コマンドの準備

SQL Server Native Client OLE DB プロバイダでは、1 つのコマンドを最適化された状態で複数回実行できるように、コマンドを準備できます。ただし、コマンドを準備することでオーバーヘッドが生じるので、コンシューマではコマンドを 2 回程度実行する場合は準備する必要はありません。一般的には、コマンドを 4 回以上実行する場合に準備します。

パフォーマンス上の理由から、コマンドの準備は、コマンドが実行されるまで遅延されます。これは既定の動作です。準備中のコマンドのエラーは、コマンドまたはメタプロパティ操作が実行されるまで認識されません。SQL Server の SSPROP_DEFERPREPARE プロパティを FALSE に設定すると、この既定の動作を無効にできます。

SQL Server では、コマンドを (最初に準備しないで) 直接実行すると、実行プランが作成され、キャッシュされます。SQL Server には新しいステートメントをキャッシュ内の既存の実行プランと照合する効率的なアルゴリズムがあるので、SQL ステートメントを再実行すると、そのステートメントの実行プランが再利用されます。

準備されたコマンドに対して、SQL Server ではコマンド ステートメントの準備と実行に関するネイティブ サポートが提供されます。ステートメントを準備すると、SQL Server では実行プランが作成されてキャッシュされ、この実行プランのハンドルがプロバイダに返されます。その後、プロバイダはこのハンドルを使用して、ステートメントを繰り返し実行します。ストアド プロシージャは作成されません。直接実行する場合のように SQL ステートメントをキャッシュ内の実行プランと照合するのではなく、ハンドルで SQL ステートメントの実行プランを直接識別するので、そのステートメントを複数回実行することがわかっている場合は、ステートメントを準備する方が直接実行するよりも効率的です。

SQL Server 2005、SQL Server 2000、および SQL Server 7.0 では、準備されたステートメントを一時オブジェクトの作成に使用できません。また、準備されたステートメントから、一時テーブルなどの一時オブジェクトを作成するシステム ストアド プロシージャを参照できません。このようなプロシージャは、直接実行する必要があります。

コマンドによっては、準備してはいけないものがあります。たとえば、ストアド プロシージャの実行を指定するコマンドや、SQL Server ストアド プロシージャの作成に関して無効なテキストを含むコマンドは、準備しないようにしてください。

SQL Server Native Client OLE DB プロバイダでは、一時ストアド プロシージャが作成されると、その一時ストアド プロシージャを実行して、そのステートメント自体が実行されたかのように結果を返します。

一時ストアド プロシージャの作成は、SQL Server Native Client OLE DB プロバイダ固有の初期化プロパティである SSPROP_INIT_USEPROCFORPREP によって制御されます。プロパティ値が SSPROPVAL_USEPROCFORPREP_ON または SSPROPVAL_USEPROCFORPREP_ON_DROP の場合、コマンドが準備されると、SQL Server Native Client OLE DB プロバイダは、ストアド プロシージャの作成を試みます。ストアド プロシージャの作成は、アプリケーション ユーザーが適切な SQL Server 権限を所持している場合に成功します。

ほとんど切断しないコンシューマの場合、一時ストアド プロシージャの作成には、tempdb の大量のリソースが必要になることがあります。tempdb は、一時オブジェクトが作成される SQL Server システム データベースです。SSPROP_INIT_USEPROCFORPREP の値が SSPROPVAL_USEPROCFORPREP_ ON の場合、コマンドを作成したセッションで SQL Server のインスタンスへの接続が失われたときにだけ、SQL Server Native Client OLE DB プロバイダで作成された一時ストアド プロシージャが削除されます。その接続がデータ ソースの初期化時に作成された既定の接続の場合は、データ ソースの初期化が解除されたときのみ、一時ストアド プロシージャが削除されます。

SSPROP_INIT_USEPROCFORPREP の値が SSPROPVAL_USEPROCFORPREP_ON_DROP の場合、次のいずれかの時点で、SQL Server Native Client OLE DB プロバイダの一時ストアド プロシージャが削除されます。

  • コンシューマが ICommandText::SetCommandText を使用して新しいコマンドを指定したとき。

  • コンシューマが ICommandPrepare::Unprepare を使用して、コマンド テキストが必要なくなったことを指定したとき。

  • コンシューマが一時ストアド プロシージャを使用して、コマンド オブジェクトへのすべての参照を解放したとき。

コマンド オブジェクトは、最大で 1 つだけ一時ストアド プロシージャを tempdb に保持します。既存の一時ストアド プロシージャは、特定のコマンド オブジェクトに関する現在のコマンド テキストを表します。

関連項目

概念