言語および照合順序 (Analysis Services - 多次元データ)
MicrosoftSQL ServerAnalysis Services では、Microsoft Windows オペレーティング システムでサポートされているすべての言語がサポートされています。SQL ServerAnalysis Services での言語サポートの詳細については、「照合順序と Unicode のサポート」を参照してください。Analysis Services インスタンスで使用される既定の言語および照合順序を指定することに加えて、Analysis Services オブジェクトに対応する翻訳を定義することによって、キューブ、メジャー グループ、ディメンション、階層、属性など、個々の Analysis Services オブジェクトに対して多言語サポートを提供することもできます。特定の言語識別子の翻訳が Analysis Services オブジェクトに指定されていない場合や、Analysis Services インスタンスへの接続時にクライアント アプリケーションによって言語識別子が指定されない場合は、Analysis Services インスタンスの既定の言語および照合順序の設定により、データおよびメタデータに使用される設定が指定されます。
言語識別子
Analysis Services では、Windows の言語識別子を使用して、Analysis Services のインスタンスおよびオブジェクト用に選択された言語を指定します。Windows の言語識別子は、Windows の第一言語の識別子と第二言語の識別子の組み合わせに対応しています。たとえば、Microsoft SQL Server インストール ウィザードの [照合順序の設定] ページで、[言語] ボックスの一覧の [英語 (米国)] をクリックすると、対応する Windows の言語識別子である 0x0409 (または 1033) が Analysis Services インスタンスの構成設定ファイルの Language 要素で指定されます。使用できる Windows の言語識別子の詳細については、MSDN マニュアルの「Table of Language Identifiers」を参照してください。
照合順序
Analysis Services では、Windows の照合順序を使用して、Analysis Services のインスタンスおよびオブジェクト用に選択された照合順序を指定します。Windows の照合順序識別子は、コード ページと並べ替え順の情報の組み合わせに対応しています。たとえば、Microsoft SQL Server インストール ウィザードの [照合順序の設定] ページで、[Windows 照合順序] ボックスの一覧の [Latin1_General] をクリックし、[バイナリ] の並べ替え順オプションを選択すると、対応する Windows の照合順序識別子である Latin1_General_BIN が Analysis Services インスタンスの構成設定ファイルの Collation 要素で指定されます。
Windows 照合順序
Windows 照合順序では、関連する Windows ロケールに基づいて文字データを格納するための規則を定義します。基本の Windows 照合順序規則では、辞書順の並べ替えが適用される場合に使用される文字または言語と、非 Unicode 文字データの格納に使用されるコード ページを指定します。バイナリの照合順序では、ロケールおよびデータ型によって定義されるコーディングされた値の順序に基づいてデータを並べ替えます。Analysis Services のバイナリ照合順序では、使用する言語ロケールと ANSI コード ページを定義し、バイナリ並べ替え順が設定されます。これらは比較的単純なので、バイナリ照合順序はアプリケーションのパフォーマンスを向上させるために役立ちます。非 Unicode データ型の場合、データの比較は ANSI コード ページで定義されているコード ポイントに基づきます。Unicode データ型の場合、データの比較は Unicode コード ポイントに基づきます。Unicode データ型のバイナリ照合順序の場合、ロケールはデータの並べ替えで考慮されません。たとえば、Latin1_General_BIN と Japanese_BIN を Unicode データで使用すると、並べ替え結果は同じになります。SQL Server の Windows 照合順序の詳細については、「照合順序の使用」を参照してください。
Analysis Services に対して Windows 照合順序を指定すると、Analysis Services インスタンスは、その照合順序に関連付けられた Windows ロケールが指定されているコンピュータ上で実行されるアプリケーションと同じコード ページおよび並べ替え規則と比較規則を使用します。たとえば、Analysis Services のフランス語 Windows 照合順序は、Windows のフランス語ロケールの照合順序属性と一致します。
