストラクチャ、ダッシュボード、Web パーツ、コンテンツ タイプ、およびライブラリのテンプレートが含まれています。PowerPivot for SharePoint を使用するには、SQL Server セットアップをアプリケーション サーバーまたは Web フロンド エンドで実行し、サーバーの全体管理を使用してファーム全体の機能を管理します。
SharePoint 統合モードの Analysis Services サービス
SQL Server 2008 R2 で、Analysis Services 用 SharePoint 統合モードの最初のリリースが導入されました。このリリースの SharePoint 統合モードは、Analysis Services インスタンスを経由して、PowerPivot for SharePoint でのみ使用できます。Analysis Services インスタンスは、PowerPivot System サービスと共に SharePoint サーバーにインストールされます。SharePoint 統合モードでは、メモリ内データの格納と処理を実行する強力な機能を備えた VertiPaq エンジンを利用して、膨大な量のデータを高速で処理することができます。列記憶およびデータ圧縮によって高パフォーマンスが実現します。
SharePoint 統合モードでは MOLAP、ROLAP、および HOLAP、またはすべての MDX 機能をサポートしていません。詳細については、「PowerPivot の機能」のサポートされていない機能に関するセクションを参照してください。
PowerPivot System サービス
PowerPivot System サービスは、ファーム内の Analysis Services 用の SharePoint インフラストラクチャです。サーバー操作には、ファーム内の PowerPivot データに対する要求の受信、SharePoint サーバーの PowerPivot データの読み込みとアンロードを行う Analysis Services インスタンスへの接続の確立、使用状況データの収集、ファーム全体の Analysis Services サーバー インスタンスのサーバーの状態と可用性の監視などがあります。PowerPivot System サービスは、PowerPivot for SharePoint を通じて、Analysis Services インスタンスと共にインストールされます。このサービス用に定義した 1 つまたは複数のサービス アプリケーションで使用できます。
PowerPivot サービス アプリケーション
PowerPivot サービス アプリケーションは、PowerPivot System サービスの個別に構成できるインスタンスを定義したものです。サービス アプリケーションの目的は、同じ物理サービスの構成を個別に構成できるようにすることです。これにより、サービス アプリケーションのデータを切り離し、同じリソースを使用するそれぞれの SharePoint Web アプリケーションで異なる構成を使用できるようになります。
PowerPivot アプリケーション データベース
PowerPivot アプリケーション データベースは、構成設定、接続情報、サーバーの状態、およびデータ更新操作のスケジュール情報を格納する内部アプリケーション データベースです。PowerPivot サービス アプリケーションごとに、その内部データを格納するための専用のデータベースを使用します。PowerPivot Web サービスと PowerPivot マネージ拡張
PowerPivot Web サービスは、Web フロント エンドで実行される薄い中間層の接続マネージャーです。クライアント アプリケーションとファーム内の PowerPivot for SharePoint インスタンスの間の要求と応答の交換を調整および処理します。PowerPivot マネージ拡張は、Analysis Services OLE DB プロバイダーのクライアント ライブラリ内のアセンブリで、PowerPivot for Excel を通じてクライアント ワークステーションにインストールされます。PowerPivot for SharePoint をインストールした場合は、アプリケーション サーバーにインストールされます。マネージ接続に関しては、Web サービスもマネージ拡張も同じ機能を提供します。使用される具体的な実装はクエリ処理要求の表現によって異なります。
セルフサービス型のビジネス インテリジェンス
セルフサービス型のビジネス インテリジェンスとは、Excel の分析ツールと SharePoint のセルフサービス型のサイト作成機能およびドキュメント管理機能を使用して、ビジネス アナリストがビジネス インテリジェンス (BI) ソリューションを作成および共有できるようにすることを指します。