Analysis Services に定義されている Windows 照合順序よりも多くの Windows ロケールがあります。Windows ロケールの名前は、英語などの言語識別子と、米国やオーストラリアなどの第二言語識別子に基づいています。多くの言語の間では、アルファベットおよび文字の並べ替えと比較の規則が共通です。たとえば、ポルトガル語と英語のすべての Windows ロケールを含む、33 個の Windows ロケールは、Latin1 コード ページ (1252) を使用し、共通の規則に従って文字の並べ替えと比較を行います。SQL Server Windows 照合順序 Latin1_General は、このコード ページと関連する並べ替え規則に基づいており、これら 33 個の Windows ロケールのすべてをサポートしています。また、Windows ロケールは、通貨、日付、時刻の形式など、Analysis Services Windows 照合順序が対象としていない属性を指定します。オーストラリアと米国などの国と地域では、通貨、日付、時刻の形式が異なるため、国によって異なる Windows 照合順序が必要になります。ただし、オーストラリアと米国では、使用される文字とその並べ替え規則および比較規則が同じなので、異なる Analysis Services Windows 照合順序は必要とされません。
注意 |
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Analysis Services オブジェクトに対して複数の言語識別子を指定できますが、言語識別子にかかわらず、すべての Analysis Services オブジェクトに対して同じ Analysis Services Windows 照合順序が使用されます。ただし、1 つの例外があります。この機能に対する 1 つの例外は、データベース ディメンション内の属性の CaptionColumn プロパティです。このプロパティには、指定した属性のメンバを照合するための Analysis Services Windows 照合順序を指定できます。属性翻訳の定義の詳細については、「翻訳 (Analysis Services - 多次元データ)」を参照してください。すべてのユーザーが Analysis Services インスタンスに対して同じ言語を使用している場合は、インスタンスに対して指定された既定の言語をサポートする照合順序を選択します。複数の言語が使用されている場合は、さまざまな言語の必要条件に最も一致する照合順序を選択します。たとえば、インスタンスのユーザーが主に西ヨーロッパ言語を使用している場合は、Latin1_General の照合順序を選択します。 |
並べ替え順オプション
いくつかの並べ替え順オプションは、指定した Analysis Services Windows 照合順序に適用して、大文字と小文字、アクセント、かな、および文字幅の区別に基づいて並べ替えおよび比較の規則をさらに定義できます。次の表では、Windows 照合順序の並べ替え順オプションと Analysis Services の関連サフィックスについて説明します。
並べ替え順 (サフィックス) |
並べ替え順の説明 |
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バイナリ (_BIN)1 |
文字ごとに定義されているビット パターンに基づいて Analysis Services のデータを並べ替えて比較します。バイナリ並べ替え順では、大文字と小文字が区別され、アクセントが区別されます。また、バイナリは最速の並べ替え順です。詳細については、「BIN 照合順序と BIN2 照合順序の使用に関するガイドライン」を参照してください。 このオプションが選択されていない場合は、Analysis Services によって、関連する言語または文字の辞書で定義されている並べ替えおよび比較規則が使用されます。 このオプションは、Microsoft SQL Server インストール ウィザードの [照合順序の設定] ページまたは SQL Server Management Studio の [分析サーバーのプロパティ] ダイアログ ボックスの [言語/照合順序] ページにある [バイナリ] オプションに対応しています。 |
BIN2 (_BIN2)1 |
Unicode データの Unicode コード ポイントに基づいて、Analysis Services のデータを並べ替えて比較します。非 Unicode データの場合、BIN2 ではバイナリ並べ替えと同一の比較が使用されます。 BIN2 並べ替え順を使用すると、並べ替えられたデータを比較するアプリケーションでデータを再度並べ替える必要がないという利点があります。このため、BIN2 を使用すると、アプリケーション開発が簡略化され、パフォーマンスを向上させることができます。詳細については、「BIN 照合順序と BIN2 照合順序の使用に関するガイドライン」を参照してください。 このオプションは、Microsoft SQL Server インストール ウィザードの [照合順序の設定] ページまたは SQL Server Management Studio の [分析サーバーのプロパティ] ダイアログ ボックスの [言語/照合順序] ページにある [バイナリ 2] オプションに対応しています。 |
大文字と小文字を区別する (_CS) |
大文字と小文字を区別します。このオプションを選択すると、大文字より先に小文字が並べ替えられます。 このオプションを設定するには、Microsoft SQL Server インストール ウィザードの [照合順序の設定] ページまたは SQL Server Management Studio の [分析サーバーのプロパティ] ダイアログ ボックスの [言語/照合順序] ページにある [大文字と小文字を区別する] オプションを選択します。 |
大文字と小文字を区別しない (_CI) |
大文字と小文字を区別しません。Analysis Services では、大文字と小文字が並べ替えで同じものと見なされます。 このオプションを設定するには、Microsoft SQL Server インストール ウィザードの [照合順序の設定] ページまたは SQL Server Management Studio の [分析サーバーのプロパティ] ダイアログ ボックスの [言語/照合順序] ページにある [大文字と小文字を区別する] オプションを選択解除します。 |
アクセントを区別する (_AS) |
アクセントのある文字とアクセントのない文字を区別します。たとえば、"a" と "ấ" は等しくありません。 このオプションが選択されていない場合、Analysis Services では、アクセントのある文字とアクセントのない文字が並べ替えで同じものと見なされます。 このオプションは、Microsoft SQL Server インストール ウィザードの [照合順序の設定] ページまたは SQL Server Management Studio の [分析サーバーのプロパティ] ダイアログ ボックスの [言語/照合順序] ページにある [アクセントを区別する] オプションに対応しています。 |
アクセントを区別しない (_AI) |
アクセントのある文字とアクセントのない文字を区別しません。Analysis Services では、アクセントのある文字とアクセントのない文字が並べ替えで同じものと見なされます。 このオプションを設定するには、Microsoft SQL Server インストール ウィザードの [照合順序の設定] ページまたは SQL Server Management Studio の [分析サーバーのプロパティ] ダイアログ ボックスの [言語/照合順序] ページにある [アクセントを区別する] オプションを選択解除します。 |
かなを区別する (_KS) |
ひらがなとカタカナという日本語の 2 種類のかな文字を区別します。 このオプションが選択されていない場合、Analysis Services では、ひらがなとカタカナが並べ替えで同じものと見なされます。
注意
かなを区別しない並べ替えには、並べ替え順のサフィックスはありません。
このオプションは、Microsoft SQL Server インストール ウィザードの [照合順序の設定] ページまたは SQL Server Management Studio の [分析サーバーのプロパティ] ダイアログ ボックスの [言語/照合順序] ページにある [かなを区別する] オプションに対応しています。 |
文字幅を区別する (_WS) |
1 バイト文字と 2 バイト文字として表現された同じ文字を区別します。 このオプションが選択されていない場合、Analysis Services では、同じ文字の 1 バイト表現と 2 バイト表現が並べ替えで同じものと見なされます。
注意
文字幅を区別しない並べ替えには、並べ替え順のサフィックスはありません。
このオプションは、Microsoft SQL Server インストール ウィザードの [照合順序の設定] ページまたは SQL Server Management Studio の [分析サーバーのプロパティ] ダイアログ ボックスの [言語/照合順序] ページにある [文字幅を区別する] オプションに対応しています。 |
1 BIN2 が選択されている場合、大文字と小文字を区別する、大文字と小文字を区別しない、アクセントを区別する、アクセントを区別しない、かなを区別する、および文字幅を区別するオプションは使用できません。
各 Windows 照合順序は、並べ替え順のサフィックスと組み合わせて、大文字と小文字、アクセント、文字幅、またはかなの区別を定義します。たとえば、Analysis Services の Collation 構成プロパティの既定値は Latin1_General_AS_CS であり、アクセントの区別および大文字と小文字の区別がある並べ替え順で Latin1_General の照合順序を使用することを指定します。
既定の言語および照合順序の指定
Microsoft SQL Server インストール ウィザードの [照合順序の設定] ページで、Analysis Services インスタンスのインストール時に、既定の言語および照合順序の設定を指定できます。
インストール後に、[分析サーバーのプロパティ] ダイアログ ボックスの [言語/照合順序] ページを使用して、SQL Server Management Studio の Analysis Services インスタンスに対する既定の言語および照合順序の設定を変更できます。[分析サーバーのプロパティ] ダイアログ ボックスを使用して言語および照合順序の設定を変更する方法の詳細については、「[言語/照合順序] ([分析サーバーのプロパティ] ダイアログ ボックス) (Analysis Services - 多次元データ)」を参照してください。
EnableFast1033Locale の使用
Analysis Services インスタンスの既定の言語として英語 (米国) の言語識別子 (0x0409 または 1033) を使用する場合は、その言語識別子にのみ使用できる高度な構成プロパティである EnableFast1033Locale を設定することによって、パフォーマンスをさらに向上させることができます。このプロパティの値を true に設定すると、Analysis Services は文字列のハッシュおよび比較に高速アルゴリズムを使用できます。構成プロパティの設定の詳細については、「Analysis Services の構成プロパティ」を参照してください。